この記事では、車の売却時に行わなければならない手続きを保険ごとにわかりやすく解説します。

車を売却する際は、自賠責保険や任意保険の手続きをしなければなりませんが、保険の内容や手続きが難しく悩む方もいるでしょう。

自賠責保険はディーラーや買取業者が代行してくれますが、任意保険は自分で手続きする必要があります。手順を知りスムーズな手続きを目指しましょう。

任意保険は車の売却時に手続きが必要!

任意保険は車の売却時に手続きが必要!
車の売却時には任意保険の手続きが必要です。基本的に自賠責保険は業者任せで済むことが一般的ですが、任意保険は自分で契約している保険会社に連絡して手続きを行わなければなりません。

ここからは、その手続き方法について詳しく説明していきます。

任意保険の手続き方法は3つ

任意保険の手続き方法は3つ
車を売却する時の任意保険の手続き方法は、以下の3つがあります。

  • 解約
  • 契約中断
  • 車両入れ替え

それぞれにメリットとデメリットがあるため、状況や予定に合わせて選択しましょう。また、手続き前は必ず保険会社に連絡してください。

解約

解約は、任意保険を完全にやめることです。保険会社に解約申請書を提出して成立すると、還付返戻金がもらえます。

解約のメリットは、車を手放す時や長期間車に乗らない時に不要な保険料を払わなくて済むことです。

一方デメリットは、再び車に乗る時に新たに任意保険を契約すると、等級が初めて保険に加入する時と同じ6等級に戻ってしまう点です。

等級は事故の有無によって保険料が割引される仕組みで、等級が高いほど割引率が大きくなります。

契約中断

契約中断は、任意保険を一時的に休止することです。保険会社に中断証明書の発行を依頼すると手続きできます。

中断証明書は、任意保険の契約者名や記名被保険者名、等級などの情報が記載された書類になります。

契約中断のメリットは、10年以内であれば再契約時に等級を引継げることです。

一方デメリットは、契約中断中は任意保険の補償が受けられないことです。

車両入れ替え

車両入れ替えは、売却した車と同じ保険会社で新しい車に任意保険をかけることです。契約期間や等級はそのまま引き継がれますが、新しい車の種類や補償内容によって保険料は変わります。

車両入れ替えのメリットは、契約期間や等級をそのまま引き継げることです。

一方デメリットは、他社の保険料と比較して高くなるケースがあることです。そのため、車種や補償内容などから複数社の保険料を確認しておくことが大切です。

車両を家族に譲渡する場合、任意保険の手続きは必要ですか?
自家用車を同居中の配偶者や子供に譲渡する場合、任意保険の名義変更手続きを行えば等級をそのままに保険を引き継げます。ただし、配偶者以外の親族に譲渡する場合、別居中だと等級の引き継ぎが適用されないので注意しましょう。

任意保険は解約すると返戻金がもらえる

任意保険は解約すると返戻金がもらえる
任意保険の解約は、まず保険会社へ連絡して手続きをするという流れが一般的です。そして、返戻金は残っている保険期間分の保険料から一定の割合を引いた金額になります。

ここからは、解約の流れと返戻金の計算方法について説明していきます。

まずは契約した保険会社へ連絡

任意保険を解約する時は、まず契約した保険会社に電話やメールで連絡しましょう。その後、保険会社から解約申請書や必要書類の案内が届き、必要事項を記入して送り返すと解約手続きが完了します。

解約手続きをする前に、以下の3つを確認しておくとよいでしょう。

①解約日

解約日は契約期間中の任意の日付を指定できますが、一般的には車両の売却日や廃車日などです。

注意点としては、解約日の翌日から7日以内に新しい任意保険に加入しないと、等級が6等級に戻ってしまうことです。

②返戻金

返戻金は、既経過期間に応じて設定されている短期料率によって決められます。早く解約するほど返ってくる金額が少なくなってしまうため、注意しましょう。

③解約手数料

契約内容によっては解約手数料がかかります。手数料は契約内容によって有無や料金が異なるため、必ず確認しましょう。

解約返戻金の計算方法

返戻金の計算方法は、保険会社によって異なりますが、一般的には以下のような式で求められます。

還付金=払込済保険料-(払込済保険料×短期料率)-解約手数料

払込済保険料とは、解約時点までに支払った保険料のことです。

短期料率とは、既経過期間に応じて設定された割合のことです。

例えば、年間保険料が10万円で一括払いした人が、契約期間の半分である6ヶ月で解約するとします。

この場合、払込済保険料は100万円です。短期料率は各保険会社で異なりますが、例として70%として解約手数料は発生しないものとします。その場合の還付金は以下の通りです。

還付金=100,000円-(100,000円×70%)-0円=30,000円
車の種類や保険会社によって金額が異なる

返戻金の金額は、車両や保険会社の種類によっても異なります。

車両の種類は、普通車や軽自動車だけでなく、バイクやトラックなども含まれます。バイクの場合は事故率や走行距離が普通車と比べて異なるため短期料率が高くなります。また、トラックやバスなどの特殊車両の場合は特殊車両の契約条件や利用目的が一般車両と比べて異なるため、短期料率が適用されない場合があります。

保険会社の種類は、ダイレクト型や代理店型などがあります。ダイレクト型の保険会社は、契約期間中に解約する人が少ないため短期料率が低く設定されています。また、契約や解約の手続きがオンラインで行われるため、ダイレクト型の保険会社では解約手数料がかからない場合が多い傾向にあります。

任意保険は途中解約して返戻金をもらう場合と満期解約するのとではどちらがお得ですか?
任意保険を途中解約した場合、残りの保険料の一部が還付返戻金として返ってきます。残りの保険期間が長いほど損をする仕組みなので、車両自体の査定額に影響しないなら満期まで待つのが望ましいです。
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車を売却した時の自賠責保険の手続きについて

車を売却した時の自賠責保険の手続きについて
ここからは、車の売却時に発生する自賠責保険の手続きについて解説していきます。

自賠責保険は原則手続き不要

ディーラーや買取業者へ車を売却する場合は、自動車登録情報システム(ARIS)を通じて、自動車登録や名義変更などの手続きを代行してくれるため、原則として自賠責保険の手続きは不要です。

この場合、自賠責保険は売却日まで有効で、売却日以降は無効になります。

個人間の譲渡だと自身で名義変更しなければならない

個人間の車の譲渡では、自分で自賠責保険の名義変更をしなければなりません。名義変更をしなければ、譲渡後に事故が起きた場合、旧所有者が補償責任を負うことになってしまうので注意しましょう。

名義変更の手順は、以下の通りです。

1.近くの自動車検査登録事務所に行く

譲渡日までに旧所有者が自動車検査登録事務所に行って手続きをします。その際は車検証と印鑑が必要になります。

2.名義変更申請書に必要事項を記載する

新旧の所有者の氏名や住所、車両の情報などを記入します。また、新旧の所有者の署名と捺印が必要です。もし、新所有者が同行できない場合は、委任状があれば手続きできます。

3.自賠責保険証明書が発行される

名義変更申請書を提出すると、自賠責保険証明書が発行されます。証明書には、新所有者の氏名や住所、自賠責保険の有効期限などが記載されています。

4.新所有者への受け渡し

受け渡し後に新所有者は、自賠責保険証明書と車検証を持って、自動車登録やナンバープレート変更などの手続きを行わなければなりません。

前払いした自賠責保険料は、車の売却時にどうなりますか?
自賠責保険料は車検時に前払いをしているため、適用期間中に車を売却する場合は、その未経過分を加味してもらえる可能性があります。
なお、自賠責保険は車両に対してかけられている保険のため、新しく購入した車へは引き継げません。売却時に自賠責保険の支払い義務と権利を同時に買い取ってもらうこととなります。

ケース別で見る!保険の手続き方法

ここからは、3つの具体的なケースを参考に保険の手続き方法を解説します。

ケース①売却後に車へ乗る予定が完全にない場合

ケース①売却後に車へ乗る予定が完全にない場合
自賠責保険と任意保険の両方を解約する必要があります。

自賠責保険は売却日以降無効になり、任意保険は契約期間内であれば解約できます。任意保険を解約すると残っている任意保険料から還付金があり、残っている任意保険料から一定の割合を引いた金額がもらえます。

任意保険は車両が違っても家族へ引き継げる

任意保険を家族に引き継ぐことで、自分の等級や割引率をそのまま利用することができます。

引き継げるのは配偶者か同居の親族だけです。また、引き継ぐためには名義変更の手続きをしなければなりません。

名義変更の手続きは、以下の書類が必要です。

  • 保険証券
  • 車検証
  • 印鑑証明書
  • 委任状(新旧の契約者が同時に手続きに行けない場合)

※保険会社によっては、上記以外の書類を提出する可能性があるため、必ず事前に確認をとりましょう。

ケース②しばらく車に乗る予定がない場合

ケース②しばらく車に乗る予定がない場合
任意保険の契約を中断すると、改めて車を購入した時に等級を引き継げます。

中断をする時は、保険会社に中断証明書の発行を依頼します。中断証明書は等級を保存するための書類で、最長10年間有効です。

中断証明書を発行しておけば、再開するまでの間、保険料を支払う必要もありません。

解約ではなく中断手続きをして等級を維持しよう

中断手続きは、下記の要件を満たす必要があります。

  • 任意保険の満期日や解約日までに車を所有していないこと
  • 車検が切れていること
  • 7等級以上であること

保険の等級は新規加入の場合、6等級からのスタートのため7等級以上の方でないと恩恵を受けられない点に注意しましょう。

次に、中断手続きは下記の手順を踏みます。

  1. 保険会社に中断したい旨を伝えます。
  2. 保険会社所定の「中断証明書取得依頼書」を受け取って記入し、必要書類を同封して送付します。
  3. 送付から2週間程度で中断証明書を受け取れます。

なお、保険会社に送付する必要書類には、以下のものがあります。

  • 売買契約書
  • 登録事項等証明書
  • 車検切れの車検証や軽自動車検査証

必要書類は車がない状態や乗れない状態を証明するものです。保険会社から指定がある場合は指示に従いましょう。

ケース③すぐに新しい車へ乗り換える場合

ケース③すぐに新しい車へ乗り換える場合
任意保険において車両入替えすると、それまでの等級を引き継いで新しい車で補償を受けられます。

車両入替えしない場合、旧車の保険がそのまま残ってしまい、新車の保険がかからなくなってしまいます。

車両入替えするためには、以下の手順を踏みます。

  1. 売却日までに、旧車の任意保険を解約または中断する。
  2. 新車を購入したら、旧車の自賠責保険証明書と新車の車検証を持って、契約した保険会社に連絡する。すると、保険会社から契約内容の変更や見積もりの案内が届きます。
  3. 契約内容や見積もりに問題がなければ、契約書や必要書類に必要事項を記入して送り返します。この時、新しい任意保険料の支払いも行います。
  4. 保険会社から新しい自賠責保険証明書と任意保険証明書が発行されます。証明書には、新しい車両の情報や自賠責保険の有効期限などが記載されているので確認してみましょう。
車両入れ替えの手続きは納車前に済ませておこう

車両入れ替えの手続きは納車前に済ませておくことで、新しい車を走行する時に補償を受けられるようにしておけます。

また、新しい車の種類や補償内容によって保険料が変わる場合でも、見積もりを比較して適切なプランを選ぶことができるでしょう。

車売却時の保険手続きで注意すべきこと

車売却時の保険手続きで注意すべきこと
ここからは、車売却時に知りたい注意点を4つ紹介します。

保険の種類によっては解約のヌケモレが発生したり、余分な費用が発生する可能性があります。

①加入保険に「自動継続特約」がついていないかチェック

自動継続特約とは、任意保険の契約期間が終了しても、自動的に契約が更新される特約のことです。

この特約がついていると、契約期間内に解約しない限り、次の契約期間分の保険料が自動的に引き落とされてしまいます。

車を売却する時は、自動継続特約がついていないか確認しましょう。もし自動継続特約がついている場合は、売却日までに解約手続きを行う必要があります。

②車両入れ替えで保険料が高くなる場合がある

車両入れ替えをすると、新車の種類や補償内容によっては、保険料が高くなる場合があります。

例えば、新車が旧車よりも高価だったり、排気量や馬力が大きかったりする場合は、保険料が上がる可能性があります。

車両入れ替えをする前には、必ず保険会社から見積もりを取って比較しておきましょう。

③少しでも車に乗る可能性があるなら中断手続きしよう

中断手続きをすると等級がそのまま保存されるため、再開した時にそのままの等級で保険を継続できます。そのため、新しく保険に入るよりも保険料の割引率が高くなります。

中断手続きをするには、保険会社に中断証明書の発行を依頼します。そして、等級の保存期間は最長10年間です。

④不必要な保険は解約しよう

不必要な保険は、車両入れ替えや中断手続きをせずに放置している保険です。このような保険は、余分な保険料を払っているだけでなく、事故の際に補償を受けられない恐れがあります。

例えば、旧車の任意保険を解約せずに新車に乗り換えた場合は、新車で事故を起こしても旧車の任意保険では補償されないので注意しましょう。

まとめ

①自賠責保険は原則手続き不要、任意保険は個人で手続きしなければならない
②任意保険の手続き方法は「解約」「契約中断」「車両入れ替え」の3つ
③任意保険を解約する時は返戻金をもらうことができるが、満期まで待つのがベスト
④任意保険の手続きは、売却後の予定によって異なる
⑤自動継続特約の有無や車両入れ替えによる保険料の値上げには注意しよう

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