車を所有しているとさまざまな費用がかかります。中でも車検にかかる費用は特に高くつくものです。なぜ車検費用は高額になるのでしょう?
実は、車検を依頼する業者によってその金額は違ってきます。車検を受ける前に下調べや準備をしておくことで費用を抑えることも可能です。
ここでは業者の選び方も含め、できるだけ車検の費用を安く抑えるコツを説明します。これから車検を受ける方はぜひ参考にしてみてください。
車検費用は「車種」「排気量」「車検の依頼先」で変わってくる!
車検の費用は、その車の車種や排気量によって高くなったり安くなったりします。さらに、車検をどんな業者や店舗に任せるかによって、また変動します。
点検の結果として部品交換が必要となれば、さらに費用がかかるでしょう。そのため、車検の内容によっては金額が数万円から十数万ほど違ってくることもあります。
費用を抑えたい方は事前に見積もりを確認し、調整可能なところは調整しておくことをおすすめします。
車検費用は大きく3つに分類できる
車検にかかる費用は、大きく分けて3種類あります。
- 法定費用
- 車検基本費用
- 部品交換費用
このうち、法定費用と車検基本費用はさらに分類が可能で、部品交換費用は個々の車の状態によって金額が変わります。
この3つの費用に関して詳しく説明していきます。
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法定費用とは?
法定費用は、以下の3つの料金のことです。
②自賠責保険料
③検査手数料(印紙代)
あまり意識されにくい部分ですが、中には車種などにより変動する部分があるので、知っておくと車検費用を抑えるための役に立つかもしれません。
法定費用のうち、自動車重量税は国税の一種です。
「車種」「車の重さ」「年数」「エコカー減税の適用があるかどうか」という4点によって金額が変わっていきます。
普通自動車の場合、コンパクトカーなら10,000円、1~1.5トンは15,000円……という形で重量ごとに加算されていき、そこからエコカー減税分などがマイナスされて最終的な金額が決定します。
軽自動車だけは一律5,000円ですので、難しく考える必要はありません。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の保険料も法定費用に含まれています。
自賠責保険は基本的に1ヶ月ごとの加入契約が可能ですが、ほとんどの場合は車検の時に更新して、2年分の保険料を前払いする形になります。
そのため、車検時に全て業者に任せており、自分が自賠責保険に加入していることを意識していない方もいるかもしれません。
もし加入せずに車を運転すると処罰されるので、手続きを全て任せている場合でも自賠責保険のことは意識しておきましょう。
保険料の金額は普通自動車と軽自動車で異なる他、沖縄など一部の地域でも違いがあります。また、毎年1月に開かれる金融庁の審議会の決定によっては、基本となる金額が変わることもあります。
法定費用のひとつである検査手数料は、印紙を購入して支払います。
金額は車種によって次のような違いがあります。
- 軽自動車…1,400円
- 3ナンバーの小型車…1,700円
- 5ナンバーの普通車…1,800円
ただし、指定工場経由での車検は少し割安です。逆にユーザー車検の場合は割高になることもあるので、注意しましょう。
車検基本費用とは?
車検基本費用は、以下の2つの料金のことです。
②車検代行手数料(事務手数料)
車検代行手数料(事務手数料)は人件費が含まれるので、車検の依頼先によって金額は変動します。
また、車検の見積時には含まれていない「追加整備費用」が発生することもあります。詳細は以下で説明しますが、車検の費用の中でも特に流動的なこのあたりの科目をどう調整するかが、費用を抑制するポイントだと言えるでしょう。
24ヶ月定期点検は、一定期間ごとに必ず受けることが法律で義務付けられています。
車検時にまとめて行うのが一般的ですが、本当は車検と一緒でなければならない決まりはありません。
ただ、24ヶ月点検を済ませてから車検を受けるまでに間が空くと、その間に新しい不具合が生じて車検が通らなくなる可能性もあります。それではせっかくの点検が無駄になるので、点検と車検を同時に行うのが合理的だと言えます。
24ヶ月点検の費用は、ディーラーやカー用品店によって大きく変わるので、車検費用を抑えたい場合はこの点を踏まえて見積金額を比較してください。
また、車検そのものの費用として測定検査料もかかります。
車検代行手数料は、事務手数料と表記されることもありますが意味は同じで、要するに人件費です。よって、この金額は車検に出した業者の種類によって違うと覚えておいてください。
一例として、自動車ディーラーは10,000円程度なのに対して、カー用品店は数千円で済むということがあります。
可能ならば、さまざまな業者から車検の見積もりを出してもらい、車検の質と手数料の金額を天秤にかけて比較し、車検費用の抑制につなげましょう。
部品交換費用とは?
部品交換費用は、法定24ヶ月点検によって部品の劣化・損傷が見つかった場合にかかる費用です。
これには部品そのものの代金と工賃が含まれ、車の状態などによって金額が変動するので一律ではありません。
車検時に整備などを要する箇所が見つかり、当初の見積もりに含まれていない部品交換などが必要になると、追加整備費用が発生します。
できるだけ防ぎたいものですが、追加整備が生じるのにはいくつかのパターンがあります。
例えば、「安さ」を売りにしている業者が車検費用の見積もりを無理に安く出した場合などは、実際の車検時に追加整備となることがあるかもしれません。
また、見積もりを出してから車検を受けるまでの間に、事故などの理由から車に不具合が生じるというケースもあります。
他にも、整備士の経験不足が原因となることもあります。
追加整備の発生を防ぐために、きちんと点検してくれる業者に事前に見積もりを作ってもらいましょう。
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車検費用の平均的な金額は?
車検費用は、車検の依頼先などによって変動するので、平均的な金額は一概に示すことができません。
以下では、ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなどで車検を受ける場合のそれぞれのメリットとデメリットを解説します。
ディーラー車検の特徴
ディーラー車検の場合、費用は割高になりがちです。車検と一緒に実施する法定24ヶ月点検が綿密に行われるのに加え、車検代行手数料が多めになることが多いからです。
しかし、ディーラー車検では、その金額に見合ったプロの目線で点検してくれます。この「質の高さ」こそがディーラー車検の最も大きな特徴だと言えるでしょう。
ディーラーで車検を受けるメリットを、5つ紹介します。
多くのディーラー車検では、車検の後も、安全な走行のために「予備整備」という作業を行ってくれます。これを行うことは法的な義務ではありませんが、車検の点検項目以外も見てくれるので安心です。
車検時に部品交換が必要になった場合、ディーラー車検では純正の部品で交換します。非純正に比べて割高にはなりますが、そのかわり安全性については確実です。
ディーラーで扱う車のメーカーは共通しているので、車検を行うスタッフはそのメーカーの車に特化した専門知識を持っています。不具合の起こりやすい箇所などを見逃しません。
以上のことからも、ディーラーに依頼すると質の高い車検が受けられることが分かります。特定のメーカーの専門家集団として責任とプライドを持った点検をしてくれるでしょう。
多くのディーラーはメーカーの系列なので、修理や部品交換が安価あるいは無料で受けられることがあります。同じ内容でも整備工場などでは自己負担の場合がほとんどです。
ディーラー車検にも以下のようなデメリットがあります。
ディーラー車検では、予備整備を行ったり純正部品での部品交換を行ったりします。費用が高くなるのは当然のことと言えます。
予備整備をしっかり行うため、車検が終わるまで2日以上かかることもあります。場合によっては1日で終わることもあり一概には言えませんが、ディーラー車検に出すなら時間に余裕を持っておいた方がいいでしょう。
カー用品店やガソリンスタンドによる車検の特徴
カー用品店やガソリンスタンドに依頼をすると、ディーラーよりも費用は安く済むでしょう。これは車検代行手数料や交換時の部品・消耗品が安価だからです。
ただし、店舗の規模・対応の質・整備技術がディーラーほど統一されておらず、まちまちなことがあります。こうしたことを含め、メリットとデメリットを説明します。
カー用品店やガソリンスタンドで車検を受けるメリットは以下の4つです。
カー用品店やガソリンスタンドでの車検は、その作業スピードと価格の安さにおいて車検の専門店に引けを取りません。特に最近は質が高くなっていて、見積もりの段階でも丁寧に対応してくれます。
カー用品店やガソリンスタンドは立ち寄りやすい店造りなので、車検も気軽に受けられるでしょう。車の知識があまりない方や女性でも構えずに依頼できます。
消耗品を大量仕入れ・大量販売するため、部品交換も安く済ませられます。カー用品店やガソリンスタンドで車検をする最大のメリットです。
カー用品店やガソリンスタンドでは、会員向けの各種サービスが充実しています。そうしたサービスの一環として車検を受けることで、その後も店舗を上手に利用できるかもしれません。
カー用品店やガソリンスタンドで車検を受けるデメリットは、以下の3つです。
店舗によっては車検を受け付けていないことがあります。受付可能でも、曜日や時間が限られている場合もあります。
年式が古いなどの理由から、整備や修理に時間がかかることがあります。専門店でないとすぐには対応できない場合があるからです。
店舗ごとに、整備技術の水準が統一されていないことがあります。例えば同じ系列の業者でも、店舗によって整備をするのがベテランだったりアルバイトだったりするので、プロに頼みたい場合は事前に相談すべきでしょう。
ユーザー車検の特徴
車の持ち主が自分で検査場を確保し、自力で車検を行うのが「ユーザー車検」です。
ユーザー車検の一番のメリットは何と言っても車検費用を抑えられることで、基本的には法定費用と検査の申請代だけで済みます。
デメリットとしては、法定24ヶ月点検を別途受けることになるので、見方によっては二度手間になることと、プロによる点検ではないので安全面に不安が残ることなどが挙げられるでしょう。
以下で詳しく説明します。
ユーザー車検のメリットは2つあります。
ユーザー車検の場合、業者に依頼した時にかかる法定24ヶ月点検の料金や測定検査料、車検代行手数料などの技術料がまるごと浮きます。よって、車検の費用は極めて安価に抑えることができます。
自分で車検を行うことで車の知識を深めることができるのは、ユーザー車検の大きなメリットと言えるでしょう。車の構造に詳しくなればいざというときに自力で対処できますし、事務的な手続きを進めていく中で保険や税金のことも学ぶことができます。
ユーザー車検のデメリットは以下の4つです。
ユーザー車検は全ての工程を自分で行うので、長ければ数時間はかかります。不備があればまた日を改めて検査しなければなりません。
プロによる車検に比べて、ユーザー車検は安全面に不安が残ります。匙加減も重要で、ユーザー車検でギリギリ通る状態では車検後すぐ不具合が生じるかもしれませんが、プロならきちんと先を見て整備してくれます。
通常、業者の車検代には24ヶ月点検の費用が含まれており、両者は同時に行われます。ユーザー車検はあくまでも車検だけなので、別途、業者の24ヶ月点検を受けなければなりません。
ユーザー車検は事前に運輸局に予約を入れますが、土日祝日は駄目な場合が多く、予約可能な日時が限られています。人によってはスケジュールの調整が難しいでしょう。
車検費用を少しでも安くする2つの方法
とにかく車検費用を安くしたいという場合は、ディーラー以外のところに依頼することになるでしょう。
では依頼先がほぼ決まったとして、その後はもう費用の削減はできないのか気になるところです。
以下では、車検を受ける直前にさらにひと工夫加えることで、自力で車検費用を抑えられる方法を2つ紹介します。
相見積もりは、複数の店や業者から車検費用の見積もりを取り、整備内容や車検費用を比較する方法のことです。
事前に見積もりをもらうのが1社だけでは比較できないので、こうして判断材料を集めるわけです。
相見積もりを依頼する際は、整備内容と点検費用だけではなく消耗品費も加えた額を出してもらうようにしましょう。車検の際に交換する消耗品の費用は、見積もりに含まれていないことがあるので注意しましょう。
また、車検に出している間は車が手元になく困るという場合は、代車費用も見積もりに含めてもらってください。こうして業者ごとの内訳をそろえた上で、その質と料金を天秤にかけて最もバランスの取れたところを選ぶのが一番です。
車検を依頼する場合、法定24ヶ月点検をワンセットにするのが一般的ですが、別々に実施しても問題ありません。
ただ、両者を実施するタイミングは基本的に同じです。法定点検直後なら車検も確実に通るので、同じタイミングで行うことになっています。
そのため、まず法定点検を受けておき、整備項目の内容について業者と相談し、可能な限り自力で整備するのもひとつの手です。車検時の整備の手間が省かれるため、さらなる費用の削減が見込めます。