軽自動車とコンパクトカーはともに小型で小回りの利く車という点で共通しています。しかし、実はこの2つには明確な違いがあります。

この記事では、軽自動車とコンパクトカーの費用や性能面を比較しながら、その違いについて解説していきます。

もし自分が買うとしたら、経済的なメリット、性能、乗り心地などの観点から、どちらの方が好みやライフスタイルに合っているのかを考えながら読んでみてください。

軽自動車とコンパクトカーにかかる費用は全体的に軽自動車のほうが安い

軽自動車は「排気量660cc以下、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下の三輪および四輪車」と定義されている規格があります。

一方、コンパクトカーには明確な定義はなく、軽自動車以外の小型でリーズナブルな自動車を指して使われる言葉です。ただし、一般的な目安として、5ナンバーで排気量2000cc以下、全長4.2m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m以下の自動車をコンパクトカーと呼び、軽自動車よりサイズ的にも動力的にも一回り大きいものを指します。

また、乗車定員は軽自動車が4人に対し、コンパクトカーはほとんどが5人乗りであることも大きく違うポイントです。

これらの違いが、軽自動車とコンパクトカーのそれぞれにかかる費用に影響するため、まずはかかる費用の違いを比較解説します。

軽自動車とコンパクトカーにかかる費用の違い

軽自動車とコンパクトカーにかかる費用の違い
自動車にかかる費用として最も大きなものは車両本体の購入費用です。しかし、車は購入して終わりではなく、ガソリン代、自動車税、自動車保険、車検といった維持費の負担も決して小さくありません。

ここからは、軽自動車とコンパクトカーにかかる費用について、それぞれどの程度違ってくるのかを1つずつ掘り下げて解説します。

車両価格

車両価格は、購入するのが新車か中古車かによって、軽自動車とコンパクトカーのどちらが得かが変わってきます。

新車で購入する場合は、一般的に軽自動車の方が低価格です。グレードやオプションによって同じ車でも価格帯にレンジがありますが、トヨタの代表的な軽自動車とコンパクトカーで同程度のグレード、オプションで比較した場合、軽自動車の方が70万円~100万円程度安く購入できます。

一方、中古車の購入価格を比較すると、コンパクトカーの方がお得な傾向にあります。中古車は車の状態、走行距離、市場価格によって価格が決まるため、一律に比較することは困難です。しかし、軽自動車は店頭表示価格がすでに下限価格に近いことが多く、普通自動車であるコンパクトカーは価格交渉の余地があると考えられています。

税金

税金
車にかかる税金は、(軽)自動車税、自動車重量税、環境性能割などがあります。維持費という観点で比較するため、毎年支払う必要がある(軽)自動車税を中心にみていきます。

先ほどと同様にトヨタの2車種で比較すると、軽自動車は年間10,800円であるのに対し、コンパクトカーは30,500円です。3倍近くコンパクトカーの方が多く支払います。

また、自動車重量税は新規登録時、車検時に支払い、環境性能割は購入時に一度だけ支払う税金ですが、軽自動車の方が高いものはありませんでした。したがって、税金面においては軽自動車の方が全体的に安いと言えます。

保険

自動車を購入したときは自動車保険に加入します。「強制加入の自賠責保険」と「自賠責保険での不足分を補うための任意保険」に加入するのが一般的です。

保険料はドライバーの年齢や等級によって変動するため一概には言えませんが、軽自動車では両方合わせて50,000円程度が相場です。コンパクトカーは軽自動車よりも5,000円~10,000円程度高いとされています。

重量や排気量が大きい分、事故時の被害が大きくなるため、相対的にコンパクトカーの方が保険料が高くなるようです。

燃費性能

燃費性能
燃費性能は、車両重量が大きく影響するため、ガソリン車同士で比較した場合は軽自動車の方が燃費がよく、ガソリン代を抑えられます。

しかし、今はモーターで車を動かすハイブリッド車がシェアを伸ばしています。軽自動車にはモーターを積み込むほどのスペースが確保できないため、ハイブリッド車はコンパクトカーの場合に選択可能なオプションです。

軽自動車とハイブリッドコンパクトカーを比較すると、3割~4割ほどコンパクトカーの方が燃費性能に優れます。ただし、ハイブリッドカーはガソリン車よりも購入価格が高いため、燃料費だけでなく、購入価格の上乗せ分も考慮して総合的なコストで比較する必要があります。

車検

車検費用も車の状態や交換備品の有無により価格が変動しますが、軽自動車の場合は20,000円~30,000円ほど安い傾向です。

車検代は2年に1回かかる費用であることを考えると、コンスタントに支払う維持費として自動車税に近いインパクトがあります。

軽自動車は全体的に維持費が安く、費用面で比較すると圧倒的にコンパクトカーよりも軽自動車のほうが優位性がみられます。

軽自動車とコンパクトカーのサイズの違いは?
軽自動車のサイズの定義は「全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下」となります。コンパクトカーには明確なサイズの定義はありませんが、一般的な目安として概ね「全長4.2m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m以下」となります。
その他、軽自動車は4人乗りで荷室が狭め、コンパクトカーは5人乗りで荷室はやや広めという違いがあります。

軽自動車とコンパクトカーの性能の違い

軽自動車とコンパクトカーの性能の違い
軽自動車とコンパクトカーの具体的な性能面にどのような違いがあるのかを比較します。

「走行性能」「安全性能」「静粛性能」それぞれの項目を比較、説明するとともに、ボディサイズの違いが自動車の性能面に与える影響についても解説します。

走行性能

走行性能に影響するのは「排気量」と「ターボ機構」です。

排気量が大きいほど馬力や加速に優れ、高速道路などの広い道路でより快適に走れます。

ターボ機構とは、エンジンに圧縮した空気を送り込む仕組みのことです。そのため、搭載されているエンジンは大量の空気とともにガソリンを燃やせるため、搭載されていないエンジンと比較して、よりパワフルな走行が可能です。

ターボ機構は、軽自動車のエンジンにもコンパクトカーのエンジンにも搭載可能なため、そもそも排気量の大きいコンパクトカーの方が走行性能に優れています。

街中を少し走る程度であれば軽自動車でも十分ですが、遠出したいときはコンパクトカーの方が快適な走りを楽しめるでしょう。

安全性能

近年は軽自動車でも衝突安全機能など、充実した安全装備が実装されています。グレードによってはサイドエアバッグが搭載されているものもあり、十分な安全性が確保されていると言えるでしょう。

しかし、コンパクトカーの方がより先進的な技術による安全装置が備わっていることが多く、またボディサイズも大きいため衝突時の衝撃を受けにくくなっています。

これらのことから、安全性能においてもコンパクトカーの方に優位性がみられます。

静粛性能

静粛性能とは、エンジン音を抑える仕組みのことです。自動車の運転ではエンジンルームから発生する騒音、機械音が気になります。また、同時に車の内部を揺らす振動も音に比例して大きくなります。

自動車好きの中には、エンジン音や振動が大きいものの方が車らしくて好きという人もいますが、今や車内は会話や音楽を楽しむ空間という人の方が多い印象です。そのため、静粛性能に優れた車の需要がより大きいと言えるでしょう。

コンパクトカーの方がサイズが大きく、車全体に音が伝わりづらいため、静粛性能は上回ります。

ボディサイズ

ボディサイズは軽自動車の方が小さく、走行だけでなく、費用面においても小回りの利くカーライフを送れます。しかし、小さいことで積むエンジンの大きさに限界があることから走行性能ではコンパクトカーに劣ります。

また、コンパクトカーよりも車体が軽いため、事故時の大きな衝撃に耐えられません。さらにボディサイズが小さいため、エンジン音と振動が車内に伝わりやすくなってしまいます。

このように小さいことが要因で各種性能で負けてしまうことがあります。ボディサイズが小さいことによるメリット、デメリットをしっかりと把握することが重要です。

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軽自動車の特徴

軽自動車の特徴
軽自動車は、その小型ボディを活かして狭い道でも走りやすいことが大きな長所です。また、ガソリン車としてはかなり高い燃費性能を有しています。新車で購入するときの代金も安く、各種税金面においても負担が小さいため、イニシャルコスト、ランニングコストともに低く抑えられるのもよい点です。

また狭いスペースでも隣の車と一定の間隔を保って駐車できます。小さな子どもを乗せている場合には、ドア開閉時に隣の車にぶつけてしまうトラブルを抑止できるのも小さいゆえのメリットです。

軽量なため安全性能に懸念は残るものの、ゆとりある生活に寄り添うやさしい車と言えます。

コンパクトカーの特徴

コンパクトカーの特徴
軽自動車と比較したコンパクトカーの特徴は高い実用性です。5人乗りであることから大人数で出かけられます。馬力や加速に優れ、タイヤ同士の間隔が広いことから凹凸のある道でも車の揺れが小さく、安定感のある走行が可能です。また、エンジン音を軽減するだけの広さを持つため静粛性能も高く、より快適な運転時間を過ごせます。

購入代金、維持費とも軽自動車と比較すると高くつきます。しかし、特にハイブリッド車では軽自動車をも上回る圧倒的な燃費性能です。一般車としては各種性能に優れながらも比較的安価に保有でき、さらに小回りも聞くというバランスの良さから、優れたコストパフォーマンスを持つ車と言えるでしょう。

また、ボディサイズが軽自動車と比較して大きめであることから事故時の耐久性が高く、同乗者にとって安心感があることもメリットです。

軽自動車とコンパクトカーの維持費に関して、税金や保険料の差はありますか?

税金は、以下のような差があります。

・自動車税:軽自動車の方が年間約15,000円~20,000円安い
・自動車重量税:軽自動車の方が0円~30,000円(登録時)安い
・環境性能割:軽自動車は0円、コンパクトカーは40,000円~50,000円(購入時)

保険料は自賠責保険、任意保険の合算で軽自動車の方が年間約5,000円~15,000円ほど安いです。

軽自動車とコンパクトカーに共通する特徴

軽自動車とコンパクトカーに共通する特徴
軽自動車とコンパクトカーをさまざまな点で比較してきましたが、自動車全体で考えると両者は非常に近い特徴を持ちます。

両者のような比較的小さい自動車には、どのような共通する特徴があるのかを長所にフォーカスして解説します。

取り回しがよく運転しやすい

どちらの車も比較的車体が小さいため、小回りの利く走行が可能です。普段使いの近場への移動や細い道の多い住宅街などでは、初心者さんや運転に自信がない人も気軽に運転できるのが長所です。

交差点でのUターンなど、ファミリーカータイプの大きめの車では難しい動作も、軽自動車やコンパクトカーであれば可能な場所も存在します。駐車場でも過度に神経を使う必要がないため、精神的にも楽に運転できるでしょう。

車両本体価格が抑えめ

自動車全体の中で比較したとき、軽自動車もコンパクトカーも安価で購入できます。どちらも100万円台で購入できるモデルもあり、ミニバンなどのファミリーカーや、大きなエンジンやモーターを積んだSUV車の半分以下の価格です。

車は家の次に高価な買い物と言われますが、生涯にわたって利用するためには何台も買い替える必要があり、維持費も考慮すると家に匹敵する経済的負担が伴います。したがって、購入費用が圧倒的に安いというのは大きな魅力です。

所得が低かったり資産が少ない若者層、節約志向の主婦・高齢者層にも選ばれやすいと言えるでしょう。

税金が安い

この記事の前半では、税金面では軽自動車の方が安いという話をしましたが、コンパクトカーも自動車全体の中では十分に安いと言えます。自動車税はエンジンの排気量が大きいほど高くなり、重量税は車体の重量が大きいほど高くなります。

軽自動車ほどではないにしろ、コンパクトカーも比較的小さい排気量でかつ、軽量サイズであるため税金は低めです。そのため、コンパクトカーは税金が高いと思い込んで購入の選択肢から外してしまわないよう注意してください。

燃費がよくガソリン代を節約できる

軽自動車もコンパクトカーも、燃費性能に優れたモデルが多いのが特徴です。エンジンが小さく、車体も軽量なため小さい力でもよく走ります。

両者ともに車体価格も抑えめで、税金が安く、ガソリン代も節約できるため、車の保有にかかる費用が全体的に少なく済むというのが共通している最大のメリットと言えます。

人生において大きなお金のかかる自動車という分野でコスト競争力に優れているため、「車は必要だが、かけられるお金が限られている」という方にとって検討する価値のある自動車です。

どのような用途やニーズに応じて選ぶべきですか?
街乗りや通勤・通学といった、日常生活で必要となる最低限の移動手段として可能な限り費用を抑えたい方には軽自動車がおすすめです。
一方、たまには長距離ドライブを楽しみたいと考え、車内でも快適な時間・空間を求めたい方はコンパクトカーを選ぶとよいでしょう。

軽自動車の利用がおすすめな人

軽自動車の最大の長所は、どの車よりも費用がかからないことです。購入価格、税金、ガソリン代、全てにおいて安いため、お金に余裕がなくても手に入れやすく、維持費の負担も軽く済みます。

目的地への移動という、自動車の持つ本来の目的を最安で実現できます。普段使いでは基本1人か2人で利用し、通学や通勤など近場での街乗りが多く、可能な限りお金をかけたくない人におすすめです。

なお、近年の軽自動車は性能にも優れています。一昔前に比べてエンジン音もさほど気にならず、加速力も優秀になったため、安いからと言って品質が悪いということは決してありません。

コンパクトカーの利用がおすすめな人

コンパクトカーの魅力は、性能とコストのバランスに優れている点です。基本的には移動手段としての目的を果たせればいいと思いながらも、運転時のある程度の走行性能や車内での快適性を求めたいという人におすすめの自動車です。

人生において車を運転する時間は相当に長いため、その時間を有意義、快適に過ごしたいと思う人も少なくありません。そのようなニーズを満たしながらも各種費用が比較的抑えられるため、コストパフォーマンスに優れているのがコンパクトカーです。

軽自動車よりもトータルコストは高くなりますが、安定した力強い走行性能、ゆったりとした車内空間、エンジン音が気にならない静粛性能を実現しています。

お金はあまりかけられないけれど、軽自動車では物足りないと感じる方には有力な選択肢となるでしょう。

まとめ

①軽自動車は「排気量660cc以下、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下」と規格が定義されている
②コンパクトカーには明確な定義はないが、一般的に「排気量2000cc以下、全長4.2m、全幅1.7m以下、全高2.0m以下」のものを指す
③車両価格、燃費性能、税金、自動車保険といった費用面で軽自動車が軒並み安い
④ただし、ハイブリッドカーの場合、燃費性能に優れるのはコンパクトカー
⑤馬力や加速に優れる走行性能、衝突時の被害を止める安全性能、エンジン音を緩和する静粛性能などの各種性能は、軽自動車に比べてボディサイズで勝るコンパクトカーが優れている
⑥自動車全体でみれば、軽自動車とコンパクトカーともに、購入価格や維持費の安さと、小回りの利く運転が可能という共通した特徴を持つ
⑦最低限の移動手段として、できる限り費用を抑えたい人は軽自動車、安さと運転の快適さをバランスよく実現したい人にはコンパクトカーがおすすめ

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