車を売却する場合、その車が新車登録された年を示す「年式」と、今までどれくらいの距離を走行したかを示す「走行距離」は、車の買取価格に大きく影響します。それは両者とも車の老朽化の具合を推し量る目安になるからです。
では、具体的に年式と走行距離はどんな関係にあり、そして車の買取価格にどんな影響を及ぼすのでしょう?
ここでは、年式・走行距離の確認方法や、それ以外にも買取価格に影響する要素について解説します。
車を売却するなら「年式」と「走行距離」について知っておこう!
車を売却する場合、その車の年式と走行距離は買取額に大きく影響します。
では、そもそも「年式」や「走行距離」は何を意味するのでしょうか?そして、なぜ車の買取価格に影響を及ぼすのでしょうか?
以下で詳しく説明していきます。
車の年式について
最初に車の「年式」とは何なのか、それがなぜ買取価格に影響するのかを解説します。
結論をいえば、年式は車の年齢のことで、年式が古ければ古いほど車の価値は下がります。
車の年式の調べ方もあわせて説明するので、査定に出す前に一度チェックしてみましょう。
中古車の「年式」の捉え方には2種類あります。
1つ目は、日本国内で初めて登録された初度登録年を指すものです。
2つ目は、車が製造された製造年を指すもので、一般的にはこちらの基準が多く用いられます。
両者について、以下で詳しく解説していきましょう。
初度登録年月は、日本国内でその車が登録された年月のことです。車両が製造された後に新車登録された年をスタートとして、年式を数えていくことになります。
新車の場合、年式は購入した時と同じになりますが、中古車の場合は最初のオーナーが購入した年になります。
初度登録年月日は、車検証の中央の上部に同名の項目があり、そこに記載されているので確認してみましょう。
国産車は製造から登録までの空白期間が滅多に発生しませんが、輸入車の場合は両者にズレが生まれることもあるので注意が必要です。
年式のもうひとつの捉え方である「車が製造された年」は、主に輸入車に適用されます。
輸入車の場合は国で製造されてから日本で販売されるまでの間に空白期間があるため、日本国内での初度登録年月日との間に開きができることは珍しくありません。
一例を挙げると、2016年式の輸入車が、製造されたのは2015年であるということが考えられます。この点が国内で製造販売される乗用車と異なるので、輸入車を購入する場合は「製造された年」に注意するようにしましょう。
車の年式のチェック方法として最も一般的なやり方は、車検証か新車保証書のいずれかを確認することです。
車検証の場合は、中央上部に「初度登録年月日」の欄があるので(軽自動車の場合は「初度検査年月」)すぐに分かるでしょう。
一方、新車保証書はいわばメーカー発行の「保証書」で、新車だけについてきます。これは、メンテナンスノートや車検証と一緒にダッシュボードに入っていることが多いです。書面中央に「登録日」が記載されているので、そこをチェックすればすぐ確認できます。
ただし、新車保証書の「登録日」は厳密にいえば初度登録年月日ではないので、車検証と比べると情報の確実性はやや劣ると言えるでしょう。そのため、確認するのなら車検証をおすすめします。
また、シートベルトから年式をチェックする方法もあります。シートベルトの付け根には製造年月日が記されているので確認してみましょう。この方法は手軽ではありますが、車検証ほど確実ではないので注意しましょう。
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なぜ年式が買取価格に影響するのか
車の年式が買取価格に影響する理由は、年式が古い「低年式車」は車体やパーツの老朽化が進んでいると見なされるからです。反対に、年式が新しい「高年式車」は、性能面でより新車に近いことから高値買取が期待できます。
一般的に中古車業界では、車の年式は「10年」がひとつの節目と捉えられています。そのため、製造から10年が経過した車は買取価格が特に下落しやすい傾向にあるので、査定を受ける際は覚えておきましょう。
年式は、登録年や製造年を確認するためだけの数値ではなく、様々な事柄に関係します。その車の年式・型式が古いと、車の売買だけではなく、税金や保険契約の支払額についても影響を及ぼすことになります。
例えば、車にかかる税金を計算する場合、ガソリン車であれば初度登録から13年を経過した時点で、またディーゼル車なら11年経過した時点で、自動車税の税額が上がります。そのため、中古車を購入する際は、この点にも注意したほうがいいでしょう。
また、自動車保険は契約する車両の車種と年式によって保険料が異なってきます。保険料は車両の価値と事故のリスクを数値化して保険料額を決めるので、低年式であればあるほど保険料や保険金は安くなり、補償範囲も狭まることがほとんどです。
さらに保険について言えば、低年式車は万が一の事故の際に支払われる保険金よりも、修理代が高くつくことも珍しくありません。あるいは、契約する時点で加入を断られてしまうケースもあります。
車の走行距離について
次に年式と同じく、車の買取価格に影響してくる「走行距離」について、その意味や調べ方などを解説していきます。
車の走行距離は、車両が製造された時点から現在までの間にどれくらい走行したかを示す数値です。
車には「オドメーター」と「トリップメーター」という2種類の計測器がついています。
オドメーターは、総合的な走行距離を計測しているため、リセットすることができません。また、メーターの数値が多いか少ないかによって、車の買取価格も変わってきます。
一方、トリップメーターは数値をリセットすることができ、特定の地点からの距離を測定するのに使えます。
オドメーターとトリップメーターで走行距離を調べたい場合、どうすればいいのでしょう?
いずれのメーターも、基本的には運転席前面のパネル内に表示されています。両方の走行距離が一緒に表示されていることがほとんどですが、片方ずつの表示である場合は必要に応じて切り替えなければいけないので、切り替えのスイッチを確認しておきましょう。
数字の近くに「ODO」の文字があればオドメーターが、「TRIP」の文字ならトリップメーターが表示されています。単位は国産車の場合はいずれも「㎞」です。
なぜ走行距離が買取価格に影響するのか
車は走行するほど劣化するものなので、走行距離は先述した年式と同様に、車の寿命を推し量る基準になっています。
仮に新車で購入した車だとしても、10万~15万キロ以上走行すれば車両はかなり劣化しており、その分だけ寿命も短くなっていると見なされます。
メンテナンスがこまめに行われていれば多少走行距離が長くとも乗り続けることはできますが、長く乗れば乗るほど車の価値は下がると覚えておきましょう。
走行距離が10万キロを超えると、かなり劣化が進んでいると見なされます。一般的に車の平均的な走行距離は1年で1万キロとされており、10万キロ=10年となるため車の価値は大きく下がります。
10年経った車というのは、エンジンの周辺機器やタイミングベルトに劣化が進みます。また、メーカーでも10年経った純正部品は保存義務がなくなるため在庫が希少になることがあり、修理や部品交換も難しくなります。
最近は車の性能も向上しているので、定期的にメンテナンスを行えば10年以上乗ることは十分可能です。しかし、それでもメンテナンスごとに部品交換や修理の機会も増えるため、維持費用も高くなるでしょう。
こうした理由から、走行距離が10万キロを超えた車は買取価格が下がるのです。
もし走行距離が10万キロに近くなったタイミングで車の売却を検討しているなら、あまり間を置かずに早めに査定に出しましょう。
車を高く売るために走行距離のメーターを改ざんし、実際よりも走行距離を短く見せかけて売却するのは法律違反です。
改ざんしたことが発覚すれば、査定額が減額となったり、契約不適合責任を問われて買い取ってもらえなくなることもあります。
昔はこうした改ざんが珍しくありませんでしたが、最近は専用機器を使わないと走行距離のメーターをいじれなくなったり、車検時に車検証へ走行距離を記載するようになったりしているので、偽装することはできないようになっています。
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車の買取価格と年式・走行距離の関係について
ここまでで、車の年式と走行距離について別々に解説してきましたが、車の買取価格にどのように影響するのか、最後にまとめたので見ていきましょう。
車の買取査定では、その車の年式と走行距離をそれぞれチェックすることになっており、両方あるいはどちらか一方の数値に偏りがあると、それだけ車の老朽化や劣化も進んでいると見なされるということです。
例えば、車の年式はかなり古いのに走行距離は極端に少ないという場合も、車を動かしていないことでかえってゴムが硬化するなど部品の劣化が起きており、故障しやすくなっていると言えます。そのため、それだけ買取価格も安くなるでしょう。
しかし、一概には言えないところもあります。古くて走行距離が長い車でも、クラシックカーや昔人気だったスポーツカーなどは高く売れることがあります。また、そうした車を専門に買い取る業者なら、古くてもある程度の値段をつけてくれることもあるでしょう。
このように、車の年式と走行距離は、車の価値を推し量る一つの目安になります。
しかし、実際には車の買取価格というのは、その他の様々な要素が影響して決まるものです。次はそうした要素にはどんなものがあるのかを見ていきます。
買取価格に影響するその他の要素について
買取価格に影響をもたらすのは、年式と走行距離以外にもいくつかの要素があります。
ここじゃらは、具体的にどのようなものがあるのか解説していきます。
車の買取価格に関わってくる要素として、車の外装や内装の状態があります。
例えば、ボディに傷やへこみがある場合や、シートにシミや焦げ、穴などがあればマイナス査定は避けられません。やはり、酷使されてきたことや劣化していることが分かる車は、査定額も安くなります。
なお、傷やへこみをあえて修理してから査定に出すのもひとつの考え方ですが、修理費用が高くついてしまうことも多いため、あまりおすすめできません。
車のボディカラーも買取価格に影響してきます。
特に日本で人気が高い「三大ボディカラー」が、ブラック・ホワイト・シルバーです。このいずれかに該当すれば、査定時にプラスに作用する可能性が高いでしょう。
反対に、車のオーナーの好みがはっきり分かれることが多いのがレッド・イエロー系です。この場合は、価格がマイナスになることが考えられます。
また、車によっては限定グレードのカラーや、車のイメージ戦略に関係するカラーなどの場合は、価値が高くなることもあります。
車の査定では、その車両の事故歴・修復歴の有無も重要です。
事故歴・修復歴とは、災害や事故などの理由で車の骨格部分に修理・部品交換が施された履歴のことを指します。このような履歴があると、その車は故障しやすいと見なされて査定時にマイナスになります。
もちろん、こうした履歴があるから必ず故障するとは限りません。しかし、安全性の観点からこうした車両は敬遠されることが多く、価値も低くなります。
自動車公正取引協議会も、修復歴がある車の場合はその旨を店頭展示車に必ず表示するよう、販売業者に義務付けているほどです。
車の査定内容とは直接関係ありませんが、車が高値で売却しやすくなる時期は年に2回あります。
最も有利だとされているのは、1~3月です。4月からの新生活のスタートにあわせて車を購入する人が増えることから、車の需要が高まるのが理由です。
また、3月末は決算期なので、買取業者もできるだけ多く車を売って実績を増やそうとします。こうした理由から、少し高値をつけてでもできるだけ多くの車両を買い取って在庫を増やそうとするのです。
ただし、3月末に車を売却する場合は注意が必要です。買取店による名義変更の手続きが4月にまたがると、自動車税が車の前の持ち主に課されることになります。そのため、3月初頭には手続きを全て終えるのがベストでしょう。
決算期ということで言えば、9月も半期決算の時期にあたります。この時期はボーナスを頭金にして車を購入しようとする人も増えることから、やはり販売店としては在庫を多く確保しようと努めます。そのため、車を高値で買い取ってもらえる可能性があります。
車をどこに売却するかも重要です。候補としては、大きく分けて「販売ディーラー」「中古車買取店」「個人売買」の3つになります。
ディーラーの場合は「買取」ではなく「下取り」による引き取りとなり、面倒な各種手続きを代行してもらえる一方、下取り額は安値にとどまるのが一般的です。
中古車買取店は、出張査定を行ってくれることも多く、専門家の目線でその車両の状態にふさわしい値段をつけてくれるので高価買取が期待できます。業者の選定や査定の準備などの手間はかかるものの、買取価格を重視するのであればおすすめです。
個人売買は、フリマアプリやネットオークションを活用して売却したり、あるいは親戚・友人知人などに譲渡したりというやり方になります。業者を通さないので、手数料や中間マージンが発生しないのは利点と言えるでしょう。
しかし、名義変更や車庫証明、自賠責保険などの各種手続きを当事者が自分で行うことになるので、慣れていないと手間がかかります。トラブルも発生しやすいので、個人売買をする場合は慎重に進めるようにしましょう。