車を売却する時は走行距離もチェックしよう!
車を売却する場合、まずは査定を受けて買取金額を決めることになります。その際に車の走行距離によって金額が大きく左右されることがあります。
それは、車の走行距離が長くなればなるほど、車両の老朽化が進んでいると見なされるからです。
ここでは、走行距離と年式の関係、走行距離が査定額に具体的にどう影響するのかについて詳しく解説していきます。
そもそも車の走行距離とは?
走行距離は、どれだけ車が走行したかを示す数値になります。
車には「オドメーター」と「トリップメーター」という2種類のメーターがついていて、そこで走行距離を確認することができます。
オドメーターが示すのは、車が製造されてから現時点までの間に走行した総走行距離です。機械式とデジタル式の2種類がありますが、共通しているのはリセットすることはできないという点です。
トリップメーターが示すのは、ある地点からある地点までの特定区間の走行距離です。オドメーターとは違って、測定するごとにリセットする形で使うことができます。
いずれも運転席前面のインパネに表示されており、車両によっては片方ずつ切り替えて表示するようになっています。
車を売却する時の買取価格に影響してくるのは、オドメーターで示される総走行距離です。
では、なぜ買取価格に総走行距離が影響するのか、その理由について以下で詳しく説明します。
一般的に、走行距離が10万キロになると車は限界とされており、その値を超えると車両にトラブルが発生しやすくなると言われています。
そのため、クラッチやタイミングベルトなどの部品は、走行距離10万キロが交換の目安となっています。
標準的な走行距離は「1年で1万キロ」と言われているため、10万キロ=10年で寿命を迎えることになります。中古車市場でも、この値を超えると車は大きく価値が下がります。
近年は、車の基本性能も向上しているため、10万キロに達したとしても車に乗ることは十分可能です。しかし、点検やメンテナンスをこまめに行わないと劣化するスピードは早まるでしょう。
一方、走行距離が短いと長持ちするというわけはもなく、年式に対してほとんど運転していないと「放置」と同じような状態になります。するとガソリンやバッテリーが劣化したり、ゴムが硬化したりして、かえって車の劣化が進むこともあります。
車は走行距離10万キロで寿命を迎えると言っても、急にその車に乗れなくなるわけではありません。メンテナンス次第では、20万キロや30万キロまで乗れることもあります。
そのため、日本製の中古車は海外でとても人気が高く、特にその耐久性から、完全な廃車になるまで使い尽くされることも珍しくありません。
例えば、トヨタのハイエースなどは、絶えずメンテナンスし続けることで、完全に動かなくなるまで用いられることもあります。
走行距離10万キロ、年式10年という数値で車の寿命を推し量るのは、あくまでも業界内での分かりやすい指標に過ぎないと言えます。
しかし、それだけの距離・時間を運転し続けると、こまめなメンテナンスが必要になります。そのため、車の売却を考えるなら、走行距離が10万キロに達する前がいいでしょう。
売らない場合は、10万キロに達してからこまめに点検・整備を行う必要があるので、それ相応の費用もかかるということを意識するようにしましょう。
反対に、車そのものは古いのに、走行距離は不自然に短いという車両もあります。このような車は、走行距離が短いというよりも放置されている時間が長かったと考えられます。
放置されている時間が長いと、それもまた車が著しく劣化する原因になります。バッテリーなどの部品やガソリンの劣化、ゴム部分の硬化などが起きているかもしれません。
こうした車は、運転した途端に故障が発生することもあります。そのため、走行距離が短ければいいというわけではないのです。
車を売却する際は、走行距離と年式との標準的なバランスである「1年で1万キロ」に近いほうが、その車に見合った査定額がつきやすいでしょう。
これは売却に限った話ではなく、中古車を購入する場合もそうです。
例えば、走行距離10万キロの中古車を買うなら、年式も10年経過しているもののほうがバランスも取れており、管理がしやすくなるでしょう。反対に、年式か走行距離のいずれかに偏りがある車は、車体やパーツに余計な負荷がかかっており、意外なところで故障する恐れがあります。
消耗品である車は使い過ぎても使わなさ過ぎても故障の原因になるので、年式に応じてバランスよく使われていることが大切です。
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走行距離と査定額の関係について
車を買取査定に出した時、走行距離の長さは査定額にどのように影響してくるのでしょうか?
以下で詳しく説明していきます。
買取査定を受ける際、車の走行距離は必ずチェックされます。
査定のチェック項目は、全ての業者共通です。具体的には、車の年式、グレード、傷やへこみ、修復歴、汚れなどが当てはまりますが、この中に走行距離の項目も含まれています。
また、純正部品が揃っているかどうか、付属品は欠けていないか、エンジンルームに異常が見られないかといった項目もあります。
これらのポイントを意識して査定を受けることで、高額での売却に結び付けることができるでしょう。
走行距離が長い車は、その分だけボディや部品の劣化が進んでいると見なされるので、査定額に大きく影響します。
実際、走行距離が10万キロに達するとオルタネーターやベルト類などのエンジン関係の部品が寿命を迎えることが多いです。
それらのパーツを交換しなければならないタイミングで査定に出すと、買取店は買取直後にそれらを整備しなければなりません。その時にかかる費用が査定額から差し引かれることになります。
前述の通り、車の走行距離は年式とイコールの関係にあり、一般的には走行距離1万キロが年式1年分と考えられています。
いずれかの値に偏りがある場合も、走行距離10万キロあるいは年式10年に達していればその車はかなり劣化が進んでおり、それだけ寿命も短くなっていると見なされます。
ただし、たとえ走行距離が長い車でも、メンテナンスや部品交換をこまめに行っていれば話は別です。そうした車は、全体的に劣化していても乗り続けることは可能ですし、査定額の大幅な下落も抑えられるでしょう。
走行距離がある程度の長さに達していると、その分だけエンジンにも負荷がかかっていることから、各部品の劣化も早く進行します。こうした車は「過走行車」「多走行車」などと呼ばれており、査定額も低くなることが多いです。
ちなみに、年式が古い車は「低年式車」、比較的新しい車は「高年式車」と呼ばれます。
「過走行車」=「低年式車」となるのが一般的ですが、まれに走行距離が短い低年式車もあります。こうした車も、長年運転しないことで劣化した部品が急な走行によっていきなり破損する恐れがあります。
走行距離が長い車は、その分だけ経年劣化に伴う傷やサビがつきやすく、パーツの劣化も進んでいることから、いつ故障するか分からない状態です。特にエンジンの不調が起きる可能性は、常に頭に入れておくべきでしょう。
中古車として販売されている場合は、低価格で売られていることが多いので、安さを重視するユーザーにとっては魅力的です。しかし、故障による部品交換や修理のための費用が高くつくことが考えられるので注意しましょう。
走行距離ごとの車の買取相場について
走行距離が長い「過走行車」と呼ばれるタイプの車はどれくらいの金額で買い取られるものなのでしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。
走行距離が長い「過走行車」は、走行距離が短い場合と比べた場合、買取価格にどれくらい差がつくでしょう?
トヨタのプリウスで2015年式、グレードはA、新車価格は257万円のものを、買取価格が出せるサイトで走行距離ごとに調べてみました。
- 3万キロの場合…114.9万円
- 5万キロの場合…103.7万円
- 7万キロの場合…97万円
- 10万キロの場合…89.3万円
このように、走行距離が長くなればなるほど査定額も低くなります。
また、車は新車として登録されてから3年目・5年目に達したところで市場価値が大きく下がることが多いです。そのため、この段階に至る前に車を売却するケースも少なくありません。
とはいえ、現在の一般的な車の寿命は13年~15年と言われています。近年の車は性能もいいので、普段から乱暴に扱わず、定期点検などをきちんと受けてさえいれば十分乗り続けられるます。
3年・5年で売却するのは、頻繁に車を乗り換えるのが好きなユーザーが多いです。
ここまでで何度か述べた通り、車は1年で走行距離1万キロというのが標準的な数値です。このペースで10年乗って10万キロに達すると、パーツが劣化している可能性が高くなり、高額査定は難しくなります。
もしも走行距離10万キロ超えの過走行車を買取に出す場合は、売却先を慎重に選ぶことをおすすめします。
普通の中古車販売店では高値がつかなくとも、海外などの独自の販路を持つ業者に相談することで、可能な限り値段をプラスにしてもらえる可能性があります。
車を購入する時点で、ある程度乗ったら売ろうと考えているなら、走行距離5万キロ未満での売却がおすすめです。
年式が5年落ちで走行距離5キロ未満というのは、自動車ユーザーに好まれる人気のラインです。反対にそこを過ぎると、どんどん車の価値が下がっていくので、このラインを目安にして買取査定に出すことを検討するといいでしょう。
走行距離が長い車は高額査定を望めないと説明してきましたが、それはあくまでも一般論で、中には例外的な車もあります。
走行距離10万キロ以上でも買取額が100万円を超えるような車も存在します。例えば、ジムニーやランドクルーザーのような本格的な四駆車は悪路での走行を前提とした造りなので、もともと車としてのライフサイクルも長めです。そのため、過走行・過年式でも高値で取引きされることがあります。
また、ハイエースのようにたくさんの荷物を積載することを目的とした商用車両も同様です。
こうした車種は日本国内に限らず、海外での需要も高く、販路も広いです。そのため、海外での販売に長けている業者なら高額査定が期待できるでしょう。
このように、走行距離だけで車の価値が決まるわけではなく、車種以外にも車の状態などによっては高額査定につながることも多くあります。
しかし、自分で判断するのは難しく、買取店によっても評価が違うものなので、まずは査定をしてもらい自分の車の価格を知ることが大事です。
走行距離が長い車の売却方法について
最後に、過走行車をできるだけ有利に売却するにはどうすればいいのか、その選択肢をいくつか紹介していきます。
海外への販路を持つ販売業者の場合、一般的な中古車販売店ではほとんど値がつかないような過走行車でも買い取ってくれることがあります。
過走行車であっても、海外では日本車の性能の良さから評価が高く、国によっては、1台の車をメンテナンスを繰り返して完全に動かなくなるまで乗りつぶす方も多いです。
例えば、ハイエースのように耐久性や利便性の高い車種のほうがより高値がつくなどの違いはありますが、過走行車の売却なら、こうした業者に一度相談してみるといいでしょう。
車の買取業者の種類も様々で、ほとんど値がつかない過走行車や、スクラップ同然の事故車を取り扱う廃車専門の業者も存在します。そのため、故障して動かなくなった不動車や激しく損傷している車は、こうした業者への売却を検討してみましょう。
さすがに高値買取とはいかないかもしれませんが、一般的な買取店なら値段がつかないような車でも、分解した部品単位で値段をつけてくれる可能性はあります。
輸出販売に長けた買取専門店や、廃車専門の買取業者を、一括査定で探し出すという方法があります。
一括査定は、専用のサイトから1回申し込むと、自動的に複数の業者とコンタクトを取れるシステムです。
ただし、申し込みの段階では業者を選べない、しつこく営業電話がかかってくるなどのデメリットやリスクもあるので、利用前に注意点をよく確認しましょう。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!