事故で壊れてしまった車を処分する場合、「せめて少しでもお金になれば…」と考える方が多いでしょう。
多くの場合、事故車は売れないだろうからと諦めがちですが、事故車の買い取りに強いお店であれば売却することも十分可能です。
こうしたお店は独自の販路を持っており、いわゆる事故車も高値で買い取ってくれることがあります。
では、売られた事故車はどう扱われるのか、そもそも事故車の定義とは何か、売却する際の心構えとは何かについて説明していきます。
事故車は「引き取り」ではなく「買い取り」してもらう
過去に事故に遭った車の場合、売却を諦めて業者に引き取りを依頼するケースがあります。しかし、事故歴のある車でも買い取りは可能です。
業者によってはオークションに出品したり解体してパーツ単位で販売したりすることができます。
特に近年脚光を浴びているのが、日本では売れない中古車を輸出販売するというやり方です。
例えば、日本では古すぎる車や過走行車として価値がつかないような車も、海外ではまだまだ乗れるものとして扱われます。
もともと、日本製の車は燃費の良さや耐久性の高さについて定評があり、アメリカや中東などで高い人気を誇っています。
事故車だからと言って諦めずに、買い取ってくれる専門の業者を探してみるといいでしょう。
事故車でも値段がつくことがあるの?
事故を起こした車はイメージが悪く、それだけで値がつかない気がします。
しかし、中古車業界での事故車とは「車の骨格部分を修復した車」という意味です。そのため、修復の内容によっては買い取ってもらえることもあります。
中古車業界における事故車とは、一般的にイメージされる「事故を起こした車」ではなく「車の骨格部分を修復した車」を意味します。
このニュアンスの違いを踏まえ、事故車の売却手続きをスムーズに進めましょう。
事故車というのは、車の重要な骨格部分を損傷し、そこにパーツ交換や修理を施した経歴のある車のことです。そのため、重要なのは「事故歴」ではなく「修復歴」なのです。
修復されていると「事故車」として見なされてしまう骨格部分は9つあります。
- フレーム
- フロントクロスメンバー
- フロントインサイドパネル
- ピラー
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- ルームフロアパネル
- トランクフロアパネル
- ラジエターコアサポート(車種により事故車にならない場合あり)
一方、以下の部分を修復したとしても「事故車」とは見なされません。
- フロントバンパー
- ロアスカート
- フロントフェンダー
- ボンネット
- リアフェンダー
- トランクリッド
- リアバンパー
- サイドシルパネル
- ドア
- ラジエターコアサポート(一部の車種)
ボルトでフレームから外せる場合は、交換の痕跡があっても問題はないでしょう。
注意が必要なのは、ドアのジョイント部分にボルトの締め直しが見受けられた場合です。ドアの取り外しがあったと考えられるため、査定も慎重なものになります。
また、損傷がひどい場合は事故車扱いされるケースもあります。
例えば、衝突による損傷が原因でドアやリアバンパー、ライトやバンパーを交換した場合です。
また、飛び石で損傷したフロントガラスを交換した場合も、事故車になる可能性があります。
小さな損傷であれば、その理由が明確であれば事故車扱いになることはあまりないでしょう。あくまでも、「車の骨格部分が損傷したことがあるかどうか」が基準となります。
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事故車を買取に出す?出さない?3つの判断基準
事故を起こして修理した車の場合、「そのまま乗り続けるか」「買い取りや下取りに出すか」「廃車にするか」は悩ましいところです。
こうした場合の判断基準は人によってさまざまですが、主に次の3つが挙げられるでしょう。
思い出のつまった愛着のある「愛車」であれば、簡単には手放したくないものです。希少価値のあるものだったり長年メンテナンスを施してきたりした車であればなおさらです。
そうした車は修理して乗り続ける選択もあります。しかし、修理するとしても、安全に乗れる状態まで復元できるのかどうかは見極めが必要です。
修理を進める中で車の受けたダメージが想像以上に大きかったと分かったら、無理をせずに処分を検討しましょう。
安全性も重要なポイントです。事故の規模や内容によっては、見た目からは分からないような重大な損傷や欠陥が内部で起きている可能性もあります。
特にエンジン系統や駆動系に影響がある場合は致命的とも言えます。こうした事故の影響は、例えば「オイル漏れ」といった修理後しばらく時間が経ってから表れてくることがあります。
事故車は専門の業者にきちんとみてもらい、不安が残るなら無理せず処分するのが妥当でしょう。
エンジン系統や駆動系に大規模な修理が必要な場合、その費用は100万円を超えることもあります。
もしも事故に遭った愛車を修理して乗り続けるのであれば、まずは修理費用の見積もりを出してもらいましょう。
この場合は、保険が利くかどうかも大きな問題になってきます。修理に使った場合はその後の掛け金の値上げも想定してください。
修理費用に保険の掛け金と想定されるコストを把握してからでも、決断するのは遅くありません。
事故車は売れるの?
日本製の中古車は、国内で売れなくても海外では人気があり、大きな需要があります。また、車を解体して無傷のパーツを売ることで利益を上げる業者もあります。
このような販売ルートがあるおかげで事故車にも値段がつくようになっています。
事故を起こした車でも、中古車買取店で買い取ってもらうことができます。
ただし、一般的な買取店では事故車というだけで拒まれたり、価格がつかなかったり、処分のため逆に費用がかかったりするケースもあります。こうしたお店は、買い取った車を中古車のオークションに流すので、自走できない車は敬遠されがちです。
そのため、事故車に強い専門の買取店を探すようにしましょう。そういったお店は海外輸出や解体した上での売却という独自の販路を持っています。
事故車に強い専門の買取店は、海外へ輸出販売するノウハウを持っているところもあります。
日本では事故車と言うと「縁起が悪い」という印象があって敬遠されがちですが、海外では日本製の車で自走できるのであれば需要がある国も多いです。
こうした買取店では、年式が10年を過ぎている車や走行距離が10万キロを超えているものでも高値買取が可能です。
いずれも日本では「寿命」と言われる数字ですが、海外では20万キロや30万キロ乗られることもあります。
また、車を解体して無傷のパーツだけを売却する「部品取り」で利益を上げる業者もいます。完全に自走できなくなった車や修理しても修理費のほうが高くつくような場合は、このやり方になるでしょう。
修復歴がある「事故車」の買取額が下がるのは、修復したことで車の走行に悪影響が出るからです。
一方で、修復歴がついてからある程度の期間故障もなく乗ることができたなら、比較的高値がつくこともあります。修復車でも、安全に使えることが確認できれば、その点を考慮して査定してもらえるでしょう。
車の骨格部分は完全な修復が難しいとはいえ、修復がしっかり行われることで、走行にも影響がないケースもあります。しかし、それは実際にある程度の期間運転してみないと分からないことです。
また、しばらくの間故障しなかったからと言って買い取ってみたら、その直後に故障が発生する可能性もあります。そのため、修復車が普通には買い取られにくいことには変わりありません。
しばらくの間、無事に走行できたのであれば事故車の中でも比較的リスクが少ないと見なされるので、査定金額が割り引かれにくくなるということです。
事故車だと査定額はどのくらい下がるの?
車を中古車として売る場合、故障している箇所があれば前もって修理しておいたほうが高値がつきそうだと考える方もいるでしょう。しかし、車の安全性に関わるような大きな損傷の場合は、そう単純ではありません。
まず、そのような大きな損傷がある車は、修復していようがいまいが無傷の中古車に比べれば大幅に価値が下がります。
後はその修復によって安全性が確実なものになったと言えるかどうかで、値段の付き方が変わってきます。
事故後、すでに修復した車は査定に出したら少なくとも5万円~10万円は下がると考えたほうがいいでしょう。それ以上の査定ダウンの可能性もあります。
また、査定の時には修復したのがどの部分なのかを具体的に伝える義務がありますので、ごまかさないようにしてください。
もし隠したままで査定に出しても、修復があったことが発覚すれば、どのみち査定額は下がってしまいます。
事故後に修復していない車の場合、査定額は10万円以上ダウンすると考えたほうがいいでしょう。
事故車は海外輸出が可能だと言っても、輸出前に修理が必要です。そのため、査定額からは修復費用分が差し引かれることになります。
買取金額を上げるために前もって修理してから査定に出す方もいますが、買取金額が修理費用を上回るという保証はありませんので、おすすめはできません。
修復するのであれば、修復後数ヶ月ほど運転してみて、安全性に全く問題がないことが確認できてから査定に出すことをおすすめします。
しかし、結局故障する可能性もありますし、店側もそれで安全性を認めるとは限らないので、その点は頭に入れておきましょう。
車を運転していれば、丁寧に扱っていても微細な傷やへこみなどはついてしまうものです。また、ステッカーを貼っている場合はその痕が残ることもあります。
これらは査定額にそれほど大きく影響しません。せいぜい1万円~3万円下がる程度でしょう。
もちろん、こういった傷や汚れは少ないに越したことはなく、市販の研磨剤などで修復してから査定に出すのもひとつの手です。事故車でも、こういった点に注意すれば買取価格がアップすることもあります。
ただし、慣れていない方が下手に修理すると、かえって外観がおかしくなり査定額が下がることもあります。
かと言って業者に修理を頼めば買取金額よりも修理費のほうが高くつくかもしれないため、難しいところです。
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「事故車に強いお店」に買い取ってもらおう
事故車を買い取ってもらうなら断然、事故車に強い買取店がおすすめです。
では「事故車に強い」というのは具体的にどういうことなのでしょうか?
また、普通の中古車買取店やディーラーでは、なぜいけないのでしょうか?
以下で詳しく説明します。
事故車を専門とする買取業者の場合は、普通の中古車買い取りを行っているところも多く、幅広い目線から車の状態を見てくれます。
また、海外に販路を持っている場合は、より有利に価格をつてくれることでしょう。
業者によっては買い取った車両をそのままオークションに出品するなどします。大手の買取店の場合は自社でオークション運営を行うなど、独自の販売網を持っているという点が強みです。
廃車専門の業者の場合は、事故車の中から再利用できそうなパーツを集め、独自の販路で利益を上げています。「事故車に強い」と言えるのはこういったタイプの業者です。
意外と事故車にもしっかりした販売ルートがあることが分かるでしょう。
愛車が事故に遭遇したのをきっかけに、新車を購入することもあるでしょう。その場合、購入の流れでディーラーに下取りを依頼する方も多いかもしれません。
しかし、ディーラーが下取りの対象車として想定しているのは、あくまでも「自走可能な車」です。自走できない事故車を引き取ってもらうとなると、レッカー代や廃車のための手続き費用を請求される可能性もあります。
新車の購入と事故車の引き取りが同時に行えるのはメリットですが、利益面で考えると、ディーラーに引き取ってもらうのは得策とは言えません。
人によっては「お得意様なので費用はサービスします」という風にしてもらえる場合もありますが、あまり期待しないほうがいいでしょう。
自走することができなくなった車や修復歴のある車など、問題のある車の買い取りに対応していない買取店も多くあります。
そうしたお店に買い取りを依頼しても、買取金額はタダ同然になるかもしれません。タダ同然ならまだいいのですが、ディーラーと同様にかえって費用がかさむ可能性もあります。
費用がかかるなら買い取りに出す意味がなくなるので、例えば自宅の近くにあるというだけの理由でそのへんの業者に安易に買い取りを依頼するのはおすすめできません。
買取業者にもそれぞれの強みがあり、事故車は不得意でも特定の車種なら慣れているなど、得意分野は千差万別です。
事故車だからと簡単に諦めずに、事故車に慣れている買取店を探してみましょう。
事故車でも相見積もりをしよう
事故車をできるだけ高値で売る方法として「相見積もり」があります。
相見積もりとは、複数の買取店に査定額の見積もりを出してもらうことです。そうすれば査定額の比較検討ができるので、より有利なお店を選べます。
買取店もいろいろで、中には「事故車には強くないが、買い取りはしてくれる」というお店もあります。しかし、それなら事故車に強いお店のほうがお得です。
こうした場合に「相見積もり」を取ることで、高値買取が可能な業者を見つけ出すことができます。
どの買取店に売却するかによって買取価格に大きな差が出ることがあるので、お店探しは慎重にしたいところです。
しかし、事故車には明確な買取相場がないので、知識がない方が査定価格の妥当性を判断するのは難しいでしょう。
そこで複数のお店に査定を依頼すれば、「相見積もり」として査定金額を比較検討できるので、妥当性はともかく最も高値のついたお店を選べます。
この場合、買取店は3~5社くらいに絞るのがおすすめです。
査定を依頼するのが1社だけでは比較できないのはもちろんですが、2社に依頼して価格差が極端だった場合、どちらか適切なのか迷うかもしれません。査定価格がむやみに高い場合も警戒する必要があります。
逆にあまりにたくさんのお店に査定を依頼すると、対応が大変になり割に合わない事態になることも考えられます。
手間や時間を考えると3~5社が最もバランスが良く、ローリスクハイリターンを狙えます。
複数の業者から1社だけを選ぶ際、きちんと見ておきたいのが「お店の雰囲気と店員さんの対応」です。
接客対応やお店の状態・雰囲気は、良質な業者とそうでない業者を見分ける大切なチェックポイントです。
業者の中には、後で難癖をつて買取金額を割り引こうとしたり「押し買い」のような形で無理に買い取ろうとしたりする業者もいます。
店員さんとのやり取りの中で、「なんだか変だな…」と感じるところがあったら注意しましょう。