車を売却する時に、ナンバープレートを記念品として持ち帰りたい方もいるでしょう。昔はこうした持ち帰りが認められていませんでしたが、今は可能になっています。

しかし、ナンバープレートは個別の車両の識別に欠かせないもので、所定の手続きを踏まないと持ち帰ることはできません。

この記事では、ナンバープレートを持ち帰る場合の手続きの方法や注意点について詳しく解説していきます。

車の売却時にナンバープレートを持ち帰るために知っておきたいこと

車を売却する際、記念品としてナンバープレートを持ち帰ることができます。以下では、そのための手続き方法や制限事項について説明していきます。

また、車の売却以外にもナンバープレートを持ち帰ることができるタイミングがあるので紹介します。

まずは、そもそもナンバープレートは何のために存在しているのかを見ていきましょう。

ナンバープレートとは?

ナンバープレートとは?
車のナンバープレートの役割は、個々の車両を識別するためです。プレートそのものにも複数の種類が存在しています。

事故や犯罪が起きた際の対応にも使われるため、公道を走行する全ての車両はナンバープレートを付けなければなりません。

ナンバープレートの種類は車両の用途や種類によって異なっており、プレートの配色や大きさに違いがあります。

ナンバープレートの必要性

上記の通り、ナンバープレートには個々の車両を識別する役割があるので、公道を走る車両であれば例外なく取り付ける義務があります。

こうした義務は日本国内に限らず海外でも同様であるため、国際的なルールであると言えるでしょう。

ナンバープレートの取り付け方についても法律で細かく規定されています。まず、車両の前後の見えやすい位置に付ける必要があります。この時、向きや角度を変えて取り付けたり、ステッカーなどで番号が隠れるようにしたりするのは禁じられています。

車を売却する時にナンバープレートは持ち帰れますか?
車を売却する時にナンバープレートを車両から外して持ち帰ることはできます。所定の手続きを踏めば無料で持ち帰れますが、多少の制限もあるので確認が必要です。

ナンバープレートは売却時に持ち帰れる

ナンバープレートは売却時に持ち帰れる
車の売却時には、ナンバープレートも手放すことになりますが、中には「記念に持ち帰りたい」と考えるオーナーもいます。こうした場合は、所定の手続きをとることで持ち帰ることができます。

昔はこのような車両のナンバープレートの持ち帰りは認められておらず、車を売却したら必ず陸運(支)局に返さなければなりませんでした。しかし、2017年4月からナンバープレートの記念所蔵が認められ、持ち帰ってもいいことになっています。

制度が変わった理由としては、図柄入りのナンバーや記念ナンバーなど、通常の無機質なナンバープレートの範疇には収まらない、プレート単体で価値のあるものが出てきたためです。こうしたものを保管したいという要望に対応できるよう、ルールが変更されました。

ナンバープレートを持ち帰る制度は、普通自動車と軽自動車に適用されます。また、細かな条件として車検証記載の名義人に限ることやプレートには規定サイズの穴を開けなければならないことになっています。

ナンバープレートの持ち帰りには制限事項がある

前述した通り、ナンバープレートの持ち帰りはできるようになりました。しかし、二輪車や軽二輪、原付バイクや小型特殊車両などは、売却や廃車時に持ち帰ることができないので注意しましょう。

これは制度が決まった時点からのルールで、ナンバープレートの持ち帰りが可能になったのは普通自動車と軽自動車に限られています。

また、その他の制限としては、ナンバープレートの返納や交換を行う場合しか持ち帰りができないことが挙げられます。詳しくは後述しますが、名義変更やプレートの交換を伴う住所変更などの手続きの時に限られます。

そのため、なんとなく気まぐれにナンバープレートを交換したくなったという理由で、返納や交換をして持ち帰ることはできませんので覚えておきましょう。反対に、プレートの返納や交換の手続きに伴うものであれば、持ち帰りは何度でもできます。

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ナンバープレートを持ち帰るための手続き方法

ナンバープレートを持ち帰るための手続き方法
ナンバープレートは持ち帰れるとは言っても、外したものをそのまま入手できるわけではありません。

ここからは、具体的にどのような手続きが必要なのかを見ていきましょう。

車の売却時にナンバープレートを持ち帰るにはどんな手続きが必要ですか?
ナンバープレートを持ち帰りたい場合は、一時抹消登録の手続きを行う必要があります。その後、陸運局や軽自動車検査協会の窓口で持ち帰る旨を伝え、プレートに穴を開けてもらいましょう。
一時抹消登録の手続きが必要

車を売却するのにあわせてナンバープレートを持ち帰る場合は、一時抹消登録の手続きを行わなければなりません。

その際に必要な書類や持ち物は、以下の通りです。

  • 一時抹消登録申請書
  • 車検証
  • 印鑑証明書
  • 手数料納付書
  • 実印

販売店に車を売却する場合は、お店側に手続きを依頼することがほとんどなので、委任状も忘れずに用意しましょう。

また、印鑑証明書は発行から3カ月以内のものを用意する必要があり、車検証の名義人本人のものでなければいけないので注意してください。

自分で手続きをする場合の流れ

車の売却に伴って一時抹消登録の手続きを行う場合、ほとんどは業者に依頼することになりますが、もしも自分で行う場合は、普通自動車なら運輸(支)局、軽自動車なら軽自動車検査協会に出向くことになります。

そして、それぞれの窓口で一時抹消登録の手続きを行った後、最後にナンバープレートを返納する場所があります。そこで「記念品としてナンバープレートを持ち帰りたい」と申し出てください。

すると、その場で「記念所蔵ナンバー破壊(穴開け)申込書」という書類への記入を促されます。記入する内容は名義人の氏名や連絡先、登録車両番号などの基本的な事柄なので、難しくはありません。

この書類には、ナンバープレートに穴を開ける場所やタイミングについても記入しますので、不明な点は窓口に確認すると良いでしょう。

記入が終わったら、ナンバープレート回収機によってプレートに穴を開けます。

ナンバープレートに穴を開けてもらう破壊措置について

ナンバープレートに穴を開けてもらう処理は「破壊措置」と呼ばれ、プレートにある2つのネジ穴のうち、左の穴を直径40ミリ以上に広げるものです。この左の穴は、登録車で言えば封印が行われる穴にあたります。

穴あけ処理には完了までおよそ3日かかることもあります。そのため、ナンバープレートを受け取れる日時がいつになるのかも確認しておくと良いでしょう。

破壊措置の手続きは地域によっては自分でもできるところもありますが、その際は前もって運輸(支)局に相談し、書類に署名・押印しなければなりません。

また、破壊措置には手数料も必要です。穴を開ける場所が決まった場所なら300円、希望する場所があれば500円がかかります。具体的な金額は地域によっても異なるので、前もって確認しておきましょう。

車の売却以外にもナンバープレートを持ち帰ることができるタイミングがある

車の売却以外にもナンバープレートを持ち帰ることができるタイミングがある
車の売却時にナンバープレートを持ち帰るための手続き方法について確認してきましたが、実は車の売却時以外にも持ち帰れるタイミングがあります。

それはどのような時か、以下で詳しく見ていきましょう。

名義や住所を変更したとき

まず、ナンバープレートの持ち帰りが可能になるケースとして、名義変更(移転登録)によって名義人が変わった場合が挙げられます。このような名義変更の手続きは、主に相続や個人売買に伴って必要になることが多いです。

また、引っ越しによって住所が変わってナンバープレートを交換しなければならなくなった場合も、交換に伴って古いプレートを記念品として持ち帰れます。

ただし、名義変更や住所変更をしたとしても、車を使用する本拠地が変わらない場合はナンバープレートを変更する必要はありません。そういった場合はもちろん、ナンバープレートは持って帰れないこととなっています。

ナンバープレートが破損したとき

ナンバープレートが事故などによって大きく破損してしまった場合も、交換に伴って破損した古いプレートを持ち帰ることができます。

破損したナンバープレートを放置して走行していると、道路交通法違反になるので注意が必要です。

もしも現行のナンバープレートが破損してしまったら、管轄の運輸(支)局や自動車検査登録事務所に行きましょう。そこで手続きを行えばプレートが再交付されて公道を走れるようになると同時に、古いプレートも持ち帰れるようになります。

この場合に注意が必要なのは、ナンバープレートが破損したままの状態でプレートの交換のために運輸(支)局へ運転していっても違反になるということです。そのため、レッカー車を使うなど、車両を移動させる方法を考えなければなりません。

ちなみに、新しいナンバープレートの番号を破損したプレートと同じものにすることもできます。その場合は、自動車登録番号標再交付申込書という書類と車検証、手数料などが必要です。

新しいプレートの受け取りまでには1週間ほどかかります。

希望のナンバーに変更するとき

車のナンバープレートを好きな番号の組み合わせにしたいと考える方も多いでしょう。その場合は、希望ナンバー制度に基づいて番号を変更できます。この時に、古いほうのナンバープレートを持ち帰ることが可能です。

希望ナンバー制度とは、車両のナンバーを自分が希望するものに指定できるというものです。普通自動車および自家用の軽自動車であれば、誰でも変更手続きを行うことができます。ただし、バイクと事業用軽自動車は対象外なので注意しましょう。

もともとナンバープレートは、地域名とその隣にある3桁の分類番号、ひらがな、大きな4桁の番号から成り立っています。このうち、大きな4桁の数字の部分だけを変えることが可能です。

縁起のいい数字ほど人気が高く、そうした番号に変える場合は抽選になることもあるため、余裕を持って手続きを行いましょう。

そして、ナンバープレートを交換する手続きの中で、現行のものを持ち帰りたい旨を伝えてください。

他の都道府県の人から車を譲渡されたとき

他の都道府県の人と中古車の譲渡・売買を行ったことで、管轄の運輸(支)局が変わるケースがあります。

この場合は、ナンバー変更の手続きが必要となり、これにあわせて古いほうのナンバープレートを持ち帰ることが可能です。

図柄入り・字光式ナンバーに変更するとき

車のナンバープレートには、オリンピック記念ナンバーなどの「図柄入りナンバー」というものがあります。

オリンピックが開催される際などに発行されるもので、このナンバープレートに交換する際も、古いほうを持ち帰ることができます。

また、最近はあまり街中でも見かけなくなったものの、プレートの数字や文字が光る「字光式ナンバー」というものもあります。これも希望すれば交換できる特殊なナンバープレートで、交換時に古いほうを持ち帰ることができます。

廃車にするとき

車を廃車にする場合も、それまで使っていた車両のナンバープレートを持ち帰ることができます。

先述した一時抹消登録の手続きは、車を一時的に使えなくするものですが、廃車にする場合は永久抹消登録の手続きを行います。

ナンバープレートを持ち帰る際の注意点について

ナンバープレートを持ち帰る際の注意点について
ナンバープレートを持ち帰るための方法について解説してきましたが、最後にナンバープレートを持ち帰る際の注意点について、いくつか説明していきます。

ナンバープレートを持ち帰る際の注意点はありますか?
ナンバープレートは原則的に車検証の名義人しか持ち帰れません。また、ナンバープレートがない車は買取額が安くなります。持ち帰ったナンバープレートは再利用することができないので注意しましょう。
ナンバープレートは車検証の名義人しか持ち帰れない

車の売却時やその他の手続きにあわせてナンバープレートを持ち帰ることができるのは、車検証の「所有者」欄に記載されている名義人に限られます。そのため、名義人が実態と異なっていたら、まずは名義変更の手続きを行いましょう。

例えば、個人間売買で車を譲り受けたものの、名義変更の手続きが済んでいないということが考えられます。また、ローンで購入した車の場合、名義人がローン会社などになっていることもあります。ローンを完済することで名義変更(所有権解除)が可能です。

「ナンバープレートなし」の車は買取額が安くなる

ナンバープレートが外れている車というのは、一時抹消登録が行われていることになります。その車が再び購入された際には、公道を走れるように改めて手続きを行う必要があります。

この場合の手続きとは、新規登録(中古車新規の手続き)です。車の購入者が自分で行うこともできますが、多くの場合は業者が行うことになるでしょう。

手続きのコストが予想されるため、ナンバープレートが外れている車は買取額が低くなることが多いです。

個人間売買の際は必ずナンバープレートを取り外す

車の買取業者に売却する場合は、車のナンバープレートは付けたままのほうが高値で売れます。しかし、個人間売買の場合はプレートが付いていることでかえってトラブルに発展することがあります。そのため、持ち帰る理由がなくとも、最初から取り外して譲渡するのがベストです。

車の個人間売買では、車両の譲渡後に名義変更を怠ったことで、前の持ち主がトラブルに巻き込まれることがあります。それを防ぐためにも、車両を譲渡する前にあらかじめ一時抹消登録の手続きを済ませ、ナンバープレートも外しておいたほうが良いとされています。

ナンバープレートの再利用はできない

車を売却した後に新しい車を購入する場合、今までのナンバーに愛着があるなどの理由から、同じナンバープレートを使いたいと考える人もいます。しかし、ナンバープレートは各車両の識別のため厳格に管理されており、一度外したものは再利用できません。

古いほうの車の売却にあわせてナンバープレートを持ち帰るだけなら問題ありませんが、それはあくまでも記念品や観賞用として保管することが認められているということです。

持ち帰ったナンバープレートをまた車に取り付けて公道を走ると、見つかった場合に処罰を受けることになります。道路運送車両法98条に違反したとして、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられるので注意しましょう。

希望ナンバー制度を使えば乗り換える車にも同じナンバーを付けられる

持ち帰ったナンバープレートの再利用はできませんが、希望ナンバー制度を活用すれば車両ナンバーのうち大きな4桁の数字だけなら同じ番号にすることができます。

新しい車に乗り換える際、前の車両のナンバーに愛着があるなら希望ナンバー制度を利用しましょう。

ナンバープレートが不要になったらどうすればいい?

記念品として持ち帰ったナンバープレートが、その後不要になった場合は、普通ごみとして廃棄できることが多いです。しかし、念のため、廃棄する前に住んでいる自治体に一度問い合わせてみましょう。

誰かに拾われて悪用されるのが心配という場合は、運輸(支)局に持ち込めば引き取ってくれます。

まとめ

①車のナンバープレートには、個々の車両を識別する役割がある
②車の売却にあわせて、ナンバープレートを持ち帰ることはできる
③持ち帰るには、所定の手続きが必要
④手続きは買い取り業者に依頼することができる
⑤もし自分で行う場合は陸運局や軽自動車検査協会に行く必要がある
⑥車の売却時以外にも名義や住所変更をした時やナンバープレートを破損した時など、ナンバープレートを持ち帰ることができるタイミングがある
⑦ナンバープレートがない車は、買取額が安くなるなどの注意点もある

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