車を乗り換えたり、買い換えたりする時期やタイミングは人それぞれです。しかし、乗り換えなどによって今乗っている車を売るのであれば、できるだけ高く売りたいと思うのは至って自然なことでしょう。
実は、車には高く売れる時期やタイミングとそうではない時期があり、同じ状態の車でも査定額が変化します。
そこで今回は、車が高く売れる時期やタイミングといった車の「売り時」がいつなのかについて、詳しく解説していきます。
売り時を逃すな!車が高く売れる時期とタイミングを徹底検証
車に限らず、中古品と呼ばれるものはどれも全く同じものがこの世に存在しない「一点物」です。
そのため、同じ車種であっても年式・走行距離・カラーリング・グレードなどはもちろん、エンジンや内・外装の状態によって買取査定相場が異なります。
そして、それらだけではなく、車は売る時期やタイミングによっても買取査定額が思っている以上に変化します。
車をできる限り高く売りたいのであれば、通常より高く売れる可能性がある「売り時」を逃さないようにすることが大切です。
時期によって車の買取査定額が変化する理由とは?
車が高く売れるベストな「売り時」を解説するにあたって、まずは時期によって車の買取査定額が変化する主な理由を挙げていきます。
どんな商品・サービスにも、買いたい人(需要)が多いにもかかわらず売れるもの(供給)が少ないと、取引価格は上がるものです。
特に車はもともとの販売・売却価格が高いため、より需要と供給のバランスによって価格が変化しやすくなります。
つまり、中古車を買いたいというユーザーが増え、それに備えて車業者が積極的に在庫確保のための仕入れ(車の買取)に動き出す時期が分かれば、おのずと高く売れる時期も分かるということです。
決算とは、企業などにおいて一定期間を区切り、その期間の経費と収益を算出・確定することによって財政状況や業績を明らかにすることです。
明らかになった財政状況や業績により、その企業や従業員に対する評価が決まるため、企業としても決算前には特に営業成績や費用対効果などを気にします。
中古車販売店などをはじめとする小売業者が「決算セール」などを行って売り上げUPに躍起になるのもそのためです。
ただし、集客と売り上げを見込めるセールを行うためには、魅力的で豊富な「商品」を多数揃えておかなければなりません。
中古車販売店にとって在庫を充実させるためには、買取査定額を多少UPしてでもユーザーに車を売ってもらうしか手がありません。つまり、各中古車販売業者の決算期を控えた時期も、車が通常より高く売れる可能性があるということです。
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車が高く売れる時期ベスト3
ここからは、1年のうち車が高く売れるのはいつ頃なのか、その時期を3つ紹介していきます。
本来、3月や4月頃は就職・就学・転勤などに伴い、通勤・通学が始まるのに合わせ、車の需要が高まる時期です。
新車に比べてリーズナブルに購入できる中古車は、運転に不慣れなこともある新卒者や転勤族などにうってつけなため、よく売れる傾向にあります。
また、この時期は車業者が最も売り上げを気にする年度末決算期と重なっています。
そのため、3月や4月は中古車を買いたいと思うユーザーが増えるうえ、販売店側も1台でも多く中古車を売りたいと考える、1年で最大の「繁忙期」なのです。
そして、車が高く売れる可能性がある最大の売り時は、この繁忙期に備え中古車店が積極的に買取攻勢をかけ在庫確保に動く、年明け~2月いっぱいまでになります。
なお、繁忙期真っただ中となる3月に入ると、各販売店が在庫確保から販売にシフトします。そのため、かえって買取査定額が下がる可能性もあるので注意しましょう。
次に車が高く売れる可能性がある時期だとされているのが、7月や8月のいわゆる「夏休み期間」です。大型連休・夏季休暇を控えるこの時期は、ファミリーカーやレジャー向きのRVなどの売れ行きが堅調です。
また、多くの企業で夏のボーナスが支給されるため、ユーザーのお財布事情にもややゆとりがあることから、購買意識が高まっている時期でもあります。
さらに、中古車業者としても、3月の年度決算に次いで重要な9月の中間決算期を控えた時期にあたります。
ユーザーの中古車需要にお財布事情、それに企業の決算期まで揃っているこの時期は、先ほど紹介した早春に次いで車が高く売れる時期だと言えるでしょう。
特にワンボックスやRV、スポーツカーなどといった車種やタイプは、もしかしたら早春よりも狙い目かもしれません。
中古車とはいえ、車は非常に高い買い物です。ローンを組むにせよ、今後の出費や頭金のことを考えると、まとまった収入があったほうが購入に踏み切りやすいでしょう。
会社員の方にとって、年間を通じて最も大きな収入機会である年末のボーナスが支給される時期も、車が高く売れる可能性がある時期だとされています。
年末は収入はあるものの他の出費も多くなるので、かえって車を売るのは避けたほうがいいという意見もあります。しかし、年内に車を売ると「年式が1年得をする」という大きなメリットがあります。
特に故障が増えてくると言われる10年目や自動車税が増税される13年目を迎える寸前の車は、売り時として11月中旬~12月中旬も候補に加えてよいでしょう。
ただし、買い取った業者としても、その車の年式が経過しないうちに転売できるとは限りません。そのため、12月中旬を過ぎると「年式が1年得をする」という利点がほぼ意味をなさなくなります。
この時期に車を売りたい場合は、できるだけ早く売り切れるよう、早め早めに動き出すことをおすすめします。
車の査定額が下がる時期について
ここまで、車が高く売れる時期を紹介してきましたが、中古車の需要には波があります。そのため、車の買取相場が下がりやすい時期も存在します。
また、その時期は厄介なことに売り時の直後にやってきます。境界が見極めにくいため、注意が必要です。
車が高く売れる可能性がある時期は、いずれも需要の高まりに備え、中古車店が在庫を充実させようと買取に力を入れている時期です。
その時期の直後は中古車販売店の在庫が比較的充実しているため、ライバルを出し抜くほどの高い買取査定額を出してまで積極的に車を買い取る必要があまりありません。
また、中古車業界は「買取店=販売店」であることも多く、在籍している買取担当者のほとんどは販売員の役割も兼ねています。そして、繁忙期になると一台でも多く在庫車を売って実績を上げておきたいと考え、買取重視から販売重視に意識をシフトするでしょう。
結果として、中古車が高く売れる「売り時」の直後は、中古車業界全体が積極的に車を買い取る姿勢を示さない傾向にあります。
だからと言って、買取査定額が極端に下がるわけではありませんが、上昇する余地もあまりないでしょう。
需要と供給のバランスは、中古車の買取査定額だけではなく、販売価格にも影響を与えます。
先ほども述べたとおり、この時期は普段より買取査定額を上げてでも在庫を充実させている、つまり中古車市場全体として「供給が多い」状態です。
ただし、いくら需要が増える繁忙期だからと言っても、中古車を購入する方が2倍・3倍に増えるわけではありませんし、繁忙期が続くのはせいぜい1ヶ月~1ヶ月半程度です。
そのため、各中古車販売店はライバルとの販売競争に勝って集めた在庫をさばいてしまおうと、お買い得車や目玉商品などを揃え、新春セール・決算セール・年末年始セールを行います。
つまり、中古車が高く売れる「売り時」の直後は買取査定額が下がる可能性もあるため、車を売るにはあまりおすすめできませんが、乗り換えなどで中古車の購入を考えているのであれば、この時期は絶好の「買い時」と言えるでしょう。
時期以外に意識すべき車を売るタイミング
ここまで、車が時期によってその買取査定額が変化する理由や、車が高く売れる「売り時」だと考えられる「時期」を紹介しました。
当然ながら、需要と供給の関係で訪れる「時期」は、ユーザーの意志で決められるものではありません。ただし、車の買取査定額は時期だけに影響されるのではなく、実はユーザー自身がその車を売ろうとする「タイミング」によっても多少変化します。
そこでここからは、車が高く売れる可能性がUPする「タイミング」を3つ紹介していきます。
自家用乗用車の場合、新車時3年、以降2年に1度必ずやってくる「車検」は、車を維持する費用の中で最も大きなウェイトを占めます。そして、車検が残っている車を売りに出すと、車検の残期間分が買取査定額に反映されることがあります。
ただ、車検が残っている車を買い取った業者としても、その車が他者にすぐ売れるという保証はどこにもなく、売れずに在庫車となればどんどん車検の残期間は短くなっていきます。
そのため、買取業者は車検が残っている車でも残期間分を丸々評価するのではなく、在庫車になる可能性を考慮し、実際にかかる車検代よりかなり割り引いた額しか上乗せしません。
また、日本自動車査定協会が公表している査定基準によると、車検の残期間が4ヶ月未満の場合は査定点数の加点対象とならず、買取額もUPしないとしています。
つまり、車検が残っている状態で売りに出すより、車検の更新時期が迫ってきた「タイミング」で売ったほうがお得ということになります。そのため、車検を更新してから売るメリットはほとんどありません。
中古車を購入するのであれば、故障しにくい車をできるだけ安く、お得に購入したいと考えるでしょう。そのため、中古車を探しているユーザーは、様々な車種・価格帯・状態の中古車を掲載している中古車検索サイトを駆使し、条件にマッチする車を探すことも多くなってきます。
そして、中古車は10年・10万kmを超えると故障が増えやすくなると言われています。そのため、中古車サイトを利用するユーザーは、10年以下・10万km以下の車を検索条件にすることも多いです。
このことをよく知っている中古車業者は、検索にヒットしやすい条件に収まっている車、つまり10年以内・10万km以内の車を積極的に買い取ります。その結果、高い買取査定額も期待できるでしょう。
中古車サイトの検索にヒットしやすいタイミングも、意識しておくようにしましょう。
新型モデルが登場するという、うわさが流れだしたタイミングで素早くその車を売りに出してしまうのも一つの手です。
車は定期的にモデルチェンジをします。モデルチェンジをしたため新型モデルが市場に出回ってしまうと、旧型モデルの買取相場が車体の状態や走行距離などに関わらず軒並み下がってしまいます。
一部、改良やマイナーチェンジはともかく、デザインや性能の大幅変更を伴うフルモデルチェンジが行われた場合だと、買取査定額の下落幅はかなり大きくなる可能性が高いです。
そのため、モデルチェンジが行われ今の車が「型落ちモデル」になる前も、車を売るタイミングとして意識しておきましょう。
ちなみに、現行・旧型問わず欲しいモデルがあり、その車のフルモデルチェンジがうわさされているのなら、新型モデルが登場し取引価格が下がってくるまで購入を待ってみるのもよいでしょう。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
車が高く売れる時期やタイミングを意識するメリット
同じ車でも、高く売れる時期とタイミングが存在します。少しでも高く売りたいのであれば、双方を意識してベストな売り時を見極めることが必要です。
そして実は、車が高く売れる時期やタイミングを意識することには、買取査定額UP以外にもいくつかメリットがあります。
ここからは、そのメリットについて説明していきます。
今や自動車は、日常生活に欠かすことのできない生活必需品の一つです。そのため、手放す理由にもよりますが、車を売ると次の車がすぐに必要になることも多いでしょう。
そして、在庫確保の動きが盛んで高く売れる時期に合わせて車を売ると、次の車の検討時期も良質で安い車がたくさん揃っている繁忙期に自然と合わさってきます。
そのため、車を定期的乗り換えている方にとって、これは大きなメリットとなります。
売り時を意識しておくのと全く意識しないのとでは、売却時と購入時の金額差を考えると、かなりの違いになってくるでしょう。
前項で述べたとおり、高く売れる時期を意識することで、良質な車をお得に購入できるようになります。
そして、購入した次の車もいずれ買い換える時がやってきますが、それを売る時期もおのずと「売り時」に合わせやすくなります。
例えば、早春の売り時に車を売り、その直後の繁忙期に車検が丸々2年ついている車を購入するとしましょう。この場合、車が最も高く売れる早春の売り時と、車を売る際最も意識すべき車検期限切れのタイミングが見事に揃ってきます。
さらに、春の繁忙期には売却時の査定で有利になる良質で安い中古車を購入しやすいため、「よい車を安く買い、高く売る」という、理想的なカーライフサイクルができあがります。
もちろん、その他の売り時でも似たような効果を期待できるので、お得に賢く車を乗り継いでいきたい方は試してみましょう。