フロントやバックガラスにステッカーが貼ってある車をよく見かけるという方は多いかもしれません。他の自動車と区別するためにステッカーを貼ったり、気に入ったデザインを愛車にも取り入れたりという理由であったり目的はさまざまです。
自分が使っている時には問題がないステッカーでも、車を売却するために査定を受ける場合はどうなのでしょう?
この記事では、車の査定の時にステッカーがどのように判断されるのかについて紹介します。ステッカーを貼っている方に、査定前に確認してほしいこともまとめているので、チェックしてみてください。
ステッカーが貼ってある車は査定が下がることがある
車のステッカーにはさまざまなものがあります。お気に入りのチューニングブランドのロゴやマークを貼ったり、好きなキャラクターを貼ったりして楽しむ方も多いでしょう。
ステッカーやシールは車で個性を演出したり、愛着を持ったりするにも便利なツールです。しかし、車の査定を受ける時には残念ながら車のステッカーはプラスで評価されることは、あまりありません。
ステッカーを貼っていないノーマル車と比較すると、査定価格は下がってしまう可能性があります。
車のステッカーは再販売するときに影響がでる
ステッカーやシールは、オーナーの好みや個性を演出するアイテムです。しかし、車を販売するという観点に立つと、前のオーナーの個性や好みが反映されていること自体がプラスにはなりません。
販売する時には、できるだけノーマルの新車に近い状態が喜ばれます。オーナーにとってのドレスアップであるステッカーやアレンジは、幅広い顧客層に受け入れられるものではありません。
そのため、買い取りをした業者は買い取った車のステッカーやシールを剥がして、多くのユーザーに好まれるようにします。販売する前に車からステッカーやシールを剥がす手間がかかる分、査定額から差し引かれてしまうでしょう。
ステッカーやシールを貼るのは、愛車を飾るためとは限りません。例えば、傷や汚れを車につけてしまった場合に、隠すためにステッカーやシールを使う場合があります。
当然ではありますが、傷や落ちない汚れは査定でもマイナスです。ステッカーやシールを上から貼っていてもごまかせるわけではありません。
また、ステッカーを貼ることで、「傷が隠れているのでは?」と疑われる可能性もあります。傷がないか確かめるためにステッカーを剥がす手間もかかるので、査定額の点でマイナスに評価とされてしまうでしょう。
ステッカーによって自動車の車体自体にも影響を与えることがあります。車は走行中と、場合によっては保管中も紫外線の影響を受け続けます。
しかし、ステッカーを貼った部分の車体は紫外線がステッカーで遮断されるため、紫外線の影響をあまり受けません。すると、紫外線を浴びた部分と、ステッカーが貼られている部分で塗装の変色や日焼けの具合が変わってしまいます。
つまり、ステッカー部分だけ守られることで車体と状態の差ができてしまうのです。車の使い方や保管されている環境によっても違いはありますが、塗装面で色が違う部分が目立ってしまえば査定に影響を与えてしまいます。
どうしても変色が目立つ場合には、補うための塗装をおこないますが、その費用は査定額から差し引かれます。また、全体を均一の色合いにするには全面を塗装することになるので塗装費用も大きくなってしまうでしょう。
塗装にかかる費用や手間を差し引かれるため、査定額は大きく下がってしまいます。
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ステッカーの種類について
ステッカーと簡単に言っても、その種類はいろいろあります。またステッカーごとに目的があるため、中には剥がしてはいけないステッカーもあります。
普段何気なく見ているステッカーですが、どのような役割を果たしているのか確認しておきましょう。
見慣れているものの、意識しにくいのが車検日を示すステッカーでしょう。
車検日を示すステッカーはフロントガラスに貼られています。正確には「検査標章」と呼び、車検後に保安基準に適合した時に車検証とともに交付されます。
このステッカーには、車検証の有効期限の満了する日が記載されていて、貼ることが義務です。
車検切れの車で走行すると罰則があるほか、大きな事故につながることもあります。外側から見てステッカーの大きな真ん中にある大きな数字が月、小さな数字が年を表しているので車検が切れていないか確認するようにしてください。
車検は前回受けた工場などから案内されることもありますが、自分でも有効期限を把握しておくためにステッカーを確認するようにしましょう。
車検と同様にフロントガラスに貼られているステッカーが点検日を示すステッカーです。
車検と同様に点検を受けると「点検整備済みステッカー」が交付されます。
点検日のステッカーは丸いダイヤル型で、真ん中の数字が次回点検を受ける年、周囲のダイヤルの数字で月がわかります。色は青、赤、緑、オレンジで、12ヵ月ごとに順番に変わります。
車検ステッカーは、貼ることが義務付けられていますが、点検ステッカーは貼らなくても罰則はありません。しかし、愛車のメンテナンスのため、査定時に最後にいつどこで点検を受けたかを証明するためにも重要なステッカーです。
安心安全を示すステッカーなので、できるだけ貼っておくことをおすすめします。
車庫証明のステッカーは正確には「保管場所標章」と呼ばれています。
ごくごく限られたケースを除いて、登録車は保管場所を確保しなければいけません。大抵の地域では保管場所が登録されていないとナンバープレートもつけられず、公道を走ることができないようになっています。この保管場所があることを示すのが車庫証明のステッカーです。
このステッカーには、町村名のように保管場所が記されていて、内容も違います。車庫法では、保管場所標章の交付を受けた者は、その自動車に保管場所標章を表示しなければならないと定められています。
つまり、車庫証明のステッカーも車検証と同様に貼ることが義務です。
しかし、表示義務はあるものの、表示しなかった時の罰則はありません。そのため、貼らないという方もいますが、検問等で警察の指導を受ける場合もあり、愛車にとって大切な情報でもあるので貼ることをおすすめします。
車によってはエコカーであることを示すステッカーが貼ってある場合もあります。燃費基準達成や低排出ガス車のステッカーは、自動車販売店頭で見かけたことがある方も多いはずです。
このステッカーは、エコカー減税の対象であることを示すといった役割がありました。しかし、法律上では貼っていても貼らなくても良いもので、ステッカーがなくても税制面の優遇は同様に受けられます。
これらのステッカーは、現在メーカーが順次廃止しているので、見かける機会も減っていくかもしれません。
趣味等でステッカーを後づけする方も多くいます。趣味のキャラクターやデザインを貼るほか、「Baby in the car」といった周囲に情報を伝えるステッカーを貼る方もいるでしょう。
趣味でどんどん増やしたくなってしまう方もいるかもしませんが、ステッカーを貼っていい場所は決まっています。
例えば、フロントガラスには、検査標章や故障ステッカーといった限られたものしか貼れません。運転席と助手席サイド等、運転席からの視野を妨げる場所にも制限があるので注意してください。
すでにステッカーを貼ってしまった場合
査定を気にするのであればステッカーは貼らないに越したことはありません。しかし、すでにステッカーを貼ってしまった場合は、剥がすしかありません。
ただし、ステッカーを力づくで剥がそうとすれば、傷や剥がし残しの原因になります。また、剥がしてはいけないステッカーもあるので注意が必要です。
傷を隠すためにステッカーを貼っている場合は、査定前に伝えておくようにしましょう。
ステッカーを剥がす時には、必ず粘着部分を柔らかく、剥がしやすくしてから行ってください。ピッタリとくっついたステッカーを無理矢理剥がすとシールがちぎれたり、中途半端に残ってしまったりします。
無理矢理剥がそうとしたことで、傷がつくこともあるので慎重に作業を進めましょう。
ステッカーが貼ってあると査定が下がってしまうと聞くと、全てのステッカーを剥がさないといけないと思うかもしれません。しかし、ステッカーの中には剥がしてはいけないものもあります。
代表的なものは、車検のステッカーと車庫証明のステッカーです。これらは表示が義務付けられているので、絶対に剥がさないようにしてください。
特に車検のステッカーは、剥がして公道を走行すると500,000円以下の罰金が科せられることがあります。また、点検日を示すステッカーも残しておくようにしましょう。
低燃費・低排出ガス認定ステッカーを示すステッカーも貼っていても査定でマイナスにはなりません。むしろ、無理矢理剥がして跡が残ると査定でマイナスになることもあるので、そのままにしておくことをおすすめします。
車に傷がついていたり、へこみがあったりすると査定に響くと思ってステッカーを貼る方もいるでしょう。しかし、査定する場合には全ての傷やへこみをくまなくチェックするため、極度に神経質になる必要はありません。
車の傷やへこみが査定に影響するかどうかはその大きさや傷の種類によって違います。爪が引っ掛からない程度の浅い傷であれば、ほとんど影響しないため、無理に隠そうとしない方が良いです。
傷を隠すためにステッカーを貼っていると、後から傷があるとわかった時の査定士の心象は良くありません。加えて、ステッカーを貼ることによって、変色したり別の傷ができたりすればその方が査定に影響してしまいます。
傷やへこみがある場合には、正直に査定士に伝えましょう。ステッカー等を使ってごまかそうとするのは避けてください。
ステッカーを剥がす方法
ステッカーを剥がすといっても、家具や家電のシールを剥がすのとはわけが違います。必ず手順を確認して失敗がないようにしてください。
ステッカーを剥がす方法についてまとめました。いくつかあるので道具や洗剤等準備しやすいものから試してみましょう。
ステッカーを剥がす時に、最も手軽な方法の一つが専用の剥がし液を使うことです。
ステッカー剥がし液は、カー用品店以外にもDIYショップや100円ショップでも購入可能です。
店頭でよく見かけるステッカー剥がし液は「リキッドタイプ」と「スプレータイプ」に分かれています。リキッドタイプは液を直接塗布して、スプレータイプはスプレーして使います。
どちらを使っても問題はありません。ステッカーを浸すようなイメージでたっぷりと浸透させてから剥がしてください。
ステッカー剥がし液は粘着部分を浮かせて剥がすようになっているので、丁寧におこなえば車体に跡がつきにくい点もメリットです。
ステッカーの粘着部分は、温めると粘度が下がっていく性質があります。つまり、温めることによってステッカーは簡単に剥がせるようになるということです。
ステッカーのように一部だけを温めるのであれば、ドライヤーが便利です。ドライヤーの温風をステッカーに吹きかけて端からゆっくりと剥がしていきましょう。
温めることでステッカー自体もちぎれにくくなるので、つるんと剥がしやすくなります。
ステッカーを剥がすために特別な洗剤や道具を用意したくないという場合には、家にある「中性洗剤」で試しましょう。
台所用の中性洗剤であれば食器洗いになります。どのご家庭でも用意しやすいはずです。
使い方は、食器洗いとほとんど変わりません。水で濡らしたスポンジに中性洗剤をしみ込ませてからステッカーに洗剤をつけていきます。
ただし、食器洗いのようにごしごしと擦ってはいけません。中性洗剤を浸すようにして15分ほど経ってから、剥がしてみてください。中性洗剤がステッカーの粘着部分にまで浸透して、粘度を落としてくれます。
中性洗剤は触るとツルツルとしているため、剥がす時にも潤滑油のような役割を果たします。作業時は手を滑らせないように気を付けましょう。
トレーサーは、回転しながら消しゴムのような感じにステッカーを剥がすことができるアイテムです。円盤状のゴム製品で、電動ドリルに取り付けて使います。
こそげとるように削って落とすスクレーパー等では力が入ってしまい車体を傷つけてしまう恐れがありますが、トレーサーは優しく削って落としたい時に使われます。
ただし、ステッカーを削り落とすこと自体は変わりません。うっかり削りすぎたり、斜めにあててしまったりすれば車体を傷つけてしまいます。
また、カラーリングに樹脂を使っている車の場合は、その樹脂を削ることで、塗装が剥がれやすくなってしまうので慎重に作業しましょう。
「ステッカー剥がし液を用意できない」「急いでステッカーを剥がしたい」といった場合に使われる方法がお湯をかける方法です。
ステッカーにたっぷりとお湯をかけてふやかしてから、ゆっくりと剥がします。温かいお湯をかけることで、粘着部分を浮かせて剥がしやすくできます。
ただし、ある程度熱いお湯でないと粘着部分の粘度は下がりません。お湯を扱う時にはやけどをしないように慎重に行いましょう。
また、車のボディが冷え切ってしまう冬は、お湯をかけてもすぐ冷めてしまってなかなか剥がせなくなります。気温が低い時には、他の方法を検討した方が良いかもしれません。
ドライヤーよりも強力な温かさが欲しい時に使うのが、ヒートガンです。ヒートガンは熱風をあてることによって、接着したり乾かしたりする時に使う道具です。
ヒートガンは、ホームセンター等で購入できます。ドライヤーよりも強力な熱が出るので、ドライヤーで剥がれなかった時には、ヒートガンを試してみてください。
特に冬のように気温が低い季節は、ドライヤーやお湯で温めてもボディがすぐに冷えてしまいますが、ヒートガンなら短時間で熱を送ることが可能です。ヒートガンの中には、溶接に使えるような高温が出るものもあります。
適切な温度以上の熱を送ると、塗装にダメージを与えてしまうので調節しながら使ってください。ヒートガンを使う時には、慎重にステッカーと車体の状態を確認しながら作業を進めましょう。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
ステッカーを剝がしにくい場合はそのまま査定に出そう
ステッカーは慣れていない人が剥がすと、傷をつけてしまったり、貼り付けた跡が残ってしまったりすることがあります。傷や跡が残ってしまえば、査定ではむしろマイナスになってしまうかもしれません。
ステッカーを剥がす時には、慎重に作業するほか、剥がし跡がある時には、洗剤で丁寧に粘着部分を取り除きます。すぐに綺麗にしようとするよりも、根気強く時間をかけて作業を進めてください。
剥がし跡はコテやトレーサーでも除去可能ですが、それでも力をかけすぎたり、方向を間違えたりすれば傷の原因になります。作業に不安がある時には、ステッカーはそのままにして査定に出すのがおすすめです。
また、そもそも買った時点でいずれ転売する予定がある時にはステッカーを貼らないようにする選択肢もあります。個人の都合や趣味のステッカーは、査定でプラスになることはありません。
将来的に乗り換えたい気持ちがあるのであれば、ステッカー以外の部分で車を彩るように考えてみましょう。