軽自動車の名義変更をする際に、なんらかの都合により本人が手続きに行けない場合には代理人に手続きを代行してもらうケースは多々あります。
しかし、そのような場合に委任状が必要なのか分からず、不安になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、軽自動車の名義変更に必要な書類や代行の際に委任状が必要であるかを明らかにし、具体的な手続きの流れについても解説します。
軽自動車の名義変更を代理人が行う場合「申請依頼書」が必要
結論から述べると、軽自動車の名義変更を代理人に依頼する場合には、一般的な委任状の代わりに、申請依頼書 様式5(以下では申請依頼書と表記)が必要です。
申請依頼書は、代理人が名義変更の手続きを進める権限を証明し、通常の委任状と同様の役割を果たします。
新しい所有者以外の人が名義変更の手続きをするには、この書類が必須であるため、適切に記入された申請依頼書がなければ手続きを進められません。
申請依頼書は、軽自動車検査協会の窓口や公式サイトから入手できます。書類の内容に不備があると再提出の手間がかかるため、所有者や使用者の氏名、住所、車両に関する情報など、間違いなく記載することが大切です。
軽自動車の名義変更の手続きに必要な書類
軽自動車の名義変更手続きをスムーズに済ませるためには、必要な書類をしっかりと把握し、記載内容に不備がないようにしておくことです。
ここでは、自動車検査証や住民票などの基本的な書類に加えて、状況に応じて必要となる書類についても詳しく解説します。
軽自動車の名義を変更する際に、自動車検査証(通称:車検証)の原本が必要です。コピーでは受け付けてもらえないため、間違いなく原本を用意しておきましょう。
名義変更の際に車検証が重要であるのは、車検証には車両の登録番号や車体番号、所有者情報、使用者情報などの基本情報が記載されているからです。名義変更の際にはこれらの正確なデータを示す必要があります。
車検証が手元にない場合や紛失してしまった場合は、再発行の手続き完了まで名義変更はできません。また、車検証の再発行には時間と費用もかかるため、日頃から車検証の管理には細心の注意を払いましょう。
名義変更を行う際には、使用者の住所を証明するための書類も必要です。
住所を証明する書類として、個人の場合は「住民票の写し」か「印鑑証明書」のどちらか一方を使用します。
また、法人の場合には「商業登記簿謄(抄)本」「登記事項証明書」「印鑑(登録)証明書」のうち、どれか1点が必要です。
住民票の写しを使用する場合は、本籍地が記載されていないもので問題ありません。ただし、発行日から3ヶ月以内のものが求められるため注意が必要です。手続きの直前に取得するのが良いでしょう。
住民票の写しや印鑑証明書を代理人に取得してもらう場合、委任状や印鑑登録証などが必要になるため、事前に必要書類を確認しておく必要があります。
ナンバープレートに関しては、名義変更後に登録地域が変わるかどうかで、手続きの内容が変わってきます。
名義変更前と後で管轄地域が変わらない場合、元のナンバーをそのまま使用することが可能です。
しかし、管轄地域が変わる場合は、使用の本拠が変更されるため、新しいナンバーを発行してもらう必要があります。
旧ナンバープレートは軽自動車検査協会で返却し、新しいナンバープレートを受け取りましょう。ナンバープレートの取り外しや取り付けは難しくありません。必要な工具は一般的なドライバー等で十分であるため、自分でも短時間で作業できるでしょう。
自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式)は、軽自動車の名義変更手続きの際に必須となる書類です。
この申請書は、軽自動車検査協会の窓口で入手できるほか、協会の公式サイトからダウンロードもできます。
軽第1号様式では、新所有者と旧所有者の氏名や住所、車両情報などを記載しますが、不備がないよう、住民票や車検証の記載内容と一致しているか確かめながら記入することが重要です。
記入の仕方がわからない場合は、記入例を見ながら確認すると良いでしょう。窓口で不明点を質問すれば、職員の方がサポートしてくれる場合もあります。
この書類は、名義変更の機会に希望のナンバーを取得したい場合に必要です。
希望番号制度により、ナンバープレートにおける4桁の数字は好きなものを選べます。希望番号の予約は、予約センターを通じてインターネット経由または窓口で行います。
予約済証には番号標交付可能年月日と有効期限が記載されており、手続きは交付可能日から1ヶ月以内に完了しなければなりません。この期限を過ぎてしまうと、予約が無効になるため注意が必要です。
なお、希望する番号が人気ナンバーで、他の人と重複する場合は抽選が行われることがあります。希望するナンバーを必ず取得できるわけではないので注意しましょう。
字光式車両番号指示願は、夜間に文字部分が光る「字光式ナンバープレート」に変更したい場合に必要です。
字光式ナンバープレートは夜間の視認性に優れ、悪天候の中でも見やすいというメリットがあります。ただし、取り付けの際には発行装置や取り付け費用が必要になるため、費用や手間を考えて導入を検討すべきです。
用紙は軽自動車検査協会や支所の窓口での入手及び公式サイトからダウンロード可能です。
事業用自動車等連絡書は、黒ナンバー(黒地に黄色文字のナンバープレートで、営業用の軽自動車に使用される)を持つ事業用軽自動車の所有者や使用者を変更するのに必要です。
用紙は、運輸支局の窓口でもらうか、運輸支局のサイトからダウンロードしてください。
この書類には、新旧の所有者情報や車両の使用目的、事業許可に関連する情報などが含まれます。運送業や商用車として利用される軽自動車の場合、この書類を不備なく記載し手続きを適切に完了することが重要です。
事業用自動車の名義変更では、運輸局や税務署に追加手続きが必要な場合があるため、使用の本拠を管轄する運輸支局へ事前確認しておくことをおすすめします。
軽自動車の名義変更をする際に、委任状の代わりに必要となる書類が申請依頼書です。この書類は、代理人が手続きに必要な権限を持つことを証明します。
書類に不備がある場合は、手続きが中断する可能性があるため、事前に記入内容をよく確かめてから提出することが重要です。
申請依頼書は、軽自動車検査協会の窓口や公式サイトからのダウンロードにより入手し、必要事項を記入してください。
記載内容は車両に関する情報や依頼者・代理人の氏名や住所、依頼する手続き内容などです。申請書を作成する際にも、記入例を参考に正確な記載を心がけましょう。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
申請依頼書が必要となる代理人の一例
申請依頼書は、家族や友人などに名義変更を代わりにやってもらう場合や、ディーラーや行政書士などの代行業者に手続きを依頼する際に必要な書類です。
上記のように、さまざまな人が代理人になれますが、代理人の種類によって注意すべき点が異なります。また、代理人を選ぶ際には費用や信頼性などを考慮することが大切です。
ここからは、申請依頼書が必要となる代理人の一例について解説します。
家族や友人など、信頼できる相手の場合でも、名義変更の代行を依頼する際には申請依頼書が必要です。
軽自動車検査協会や運輸局で手続きできるのは平日のみです。そのため、本人が行けない場合は、家族や親しい友人に代行依頼することで申請をスムーズに進められる利点があります。また、代行業者に頼む場合と比較して、費用を大幅に節約できる点もメリットです。
ただし、家族や友人に名義変更を委任することはメリットばかりではありません。専門家でない家族や友人は、手続きの際に何か不備があったとしても臨機応変に対応できるとは限りません。
手続きが止まってしまうことのないよう、家族や友人に依頼する場合は、事前に必要書類や手続きの流れについて確認し、情報を共有しておくことが重要です。
車の販売に携わるディーラーに依頼することで、軽自動車の名義変更を確実に遂行してくれるという安心感があります。
ディーラーは軽自動車の取引や行政手続きに関して多くのノウハウを持っているため、名義変更の手続きも安心して任せられるでしょう。
中古車を購入する際には、ディーラーで名義変更をお願いすることにより、販売契約と同時に手続きを任せられる点がメリットです。
ただし、ディーラーに依頼する場合には、代行に一定の手数料がかかります。その費用は数千円から数万円ですが、ディーラーによっても大きく異なるため、手続きが開始する前にしっかりと確認しておくことが重要です。
国家資格を持っている行政書士は、車の名義変更を含む法的書類の作成や申請代行を専門としており、相続が関連する名義変更など、さまざまなケースに対応できる点がメリットです。
専門的な知識を持っているため、複雑な手続きや複数の人が関わるケースにも対応できますが、依頼の際には費用がかかることを忘れてはいけません。
手続きの内容や地域によって料金は異なりますが、15,000円〜60,000円程度の費用を見ておくと良いでしょう。
行政書士に名義変更を依頼する場合は、口コミや知人の紹介などを通じて、信頼できる事務所を見つけることが非常に重要です。
行政書士に頼む場合には、ディーラーよりも少し費用が抑えられるでしょう。ただし、ディーラーでは車の購入と同時に名義変更を済ませられるメリットもあります。そのため、費用や手間を省くために、どの業者や事務所に依頼するか慎重に検討してください。
軽自動車の名義変更の一般的な流れ
軽自動車の名義変更をスムーズに済ませるためには、手続きの流れを把握しておくことが重要です。どのタイミングで何をすべきかを押さえておくことにより、書類の不備や手続きのミスを減らすことにつながるでしょう。
ここからは、名義変更の一般的な手続きの流れを解説します。
軽自動車の名義変更に際して、まずは手続きに必要な書類をすべて準備する必要があります。
住民票や印鑑証明書など、発行から手続きに利用できる有効期限が設けられている書類もあるため、用意する時期も間違えないようにしましょう。
基本的には以下のような書類が必要です。
- 自動車検査証(車検証)
- 使用者の住所を証する書面(住民票や印鑑証明書)
- 軽自動車税申告書(手続き当日に入手可能)
- 自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式) など
また、ナンバープレートが変更になる場合は、プレートの返却と交換の準備もしておきましょう。
必要な書類を準備して軽自動車検査協会に出向いたら、現地で入手できる書類(軽第1様式や軽自動車税申告書など)に必要事項を記入します。
記入の際には誤字脱字や情報の誤りに注意し、記入例も確認しておくことが重要です。分からないことがあれば係員に質問し、住民票や車検証の記載内容と書類の記載事項が一致しているか確認しましょう。
自分で手続きできず、代理人に依頼する場合は「申請依頼書」も必要です。代行依頼する際は必要書類を間違いなく準備し、事前にすべてチェックしておきましょう。
必要書類を準備し、すべて誤りがないかを確認したら、軽自動車検査協会の窓口に提出します。
この段階で、税金に関する手続きも同時に完了させましょう。軽自動車税申告書を作成しているはずであるため、新所有者として税金の請求先を適切に移行しなければなりません。
軽自動車の名義変更をした場合、軽自動車税と環境性能割の申告も必要です。軽自動車税は4月1日時点での所有者に課税され、5月に一括で納めるためこの時点で納税が必要ではありませんが、環境性能割は車を取得した際に納める必要があります。車両の環境性能や残価率に基づく税金が課されるため、窓口で計算された額を払いましょう。
すべての書類を間違いなく提出すると、その場で新たな車検証が発行されます。そこには新所有者の各種情報が記載されるため、内容に誤りがないかを速やかに確認してください。記載ミスがあれば、すぐに窓口に申し出て訂正を行いましょう。
窓口で新たな車検証を受け取った時点で、軽自動車の名義変更の手続きは完了です。
ただし、車両の名義変更手続きが済んだ後も、自賠責保険や任意保険など、保険の名義変更が必要であることを忘れないようにしましょう。保険の名義変更を怠ると、万が一の事故で保険が適用されないリスクがあるため十分に注意してください。
また、ナンバープレートの変更が必要な場合や、代理人の本人確認書類に不備がある場合などにも手続きに余分な時間がかかる可能性があります。
【注意】名義変更は所有者が変わってから15日以内に手続きを行う
軽自動車の所有者が変更された場合には、新たな所有者は道路運送車両法第13条第1項に基づき、速やかに名義変更をする義務があります。
変更が生じた日から15日以内に移転登録の申請を行う義務があり、この期限を過ぎると50万円以下の罰金が科される可能性があるため、名義変更を軽く考えて先送りにしてはいけません。
また、名義変更を怠ったことにより、自動車税の納税通知書や保険の請求が旧所有者に届くなどの混乱が生じ、思わぬトラブルの原因となります。
軽自動車の所有者が変わった際には、できるだけ速やかに名義変更の手続きを済ませてください。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?