買取査定に出したい車に傷や凹みがあると、査定価格が大きくマイナスになるのではないかと不安になるかもしれません。実際、査定基準に照らして減額となることもあります。
しかし、一括査定によって複数の業者に査定をしてもらい、さらに車の他の部分にひと工夫加えることによって、査定価格をアップさせることは十分可能です。
この記事では、車に傷がある場合の対処法や一括査定の利用方法から注意点まで解説します。
車を査定に出す際の参考にしてみてください。
傷のある車を一括査定で高く売却しよう!
車体に傷がついている車は、売却が難しいと思うかもしれません。しかし、車は故障や大きな損傷があっても全く売れないということはほとんどなく、適切な売却方法や買取業者を選ぶことで売却ができるものです。
以下でご紹介する「一括査定」という方法は、傷がある車を売却するのに向いています。それは、複数の買取業者から査定をしてもらい、最も高値をつけてくれた業者と売買契約を結ぶことができるからです。
傷のある車はなぜ一括査定が向いているのか
故障や損傷などがある車の場合、「査定で減額にならないように修理したほうがいいのではないか?」と考える方もいるでしょう。しかし、実際には修理費用のほうが高くついたり、稚拙な修理を行うことでかえって状態が悪化したりするのでおすすめできません。
むしろ、減額するよりもさらなる高値買取を狙ったほうが効果的とされていて、その場合に役に立つのが一括査定です。
一括査定は、専用のサイトから一度申し込みをすることで、自動的に複数の買取業者に連絡がいくサービスです。業者から査定をしてもらい、最も高値をつけたところに車を売却することができます。
そのため、傷がついている車でも、できる限り高く買い取ってくれる業者を簡単に見つけることができます。
車の一括査定サービスを利用する場合は、まず申し込み専用のサイトへアクセスしましょう。サイトは運営企業によって様々なタイプがあるので、自分に合ったところを選んでください。
申し込み手続きをするには、車の大まかな査定額を算出するために年式や走行距離、車種などの情報を入力します。さらに、実際に買取業者が車を査定する時のために、住所や連絡先などの情報も入力します。
これらの情報が、登録している各業者へ行き渡り、査定と買取を希望する業者から「査定をさせてほしい」という内容の電話がかかってきます。この時、どの業者も他のところより早く査定のアポを取ろうとするので、電話が鳴り続けることも珍しくありません。
後は買取業者を選んで査定のスケジュールを相談し、それぞれに出張査定に来てもらいます。そして、査定価格の見積もりを比べてみて、最も高い買取価格を出してくれた業者に車を引き渡せば完了です。
以下では、一括査定の利点を説明します。
大きく分けると「複数の業者の査定価格を簡単に比較できること」「複数の買取業者を探す手間が省けること」「ディーラーに下取りで売るよりも高値売却が期待できること」の3つになります。
一括査定の大きな利点の一つは、複数の業者の査定価格を比較できる点です。
車を売却する際のテクニックとして、複数の買取業者に査定を依頼し、その査定価格を比べて最も高値をつけた業者に売る「相見積もり」という方法があります。一括査定では、その相見積もりが手軽にできます。
つまり、一括査定は最初から「相見積もり」を行うことを前提としているサービスということです。上手に活用することで、無駄なコストをかけずに車を売却できるでしょう。
1回だけの手続きで、複数の業者に出張査定の依頼を出すことができる点も一括査定の利点です。
通常の出張査定を買取業者に依頼するとなると、候補の業者を探して一件ずつ連絡をする必要がありますが、その手間が省けます。
ただし、見ず知らずの業者とやり取りすることになるので、ストレスになりそうな場合は買取業者をある程度選択できるサイトを選ぶといいでしょう。一括査定の申し込みサイトも多種多様で、自分に合ったものを選ぶことができます。
一方で、こうした利便性の高さに便乗して利益を得ようとする悪質な業者もいます。一括査定では基本的に見ず知らずの業者と取り引きをすることになるので、注意しましょう。
車を処分するにあたり、ディーラーに下取りに出すという方法もあります。新車の購入と一緒に手続きできるので便利で手間もかかりませんが、買取価格は安くなることが多いため、一括査定のほうがだんぜん高値買取が期待できます。
一括査定では、買取業者も他のライバル業者と競合していることを前提にしています。そのため、競争心理が働いて、より良い条件を提示してくれるでしょう。
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車の傷は査定にどれくらい影響するのか
傷がついている車を売却する場合、その傷の存在は査定価格にどれくらい影響するのでしょう?
以下では査定のルールや減点の基準などについて説明しますので、傷のある車を査定に出す際の大まかな参考にしてください。
車の買取査定は「減点方式」で行われます。
最初に車種、グレード、年式、走行距離などの基本的な要素からベースとなる査定額を計算し、それに加減することで金額が決まるという仕組みです。
車の傷や凹みは当然マイナスの要素となり、大きさなどによってベースとなる査定額から減点されていきます。
逆にプラスの要素として挙げられるのは、車についているカーナビなどの装備や自賠責保険、車検の残り期間などです。
こうした査定基準の項目は、多くの業者で一律のものが使用されています。
車のボディの凹みは、その大きさによって「小」「大」「要交換」の3種類に分類され、さらに部位ごとに細かく分類されます。マイナスの幅はかなり大きく、1か所凹みが見つかるだけで10,000円からの減額です。
査定の際、まず査定員は凹みのサイズを測定し、1センチ以上のものを上記の3種類に分類していきます。
1センチ未満のものは減額になりません。1センチからカードサイズ未満のものだと10点減点で10,000円のマイナスとなります。さらにA4サイズ未満までのサイズなら、部位ごとに10,000~50,000円の幅で減額となるでしょう。
特に、ボンネットやドアなど、パーツごとのパネル面積の半分以上が凹んでいるものは、大きな減点となります。
車のボディについた傷は、おおむね凹みと同じ減点基準が採用されますが、凹みとは異なり部位ごとに細分化されていません。あくまでも、傷の純粋な大きさによって判断されるので、ある意味分かりやすいと言えます。
傷のチェック方法も凹みの場合と同じで、まずサイズを測定し、1センチ以下のものは減点の材料とはなりません。そして、それ以上のものを「1センチ以上」「カードサイズ」「A4サイズ」「各パーツ面積の半分以上」という4種類のサイズに分類していきます。後はそれぞれの大きさに応じ、基準に沿って減点していきます。
傷の大きさと減点・減額のパターンは以下の通りです。
- 1センチ以上~カードサイズの傷…10点減点(10.000円減額)
- カードサイズ以上~A4サイズの傷…20点減点(20,000円減額)
- A4サイズ以上~各パネルの半分より狭い範囲内の傷…30点減点(30,000円減額)
これ以上大きい傷になると後は「要交換」となり、交換・修理費用に相当する金額が減額となります。
なお、研磨剤で消せる程度の小さな傷や目立たない傷、あるいは目立つ傷でもその程度が大したものでなければ、多くの場合減点にはなりません。
大きな修復歴がある車は、業界用語で「事故車」と呼ばれます。事故車の定義は細かく定められており、簡単に言えば車の安全性・機能面にかかわる重要な骨格部位が損傷したり、それを直したりした経歴があるものです。
事故車は故障や不具合が起こりやすいことから、査定でも減額の対象となります。しかし、減点を避けたいからと言って、この修復歴の存在を知りながら黙っていたり、嘘をついたりして隠すのは絶対にやめてください。
自分の車がいわゆる「事故車」に該当するかどうかは最終的には査定士が判断しますが、心当たりがあれば最初に話しておきましょう。下手に隠して後でバレると、損害賠償や契約キャンセルに発展することもあります。
車の傷や凹みは、査定の際に減点の対象になるのはほぼ明らかなので、どうしても気になるかもしれません。しかし、車の査定額は最終的には総合点で決まるので、傷や凹みによってマイナスとなる分が、他のところでどれくらいカバーされるのかを考えたほうがいいでしょう。
また、そもそも年式や走行距離の数値によって車の価値も大きく変わるので、小さな傷や凹みに一喜一憂しても仕方ないと言えます。
他の点に注意して、車をできる限り新車購入時と同じ状態にもっていくことが高値買取への近道です。例えば、スペアキーなどの付属品が揃っていると高得点になります。また定期的なメンテナンスがこまめに行われていれば、プラスに作用するかもしれません。
査定前に車を修理すべきかどうか
車に傷や凹みがあると査定で減額になるのは、ほぼ確実なので「査定前に修理すればいいのでは?」と考える方も多いでしょう。
確かに小さな傷なら簡単に修復できますが、それが正しいかというと必ずしもそうではありません。
ボディについた小さな傷なら、ホームセンターやカー用品店で手に入る研磨剤などを使って、簡単に消せます。
また、小さな凹みなら熱湯や熱風をかけたり、裏側から手で押したりゴムハンマーなどで叩いたりすることで元に戻る場合もあります。
車の傷や凹みを自分で修理すること自体は問題ありませんが、「査定で高値をつけるために修理する」という考え方は問題があります。
なぜなら、素人が修理するとかえって状態が悪化し、査定でマイナスとなることも多いためです。
傷や凹みが修理業者に頼まないといけないような大きなものだった場合も同様で、修理はせずにそのまま査定に出してください。
なぜなら、修理しても、かかった修理代が買取金額でカバーできるとは限らないからです。そのため、傷や凹みは、その大小にかかわらず修理せずそのまま査定に出してください。
一度完璧に修理してから査定に出せば減点の要素は減りますが、修理のコストを売却によって埋め合わせるのは難しいでしょう。
査定価格をプラスにするコツ
車の高値売却を狙うにあたり、ボディについた傷や凹みに一喜一憂することはありません。それ以外にも、査定でさらに高値をつけるための方法は複数あります。
以下では、その方法のうち主なものを4つ紹介します。
4月は進学や就職などで人が動くため、車の需要が増えます。そのため、業者は1~2月のうちから在庫を多めに確保しようします。それに加え、3月の決算に向けて実績を増やそうとするので、少し高値でも積極的な買い取りが期待できます。
また、モデルチェンジが行われると旧モデルは「型落ち」となり価値が下がるので、少なくともモデルチェンジ前に売ったほうが減額は防げるでしょう。
このように、車はタイミングを見て計画的に売却することも大切です。
もしも査定に出す車が新車で購入したものなら、説明書やリモコン、カーナビなど、購入時についてきた付属品やオプションはできるだけ完全に揃えるようにしましょう。いかに新車購入時と同じ状態にするかが、車を高値で売るコツです。
同じ理由から、改造車の場合は交換前の純正部品を揃えておくことをおすすめします。パーツ交換までする必要はありませんが、純正のパーツが保存されているだけでも、査定では有利に作用します。
車検証やメンテナンスノートなどの重要書類も準備しておきましょう。
特にメンテナンスノートがあれば、それまでのメンテナンス履歴も確認できるので、査定士からも信頼度が高い車と見なされます。
メンテナンスノートには、法定点検整備の証明からオイルなどの消耗品の交換記録まで細かく記載されています。これらが不明なままだと不具合や故障が潜んでいるリスクを否定し切れなくなるので、査定時に不利になってしまうでしょう。
査定に出す前に、すみずみまで洗車・清掃を行いましょう。車の査定基準に洗車・清掃の項目は存在しないためプラス要素にはならないものの、車が汚いと「管理が行き届いていない」と判断される恐れがあります。
また、車が汚いと査定の妨げになる可能性もあります。車内や車外を清掃することで査定の際に意外な劣化や不具合に気付くかもしれません。
喫煙したりペットが乗ったりする機会が多かった車は、持ち主が気付かなくとも入念な脱臭が必要な場合もあります。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
一括査定に潜むデメリットとリスク
傷がついている車は一括査定サービスが向いていることや、サービスを利用するメリットを紹介しました。しかし、一括査定には避けて通れないデメリットとリスクがあり、これは必ず知っておく必要があります。
まず、一括査定のデメリットとしては、買取業者からしつこく電話がかかってくることです。業者が我先にと査定・買い取りのアポを取ろうとするためで、一括査定利用時にはこの電話対策を考えておく必要があります。
また、一括査定では査定スケジュールの調整やその後の商談などのやり取りを、複数の業者と並行して行わなければなりません。業者の数は3~5社に絞り、混乱しないようにきちんと整理しながら進めましょう。
次に一括査定のリスクとしては、望んだ通りの高値売却ができるとは限らないということです。業者が逆に一件も申し出てこなかったり、車自体に問題があって値がつかなかったりするかもしれません。
また、一括査定の手軽さに乗じた悪質な業者も存在します。しつこく車の売却を迫る「押し買い」まがいの業者や、最初に高値での査定額を提示しておき、後で減額するという手口の業者もいます。
一括査定には、これらのデメリットやリスクがあるため、それぞれ事前に予防法や対処法を確認しておくといいでしょう。
安全性を重視するなら「出張査定+相見積もり」
前述した通り、一括査定はその便利さや気軽さが魅力的な反面、デメリットとリスクも多くあります。
短所のいくつかは一括査定に限らず、車を査定に出す際にはつきものとも言えます。しかし、ネットの口コミでも、一括査定というのは特に不安を抱かれがちです。
安全性を重視するなら自ら優良な買取業者を3~5社探して、自宅まで査定に来てもらう出張査定を利用し、査定金額を比較する相見積もりをするのがおすすめです。
このやり方は、最初に買取業者を探す手間が少しかかりますが、複数の業者の査定を受けて、その中から高値で買い取ってくれる業者に決めるという結果が一括査定と同じになります。