排気ガスや黄砂、雨などの影響で汚れてしまった車より、洗車した後のきれいな車でドライブしたほうが気分がいいと感じる方も多いかもしれません。
洗車するしないは、オーナーである自分たちの気分次第です。しかし、車をきれいに掃除した状態で査定に出すと、買取額に影響を与えることがあります。
そこで今回は、愛車を買取査定に出す前に洗車や室内清掃をしておくべき理由について詳しく解説していきます。
車の買取査定と洗車との関係性を徹底追及!
車を単なる道具としてだけでなく、自分のステータスだと捉えるユーザーも多い国内では、外観や内装の美しさや清潔感も査定における大きなポイントの一つです。
そして、洗車や車内清掃をまめに行っていれば、車の美しさや清潔感を保つことができるため、買取査定において有利になるとされています。
ただし、買取査定の直前に洗車や車内清掃を行ったからといって、必ずしも査定結果に良い影響を与えるとは限りません。その点は、頭に入れておきましょう。
車の買取前に洗車・清掃をするメリット
定期的に洗車や車内清掃を行っていれば、頑固な汚れがボディに付着したり、嫌なにおいが室内にこびりついたりするのを抑制することができます。
洗車をまめに行っている車は、交通事故に遭遇する確率が減るとまで言われることもあります。
では、買取前の洗車や室内清掃には一体どのようなメリットがあるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
査定前に丁寧な洗車と清掃を行い、きれいな状態にしておくことで、査定士がその車を見た時に「普段からメンテナンスをしている」と好印象に思うかもしれません。
だからといって、いくら査定額が上がるかは数字に表すことはできませんが、その効果は案外大きいものがあります。
反対に車が汚いまま査定に出してしまうと、「普段からメンテナンスや管理が行き届いていない」と受け止められ、査定士はいつも以上に細かい点まで状態の確認を行います。すると、普段なら見逃してしまいそうなところまで、減点対象として加えられるかもしれません。
例えば、車体がきれいな場合は、ボディに入っている細かいキズやへこみを直接目で確認できるため、実際に入っているキズ・へこみ以上マイナス評価はしません。
しかし、車が激しく汚れていてそれを目で確認しにくい場合は、実際にはキズやへこみが入っていない状態でも、「年式なりに入っている」と仮定して査定は進みます。
そのため、愛車の状態に自信がある方ほど、査定前の洗車・室内清掃を念入りに行い、査定担当者に少しでも好印象を与えたほうがいいと考えられます。
いくら丁寧に洗車をして車の外見をきれいにしても、既に入っているキズやへこみが消えるわけではありません。前述した査定士に好印象を与えることによる効果は、余計な減額ポイントを増やさずに済む程度です。
一方、同じく減額ポイントになりえる「内装の汚れやにおい」に関しては、上手に室内清掃をすればかなり軽減できます。査定額が上がることはないものの、減額幅を抑えることは十分に可能です。
いずれにしろ査定前に洗車や室内清掃を行う目的は、加点ポイントの追加による買取査定額の底上げではなく、減額ポイントをいかにして少なくするかに尽きるでしょう。
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車の査定前に洗車・清掃を行うデメリット

「愛車の状態に自信がある方は査定前に洗車したほうがよい」と前述しましたが、場合によっては「逆効果」になってしまうことがあります。
洗車して表面がきれいになると、汚れで目立たなくなっていた細かい洗車傷などがかえって査定士の目に留まり、減額ポイントになってしまうかもしれません。
一方、洗車せず汚れたままの状態で査定を受けた場合、「年式なりに細かいキズが入っている」と予想したうえでの減額になります。
なお、査定士が見逃す可能性があるのは、あくまでごく細かいキズの話です。塗装面に至っているキズやへこみを伴うキズは、査定士もしっかりチェックします。
査定結果とは直接関係ありませんが、洗車や室内清掃にかかる時間や労力、そして何よりコストもしっかり計算に入れておきましょう。
そもそも中古車の査定は、年式なりの水垢や雨だれ、色あせや色剥げなどがボディにあり、室内にもにおいやシートのシミ・剥がれなどの使用感があるものとして進みます。
また、買い取った車は業者によって内装や外装を徹底的にクリーニングされるため、査定前の洗車が査定額に与える影響は良いものにしろ悪いものにしろ、ごくわずかです。そのため、洗車や室内清掃に時間・労力・費用がかかったとしても、それを取り戻す程の効果は期待できないかもしれません。
ちなみに、身近な存在であるガソリンスタンドに洗車と室内清掃を依頼した場合、合計で1,000円~2,000円の費用がかかります。もちろん自分で行うより当然費用はかかりますが、時間や労力をかけることなく、素人では行き届かないところまできれいにしてくれるため、利用するのも一考です。
買取前に洗車・清掃する時に気を付けること
ここまで、査定前に洗車するメリット・デメリットを挙げてきました。愛車の状況に合わせて正しく、そして賢く洗車をすれば、査定においてマイナスになることはあまりありません。
また、損得を抜きにして、これまでお世話になった愛車をきれいにしてから送り出したいという気持ちになる方も多いでしょう。
そこでここからは、査定前に洗車・清掃する時に注意すべきことを紹介していきます。
コーティングやワックスをかければ、ボディに洗車キズや小キズが入ったり、色あせ・色剥げなどが発生したりすることを抑制する効果が期待できます。
そのため、コーティングやワックスがかかっている車は普段から手を加えられている車だと評価され、査定担当者の心証がよくなるのは確かです。
ただし、それはメンテナンスの一環として、新車のころから定期的にコーティングやワックスをかけ続けている車の話です。買取査定前になって付け焼刃的にコーティング・ワックスをかけても、査定における効果は「細かい洗車傷などがやや見えにくくなる」程度でしょう。
コーティングやワックスを業者に頼むとそれなりの費用がかかります。また、DIYするにしてもなかなかの時間と労力が必要になります。そのため、査定前に普段していないコーティングやワックスをかけても、費用・時間・労力を上回るほどのプラス効果は見込めません。
むしろ、下手にコーティングやワックスをかけて拭き残しなどがあると、手直しにかかる時間とその手間がかかる分が減額されてしまう可能性もあります。
付け焼刃的なコーティングやワックスなら、しないほうが無難でしょう。
「できるだけきれいな状態で愛車を送り出そう」「担当者に気持ちよく査定してもらおう」という気持ちがある方も多いかもしれません。
しかし、それが空回りして必要以上にボディをごしごし磨いてしまうと、新たな洗車キズが入り査定額が下がってしまうこともあります。
特に、塗装面が柔らかくキズが入りやすい(目立ちやすい)とされているカラーリングが赤や黒の車や、細かい砂状の汚れが積もっている車は注意が必要です。
また、洗車傷はボディが熱せられると入りやすくなるため、洗車をする時は直射日光を避けましょう。柔らかいスポンジや泡立ちのよい洗車用シャンプーなどを利用するのも、洗車キズの予防・抑制につながるので、ぜひ試してみてください。
査定の担当者が「管理が行き届いていない」と悪い印象を持つ車の特徴は、目で見えるほどボディに黄砂が深く積もっていたり、泥はねがそのままにされていたりするような場合です。
そのため、外装に関しては極端な話をすると、こういった激しい汚れがついているならそれを洗い流す程度の洗車で構いません。
駐車場に止めているだけで当たり前につく軽い汚れなら、わざわざ洗車する必要はないでしょう。
むしろ外装より内装のほうが査定に与える影響は大きいので、ポイントを押さえておけば、かける手間や費用に見合う効果が出やすい傾向にあります。
査定前の洗車や清掃では、外装より内装を重点的に行うよう心がけるといいでしょう。
洗車のコツ・ポイント・注意点について
買取前に洗車や清掃をしたほうがいいのか分からないという方もいるかもしれません。
そこで最後に、洗車のコツ・ポイント・注意点などを時系列に沿ってもっと具体的に紹介していきます。
気合が入りすぎてごしごしとボディを洗ってしまうと、新たな洗車キズが入って査定額が下がることもあると前述しました。その発生を防ぐため重要になるのが「予備洗い」の実施です。
洗車キズが入る原因は様々ですが、砂などの粒状の物質が付着したままボディを洗うと、それが「磨き粉」の役目をして、塗装に細かい洗車キズが入ってしまうことがあります。
しかし、大量の水であらかじめ砂などを洗い流す「予備洗い」を行っていれば、自分で洗車する時はもちろん、セルフ洗車機を使用しても洗車キズが入りにくくなります。
また、予備洗いをする時間がなくて面倒だというぐらいなら、いっそのこと洗車自体しないか、目立つ汚れを洗い流すだけにしたほうがよいかもしれません。
なお、車に積もった砂などが多くて、自宅の水道の水量・水圧が足りない場合は、ガソリンスタンドやセルフ洗車場に設置されていることがある「高圧洗浄機」を利用するのも一つの手です。
予備洗い後のボディ洗車は自分でやっても構いませんが、忙しい時はガソリンスタンドなどに設置してある門型のセルフ洗車機を利用するのがおすすめです。
セルフ洗車機には様々な洗車メニューが用意されていますが、ワックスや撥水剤の塗布、下回り洗浄などのオプションを追加する必要はありません。「水洗い」や「シャンプー洗車」といった安いメニューだけで十分です。
ただし、自分で洗車をしたにしろ、セルフ洗車機を利用したにしろ、ボディが濡れたままの状態で長時間放置すると、水が残っていた部分に跡が残ります。
この跡はすぐに拭き上げさえすればとれるものですが、査定士によっては除去が困難な「ウォータースポット」がついていると勘違いされることがあります。
すると、せっかく洗車したのに査定におけるマイナスポイントになってしまう可能性があるため、洗車をしたらしっかりと拭き上げまで行うようにしましょう。
ノベルティやキャラクターものなど、個人的な趣味・趣向で愛車のボディやウィンドウにステッカーやシールを張り付けている車を見かけることもあるでしょう。
法令違反に当たらない限り、ステッカーやシールを愛車に張るのはオーナーの自由です。しかし、どれだけ貴重なものや思い入れがあるものであっても、査定においてはマイナス材料になるため、査定前にすべて剥がしておくことをおすすめします。
ステッカーやシールをきれいに剥がすのはなかなか難しいかもしれません。しかし、ドライヤーで温める、スプレー容器に入れたぬるま湯をかけてふやかす、市販のシール剥がしを使うといった方法を試せば、比較的簡単に剥がすことができます。
ライターの入れ替え用オイルをステッカーやシールにかけると、頑固にこびりついていても面白いようにすぐ剥がれますが、ライターオイルは可燃性のため取り扱いには注意しましょう。
なお、車検ステッカーや法定点検の実施を示すステッカーはもちろん、オイル交換時期を記したシールや環境・燃費性能を示す低排出ガスのステッカーなどは剥がさないようにしてください。
ボディにキズやへこみがついてしまうのと同じく、車内にある程度の汚れや使用感が残ってしまうのは仕方のないことです。そのため、それらが「年式なり」の場合は、査定の大きな減額ポイントになることもありません。
ただし、車内にしつこく残る「におい」だけは別です。タバコのにおいやペットのにおいが強く残っている場合、大きな減点材料になることがあります。
このうち、タバコのにおいは煙に乗って、いわゆる「ヤニ」として内窓や天井の壁にへばりつき、しつこく残ってしまいます。
このタバコのにおいを完全に除去するのは難しいですが、ガラスクリーナーや壁紙クリーナーを用い、内窓と天井のヤニ汚れを可能な限り落としてあげれば、多少はにおいが軽減されるかもしれません。
一方、ペットのにおいは汗や体毛、唾液や皮脂などとともにシートや床マットなどにこびりついています。
ペットが車によく乗っていた場合、掃除方法は以下の通りです。
- 掃除機で残っている体毛を吸い取る
- たんぱく質分解能力がある重曹を溶かした水に浸し、固く絞った雑巾で丁寧に拭きあげる
- 仕上げに消臭スプレーを吹きかける
上記の工程を行えば、ペットの特有のにおいは軽減されるでしょう。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
買取前の洗車はポイントを抑えて実施しよう!
ここまで説明してきた通り、車の買取査定において「洗車をしているかどうか」という項目はなく、いずれにしても大きく査定結果に影響を及ぼすわけではありません。
しかし、愛車の状況をしっかり把握し、その弱点を補う洗車・清掃を行えば、余計な減額ポイントを減らすことは十分可能です。
あくまでも費用をかけずに手早く行うことが前提ですが、時間と精神的余裕があるのであれば、「査定前の洗車・清掃はやっておいたほうがよい」と考えられます。
また、洗車・清掃と合わせて、その車の付属品(説明書や点検整備記録簿、純正部品など)を別途保管している場合は、査定前に用意しておくといいでしょう。