車を売却するとお金が手に入りますが、タイミングがずれ込むと査定額が下がったり、払う税金が増えたりします。
この記事では、車の売却で発生する税金を抑えられるタイミングを分かりやすく解説します。
車を売却するときには、税金のことも考えなければなりません。損をしないためにも、税金の知識を身につけておきましょう。
車の売却にともなう税金とは?節税対策になる売却方法について
車の売却にかかる税金は、以下の4つです。
- 自動車税
- 所得税
- 消費税
- 自動車重量税
車の売却時に税金を抑えて節税対策するためには、タイミングに注意しましょう。
また、売却時にかかる手数料や税金、売却後の税金管理の方法を把握しておくことで、節税が可能です。
ここで紹介する税金に関する知識を活かして、車売却時は節税対策をしましょう。
車売却にともなう主な税金は4つ
車の売却には4種類の税金が関係しています。そして、それぞれ売却する相手やタイミング、使用目的などによって課税や還付されます。
ここからは、車売却にともなう主な税金4つについて詳しく説明していきます。
自動車税とは、毎年4月1日時点での車の所有者に対して課税される税金で、1年分を前払いする必要があります。
自動車税は、車の排気量によって金額が決まります。
例えば、普通乗用車で排気量が2000cc以下の場合は29,500円、3000cc以下の場合は39,500円です。
自動車税の還付は、基本的に車が廃車にならなければ行われません。永久抹消登録が行われる場合のみ、法的な還付制度が適用されます。廃車手続き後、1〜2ヶ月ほどで還付通知書が届き、金融機関の窓口などで受け取れます。
車の売却時、法的な還付制度は受けられませんが、買取業者によって自動車税相当額の返金対応をしている場合があるため、下取り前に確認してみましょう。
下取り時の返金は、法律で定められているわけではありません。買取業者と売却者間で行われる個人のやり取りであるため、事前確認が大切です。
所得税は個人の所得に対してかかる税金です。車の売却では、購入金額より売却金額が高い場合に所得税を支払うケースがあります。
車や家具などの資産による所得は譲渡所得として扱われ、50万円の特別控除が適用されます。そのため、購入金額と売却金額の差が50万円以内であれば、特別控除により所得税は発生しません。購入金額よりも50万円以上高く売却できる場合は、所得税が発生するため注意しましょう。
また、レジャー用として使用していた場合も課税対象です。
所得税が発生した場合は「確定申告」をする必要があります。所得が発生した翌年の2月16日~3月15日までの間に行い、譲渡所得を計算して納めるべき税額を求めます。
譲渡所得は、以下の式で算出します。
ただし、この計算式は通勤用やレジャー用の車の場合で、事業用の車の場合は異なります。
事業用の車は、減価償却費を考慮して購入価格を算出し、50万円の特別控除は適用されないので間違えないように注意しましょう。
消費税は売買取引に対してかかる税金で、現在の税率は10%です。
消費税がかかるかどうかは、売却する相手によって決まります。個人同士で売買する場合は、個人間取引に対する消費税の課税特例が適用されるため、消費税がかかりません。
しかし、業者に売却する場合は、業者が車を仕入れる際に消費税を支払う必要があるため、消費税がかかります。
ただし、業者に売却する場合でも、業者があらかじめ売却金額に消費税を含めて提示してくれるため、消費税を別途支払うことはほとんどありません。
つまり、提示された金額がそのまま手元に入ると考えてよいでしょう。
自動車重量税は、車の重さに応じて課される税金で、車両重量500kgごとに区分されています。そして、車検時に前払いするように定められています。
新車購入時は次の車検が3年後となるため、購入時に原則3年分の自動車重量税を支払います。
初回車検時以降は、2年ごとに車検を受ける必要があるため、車検時に都度2年分の支払いが発生することを理解しておきましょう。
また、エコカー減免の適用有無でも変動するため、あらかじめ売却車両が該当する条件を調べておきましょう。
軽自動車の場合は、車両重量に関わらず自動車重量税は一律の金額です。
自動車重量税も自動車税と同様に売却した翌月以降の分が還付されるケースがあります。ただし、還付を受けるためには条件があり、抹消登録や解体届出を行った車のみです。
抹消登録とは、廃車や海外への持ち出しなどで車を永久に使用しなくなった場合に行う手続きです。
解体届出とは、廃棄物処理法に基づいて廃棄物処理業者に解体処分を依頼した場合に行う手続きです。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
車を売却するタイミングと税金について
車を売却するタイミングは「4~6月」が最適で、重量税の還付や価格設定に注意が必要です。
また、個人事業主であれば減価償却費や譲渡損失を計上することで税金対策が可能です。
車を高く売るためには、需要が高くて供給が少ない時期を狙うのがコツです。一般的に、車の需要が高まる時期は、新生活が始まる4月や夏休み前の6月です。
この時期には、引っ越しや旅行などで車を必要とする人が多くなります。また、新車の販売も活発になりますが、それに伴って中古車の在庫も減少します。
そのため、買取店は中古車の仕入れを強化し、査定額を上げて競争力を高めようとするのです。
一方で、需要が低くて供給が多い時期は、年末年始やお盆などの長期休暇です。この時期には、人々は旅行や帰省などで忙しく、車の購入や売却に関心が低くなります。
また、新車の販売も落ち着きますが、それに伴って中古車の在庫も増加するため、買取店は中古車の販売を促進して査定額を下げて値引き交渉に応じやすくなります。
重量税は車検時に支払う税金で、車の重さに応じて決まります。税金は2年分または3年分を前払いするものですが、廃車や名義変更などで自動車登録を抹消する場合は、残存月数分を還付してもらえます。
例えば、3年分の重量税を支払った後に1年半で廃車した場合は、残り1年半分の重量税が戻ってきます。
ただし、重量税の還付金を受け取るためには条件があります。以下の条件を満たしていない場合は、還付金を受け取れません。
- 一時抹消登録もしくは永久抹消登録をしている
- 1ヶ月以上の車検残存期間がある
車の売却時は、抹消登録は行われず名義変更手続きが行われます。そのため、法的制度による自動車重量税の還付は申請できません。
しかし、買取業者によっては自動車重量税分を上乗せした買取金額を提示してくれる場合があります。買取業者によって対応は異なるため、必ず確認しておきましょう。
また、抹消登録を行い還付申請をする場合は、以下の書類を用意して、自動車税事務所に提出します。
- 自動車重量税還付申告書
- 自動車納税証明書
- 自動車登録証明書
- 印鑑証明書
- 実印
- 通帳の写し
還付金額は、約1ヶ月半程度で指定した口座に振り込まれます。
車を売却する際、適切な価格設定が重要です。
適正価格を知る方法としては、インターネットで無料査定サービスを利用するのがおすすめです。
無料査定サービスでは、自分の車の情報を入力するだけで、複数の買取店から査定額を提示してもらえます。
価格設定には、以下の3つの要素が影響します。
走行距離や年式、外装や内装のキズや汚れ、故障や事故歴などのことです。
一般的に、走行距離が少なくて年式が新しくてキレイな車ほど高く売れます。
逆に、走行距離が多くて年式が古くて汚れたり傷ついたりしている車は安くなります。
車種や色、グレードなどによって変わる車の需要の高さも価格に影響します。
燃費や機能性が高くてデザインが良い車ほど人気があります。
市場価格のことで、季節や流行、経済状況などによって変動します。
需要が高くて供給が少ない時期ほど相場は高くなります。
個人事業主なら車売却時に税金を抑えられる可能性も!
もし個人事業主の方が車を売却する場合は、2つの方法を用いて税金を抑えられます。
減価償却費とは、資産(この場合は車)の価値が経年劣化や使用によって減少することを反映した費用のことです。
この費用は経費として計上できるため、所得税や住民税を減らせます。
減価償却費は毎年一定額を計算して計上しますが、売却時に残存価額(購入価額から減価償却費を差し引いた額)と売却価額の差額を計上できます。
例えば、購入価額が300万円で、売却時に減価償却費が200万円になっている場合は、残存価額は100万円です。
このとき、売却価額が80万円だった場合は、残存価額と売却価額の差額である20万円を減価償却費として計上できるのです。
譲渡損失とは、資産(この場合は車)を売却したときに生じる損失のことです。
この損失は、所得の源泉となる事業所得から差し引けます。
譲渡損失は、売却価額から取得価額(購入価額や修理費など)を差し引いたものです。
例えば、購入価額が300万円で修理費が50万円かかった場合、取得価額は350万円です。このとき、売却価額が200万円だった場合、譲渡損失は150万円です。
車の売却に関連する手数料と税金について
ここからは、車の売却時に発生する手数料を3つ紹介します。
中古車を売却するときは、買取業者やディーラーによって様々な手数料がかかります。
業者によってはキャンペーンやサービスで手数料を無料にしてくれる業者があります。そのため、車の売却を考えているときには、必ず複数の業者から見積をとりましょう。
なお、手数料の項目や金額は以下のとおりです。
買取業者に車を委託して、代わりに販売してもらう場合にかかる手数料です。販売価格の5〜10%程度が相場です。
名義変更や抹消登録などの手続きを買取業者に代行してもらう場合にかかる手数料です。1〜2万円程度が相場です。
自宅や指定場所まで車を引き取ってもらう場合にかかる手数料です。距離や時間帯によって変わりますが、1〜3万円程度が相場です。
リサイクル料金は、自動車リサイクル法に基づいて新車購入時に支払う預託金のことです。
この預託金は、車を廃車にするときに返還されますが、中古車売却時にも還付される場合があります。
還付される金額は、2万円〜5万円が相場です。
還付される条件は以下の通りです。
- 新車購入時にリサイクル券を発行してもらっていること
- 購入時から売却時まで名義人が変わっていないこと
- 購入時から売却時までナンバープレートが変わっていないこと
一括査定サービスを使えば、複数社から同時に時間とお金をかけずに見積もりをもらえます。
一括査定サービスのメリットは以下のとおりです。
- 時間や労力をかけずに多くの業者から見積もりを取れる
- 査定額や手数料などの条件を比較して最もお得な業者を選べる
- 業者同士の競争によって査定額がアップしたり手数料が無料になったりすることがある
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
車を売却した後の税金管理を解説
ここからは、車を売却した後に必要な手続きを紹介します。
車を売却し、購入したときの金額よりも50万円以上利益が出たときには、所得税の申告が必要になります。
確定申告を行う場合は、以下の手順で進めましょう。
売買契約書、譲渡証明書、購入時の領収書や契約書、修理費や改造費などの領収書を用意する
売却価格から購入価格や修理費などを引く、特別控除額(50万円)を引く、所得税率(5~45%)に応じて税額を算出する
雑所得の欄に利益と税額を記入して、必要な添付書類を添える
確定申告を期間内に行う(2月16日~3月15日)そして、税金の納付をする
車を売却して利益が出た場合、譲渡所得と呼ばれる所得税がかかり、その年の収入に加算されます。
ただし、譲渡所得には50万円の特別控除があるため、売却金額と購入金額の差額が50万円以下なら、所得税はかかりません。
例えば、購入金額が200万円で売却金額が250万円の場合、譲渡所得は50万円ですが、特別控除で0円になります。
所得税がかかる場合は、確定申告をしなければなりません。 確定申告は、翌年の2月16日~3月15日までの期間に行います。
確定申告をする方法は2つあります。
- 紙で書いて郵送するか税務署に持っていく方法
- 国税庁のホームページで電子申告する方法
どちらの方法でも、「譲渡所得の計算書」と「確定申告書B」を提出します。申請が遅れると、罰金を支払わなければならないので注意しましょう。
自動車税は4月1日時点で所有している人が1年分を前払いします。しかし、納付書が届くのは5月上旬のため、4月に車を売った場合は納付書が手元にないこともあります。しかし、この場合でも自動車税を支払わなければなりません。
買取業者によっては、自動車税に相当する金額を返金してくれる場合もありますが、法律で定められた還付ではなく、あくまでも買取業者と売却者の個人間で行われる返金です。
買取業者によって返金方法や期間が異なるため、事前に確認しておきましょう。
法的な還付制度を受けるためには、車が廃車になり、永久抹消登録を行う必要があります。廃車手続き後、1〜2ヶ月ほどで還付通知書が届き、金融機関の窓口などで受け取れます。
車の売却時には、法的な還付制度は受けられないため、買取業者が自動車税相当額の返金対応を行っているか確認することが大切です。
納税通知書が届かない場合や紛失した場合には、インターネットか直接税務署に問い合わせると、再発行を受けられます。