車の走行中などに、思いがけずタイヤがパンクしてしまうことがあります。
売却予定の車の場合、パンクした状態で買い取ってもらえるのか、心配という方もいるでしょう。
ここでは、パンクした車の買取について詳しく説明していきます。また、パンクしたタイヤを査定前に交換したほうがよいか、パンクした場合の対処法やNG行動についても紹介していきます。
タイヤのパンクはいつでも起こり得る
タイヤのパンクは、自分で気を付けていても、いつでもどんな車にも起こり得ます。
走行中に道路に落ちている釘や金属片などの異物を踏む、縁石などにタイヤを擦るなどしてタイヤが傷ついたことが原因です。
空気圧が不足した状態、4本のタイヤのバランスが悪いままの状態で走行を続けると、パンクすることもあります。
パンクした車の売却について
売却予定の車のタイヤがパンクしてしまうと、買い取ってもらえるのか心配だという方もいるでしょう。
パンクした車はいずれはタイヤを交換しなければならないケースも多いため、買取業者にとってはマイナス要素となると思うかもしれません。
ここからは、パンクした車が査定でどのように扱われるのか見ていきましょう。
車買取では一般的にタイヤのパンクは軽度な故障として判断されることが多いです。
タイヤは新品を装着しても、年月とともに劣化、消耗していくものです。パンクをしたらタイヤを交換するだけで済むので、大がかりな故障とはまた違います。
買取業者は自社工場や提携工場を持っており、一般的なカー用品や整備工場、ガソリンスタンド、ディーラーなどよりも安くタイヤを仕入れて交換することが可能です。そのため、パンクしている車であっても買い取ってくれます。
バンクは軽度な故障だと前述しましたが、査定においてパンクしていない車と同じ査定額というわけではありません。
少なくともパンクしたタイヤを交換しなければならないので、その分はマイナス査定となってしまうのは仕方ないでしょう。
どの程度査定額が減額になるかは買取業者やパンクの程度によっても異なるので、確認しておきましょう。
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車売却時のタイヤにおける査定基準について
車の査定を行う際は、日本自動車査定協会(JAAI)が定める中古自動車査定基準をもとに査定額を出している買取業者が多いです。
JAAIには、タイヤに関する査定項目も設けられています。具体的な査定項目として挙げられるのは、「タイヤの溝の深さ」と「タイヤの劣化や破損状態」などです。
また、査定基準とは別に、純正タイヤか社外タイヤか、スペアタイヤやパンク修理キットの有無も査定額を決める際に重要視されています。
車の買取において、タイヤの査定基準の一つとなるのが溝の深さです。
タイヤの溝は1.6mmでスリップサインが出ることから、溝がそれ以上残っていなければマイナス査定となります。逆にタイヤの溝が5cm以上残っていればプラス査定となることが多いです。
また、タイヤの大きさによっても減額となる金額は異なります。13インチ以下で-9000円、19インチ以上で-30,000円ほどになるとされています。
タイヤの溝の深さは安全に走行できるか否かの重要な要素となるので、査定では重要視されています。
溝の深さ以外では、タイヤの状態も査定での評価基準となります。
タイヤのひび割れや傷、亀裂などのダメージがあると、査定額を減額される可能性が高いです。タイヤがダメージを受けていると、パンクやバーストのリスクが高まり、走行中に事故を起こすリスクがあるからです。
また、タイヤの内側の強度部品が傷つき、タイヤの横溝の部分が盛り上がっている状態、ピンチカットを起こしている場合もマイナス査定となるので注意しましょう。
車の査定では、車の生産メーカーが作るパーツ、つまり純正品が高く評価されます。
機能や見た目などがその車にマッチするように作られているのが、純正品です。そのため、他のメーカーが作る社外品のパーツよりも査定でプラスとなる傾向があります。
これは、タイヤにも同じことが言えます。純正タイヤのほうが社外タイヤよりも、査定においてプラスとなるケースが多いのです。純正タイヤは中古車市場でもニーズが高いので、査定における評価が高くなります。
パンク時に備えて、車にはスペアタイヤが積載されています。査定ではスペアタイヤが積載されていないと、マイナス査定になる可能性が高いです。
しかし、構造上スペアタイヤが装備されていない車もあります。そういった車には、スペアタイヤの代わりに、パンク修理のためのキットが装備されているでしょう。
パンク修理キットがないと、付属品不足ということで査定額が減額となる場合もあります。
寒冷地などでは、冬になるとスタッドレスタイヤへ履き替えるのが一般的です。
ノーマルタイヤに比べると、スタッドレスタイヤは価格が高いため、査定時に履いていると「プラス査定になるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、査定においてノーマルタイヤではなく、スタッドレスタイヤであってもほぼ影響はないとされています。スタッドレスタイヤが重要視されるとすれば、寒冷地などの限られた地域の買取業者だけです。
保管しているスタッドレスタイヤがあれば、劣化する前に中古タイヤ買取業者に売却するか、サイズが合えば次の車で使うことを考えましょう。
売却前のタイヤ交換について
タイヤのパンクは査定ではマイナス要素なので、査定額が減額となるケースが多いです。
減額を回避したいので、査定前にタイヤ交換をしたいと考える方もいるかもしれません。
実際、交換したほうが得なのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
パンクしたタイヤを新しいものに交換する場合、まずはタイヤの購入費用がかかります。さらに業者に交換を依頼する場合は、工賃も必要となるでしょう。
タイヤを交換してから査定を受けるとプラス査定になる場合があります。しかし、プラスになった査定額よりも、タイヤ交換にかかった費用のほうが高くついてしまったという結果になれば、損することになるでしょう。
タイヤ交換に慣れているという方なら、タイヤの脱着もさほど問題なくできるでしょう。
しかし、車に詳しくない方や、タイヤ交換をやったことがないという方が自力でタイヤを外して付け替えるのは、かなりの重労働です。
また、ジャッキなどの機器も必要となります。そうなると、やはり業者に交換を依頼することになり、工賃がかかることになるでしょう。
パンクしたタイヤが1本だけであった場合、そこだけを新品に交換すればいいと思うかもしれません。しかし、タイヤは他の3本とのバランスが重要なものです。
タイヤは4本でバランスをうまくとり、安全で快適な走行を実現しています。1本だけ新品にすると、溝の深さ、タイヤの消耗度などが他の3本と異なってしまいます。
特に違うメーカーのタイヤを履かせると、大きく違ってしまうこともあります。そうなると4本交換することにもなりかねないため、多額の出費となってしまうでしょう。
パンクしている、査定時に減額になるかもしれない、といったタイヤでも外さないで査定を受けたほうが良いでしょう。
もし外して新しいタイヤもつけないとなると、走行することができません。タイヤのない車はもはや車とは言えず、故障して走行不能となっている車と同じような扱いになります。
一般的な買取業者では買取不可となってしまうリスクもあるので、取り外さないようにしましょう。
パンク時の対処法について
タイヤはどんなにメンテナンスをきちんとしていても、走行中などに金属などをたまたま踏んでしまうと、それだけで突然パンクしてしまいます。
タイヤがパンクするのは仕方ないとしても、その後の対処法がとても重要になってきます。ここからは、どのように対処すればよいのか、詳しく説明していきます。
走行中に車のタイヤがガタガタする、左右にハンドルを取られるような感覚があるといった違和感を感じたら、タイヤがパンクしている可能性があります。
もしそういった症状があれば、まずは安全な場所に車を停車させてください。焦って路肩に停めると、狭い道だと通行の妨げになる可能性があります。道路側に出ると危険なので、落ち着いて安全な場所まで移動しましょう。
安全な場所に車を停めたら、降りてタイヤを確認します。明らかに空気が抜けているタイヤがあれば、見つけやすいでしょう。
よく分からない場合は、4本のタイヤを見比べてみてください。パンクしたタイヤの側面や地面との接地面を見て、傷がどこかをチェックします。
ちょうど地面と接地している部分だと見えない場合もあるので、その倍は車を少し動かしてタイヤを回転させてみましょう。
スペアタイヤを積んでいる場合は、応急処置としてパンクしたタイヤと交換しましょう。
まずはホイールナットを少し緩めておきます。
次に車体のジャッキポイントにジャッキを当てて、タイヤが地面から離れるくらいの位置まで車体を持ち上げます。
ボルトナットを外し、ホイールとタイヤも外してから、スペアタイヤをはめ込んでください。
ボルトナットをはめてからジャッキで車体を下ろし、ボルトナットをしっかり回して完全にはめ、ジャッキを外せばタイヤ交換が完了です。
スペアタイヤはあくまでも応急処置なので、時速80㎞以下での走行が望ましいです。高速や長期間の走行は控えましょう。
スペアタイヤを搭載していない車には、パンク修理キットが入っているでしょう。キットにはパンクの傷や穴をふさぐパンク補修液と、タイヤに空気を入れるコンプレッサー、注入ホースとバルブコア回しが入っています。
まず、タイヤのバルブキャンプを外して補修液ボトル容器のホース先端についているキャップを外し、バルブに接続します。
次に、コンプレッサーの電源プラグを車のソケットに差し込み、補修液ボトルをコンプレッサーに装着してください。
コンプレッサーのスイッチをオンにして、指定された空気圧になったらオフにします。
ホースからバルブを外し、キャップをはめましょう。そして、タイヤ全体に補修液がきちんと回るように時速80㎞以下で慣らし走行をします。
修理キットでの補修は、応急処置なので長距離運転や高速での運転は危険なのでやめてください。
自分でパンクの応急処置ができない場合やパンクの程度がひどくて修理が難しい場合は、無理に行わなくても大丈夫です。
JAFに加入している場合は、連絡して来てもらいましょう。また、任意保険やクレジットカードにもロードサービスが付帯している場合もあります。
ロードサービスの内容は様々なので、パンク修理してもらえる場合もあれば、タイヤ交換のみという場合もあるのでそれも確認しておきましょう。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
パンクした時のNG行動について
思いがけずタイヤがパンクした際についやってしまいがちですが、絶対にしてはいけないNG行動があります。
ここからは、タイヤがパンクをした時にやってはいけない行動を3つ紹介していきます。
タイヤがパンクした際、「少しくらいなら大丈夫か…!」と思い、そのまま走行し続ける方もいるかもしれません。
しかし、傷ついたタイヤは空気が徐々に抜けて車の重量を支えきれなくなり、事故につながるリスクが高まります。タイヤの損傷が余計にひどくなり、ホイールが地面と擦れて発火する可能性もあるので危険です。
また、安全な場所への移動以外で走行し続けると、整備不良で道路交通法違反になってしまいます。できる限り早く車をとめましょう。
パンクに気づいてすぐに道路に車をとめて、外に出るのは後続車や対向車が来ると危ないです。車があまり通らない安全な場所まで移動し、ハザードランプをつけてから安全に気を付けて外に出てください。
特に高速道路走行中の場合は、速いスピードの車が後続から来ているので不用意に路肩に車をとめ、外に出るのはとても危険です。近くのパーキングエリアや非常退避ポイントまで移動してから、車を停めてタイヤを確認しましょう。
やむを得ず路肩にとめる場合は、ハザードランプをつけ、停止表示板を立てるなどして、まずは安全を確保しましょう。素早く車から降りてガードレールの外側などに退避してから、ロードサービスを呼んでください。
路肩に停めざるを得ない場合は、自分でパンク修理やスペアタイヤの交換をするのはかなり危険なのでやめましょう。
車をとめてパンク箇所を確認する時、釘などの異物が刺さっているのに気づくこともあるでしょう。
つい引き抜いてしまいがちですが、それは絶対にやめてください。引き抜くことで穴や傷が露わになり、そこから一気に空気が抜けてしまうことがあります。
そうなるとパンク修理キットで処置しても、そこから走行できないかもしれません。
パンクした車は早めの売却がおすすめ!
売却予定の車がパンクしてしまったら、応急処置をして乗らないことが大事です。
ただし、長期間車を動かさないと劣化し、パンクの傷のダメージが広がる可能性もあります。そのため、パンクが分かった時点でできる限り早く売却の手続きを進めたほうが良いでしょう。
早めに売却することで、査定額ダウンは最小限に抑えられることにもつながります。