軽自動車を購入する際に課される税金に、環境性能割というものがあります。これは、自動車の燃費性能や排出ガス基準に応じて税率が決定される制度で、環境性能に優れた車であるほど税金の負担が軽減されるシステムです。
この記事では、環境性能割の概要について説明し、その計算方法や対象となる車両などについても詳しく解説します。また、環境性能割で有利になる車の選び方や軽自動車の経済的メリットについても紹介するため、車にかかる税金やお得な車選びの参考にしてください。
軽自動車の環境性能割により税負担が軽減されることも
軽自動車は、燃費が良く維持費が安いことで大変人気がありますが、購入する際の税金については意識していない方も多いかもしれません。
実は、環境性能割の制度によって、車の燃費性能や排出ガス基準に応じて税負担に差が生じるため、車選びの際には環境性能についても吟味する必要があると言えるでしょう。
環境性能割が適用されるのは車を購入した時のみであるため、事前にしっかりと税率を確認し、より税負担の少ない車を選ぶことが大切です。
軽自動車の環境性能割とは?
2019年に廃止された「自動車取得税」に代わって導入されたのが、軽自動車の環境性能割です。環境に配慮した車の普及を目的とした制度で、車の燃費性能や排出ガス基準に応じて課税されるため、環境性能が高い車ほど税率で優遇されます。
そのため、軽自動車を購入する際には、排出ガス基準を満たす車やハイブリッド車など、環境性能が高い車を選ぶのが良いでしょう。
環境性能を考慮せずに車を購入すると、思わぬ税負担が増加する可能性があるため、環境性能割の仕組みや税率について把握しておくことは重要です。
ここでは、環境性能割の概要や税率、対象となる車種について解説します。
環境性能割は、車が原因のCO2排出や騒音、公害、交通事故、道路損傷などの社会的コストをまかなうために設けられた税制度です。総務省によると、環境性能割は「原因者負担金的性格を有する普通税」と説明されています。
車の使用に起因する環境負荷は、主に排出ガスが原因となるため、環境性能の高い車を普及させることにより、全体的な排出量を抑えるというのも狙いです。
また、環境性能の高い車の税率が優遇されることで、自動車メーカーは環境性能のさらなる向上を目指すため技術力が磨かれ、消費者にとってもエコフレンドリーな選択肢が増えるというメリットがあります。
環境性能割は、2019年10月1日に廃止された自動車取得税に代わって導入された制度です。
従来の自動車取得税は車の取得価額に応じて普通自動車3%、軽自動車2%の固定税率が適用されていましたが、環境性能割では燃費基準や排出ガス性能に応じた変動税率が採用されています。
環境性能割では、普通自動車0〜3%、軽自動車0〜2%が税率として設定されており、燃費性能や排出ガスの削減率が高いほど税負担が軽減される仕組みです。
自動車取得税から環境性能割への改正により、環境性能の良い車を選ぶ理由ができたため、エコカーの普及が進んでいます。
軽自動車の環境性能割の税率は、車両の燃費基準(2030年度燃費基準)達成度と取得時期に応じて異なるため、よく確認することが重要です。
以下に、各期間における税率をまとめます。
基準の75%以上達成…非課税
基準の60%以上75%未満達成…1%
基準の60%未満…2%
基準の80%以上達成…非課税
基準の70%以上80%未満達成…1%
基準の70%未満…2%
基準の80%以上達成…非課税
基準の70%以上80%未満達成…1%
基準の70%未満…2%
上記のように、今後は車の取得時期が遅くなるほど、非課税や税率軽減の条件が厳しくなります。税負担をできるだけ減らすためには、環境基準達成度が高い車を適切なタイミングで取得することが重要です。
環境性能割の対象となるのは、燃費性能や排出ガス性能が基準を満たしており、環境負荷が低いと判断できる車です。二酸化炭素や窒素酸化物の排出量を抑えることが目的であり、具体的には以下のような車が対象となります。
- 電気自動車(EV)
- 燃料電池自動車(FCV)
- 天然ガス自動車(CNG)
- プラグインハイブリッド自動車(PHEV)
- 2030年度燃費基準を達成したガソリン車およびLPG車
- 2023年12月末以前に取得し、国土交通省の定める基準を満たしたクリーンディーゼル車
また、以下の車は環境性能割の対象外です。
- 二輪車や原動機付自転車
- 取得価額が50万円以下の車
- 相続により取得した車
税金の負担を抑えるためには、上記の条件をしっかりと確認して車を購入する必要があります。
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軽自動車の環境性能割の計算方法
税金の算出方法を理解しておくことで、車を購入する際に適切な予算計画を立てられます。
環境性能割は、車の取得価額と環境性能に応じて税額が決定されます。新車の場合と中古車の場合でそれぞれ異なるため、両者の計算方法を知っておくことが大切です。そうすることで税負担を抑えた車選びが可能となり、総コストも管理しやすくなります。
新車を購入する際には、取得価額と環境性能の基準達成度に応じた税率を掛け、以下の計算式で税額を算出します。
ここでの取得価額とは、車の課税標準基準額に車両一体型オプションの価格を合わせたものです。そのため、ドアバイザーやシートカバーなど簡単に取り外せるものは取得価額には含みません。
計算の例として、課税標準基準額(車両本体価格の90%程度が一般的)150万円、車両一体型オプション(サンルーフやカーナビなど)が10万円、環境性能割の税率が1%の場合は以下のようになります。
中古車は新車の場合と異なり、経年によって下がった車の価値を考慮して環境性能割が算出されます。使用する取得価額は、課税標準基準額と車の残価率を掛けたものです。以下で、具体的な計算方法について見てみましょう。
上記の式が、環境性能割の税額を求める式です。残価率は、新車登録時の価値を1とした時、時間の経過とともに価値がどのくらいになるかという割合を示しています。例えば、1年経過した車の価値は0. 681、3年経過した車は0. 316、6年経過すると0.1です。
課税標準基準額150万円、経過3年の中古車(残価率0.316)、環境性能割の税率1%の場合の計算式は以下のようになります。
経過年数が長いほど取得価額が低くなるため、中古車を購入する際は残価率をよく確認することが重要です。
環境性能割に優れた中古車の選び方
中古車を購入する際に、価格の安さで選ぶのも良いですが、環境性能割によって税負担が大きく変わることがあるため注意が必要です。例えば、少し年式が新しいだけで非課税になる場合があるかもしれません。
予算内で見つけた車の税率が意外に高かったとならないように、ここでは環境性能割に優れたお得な中古車を選ぶ方法について解説します。
環境性能割の税率を低く抑えるためには、当然ながら環境性能に優れた車を選ぶことが効果的です。そのために最適な選択肢としては、電気自動車やハイブリッド車などのエコカーが該当します。
エコカーは、排出ガスが少ないうえに燃費性能も申し分ないため、環境性能割の税率が低く設定されています。非課税になる場合もあるためお得です。
中古車市場では、年々エコカーの流通が増加しており、さまざまな車を選べるようになってきました。そのため、中古車を購入する際にはエコカーの中から税制優遇の対象となるモデルを選ぶことが大切です。
年式が新しい中古車は、優れた環境性能を備えている場合が多く、環境性能割の税率で優遇される傾向があります。新しい年式の車は燃費性能が高く、排出ガス規制にも適合しているため、環境性能割が非課税になることも少なくありません。
新しい年式の車を選ぶことで、税率が優遇されるだけでなく、高い燃費性能によるガソリン代の節約も期待できるでしょう。また、メンテナンスコストも抑えられる可能性があるため、維持費全体を考えた時にコストパフォーマンスが高いこともメリットです。
軽自動車は総じて燃費が良く、環境性能割の税率も低く抑えられるため、全体的な維持費を安くできる点が魅力です。普通自動車の税率が0〜3%である一方、軽自動車の場合は0〜2%と、環境性能割で有利になります。
また、便利に使える軽自動車には大きな需要があり、中古車市場においての流通量も多いため、多くの選択肢から選べる点もメリットです。コンパクトサイズで維持費も安いため、都市部から郊外まで、さまざまな場面で日常の移動手段として活躍してくれるでしょう。
環境性能割は、取得価額が50万円以上の車に課税されるため、50万円未満の中古車を選ぶことで非課税になる点が魅力です。年式や走行距離にもよりますが、軽自動車の中古車市場では取得価額50万円未満の車も少なくないため、非課税となる中古軽自動車を見つけるのはそれほど難しくありません。
ただし、取得価額が低い軽自動車は、年式が古かったり走行距離が多かったりする傾向があるため、状態をしっかりと確認してから購入することが重要です。信頼できるディーラーや販売店で購入すること、整備履歴を確認することなどを徹底し、安心して乗れる車を選びましょう。
軽自動車を新車で購入するメリットとデメリット
新車の軽自動車を購入する場合は、最新技術や安全装備が整っているため、安心して運転を楽しめる点がメリットです。衝突被害軽減ブレーキや高度な運転支援システムなど、最近の軽自動車には、運転の安全性と快適性を高める装備が充実しています。
また、新車にはメーカーの保証がつくため、保証期間内の故障やトラブルに対してサポートが受けられる点も魅力です。さらに軽自動車は、メンテナンス費用が安く燃費性能も良いため、長期的に使用する予定の方には新車をおすすめします。
しかし、新車を購入する場合は価格の高さがデメリットに感じられるかもしれません。最新の軽自動車は価格が上がっており、中古車と比較すると新車で軽自動車を買う場合には非常に多くの購入コストがかかるでしょう。
また、人気車種や特定のオプションを選んだ場合など、基本的に納車までの時間がかかるデメリットもあります。すぐに車を手に入れたい場合や、購入にかかる費用を極力抑えたい場合などには中古車を選ぶのが良いでしょう。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
軽自動車を中古で購入するメリットとデメリット
中古車で軽自動車を購入する最大のメリットは、新車と比較して価格が非常に安いことです。初年度登録から数年が経過した車両であれば、新車価格の5割程度で済むこともあるため、とにかく費用を抑えたい場合には魅力的な選択肢になるでしょう。
また、中古車の場合はすでに市場に流通している車であるため、納車まで待たされることがない点もメリットです。
近年では、認定中古車制度が充実し、一定の保証を受けられる中古車も増えており、新車同様に安心して乗れるというメリットもあります。
価格や年式、走行距離など、さまざまな要素で選べる中古車ですが、車によってコンディションに大きな違いがあることがデメリットにもなります。以前の持ち主の使い方によっては、すぐには分からない不具合や劣化のリスクがあるため、走行距離や整備履歴はしっかり確認することが重要です。
また、人気の車種や状態が良い車両は、中古車市場では高値がつけられることが多く、予算内で希望の車を見つけられないケースもあります。一方で、安すぎる車を選ぶと、メンテナンス費用でかえって高くつく場合もあるかもしれません。
このように、購入時の判断が難しくなるデメリットが中古車にはあります。
軽自動車の魅力
車を購入する際には、さまざまな視点からの選び方がありますが、価格や維持費の負担を少しでも抑えたい方にとって、軽自動車には多くの魅力があります。
しかし、軽自動車の魅力について具体的に知っておくことにより、自分のニーズにあった車選びの参考になるでしょう。ここでは、軽自動車の持つ魅力について具体的に解説します。
軽自動車は、税金の支払いやガソリン代をはじめとする、車の維持費を抑えられる点が大きなメリットです。軽自動車の自動車税や環境性能割は、普通自動車よりも低く設定されているため、固定費が安く抑えられるでしょう。
最新のモデルであれば、非常に燃費性能に優れた軽自動車が数多く存在し、ガソリンを入れる回数が少なくなるため経済的です。タイヤやブレーキパッドなどの消耗部品も、普通自動車よりも安い傾向があり、メンテナンス費用の負担も大きくありません。
維持費だけでなく、車両価格が安い点も軽自動車の魅力です。新車・中古車ともに普通自動車よりも安い場合が多いため、初期費用を大きく抑えられます。
中古車市場では軽自動車が豊富に流通しており、手頃な価格帯で希望の車を見つけることも可能です。また、軽自動車の安全装備や快適装備は進化し続けており、低コストにも関わらず、高性能で安心して運転ができる点も魅力となっています。
軽自動車のコンパクトな車体は、狭い道路や市街地、駐車場などでの取り回しが良く、誰でも運転しやすい点が特長です。細い道が多く、普通車では運転しにくい場面でも、スムーズに対応できるでしょう。
さらに、軽自動車は運転席からの視界が広く、運転に慣れていない人でも安心できるメリットもあります。買い物やちょっとした外出の利便性を求める人にとって、軽自動車は最適な選択と言えるでしょう。