事故車は、事故を起こした車のことを指すわけではありません。事故車の定義は、車のフレーム部分がダメージを受け、修理や交換を行った車のことを指します。

車のフレームとは、天井部分であるルーフパネルやエンジンなどを支えるフロントクロスメンバーなどが該当します。フレーム部分にダメージを受けると、走行時にトラブルが起きる可能性が高まるため、フレーム部分が損傷した車を事故車と呼ぶのです。

フレーム以外にダメージを受け修理や交換した場合は、事故車とは呼びません。例えば、バンパーのすり傷を修理したとしても、バンパーは走行に問題を与える箇所ではないため事故車に該当しません。あくまでフレーム部分の損傷が対象なのです。

事故車の値段は事故車の状態によって大きく変わります

事故車の値段は事故車の状態によって大きく変わります
同じ事故車であっても、軽く修理すれば十分に乗れる車もあれば、潰れてしまい自走できない状態の車もあります。簡単な修理で済む車であれば、事故車といってもそれほど大きな金額を引かれることはないでしょう。

一方でかろうじて走れる車や、そもそも自走できない車になってくると、同じ車種の事故車でない車に比べて半額程度になってしまうこともあります。

事故車を売る場合は半額程度が目安です

基本的に、事故車はそうでない車よりも買取金額が明らかに下がります。元の車の新車購入時の価格や、中古車としての相場、あるいは事故に関係ない部分での評価など、様々なものに金額は左右されるため、一概に「事故車だからいくら引かれる」ということは言えないのが実状です。

しかしながら、事故車は同じ車種の無事な車と比較した場合、査定金額の平均としてはおよそ半額程度になることが多いと言われています。特に、元の価格が高ければ高いほど、当然ながら減額される額も大きくなっていくため、少しでも高く売りたいのであれば売る先には十分注意した方が良いでしょう。

値段が大きく下がるのは修復歴がある場合です

一つ覚えておきたいのは、値段が下がりやすいのは「事故を起こした車」ではなく、「修復歴がある車」であるということです。事故車と言うと事故を起こした車と捉えがちですが、実際には中古車業界で言うところの「事故車」とは、「修復歴がある車」のことを言います。

修復歴とは、車の骨格部分を修理した場合につくものです。事故を起こしていても修復歴がない場合や、修復歴がつくような修理を必要としない、軽い損傷である場合は一般の車と同じか、多少低い程度の価格で買い取ってもらえることもあります。

修復歴は点検整備記録簿を見ると記載があるため、売る前に確認しておくのも一つの手です。点検整備記録簿はだいたい車検証と一緒に保管してある、メンテナンスノートの中に挟んであります。

修復歴は車の走行に影響します

事故車、つまり修復歴のある車がなぜ安くなってしまうのかと言うと、車の走行に影響するからです。事故に遭って車の骨格を修復した場合、修復したのだから問題ないだろうと思われがちですが、実際には完全に修理し切れたとは言い切れないのです。

打ち直した骨格のわずかな歪みなどが影響し、まっすぐ走れなかったり、スピードを出すと勝手に曲がっていってしまったり、雨漏りしたりなどすることがあります。このようなことから事故車は安くなりがちです。

修理してあるかどうかでも値段は変わってきます

修理してあるかどうかでも値段は変わってきます
事故車を売る場合、事故にあったそのままの姿で売るとなると修理費が必要になるため、当然減額幅も大きくなります。一方で、過去に事故に遭い車を潰してしまったものの、修理してある程度の期間乗っていた車を手放すという場合は、減額幅も少なめになるでしょう。

車の状態によっては事故車であっても10万円程度の減額で済む場合もあります。

修理はしない方が良いでしょう

修理して乗っていた車を売るのならともかく、査定金額を上げるために壊れた車をわざわざ修理することは止めた方が良いでしょう。修理すればもちろん査定金額は上がりますが、当然、修理費がかかってしまいます。

多くの場合、わざわざ多額の修理費用を出してまで査定金額を上げても、最終的な収支で得をすることはあまりありません。修理が必要な車を売る場合は、思い切ってそのまま査定に出すのが一番査定金額で得をしやすい方法です。

業者間での修理が安く済みます

査定直前に自分で修理に出すのはやめた方が良い、もうひとつの理由に修理代があります。個人で車を修理するとなると、当然修理業者を探して依頼することになるでしょう。

しかし、もしも壊れた車をそのまま売った場合、こちらも修理は必要になるものの、その修理には業者間で提携した修理業者や、自社の修理工場などが利用できます。個人で依頼するよりも、業者間の方が余計なマージンなどが少なく業者価格になるため、安く済むのです。

そのため、例えば個人で修理すると50万円費用がかかるところ、そのまま売れば業者によって30万円で修理できる可能性もあります。すると、査定で引かれる額も安く済む傾向になり、自分で修理するよりもお得になるのです。

このことからも分かるとおり、自分で修理に出すのはリスクが高いため、やめた方が賢明といえます。

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事故車でも中古車買取店に査定を依頼してみましょう

事故車を少しでも高い値段で売却するためには、売る先を考えることが大切です。特に、ひどい壊れ方をして「とても引き取ってはもらえないだろう」と思われる場合や、「廃車にするしかなさそうだ」と考えている場合ほど、売る先はよく吟味した方が良いでしょう。

実は事故車でも、思わぬところに需要があり、意外な額で買い取ってもらえることがあります。

事故車が得意な中古車買取店を探しましょう

事故車を一番高く買い取ってくれるのは、事故車を専門的に扱う中古車買取店です。中古車買取店にもいくつかの種類があり、多くの中古車買取店は買い取った車を業者間オークションに流します。

中古車販売店がオークションを通して車を買い取り、自分の店の店頭に並べるという仕組みで中古車は流通するのです。しかし、事故車が得意な中古車買取店は、これ以外にも販路を持っています。

オークションに流すだけでなく、日本製の車を欲しがる海外に車を輸出したり、状態のひどい車についてはそのまま売らずに解体して使える部品だけを他の車に再利用したりするのです。このように事故車を活かせる販路をたくさん持っているのが、事故車に強いと言われる所以になります。

一般的な中古車買取店では事故車を買い取ったところで持て余すだけですが、事故車に強い中古車買取店に売れば、然るべき値段で買い取ってもらえるでしょう。

値段がつかない場合は廃車専門店を利用しましょう

事故車に強いと言われる中古車買取店をもってしても買取金額がつかないと言われてしまった場合、残念ながら廃車にするしかありません。しかし、廃車にするには手続きの手間や費用などがかかります。

そこで、最後の手段としては廃車専門店の利用が良いでしょう。廃車専門店は、自走できない車であってもレッカー代などの費用もかかることなく、廃車手続きも無料で代行してくれるところが多くなっています。

また、いくらかの買取金額がつくこともあります。自分で廃車にするよりは明らかにお得であるため、最後の手段として頭の隅に置いておきましょう。

中古車買取店に依頼する前に準備しましょう

中古車買取店に依頼する前に準備しましょう
中古車買取店の中でも、事故車に強い店はその旨をホームページや店頭などでアピールしているはずです。たとえ大手の中古車買取店であっても、事故車が買取可能とは限らないため、チェーン店などにこだわらず広く探してみると良いでしょう。

ただし、「事故車に強い店」とうたっていても、実際には事故車だからと相場よりもかなり下の額で買い取ろうとする業者もいます。少しでも高く事故車を売りたいのであれば、いくつかのことに注意すると良いでしょう。

まずは相場を調べましょう

事故車であっても、ある程度の相場はあります。同じ車種、同じ年式、同程度の走行距離を持った車の相場を検索し、一般的な相場と事故車の場合の相場をそれぞれ把握しておくと良いでしょう。

事故車にどのような価値があるかを見抜くのは、素人の立場では難しいことです。自分では売れない車だと思っていても、業者から見ればたとえ事故車であっても欲しい車かもしれません。

そのため、まずは相場を調べて、客観的な立場から自分の車の価値を把握しておくと、買取の際も交渉しやすくなります。

相見積もりをしましょう

高く売るために必須ともいえるテクニックが相見積もりです。特に事故車の扱いは中古車買取店によってかなり差があり、ある店では20万円と査定されたが、別の店なら50万円で査定されたなどのケースも見受けられます。

そのため、1社だけに査定をしてもらい即決してしまうのは危険な行為です。また、「相場を調べたけれども、うまく自分の車と似たような状態の車が見つからなかった」という場合もあるでしょう。

そのような時に相見積もりをして、複数社から同時に見積もりをもらうことで、差額で損をするリスクを可能な限り減らすことができます。できれば事故車に強い中古車販売店を選び、3社から5社程度から見積もりをもらうと良いでしょう。

A社で20万円の査定だったとしても、同時にB社で50万円と査定されればB社の方を選ぶことができます。また、もしここでC社にも査定を依頼し、45万円だった場合、A社だけが極端に安い値段で買い取ろうとしていることが分かります。

高い値段で売り、かつ質の良い業者を見抜くためには、相見積もりが欠かせないと言って良いでしょう。

事故車を買取に出すか判断するポイント

事故車を買取に出すか判断するポイント
事故車を買取に出すかどうかは、様々なポイントを考慮し判断するとよいでしょう。第一に考えなければならないのは、安全面です。事故車で安全に走行できるかどうかが、買取に出すか判断する重要なポイントといえます。

また、修理費が買取額よりオーバーする場合も、修理せずに買取を検討したほうがよいでしょう。さらに、現在の車に愛着を持っているかどうかも買取に出す判断材料となりえます。

これらの点を踏まえて、事故車の買取を検討してください。

走行時の違和感

走行時に違和感を覚えた場合、買取に出すことを検討したほうがよいでしょう。これ以上運転すると、重大な事故を起こしかねないからです。

事故後に感じる走行時の違和感としては、真っすぐに走らないことが挙げられます。これは、車のフレームが曲がり、全体の均衡を保てなくなったために起こります。

真っすぐ走らないと、左右どちらかに寄ってしまい、結果追突事故などを起こす可能性が高まり大変危険です。そのため、走行時に違和感を感じたら買取に出したほうがよいといえるでしょう。

修理代

買取額よりも修理代のほうが高い場合、買取を視野に入れたほうがよいといえます。フレーム部分の修理は、専門性の高い知識やスキルが必要な部分です。そのため、部品代のみならず工賃なども高くつく傾向があります。

また、フレームの修理代は10万円~100万円程度かかるといわれています。さらに、事故車は安全面や需要の低さから買取額が低い傾向にあるため、買取額より修理代のほうが高くついてしまうのです。そのため、修理代が高い場合は修理を行わずそのまま買取を検討したほうがよいでしょう。

愛着

所有している事故車に愛着があるかどうかも、買取に出す際のポイントです。愛着がなければ安全面などを考慮し買取に出せますが、愛着があると難しい場合もあります。

特に、思い出の深い車は簡単に手放すのが難しいこともあるでしょう。その場合は無理に手放さず、修理を繰り返して乗る選択をすることもよいでしょう。

ただし、古い車種や希少性の高い車であると、高額な修理費がかかる可能性があるため、金銭的に余裕がある場合は検討してみてください。

事故車の売却における注意点

事故車の売却における注意点
事故車の売却時に注意しておきたいことは、車の状態や事故の隠ぺいにより、値段がつかなかったり買取拒否されたりする場合があることです。

事故車は安全面が欠けている状態のため、ダメージが大きいと値段がつかないことがあります。また、事故車であることを隠して買取に出すと、最悪の場合損害賠償を支払うことになりかねません。

ここでは、事故車の売却時に注意しておきたいポイントをまとめるため、今後の参考にしてみてください。

値段がつくとは限らない

事故車の場合、買取価格がつかない場合もあることを考慮しておきましょう。ダメージが大きく走行できない場合や古い年式の車、さらに走行距離が長い事故車も、需要の低さや安全面の観点から価格をつけてもらえないことがあります。

中古車の買取店で価格がつかない場合、事故車の買取専門店であれば価格をつけてもらえる可能性があります。そのため、どうしても買い取ってもらいたい場合は、専門店にかけ合うことも検討してみてください。

レッカー代がかかる場合がある

走行できない事故車の場合、レッカー代が別途必要な場合があります。自宅から買取店まで事故車が走行できない場合、積載車やレッカー車を使用して運びます。

買取店によっては無料サービスを実施していることもありますが、レッカー代は実費での支払いを求める店舗もあるため、事前に買取店へ確認しましょう。

レッカー代の平均価格は1万円~3万円です。買取店によって条件が異なる場合もあるため、サイトなどで調べてから依頼することをおすすめします。

修復歴を隠すのはNG

事故車であることや修復歴があることを隠して買取に出すと、最悪の場合損害賠償を支払わなければならないため注意しましょう。

事故車や修復歴を隠したとしても、プロが確認すれば高確率で判明します。その結果、買取店に不信感を与えるため買取価格をさらに下げられたり、買取拒否されたりすることにつながります。

さらに、買取後に隠ぺいが判明した場合、損害賠償を請求されることがあるため、事故車であることや修復歴があることは必ず申告しましょう。

(まとめ)事故車を買い取ってもらうときの値段はどのくらい?

1.事故車の値段は事故車の状態によって大きく変わります

事故車と一口に言っても、簡単な修理で済む場合もあれば、潰れて自走できず大きな修理を必要とする場合もあります。状態が悪い場合は同じ車種の事故車に比べて、半額以下になってしまう可能性もあるため、覚悟しておいた方が良いでしょう。

2.事故車を売る場合は半額程度が目安です

事故車の値段は当然、普通の車よりも相場が下がります。特に修復歴のある車は走行に影響があることもあるため、修復歴のない車に比べて半額程度になってしまうこともあるでしょう。

修復歴がなければ、査定金額はほとんど通常通りのこともありえます。

3.修理してあるかどうかでも値段は変わってきます

車を修理すれば当然査定金額は高くなります。しかし、多くの場合修理費用の方が査定で減額される金額よりも高くつくため、損をすることが多いでしょう。

修理せずそのまま出すのが、一番損をせずに済みます。

4.事故車でも中古車買取店に査定を依頼してみましょう

事故車を買い取りしてもらいたいという場合は、まずは中古車買取店に査定を依頼しましょう。中古車買取店の中でも事故車を得意とする店は、他の中古車買取店よりも高額査定をしてくれます。

また、値段がつかない場合は廃車専門店も利用しましょう。

5.中古車買取店に依頼する前に準備しましょう

中古車買取店に査定を依頼する前に、あらかじめ同じ車種の事故車がどのくらいの額で買い取られているのか、どのくらい減額されるのかインターネットで調べておくと便利です。また、相見積もりすることで不当に安い金額での買取を防ぐことができます。


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