車の一括査定サービスを利用したものの、気が変わったり家族から反対されたりしてキャンセルを希望するケースも珍しくありません。しかし、車の査定後のキャンセルはできる場合とできない場合があります。

ここでは、キャンセルが可能かどうかを判断する基準や、キャンセルができない具体的な事例、またキャンセルできたとしても注意しておくべき点などを説明します。

業者ごとのキャンセル方法の分類も紹介しますので、参考にしてください。

車の一括査定はキャンセルできる?

車の一括査定はキャンセルできる?
買取業者ごとにやり方は異なるものの、基本的に車の一括査定はキャンセルすることができます。一括査定全体を取りやめることも可能ですし、個別の買取業者とのやり取りだけを取り消すのも自由です。

しかし、状況によってはキャンセルや契約解除が不可能なこともあります。

例えば、売買契約を結んでしまえば原則的にキャンセルをすることはできません。引き渡した車を返却してもらい契約を解除するには、それなりの理由やリスクを負う必要があります。

以下では、車の一括査定をキャンセルする場合に注意しておくべき点や、キャンセルできるかどうかの目安を説明します。具体的にどのような場合だとキャンセルができないのかも解説していきましょう。

車の一括査定のキャンセルに必要なこと

車の一括査定のキャンセルに必要なこと
一括査定をキャンセルする場合に心得ておくべきことは、速やかに連絡することと、キャンセルにはそれなりのリスクやコストがかかることの2つです。

以下で詳しく説明しますが、キャンセルを考えている場合は注意しましょう。

①一括査定サイトへすぐに連絡する必要がある

売買契約書を取り交わしてから車両を引き渡すと、一連の一括査定を利用した売却手続きは全て終了したことになります。

もしも、車両を引き渡した後に契約をキャンセルしたいと思ったら、できるだけ速やかにおおもとの一括査定サイトか買取業者へ連絡してください。

基本的に契約を交わした後は、もうキャンセルできないと考えたほうがいいでしょう。引き渡した車両も次の売却先が決まっていることがありますし、オークションに出品されている可能性もあります。

買取業者側でも、キャンセルの可能性をある程度見越して、契約書にキャンセル可能期間などの条項を設けていることが多くあります。

いずれにせよ、キャンセルするならすぐに連絡しましょう。

②売買契約後のキャンセルはリスクやコストがかかる

一括査定に限りませんが、車の売買契約を取り交わした後でキャンセルすることは、ないとは言い切れません。

しかし、お店側としてはできるだけキャンセルは避けたいものです。それでも強く希望されれば、キャンセル料や違約金によって損害の埋め合わせが必要になります。その意味で、キャンセル行為はコストがかかると言えるでしょう。

また、こうしたキャンセル行為は裁判沙汰にまで発展することがあり、そうなると手間や労力がますますかかってしまうリスクも伴います。

車の一括査定をキャンセルする場合の注意点

車の一括査定をキャンセルする場合の注意点
車の一括査定を売買契約の手続き後にキャンセルする場合、注意しておかなければならないことが2つあります。

まず車の売買ではクーリング・オフはできません。また、キャンセル料を請求される可能性があります。

この2つの注意点について以下で詳しく説明していきます。

①車の売買契約でクーリング・オフ制度は利用できない

「クーリング・オフ制度」は、聞いたことがある方も多いでしょう。これは通販などで物品を購入した際に、一定の期間内であれば一方的に契約の解除・あるいは申し込みの撤回ができるというものです。

車の売却をキャンセルしたい場合や車の購入時などでも、この制度が活用できると考える方もいるかもしれません。しかし、車の売買契約ではクーリング・オフ制度は適用されませんので覚えておきましょう。

なぜなら、クーリング・オフ制度は、あくまでも強引もしくは不意打ち的な販売に対して、消費者が頭を冷やしてキャンセルすることをフォローする制度だからです。

車の売買は高額の取り引きになるので、十分に考慮した上で行われていると判断されます。

クーリング・オフができる取り引きの具体例をいくつか挙げると、訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法やモニター商法などになります。車の売買は対象外となりますので、間違えないようにしましょう。

②キャンセル料を請求してくる業者には要注意

いったんは車の売買契約を結んだ後でその契約をキャンセルした場合、キャンセル料や違約金を請求してる業者もいます。売買契約を解除したことで損害が発生する場合、ある程度は仕方のないことです。

こうしたキャンセル料や違約金の支払いについては、売買契約を結んだ際に、契約書の中の「キャンセルポリシー」に記載があるので必ず確認しておきましょう。

ただし、あまりに法外な金額を請求してくる業者もいるので注意が必要です。こうしたキャンセル料や違約金は、消費者契約法によって業者が被る損害額を超える分を支払う必要はないと定められています。

高額なキャンセル料を請求されたら、その金額の根拠を説明してもらうようにしましょう。

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車の一括査定をキャンセルできる・できないの目安

車の一括査定をキャンセルできる・できないの目安
車の売買契約を結んだ後で一括査定をキャンセルする必要に迫られた場合、キャンセルできる・できないの判断の目安はどこですればいいのでしょう?

その基準は「業者に損害が発生するか」「キャンセルポリシー上の問題はないか」の2つです。

契約後にキャンセルをすれば、業者が損害を受けるかもしれません。さらにそのキャンセル行為が、契約書に記してあるキャンセルポリシーに抵触するなら、キャンセルを拒まれる可能性は高くなります。

以下では、この2つの基準について詳しく説明します。

キャンセルによって業者に損害が出ないか

キャンセルができるか、できないかの一番の基準は、キャンセルしたことによって買取業者に具体的な損害が発生するかどうかです。

例えば、すでに次の売却先が決まっていれば、キャンセルはできないと考えたほうがいいでしょう。反対に、まだそうした損害が予想される状況でなければ、キャンセルは可能だというのが一般的な考え方です。

また、微妙なタイミングではありますが、売買契約書を交わしても車などの引き渡しがまだであれば、キャンセルできる可能性はあります。

そのため、契約書内のキャンセルポリシーも確認しておきましょう。多くの場合、買取店側に具体的な損害が生じるタイミングだとキャンセルはできないと記載されています。

キャンセルポリシー上、問題はないか

車の売買契約時に交わす契約書には、キャンセルポリシー(キャンセルに関する条項)が記載されています。

買取店側に損害が発生するなど、この条項に抵触するような状況であれば、基本的にはキャンセルはできません。それは原則的な話なので、基本的に売買契約が成立すれば法的にもキャンセルはできないということです。

買取店側でも金銭的な損害が発生しないようであれば、キャンセルに応じてくれることもあるでしょう。しかし、それはケースバイケースです。

契約まで漕ぎつけた時間的なコストも加味すると、お店側に損害が全くないとは言い切れません。そのため、キャンセルポリシーを理由にキャンセルを拒まれる可能性があります。

車の一括査定のキャンセルができないケース

車の一括査定のキャンセルができないケース
次に、キャンセルがほぼ確実にできないか、あるいは非常に難しい5つのケースを紹介します。

車と必要書類の引き渡しが終了していたり、キャンセル可能な期間を過ぎていたりするとキャンセルはできません。

また、買取業者側で車を再販売するための手続きが進んでいる場合もキャンセルは難しいでしょう。

もしできたとしても、業者側に損害を与えることになるので、キャンセル料が高額になることが考えられます。

①車と書類の引き渡しが完了している場合

原則的に、売買契約書を取り交わして車の引き渡しも終わっていれば、キャンセルすなわち契約解除はできません。

キャンセルが可能な場合もありますが、それも契約書に書かれている範囲内でのことです。後は業者がケースバイケースで応じてくれるか、または契約自体を無効にするかになります。

ただし、契約自体を無効にするには、買取店側に虚偽の説明や強引な買取行為などがあったことを証明しなければなりません。こうした証明をする義務があるのは、買取店ではなく車を売った側ですし、揉めれば裁判に発展することもあります。つまり、売り手側の一方的な都合で契約をキャンセルするのは難しいということです。

大切なのは、契約の段階で契約書の内容にきちんと目を通しておくことです。キャンセルできるとしても、それは契約書に記載されている有効期間内に限られた話です。全て契約書に記載された範囲内で可能なことだと心得ておきましょう。

②車の買い手がすでに決まっている場合

買取店では、買い取った車を再販売することで利益を上げます。そのため、売却した車がすでに買い手がいる場合は、買取店のみならず次の買い手にとっても迷惑となるので、キャンセルして車を取り戻すのは難しいです。

次の買い手としては、手に入るはずの欲しい車が購入できなくなることになりますし、場合によっては損害を被ることになるでしょう。

また、買い取って販売したお店側としても、そうした状況でキャンセルに応じれば、金銭的な損害はもちろんのこと、信用問題に発展しかねません。

買取業者は、車の買取時にきちんと売買契約書を取り交わしているからこそ、次の買い手とも安心して商談ができます。そのため、車の売却そのものをキャンセルすれば、その安心の土台が壊されることになります。

こうしたことからも、次の買い手が決まっている場合はキャンセルはほぼ不可能だと覚えておきましょう。万が一キャンセルできても、キャンセル料は高額になる恐れがあります。

③車がオークションに出品されている場合

売却された車が買取店によってオークションに出品されている場合も、キャンセルするのはハードルが高いでしょう。

オークションに出品する場合、運営側と買取店との間でも契約が交わされているので、取りやめればキャンセル料が発生します。それだけではなく、オークション会場に運ぶ輸送費や手数料、手続きの時間などのコストもかかっています。

キャンセルできたとしても、これらのコストを負担するほどのキャンセル料を請求される可能性が高いです。

また、オークションに一度出品した車を取り下げたりすると、買取店の信用失墜を招きかねません。むしろキャンセル料を払ってキャンセルできるならいいほうで、基本的には不可能でしょう。

④車がすでに移送されている場合

引き渡した車について、仮に次の買い手やオークションの出品が決まっていなくても、修理工場などに移送されていることがあります。そこで修理や部品交換の作業がスタートしていると、これもキャンセル不可となる可能性が高いです。

買い取られた車は、そのまま再販売されるわけではありません。特に修理が必要な車は、必ず点検やメンテナンスを行った上で売りに出されるので、業者はここでもコストをかけていることになります。

そのため、仮にキャンセルできたとしても、やはりそのコストの分だけキャンセル料は発生するでしょう。この場合、移送先の修理工場が離れた地域にあれば、修理費用のみならず輸送費分も負担することになります。

⑤解約可能な期間を過ぎている場合

ほとんどの場合、売買契約書には、売却後も「契約後〇日以内」という形で、キャンセルが可能な期間が記載されています。この期間を過ぎた場合はキャンセルできないでしょう。

業者によってはケースバイケースで応じてくれるかもしれませんが、基本的に契約書の持つ力は絶大です。車の売買のように高額な取り引きであれば、なおさらです。

契約を取り交わした以上、解約期間内にキャンセルできなかったのは売主側の落ち度ということになります。そして契約違反・債務不履行と見なされれば、キャンセル料の発生などペナルティは避けられません。

キャンセルも売買契約の範囲内と捉え、事前に契約書の内容を確認しておくことが大切です。

業者ごとのキャンセル方法の違い

業者ごとのキャンセル方法の違い
次に、一括査定のキャンセル方法について説明します。

その方法としては、専用サイトや電話などで一括でキャンセル手続きを行うか、個別の買取業者に直接連絡するかのいずれかになります。

買取店へ個別に連絡しキャンセルする方法

一括査定のキャンセル方法のパターンとして、査定した買取店に直接連絡するというものがあります。

一括査定の申し込みは専用サイトから行うのでキャンセルもそこからすればいいと思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

買取店へ個別に連絡する場合は、査定してくれた業者の全てに連絡する必要があります。その際、ただ「キャンセルする」とだけ伝えると、その後も経過確認の電話が来ることがあるので「他の業者に売ることに決めた」と説明するのがおすすめです。

お問い合わせフォームからキャンセルする方法

一括査定を申し込んだサイトから、キャンセルを申し込めるパターンもあります。

例えば、サイト内の「お問い合わせフォーム」から取り消し依頼を送信する方法です。これなら買取業者へも一斉に情報が行き渡るので簡単です。

ただし、この場合も一括査定の手続きなら全てサイトを通してキャンセルできるとは限りません。一括査定そのものではなく、車の査定日の予約をキャンセルするなら、業者へ直接連絡する必要があります。

メール内の専用URLからキャンセルする方法

一括査定の申し込みサイトからではなく、申込時に届いた「登録完了メール」にあるキャンセルフォームの専用URLから手続きができるパターンもあります。もしくは、メール内のカスタマーセンターの電話番号にかけることもできます。

そのため、登録完了メールはもしもの時のために保管しておきましょう。

ただし、この場合もサイトを運営する企業から登録している買取業者に必ず連絡がいくとは限りません。そのため、業者へ改めて個別にキャンセルの連絡をしなければならないこともあります。

その他

少し特殊なキャンセル方法もあります。それは車をオークション形式で出品し、入札してもらうという形で売買を行う買取業者の場合です。

オークションはもともと、出品期日までに入札がなければ、自動的に出品終了となります。もしも出品期日よりも前にキャンセルするのであれば、おおもとの業者ではなく、提携している取次店に電話連絡をしましょう。

ただし、こうしたシステムの業者の場合、入札の状況によってはキャンセルできないこともあるので注意が必要です。

オークション形式の場合、最低の希望売却価格を超える額の入札があれば自動で売買契約が成立します。そうなると、一方的な都合でのキャンセルは不可能です。

次に、ホームページや専用サイトにキャンセル方法が記載されていない業者の場合です。この場合は、とりあえず問い合わせフォームなどを利用しましょう。あるいは、やり取りしている買取業者へ直接連絡するほうが早いかもしれません。

まとめ

①車の一括査定はキャンセル可能だが、できない場合もある
②キャンセルする場合は、できるだけ早く連絡する
③車の売買契約では、クーリング・オフ制度は利用できない
④キャンセルの可否は「業者が損害を被るか」、「キャンセルポリシー上問題ないか」が基準になる
⑤販売店側で、車の売却手続きが進んでいるとキャンセルできない
⑥キャンセル可能でもキャンセル料が必要になることもある
⑦キャンセル方法は業者ごとに異なる

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