不要な車の処分方法は大きく分けて「売却」「下取り」「廃車」「個人売買」の4つがあります。どの方法もそれぞれ特徴があり、手続きにかかるコストも異なります。
ここでは、どんな場合に車の処分を検討すべきかを解説してから、改めて上記の処分方法の特徴を詳しく説明していきます。
不要な車を処分する方法は?
不要な車を処分したい場合、どんな方法があり、どの方法を選べばいいのか疑問に思うかもしれません。
ここでは、不要な車を処分する方法全般について解説していきます。中古車の買取業者あるいはディーラーに引き取ってもらう方法や廃車手続きの流れ、また車を処分する前に別の手続きが必要になるケースなどを見ていきましょう。
車の処分を検討すべきケースについて
最初に車の処分を検討すべきケースとして、どのような状況が考えられるのかを見ていきましょう。
高齢化が進む中、運転免許証を返納する方が増えています。返納した以上は車も無用の長物となるので、処分を検討する理由になりえます。
また、車を手放すことで年間で数万円にも及ぶ、自動車税や自動車保険、車検の費用が節約できるという経済的メリットもあります。
引っ越してから車を運転することがなくなった場合も車の処分を検討する理由として考えられます。
例えば、それまで地方に住んでいて移動には車が必須だったものの、転勤で公共交通機関が充実している地域に引っ越した場合などです。
公共交通機関が充実していると、通勤・通学で車を使う必要がないこともあるため、所有している車によほど愛着がなければ処分を検討してもよいでしょう。
万が一、車が必要になったとしても、レンタカーやカーシェアリング、タクシーなどで事足りることも多いです。
こうした自動車利用サービスや公共交通機関を使うと、お金がかかるので急に車を処分するのは勿体ないと感じるかもしれません。しかし、そもそも車を保有していると、自動車税や自動車保険、車検などで毎年数万円の支出が発生します。
また、メンテナンス代や燃料代なども必要となります。こうした年間の維持費とたまにしか使わないレンタカーなどの利用料を比較すれば、どちらが高くつくかは明らかです。
故障などの理由で動かなくなった車を保有していると、所有しているだけでコストがかかります。また、車は長期間放置しているだけでも部品の老朽化が進むため、できるだけ早めに手放すことを検討しましょう。
動かない車を放置しておくと、それだけで駐車場や庭先などのスペースを占有することになります。また、車は所有しているだけでも年間の維持費で何十万円もかかるため、経済的な負担になるでしょう。
なお、車をしばらく使わないけれど、また乗る予定という場合は、後述する「一時抹消登録」を行うことで自動車税や車検代を節約できます。ただし、定期的なメンテナンスは必要ですし、公道を走ることができなくなる点はデメリットです。
車が動かせない理由としては、故障以外にも自動車税の滞納や車検切れ、自賠責保険切れなどの理由が考えられます。
いずれにしても、動かない、動かす理由がない、動かさなくても生活に支障がない場合は、車を処分したほうがいいでしょう。
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車を処分する方法について
ここからは、車を処分する方法について、「買取店に売却する」「ディーラーの下取りに出す」「個人売買で譲渡する」「廃車にする」という4つの選択肢を詳しく解説していきます。
売却する場合は、専門の買取店やディーラーなど、どの業者に買い取ってもらうかによって価格が変わります。
故障した車を処分するなら、廃車にすることを検討してもよいでしょう。
車を処分する方法は、廃車手続きやオークション出品などさまざまなものがありますが、中古車の買取専門店に買取を依頼するのは最もリスクの少ない選択肢だと言えます。
査定・買取・引き取り・名義変更の手続きを一貫して行ってくれるので、処分にかかるコストも抑えられます。
こういった買取店による買取額は市場価格や車の状態によって異なりますが、相場よりも高く買い取ってくれることも少なくありません。また、買取手続きが完了すれば代金が速やかに支払われる点も魅力です。
買取を依頼する場合は、買取額を比較するために3~4社程度に査定してもらうことが大切です。また、業者選びに関しても信頼性の高い業者を選ぶことで中古車売買に関するトラブルを避けることができます。
中古車の買取専門店には、自社サイトアプリを利用して簡単に査定申し込みができるものもあります。こうしたサービスを使えば、自宅にいながら複数の業者へ査定申し込みができるため、手軽で便利です。
新車を買う流れでそれまで乗っていた車を処分するのであれば、購入と同時に下取りに出す選択肢もあります。
下取りとは、ディーラーに車を買い取ってもらい、新しい車の購入代金から買取額の分だけ差し引く方法です。
一般的に、売却・廃棄のどちらにしても手間やコストがかかります。しかし、下取りなら新車への買い替えを行う流れで車両を引き取ってもらえるので、車の購入と処分の全ての手続きをまとめて済ませられます。
売却にかかる手数料や手続き費用などがかからずに済むのは、大きな利点でしょう。
ただし、それだけに車の実質的な買取価格は市場価格よりも安くなることが多いです。
下取りの場合も、中古車の買取店に売却するのと同様に車の状態によっては引き取ってもらえないこともあります。そのような場合は、車の処分だけはディーラーに任せずに別の買取業者を探してもよいでしょう。
車を処分する方法として、個人間での譲渡(売買)も挙げられます。親戚や友人への譲渡、ネットオークションの利用などが代表的な方法です。
個人間での譲渡(売買)の特徴は、業者に売却した場合にかかる手数料などが節約できることです。
しかし、売買契約書や譲渡証明書の作成、名義変更手続きなどの手続きを自分でやらなければなりません。さらに、様々なトラブルが発生するリスクもあるため、細心の注意を払って手続きを進める必要があります。
事故車や不動車などは、一般的な中古車の買取店では、ほとんど値段がつかないことも少なくありません。こうした車のほか、大きく損傷してしまい再利用も売却も難しいという車を処分するなら、完全に廃車にしてもよいでしょう。
こうした場合は、自動車解体業者を利用するのがおすすめです。解体業者は廃車を引き取ってパーツごとに値段をつけて買い取ってくれるので、車両全体としては値段がつかないような車でもある程度の金額で買い取ってくれることもあります。
廃車にする場合は、車両の引き取りや解体、リサイクル処理などの手続きが必要になります。また、廃車にするのとあわせて自動車保険の解約手続きを行わなければなりません。
完全に廃車にするのは手続きがやや煩雑なものの、車の処分方法としては最も簡単で経済的なやり方だと言えるでしょう。後述しますが、廃車手続きは自分でやることも可能ですし、手続き代行業者や廃車買取店の担当者に任せることもできます。
廃車する場合の方法
次に、車を廃車する方法について解説します。
廃車手続きには2種類あります。また、自分で手続きを済ませることもできますが、代行業者などに依頼するとことも可能です。
以下で詳しく見ていきましょう。
車の持ち主が自分で手続きをすることも可能ですが、代行業者や廃車専門の業者などに依頼することがほとんどです。
車を廃車にする場合は、2つの選択肢があります。
一定期間だけ廃車にして、しばらくしてから再び車を使えるようにするなら「一時抹消登録」の手続きをしましょう。
今後二度とその車に乗る予定がなく、解体処分することを前提としているなら「永久抹消登録」の手続きが必要です。
車の廃車手続きを自分で行う場合は、管轄の運輸(支)局に行き、申請するという流れになります。
その際に必要な書類は以下の通りです。
- 車検証
- 印鑑証明書
- 本人確認書類(運転免許証)
- 車の前後のナンバープレート など
その後、書類の記入や手数料を支払い、指定の解体業者を選んで、車両を引き取ってもらいます。廃車手続きが完了したら、自動車税や重量税などの還付申請を済ませましょう。
この全体的な流れは、一時抹消登録も永久抹消登録でも共通しています。
ただし、永久抹消登録の場合は事前に解体業者から車の解体証明あるいは使用済自動車引取証明書をもらっておき、その他の必要書類と一緒に運輸(支)局へ持参する必要があります。
車を廃車する場合、手続きを代行してもらうことも可能です。代行手数料を支払うことで、一般の自動車販売店や自動車修理工場などに任せることができます。
手数料を取られるとはいえ、こうした販売店には手続きを専門的に行うスタッフが在籍しているため、煩雑な申請処理を代行してもらえるのは大きなメリットです。
素人が手続きをすると書類の不足などで二度手間になる恐れがありますが、こうしたミスも防げるでしょう。
また、法律関係の手続きの専門家である行政書士に依頼することも可能です。行政書士なら、廃車手続きに必要な書類上の業務だけで数千~1万円程度で代行してくれます。他の業者の手数料と比較して依頼先を決めるとよいでしょう。
廃車手続きは運輸(支)局で行いますが、同局の営業は平日の日中に限られます。そのため、昼間働いていると自分で手続きをするのは難しいかもしれません。そんな時に代行業者は頼もしい存在と言えるでしょう。
廃車専門の業者に車を売却すれば、その流れで廃車手続きも代行してもらえます。
廃車手続きの必要書類は、車検証や自賠責保険証、自動車税納税証明書などが挙げられますが、これらが揃っていれば、あとの手続きは任せて大丈夫です。
廃車専門の業者に売却することで、代行業者に依頼する場合と同様に、自分で手続きを行う手間や時間を省くことができます。手続きの正確性についても信頼できるので安心です。
廃車の解体業者の中には、無許可営業の悪質な業者もあるので注意が必要です。
悪質業者は、誇大広告をうって注目を集め、結果としてリサイクル料金を水増しして請求するなどの不正を行うことがあります。
依頼する業者は慎重に選ぶようにしましょう。
車を処分する前に手続きが必要なケースとは?
最後に、車の名義人が異なっている場合や亡くなっている場合は、処分する前にどのような手続きが必要になるのか詳しく説明していきます。
また、無車検車や未納の税金がある場合は、どうすればいいのか見ていきます。
車の名義が実際の持ち主と異なっている場合は、名義変更(移転登録)の手続きを済ませないと車の処分ができません。
車の名義が購入時にお金を出してくれた家族のものになっていたり、ローンで購入したことから名義がローン会社になっていたりといったケースが該当します。
名義が家族のままだった場合は、名義変更の手続きも比較的簡単です。しかし、ローンで購入した車の場合、ローンを全て返済しないと名義変更ができないなどの制限があるので注意が必要です。
車の名義人が死亡している場合は、勝手に車を処分することはできません。こうした場合は、原則として遺産分割協議書によって誰が車を相続するのかを決めてから、改めてその相続人に名義を変更したのち処分の手続きを進めるという流れになります。
ただし、様々なパターンがあり、その車は普通自動車なのか、軽自動車なのか、その車の価値は100万円以下か、相続人はその車を運転する機会があるのか、などによって手続きの手順や必要書類が異なってきます。
自分の場合はどのような手続きが必要になるのか、確認して臨みましょう。
処分したい車が無車検車や無保険車(自賠責保険に未加入の車)の場合、そのままでも売却や廃車手続き自体は可能です。
ただし、無車検あるいは無保険のままでは公道での走行は認められていません。もしも運転すれば法律違反となり、免停や懲役刑・罰金などを科せられるでしょう。
そのため、処分するにあたって移動手段を検討するか、あるいは車を移動せずに処分する方法を考えなければなりません。買取業者によっては、出張引取やレッカー移動のサービスを提供していることがあるので調べてみましょう。
自動車税が未納の車は、車そのものは売却・廃車することが可能ですが、既に発生している未納分は必ず納めなければなりません。また、未納の状態が2年以上続くと「嘱託保存」という差し押さえに近い状態になり、廃車ができなくなります。
自動車税は、一度課税されてしまうと車がその後廃車になったとしても納税義務は残ります。その車を現在所有しているかどうかは関係ありません。
未納の状態が2年以上続くと車が「嘱託保存」という状態になり、税務署から差し押さえを受けたのと同じような状態になります。車を廃車できるようになるのは、未納分を納税して嘱託保存の状態が解除されてからです。
そして、売却する場合は自動車税が未納だと納税証明書が存在しないことになり、売却に伴う名義変更手続きができません。そのため、買取店から引き取りを断られるケースがほとんどで、仮に売却できるとしても、自動車税の税額分は査定額から差し引かれるでしょう。
未納の反則金がある場合も、車そのものを売却・廃車にすることは可能です。しかし、手元に車がなくなっても反則金の支払い義務だけは依然として残るので、必ずどこかの時点で支払わなければなりません。
反則金とは、交通反則通告制度という制度に基づいて、軽微な部類の交通違反行為に対して課されるものです。これが課されると納付書が自宅へ送付され、期日までに支払わないと延滞分が加算されていきます。
車が交通違反を犯したことや反則金を課されたという事実は、運輸(支)局で廃車や名義変更の手続きには特に関係しません。そのため、車を手放す手続きをしようがしまいが、反則金は支払う必要があります。
交通違反を犯した際に乗っていた車を手放したからと言って、反則金を支払わずに済むわけではありません。むしろ支払わないまま放置することで金額がどんどん膨れ上がっていくので、未納の反則金がある場合は速やかに支払うようにしましょう。
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