車を売却するにあたって、車検証の名義変更などいろいろな手続きが伴います。その手続きをするのに必要書類の提出が求められます。
いくつかある必要書類の中の一つが、今回紹介する「リサイクル券」です。
愛車を購入した時にリサイクル料金を支払うとリサイクル券がもらえますが、払い戻しはどのような時にされるのでしょう?
また、中にはリサイクル券をどこかに紛失してしまったという方もいるでしょう。
今回はリサイクル券とはどのようなものなのか、紛失した時の対策などについて解説していきます。
車のリサイクル券の基本
車売却時の必要書類の中の一つに、リサイクル券があります。まずはリサイクル券とはどのようなものなのか詳しく見ていきましょう。
リサイクル券は車を購入した時に、販売店からもらいます。車内や車検証入れの中で保管している場合も多いので、ダッシュボードなどを探してみてください。
リサイクル券とは?
リサイクル券は、自動車リサイクル料金を支払った時に発行される書類です。リサイクル料金を支払ったことを証明する書類でもあります。
車両は廃車処分する際に、解体・破砕されます。これは法律に基づく処置です。
この時にシュレッダーダストやエアバッグ、フロン類が発生します。これらをそのまま処分すると、地球環境に悪影響をもたらしかねません。そのため、適切な方法で処分する必要があります。
安全に処分するためには、それなりに費用もかかります。そこで処分費用を車の所有者に負担してもらうのが、リサイクル料金です。
リサイクル料は新車・中古車関係なく購入時に負担します。
リサイクル料金の支払いを証明する書面がリサイクル券です。
リサイクル「券」と言われると、1枚の紙のようなイメージを持つかもしれません。しかし、リサイクル券は4枚の書面がワンセットになったものです。
リサイクル料金はいくつかの項目によって構成されているので、複数枚がセットになっています。
リサイクル券はA~D券の4枚によって構成されています。それぞれ異なる内容です。
- A券…預託証明書
- B券…使用済自動車取引証明書
- C券…資金管理料金受領証
- D券…料金通知書券発行者控
リサイクル券は車の売却や廃車手続きで必要です。そのため、車検証などと一緒に車内で保管しておきましょう。
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リサイクル料金の費用について
車を購入する際に支払うリサイクル料金は車種によって異なります。
相場は以下になります。
- 軽自動車を購入すると、大体6,000~16,000円。
- 普通自動車を購入すると、大体10,000~18,000円。
- 中型から大型トラックを購入すると、大体10,000~16,000円。
車種によって料金が異なるのは、使用されているパーツが違うからです。
リサイクル料金は、車を廃車処分する際に負担する費用です。もし車を売却して引き続き中古車として使用されるのであれば、買取時にリサイクル料金は戻ってきます。
買取業者に査定金額を提示された時に、リサイクル料金の還元がなされているかどうか確認しましょう。買取価格に上乗せされているところもありますので、見積もりをチェックしてください。
リサイクル料金は一つの項目で構成されているわけではありません。リサイクル料金の内訳を見てみると、5つの項目によって構成されています。
その5項目は以下になります。
- シュレッダーダスト料金
- エアバッグ類料金
- フロン類料金
- 情報管理料金
- 資金管理料金
この中でも上の3つと下の2つに分類されます。
シュレッダーダスト料金、エアバッグ類料金、フロン類料金については、リサイクルする際に発生する費用で、自動車メーカーなどに支払われる料金です。
情報管理料金、資金管理料金については、リサイクル処分運営のための経費にあたり、自動車リサイクル促進センターに支払われます。
リサイクル料と消費税の関係について
個人事業主やフリーランスの方の中には、事業用に車を使っていて経費として計上したいと思っている方もいるでしょう。この時、リサイクル料をどう処理すればいいかで迷う方も少なくありません。
リサイクル料は、自動車リサイクル促進センターに預託されるものです。そのため、新車を購入した時には「消費税不課税取引」と言って課税対象にはしません。
ところが中古車を購入した場合には、事情が少し変わってきます。
中古車でも、前のオーナーからリサイクル券を買い取る形でリサイクル料を負担します。これは金銭債権の譲渡と解釈できるため、「非課税取引」という形で計上しなければなりません。
取り扱いが新車と中古車では異なりますが、リサイクル料に消費税がかからない点は一緒です。
リサイクル券と払い戻しの関係
愛車を処分する場合、買い取りでも廃車処分でもリサイクル券は必要書類の一つです。
リサイクル券を提出して、リサイクル料が戻ってくるかどうかはケースバイケースとなります。
では、どのような時にリサイクル料が払い戻されるのでしょうか?
以下で詳しく説明します。
愛車を売却してまた中古車として販売するのであれば、リサイクル料金は返還されます。
リサイクル料金は新車・中古車問わず、購入時に支払うものです。つまり、自分の車両を次に購入したオーナーが、該当するリサイクル料金を支払います。そのため、負担したリサイクル料金は払い戻されるわけです。
リサイクル費用は、最終的な車の所有者が負担する形になります。廃車されない限り、リサイクル料金は戻ってくると考えてください。
買取業者に売却するだけでなく、ディーラーに下取りに出した場合も一緒です。下取りの場合も乗り継がれること前提ですので、皆さんが負担したリサイクル料は返還されます。
リサイクル費用の負担をするのは、車の所有者です。つまり、愛車を廃車処分する場合には、自分が負担したリサイクル料金が使われます。そのため、廃車処分にする場合はリサイクル料金は戻ってきません。
例えば、買取業者に査定依頼したり下取りに出して乗れないと判断された場合は、リサイクル料金は戻らないので注意しましょう。
リサイクル料は戻ってきませんが、他の部分で還付を受けられるかもしれません。それは何かというと「自動車税」や「自動車重量税」の還付です。
重量税の還付は車検が1か月以上残っていると、残期間分の税金が戻ってきます。廃車予定の車で車検切れの時期が迫っているのなら、早めに処分するのがおすすめです。
もし買取業者に車を売却したり、ディーラーに下取りに出したりしたのであれば、お店からリサイクル料が支払われます。
しかし、「リサイクル料」という形で別途で支払われることは少なく、車の査定金額に上乗せされて還元されることが多いです。
ただし、査定料金に上乗せされるというのはルールとして明記されているわけではありません。買取業者によっては、リサイクル料は別途で返金しているところも見られます。
リサイクル料の取り扱いが不明瞭であれば、担当者に確認をとっておきましょう。
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車売却時にリサイクル券を紛失した場合
車を売却しようと思って、必要書類の準備をしたとします。その時いくら探しても、リサイクル券が見つからないという事態も想定できます。
ここではリサイクル券を紛失した場合、どのように対処すればいいかについてまとめました。
リサイクル券を紛失した際の手続きの流れについても紹介しますので、いざというときの参考にしてください。
リサイクル券を探しても見つからないと、どうしたらいいのか戸惑う方もいるかもしれません。しかし、リサイクル券を紛失していたとしても、車の売却は可能なので心配する必要はありません。
リサイクル料金の支払いが立証できれば問題なく売却できます。リサイクル料金も買い取りの場合は返還されます。
買取業者にお願いして、リサイクル料金を支払っているか確認してもらいましょう。リサイクル料金については自動車メーカーのWebサイトにて公開されていて確認ができます。
買取業者の担当者に愛車の車両情報を伝えましょう。この時「車台番号」と「登録番号」が必要です。いずれも車検証に記載されている情報なので、車検証を手元に置いて確認をお願いするとスムーズです。
リサイクル券を再発行することで対処する方法もあります。
リサイクル券の再発行は運輸支局で受け付けています。まずは、お近くの運輸支局がどこにあるのか、ホームページなどで確認しましょう。
運輸支局に行くと再発行専用の端末機が用意されているので、手続きを済ませまてください。簡単な操作で再発行できるので、画面の指示に従って手続きを進めます。
自分で運輸支局に行く時間がないという方もいるかもしれません。その場合、車を購入したディーラーに代行依頼する方法があります。
代行をお願いすると「再発行費」や「代行費」を請求される可能性がありますので、できることなら自分で手続きするのがおすすめです。
リサイクル券の再発行手続きをしなくても、リサイクル料金の払い込みを証明する方法があります。それが、今回紹介する「自動車リサイクルシステム」を使った方法です。
自分のパソコンで手続きできるので、運輸支局に行く時間がないという方でも利用できます。どのような流れでリサイクル料支払いの証明をするのか、以下にまとめました。
まずは「自動車リサイクルシステム」のホームページにアクセスします。途中で車両情報について入力する手続きがありますので、車検証を手元に置いて作業するのがおすすめです。
Webサイトの手続きと言われると、24時間いつでも好きな時に手続きできると思うかもしれません。しかし、自動車リサイクルシステムのサービスを利用できるのは7~24時の間なので注意してください。
トップページが表示されたら、画面上部に「自動車ユーザーの方」というタグがあります。こちらをクリックしましょう。
「自動車ユーザーの方」というページが現れますので、画面中央の「リサイクル料金検索」ボタンをクリックしてください。
「リサイクル料金検索」をクリックすると、別ウィンドウが立ち上がります。こちらは車両検索の画面です。
画面の上部に「車両区分」という項目があり、登録自動車と軽自動車の2つの選択肢があるはずです。
軽自動車であれば「軽自動車」のボックスにチェックを入れてください。普通自動車など軽自動車以外の車両なら「登録自動車」にチェックを入れます。
車両区分の下に「車台番号」という欄があるので、所有している車両の車台番号を入力しましょう。車台番号は車検証に記載されているはずなので、車検証を見ながら入力してください。
多くの自家用車が車台番号は英数字のみになっています。この場合、「車台番号が英数字のみの場合」のところにチェックを入れ、下4桁だけを入力しましょう。
続いて「登録番号/車両番号」という項目があります。こちらにチェックを入れて、登録番号を入力してください。
登録番号は「支局名」「分類番号」「かな」「一連鑑定番号」の4つの項目で構成されています。それぞれ分けて入力する形です。
登録番号も車検証に記載されているので、車検証を見ながら入力していけば、ミスも起こりにくいでしょう。
次に「ご利用目的を選択してください」という項目があります。選択肢の中の「リサイクル料金の預託状況」のボックスにチェックを入れてください。
全ての項目の入力ができたところで、右下にある「検索」ボタンをクリックします。すると、リサイクル料金の預託状況の結果が表示されます。
「2.リサイクル料金の情報」というところで確認可能です。この部分に「預託済み」と表示されれば、リサイクル料金の支払い済みを意味します。
預託済みとなっていれば、右下にある「料金表示」というボタンをクリックしてください。すると「自動車リサイクル料金の預託状況」というPDFファイルが立ち上がります。
このページをプリントアウトしてください。これがリサイクル券の代わりになる書類です。
車を売却する際には、このプリントアウトされたPDFファイルを提出します。そうすれば買取手続きも進みますし、リサイクル料も返還されるでしょう。
自分でリサイクル料金の預託状況を調べられないという場合は、買取業者に相談してみましょう。場合によっては買取業者の方で、預託状況を確認してくれるところもあります。
もし買取業者で確認してくれるのであれば、現在所有している車両の車検証を担当者に渡してください。そうすれば、リサイクル料金が支払われているかどうか確認してくれます。
リサイクル料の払い込みが確認できれば、そのまま車の売却手続きは続行されます。そして、中古車として販売されるのであれば、リサイクル料金も返還されます。
もしリサイクル券を紛失して手元になければ、査定に出す時に買取業者に相談してみるといいでしょう。どう対処すればいいか、アドバイスしてくれます。
リサイクル料の払い戻し方法
所有している車が中古車として販売され、次のオーナーのもとへ渡れば、リサイクル料は返還される可能性が高いです。
では、どのような形でリサイクル料金は払い戻されるのでしょう?
車の売却方法はいくつかあります。「買取業者に引き取ってもらう方法」もあれば、「ネットオークションなど個人間売買で処分する方法」もあります。
それぞれの売却方法で手続きも変わってきます。
中古車販売店や買取業者などのお店に車を売却する場合、業者からリサイクル料が支払われるのが一般的です。リサイクル券を次のオーナーに譲渡するにあたり、預託金相当額を受け取れます。
リサイクル料の支払方式は、お店によってまちまちで業界内で統一のルールはありません。
多くのお店は買取価格に含めて支払われます。見積書でリサイクル料が反映されているかチェックするか、業者の担当者に説明を求めましょう。
リサイクル料を受け取るにあたって、別途必要書類は発生しません。また、書面での手続きもないことが多いです。
最近ではネットオークションなど、中間業者を挟まない形で車を直接売買するスタイルをとっている方もいます。もし個人間売買する場合には、車の買い手に直接リサイクル料金を請求する形になります。
個人間売買の場合、自分で回収しないといけないので言い出しにくいという方もいるかもしれません。しかし、次の所有者に預託金相当額を請求する権利はありますので、毅然とした態度で求めましょう。
車を引き取る際にいきなりリサイクル料を請求されると、買い手も困るかもしれないので、前もってリサイクル料が発生することは買い手側に提示しておいた方が親切です。
売りに出した時に説明文のところに明記する、買い手が付いて直接交渉する際に必要である旨伝えておくと、後々トラブルが発生しにくいです。