自動車税とは、車の排気量によって区分され、課される都道府県税です。
毎年支払う義務がありますが、車を売却する際は納税について疑問を感じる方もいるでしょう。
自動車税は未納のままでも売却することはできるのでしょうか?
この記事では、自動車税が未納の車を売却する際の注意点やリスク、対処法などを解説します。
税金が未納のままだと車は売却できない
自動車税が未納の車は原則売却できないとされており、法的制約も発生します。
ここからは、税金が未納状態では車を売却できない理由や法的制約の内容について詳しく説明していきます。
自動車税が未納のままだと車を売却できない理由
車の売却時に所有者の名義変更を行いますが、この時に自動車税の納税証明書が必要になります。そのため、未納のままだと名義変更ができず、車を売却できないのです。
自動車税は、車を所有する人が毎年支払う義務のある税金です。その年の4月1日時点で車検証に記載されている所有者が、5月31日までに納付しなければなりません。
自動車税を支払うと、納税証明書がもらえます。
この納税証明書を紛失してしまうと、車の名義変更や売却ができなくなってしまうため、大切に保管しましょう。
自動車税を納めないままにしておくと、ただ売却できないだけでなく法的にも問題が発生します。
自動車税の納付期限を過ぎた場合には延滞金が発生すると定められており、延滞金は未納分の税額に対して日割りで「0.021%」の割合で加算されます。
例えば、10万円の自動車税を1ヵ月遅れて支払った場合、延滞金は630円になります。
未納が続くと、国から督促状や催告状が送られてきて、それでも支払わない場合は差し押さえ通知書が届きます。
差し押さえ通知書が届いた後も未納のままだと、最終的に現金や預貯金、不動産や車などの財産を差し押さえられます。
自動車税が未納でも、買取ってくれる業者を見つけることができれば、売却することが可能です。
そういった業者を見つけるには、インターネットで検索するか、電話やメールで問い合わせて調べるしかありません。
買収してくれる業者は少ないため、探すのに時間がかかったり、契約内容をしっかり確認しておかないと査定額がかなり下がったりするなど、労力がかかるので注意しましょう。
そういった労力をかけずに車を売却するには、やはり未納分の支払いを済ませることが必要です。
県税事務所や銀行で未納分を支払って納税証明書の発行を受けてから買取業者に査定を依頼する方法もあります。
この方法を用いると、買取業者の選択肢が広がるため高値で売れる可能性がアップしますし、契約内容がシンプルになるためトラブルのリスク回避につながります。
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自動車税を払えない原因ごとに対処法を解説
ここからは、自動車税が未納の場合にとるべき対処法を原因ごとに解説します。
納付書を紛失すると、自動車税が払えず未納となってしまう恐れがあります。
納付書をなくした場合は、近くの税事務所に行くか、電話やインターネットで申し込みをして再発行を依頼しましょう。
再発行された納付書は郵送されるか、税事務所で受け取るか選べます。
また、納付書が届かない場合に、納付書の再発行を受けずに自動車税を支払う方法が2つあります。
自動車税の税金番号は、車検証や前年度の納付書に記載されています。この番号が分かれば、銀行や郵便局などで支払えます。
都道府県のホームページから自動車税のオンライン納付サービスにアクセスしてください。必要な情報を入力すれば、クレジットカードや電子マネーなどで支払えます。
自動車税を支払った後に発行される納税証明書は、車検や売却などに必要な書類です。もし紛失してしまった場合は、再交付手続きを行わなければなりません。
納税証明書の再発行は、税事務所に行くかインターネットからでも申請できます。
申請に必要なものは以下の3つです。
- 再交付申請書(所定の用紙)
- 本人確認書類(運転免許証や保険証など)
- 再交付手数料(1枚300円)
書類の提出や納税証明書の受け取りは、どちらも直接か郵送を選択できます。
都道府県のホームページから自動車税の納税証明書再交付サービスにアクセスしてください。必要な情報を入力すれば、クレジットカードで手数料を支払えます。
再交付された納税証明書は、郵送されて届きます。
自動車税が未納の車を売却する際の具体的な手段と方法
ここからは、車を売却したいと考えたときに、自動車税が未納であった場合の対応方法を解説します。
原則、売却時には自動車税を納付しておく必要があります。しかし、買取業者によっては未納のまま買い取ってくれる場合もあるため、自分がどちらの方法にメリットを感じるか検討したうえで、適切に対応しましょう。
自動車税を滞納していると、車の名義変更に必要な書類である「納税証明書」が発行されません。
名義変更ができないと車を売却できないため、自動車税未納の車を売却する場合は、まず納付してから売却しなければなりません。
納付するには、最寄りの県税事務所に連絡して再納付の督促状をもらい、期限内に指定された場所で支払います。
支払いが完了すると納税証明書が発行されるので、その証明書を持って中古車買取店に行けば、通常通り査定や売却契約ができます。
トラブルを防ぐためにも、基本的に未納分を納付してから車を売却する必要がありますが、自動車税の未納車でも買い取ってくれる業者は存在します。
しかし、そのような業者は少数なので探すのに手間がかかります。また、買い取ってくれたとしても査定額は低くなることがほとんどです。
それでも自動車税未納のまま売却したい場合は、以下の方法で業者を探してみましょう。
- インターネットで検索する
- 一括査定サイトを利用する
- 口コミや評判を調べる
未納で車を買い取ってくれる業者を見つけて下取りに出す際は、未納分の自動車税の支払いが誰に発生するのか、必ず契約書を確認してください。
「自動車税が未納でも買取をしている!」と宣伝していても、契約書上で納付を売却前にするよう記載があれば、支払いをしてから買い取ってもらうことになるため注意しましょう。
未納扱いの税金を支払う場合は、以下の手段と手順で支払いましょう。
地方銀行や都市銀行では、自動車税の納付書がなくても支払うことができます。
ただし、条件として「支払いは現金のみ」「納付期限から1年以内」「車検証を持参する」という制限があります。
クレジットカードでも自動車税を支払うことができます。
ただし、条件として「クレジットカードはVISAまたはMasterCard」「納付期限から1年以内」「インターネットから申し込む」という制限があります。
税金が未納の車を売る際の注意点
ここからは、税金が未納状態の車を売却する際に知っておきたい注意点を紹介します。
自動車税が未納の車を買い取ってくれる業者を見つけたとしても、売却する前に未納分を誰が支払うか確認することが大切です。
契約書に「売却前に(売却者自身が)自動車税を支払います」と記載されている場合は、売却後にも自動車税の支払い義務が残ります。
この場合、売却後に県税事務所から督促状が届く可能性があります。また、遅延金も発生するため、支払い額が増えるリスクもあります。
一方、業者が未納分を支払ってくれる場合は、売却後に自動車税の支払い義務はなくなります。しかし、この場合は査定額から未納分の自動車税や手数料などが差し引かれることが多いでしょう。
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【参考】納税後の車を高く売るためのポイント
納付後の車を売るときには、以下のポイントに注意して査定額アップに努めましょう。
査定前は車を洗ってワックスをかけたり、内装を掃除したりしましょう。汚れや傷が目立つと査定額が下がります。
また、タバコやペットなどの臭いもマイナスポイントになります。消臭スプレーや芳香剤などで臭い対策も忘れずに行いましょう。
査定額は業者によって異なるため、比較検討することで最高値を見つけられます。また、競争原理によって査定額が上がる可能性もあります。
査定依頼は無料でできるため、気軽に試してみましょう。
インターネット上で自分の車の年式や走行距離、グレードなどを入力すると、大体の相場が分かります。
相場を知っておくことで、査定額が妥当かどうか判断でき、交渉の際にも有利になります。
相場は常に変動するため、売却前に最新の情報をチェックしましょう。
査定額に納得できない場合は値段交渉してみましょう。
交渉する際は、以下の3つを意識して行うとよいでしょう。
- 車の良い点をアピールする
- 査定額以外の条件(引き取り日や支払い方法など)も考慮する
- 無理な要求や感情的な言動は避ける
買い取った車が次の所有者に渡った際、自動車税が未納であった場合に、新しい所有者が滞納分を支払わなければなりません。本来、以前の所有者が支払うべき税金のため、トラブルが発生しやすくなります。
税金を滞納していないことを証明するためにも、必ず納税証明書は提出しましょう。
未納状態が続いた場合に起こるリスク
ここからは、自動車税の未納状態を続けた場合に発生するトラブルを紹介します。
延滞金の発生や差し押さえの可能性があるので、注意してください。
自動車税を納期限までに支払わないと、まずは延滞金が発生します。延滞金は日割りで計算され、1,000円を超えると支払い義務が生じます。
延滞金の利率は、納付期限の翌日~1か月を経過する日までが2.6%、それ以降の期間は8.9%です。
つまり、未納の期間が長くなればなるほど、支払うべき金額も増えていきます。
例えば、自動車税が50,000円で納期限が5月31日だった場合、6月30日までに支払わなければ延滞金は108円ですが、7月31日までに支払わなければ延滞金は375円になります。さらに8月31日までに支払わなければ延滞金は1,042円になります。
このように、未納の期間が増えると延滞金も増えていきます。
自動車税を滞納し続けると、延滞金だけでなく、財産の差し押さえという重大な処分を受ける可能性があります。
差し押さえとは、税務局が滞納者の財産を強制的に取り上げて売却し、その代金から税金を徴収することです。
差し押さえられる財産は銀行口座や給料だけでなく、自動車や家具なども含まれます。差し押さえられた財産は元に戻せませんし、信用情報にも悪影響を及ぼします。
差し押さえが行われる前には、「督促状」「催告書」「差し押さえ予告通知書」などが送られますが、それらを無視して何もしないという選択肢はありません。
差し押さえを回避するためには、早めに税務局に連絡して相談したり、分割払いや減免申請などの救済措置を利用したりする必要があります。
未納状態の解消方法
ここからは、税金の未納状態の解消方法を紹介します。
具体的な方法は、「一括払い」と「分割払い」の2つです。それぞれメリットとデメリットがあるため自分の財政状況や都道府県の制度に合わせて選びましょう。
また、未納状態は放置せずに必ず早めに対処してください。
一括払いのメリットは、延滞金が発生しなくなる点です。延滞金は日割りで計算されるため、早く支払えば支払うほど少なくなります。
デメリットは一度に大きな金額を用意しなければならない点です。自動車税は車種や排気量によって異なりますが、普通乗用車の場合は年間3〜5万円程度かかります。この金額を一括で支払うのは負担が大きいでしょう。
分割払いのメリットは、一度に大きな金額を用意しなくても済む点です。分割回数や分割額は都道府県によって異なりますが、月々数千円程度の支払いです。また、分割払いを申し込むことで差し押さえなどを回避できます。
一方、デメリットは、延滞金が発生する点です。分割払いをしても延滞金は免除されません。分割回数が多ければ多いほど延滞金が増えるため、最終的に支払う金額が増えていきます。
自動車税未納による車の売却への影響について
自動車税を滞納していると、車の査定額が低下したり、売却先の業者が限られたりすることがあります。
ここからは、未納が招く売却時の影響を解説します。
自動車税を支払っていない車を業者が買い取る場合、業者が代わりに自動車税を支払います。
その際に、未納分や遅延金に加えて、代わりに支払うという手間に対しての手数料を業者が要求してくるため、査定額からその分が差し引かれます。
未納状態で買取に応じてくれる業者と交渉する際は、あまり高望みしないようにしましょう。
そもそも未納状態で買取に応じてくれる業者は少ないため、交渉力が弱くなり、未納分や延滞金を差し引かれることも考えられます。そのため、高確率で市場価格よりも査定額が安くなります。
未納状態の車を売るときには、安くなることを覚悟しましょう。