事故などで愛車が全損してしまった場合、廃車にするしかないと思うかもしれませんが、全損状態の車でも業者によっては買取ってもらうことができるんです。
この記事では、全損した車を高額で買い取ってもらうためのポイントについて紹介します。
また、もし車両保険に入っているのであれば、補償を受けられるかもしれません。全損した場合の車両保険の取り扱いや注意点についても見ていきますので、参考にしてください。
全損した車を買取に出すことは可能?
交通事故などで車が壊れてしまった場合、全損した車でも買い取ってくれる業者があります。
ここからは、全損した車がなぜ買い取ってもらえるのか、詳しく解説していきます。
そもそも全損とは何か?
全損には一定の基準があります。そして「物理的全損」と「経済的全損」の2種類があります。
全損と聞くと、物理的全損をイメージする方が多いかもしれません。
物理的全損とは、車の損傷状況が激しく、修理できない状態のことです。
経済的全損とは、その時点の車の価値よりも修理費用が高くなってしまっている状態を指します。購入時の価格ではなく、時価をベースにしているところがポイントです。
時価100万円の車を壊して修理費用が120万円かかる場合には、経済的全損扱いになります。この場合、わざわざ修理するよりも、買い替えてしまったほうが安上がりです。
また、車両盗難の被害に遭うケースもあるでしょう。盗難されて愛車そのものがなくなった場合でも全損扱いになります。
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全損でも買い取ってくれる業者はある
全損した車の場合、自走不能なので車としての価値が全くないと思われがちですが、全損の車でも買い取ってくれる業者は少なくありません。
買取業者の中には、廃車に特化した業者も見られます。事故車や水没車といった、廃車にするしかない車両の買取実績が豊富なところもたくさんあります。
廃車にするとなると手続きが必要です。廃車専門業者に依頼する場合、数万円単位で費用も発生する可能性があります。しかし、買取業者に引き取ってもらえるのであれば、お金を払うどころかこちらがお金を受け取れるかもしれません。
廃車にしようと思うのであれば、ダメ元で事故車の買取実績のある業者に査定に出してみましょう。
全損車の買取事情を紹介
全損車でも、業者によっては買い取ってくれる場合があります。過去の買取実績を見ても、そのことが分かるでしょう。
そこで、ここからは過去の全損車の買取事情についていくつかピックアップしてみました。
車種によっては数百万円という買取価格がつくこともあるので、参考にしてみてください。
全損車の中には年式の新しい車もあるかもしれません。車の査定では年式の新しいもののほうが、より高値で買い取ってくれる傾向が見られます。
これは、全損車についても同様です。高年式車であれば、全損状態でもそれなりの査定額がつく可能性は十分あります。
特に高額査定になりやすいのは、新車登録されてから3年以内の車両です。つまり新車を購入してから最初の車検を受ける前の状態の車になります。
もし新車価格が400万円以上の車で年式が新しければ、破損状況によっては200万円超の査定額がつく場合も十分あり得ます。
人気車種の高年式車を全損にしてしまっても、すぐに廃車に出すのは損なので注意しましょう。
買取業者に引き取られた中古車は、いろいろな販売チャンネルを使って売却されます。買取業者の中には国内だけでなく、海外にも販路を持っているところも少なくありません。
国内では引き取り手のない車でも、海外であれば売れるものもあります。もし海外で人気のある車を全損させてしまった場合、買取業者によっては積極的に買い取ってくれる可能性があります。
海外では、大人数が乗れる車種や悪路の走破性に優れた車種が人気です。例えば、水没車でも海外であれば売却できる可能性も十分期待できます。
特に新興国では国産車の需要が高いと言われています。車の状況や車種によっても異なりますが、20万円くらいの買取額がつくかもしれません。
古い低年式車が全損していると買い手がつかないと思う方もいるでしょう。しかし、それでも買い取ってもらえる可能性はあります。
買取業者によっては全損車でもまだ価値があると判断をして、引き取ってくれる場合もあります。低年式でも需要が見込める、今では生産中止になってプレミアがつく場合にはそれなりの買取価格を提示されるかもしれません。低年式でも10万円前後の買取価格がつくこともあります。
もし廃車処分する場合、こちらがお金を支払わないといけません。しかし、廃車や事故車専門の買取業者であれば、買い取ってくれる可能性があり、廃車にする場合でも諸費用を請求しないところもあります。
全損でもとりあえず査定に出してみる価値は十分あるでしょう。
全損した車の買取先はどこ?
全損車を処分したいけれども、どこに査定依頼すればいいのか迷う方もいるでしょう。
どこに売却すべきかは、車の状態によって変わってきます。ポイントになるのは、骨格部分に損傷が至っているかどうかです。
骨格部分の定義を含めて、ここで紹介していきます。
車の査定をするにあたって、大きなポイントになるのは骨格部分が損傷しているかどうかです。
普通自動車の骨格部分とは、フレーム・クロスメンバー・インサイドパネル・ルーフパネル・ダッシュパネル・ピラー・フロア・トランクフロア・ラジエーターコアサポートの9カ所です。
もしこの部分がダメージを受けていて修繕した場合、修復歴車という扱いになります。修復歴車になった場合、中古車としての価値は大きく下がってしまいます。
骨格部分に手が加わった車の場合、車両の強度に深刻な影響を及ぼしている可能性があります。そのため、車の査定の中で骨格部分の状態がどうかは、重要なチェックポイントになります。
全損のようなひどく壊れた状態のように見えるけれども、骨格部分は問題がないというケースもあります。この場合、一般的な中古車買取業者に査定をお願いするといいでしょう。
全損に近い状態で壊れていても、まだ修理すれば走行可能なケースもあります。買取業者もそのように判断すれば、値をつけてくれる可能性が高いです。
また低年式車の場合、いわゆる経済的全損扱いになる車両も少なくありません。車両保険では修理にかかる費用がその時の車の時価よりも多い時には、全損車扱いにされます。
経済的全損の車両であれば、一般的な買取業者でもそれなりの価格で引き取ってくれる可能性も十分あります。
物理的全損と定義される車は、骨格部分もひどくダメージを受けていることが多いです。骨格まで損傷している車両の場合、国内にしか販路を持っていない買取業者だと買取不可になるかもしれません。
日本では骨格部分を修理しても、修復歴車扱いになってしまいます。そのため、走行性能などに問題があると考えられ、買い手がつきにくいのです。
しかし、海外に販路を持っている買取業者であれば、修復歴車でも買い手がいるため、買い取ってくれる場合があります。
もし海外で人気のある車種の全損車であれば、高額査定の可能性も十分あり得ます。
全損の中でも損傷が激しい場合、修復不能と判断されるかもしれません。このような場合、買取業者では買取不可と判断される確率が高いです。
しかし、中には「廃車買取業者」と呼ばれる、廃車に特化した買取サービスを行っているお店もあります。
ここに依頼すれば、他の買取業者では値のつかないような状態の車両でも、多少の査定額がつくかもしれません。たとえ買取価格0円だとしても、無料で全損車の処分をお願いできます。
スクラップ工場などに車を持ち込んで廃車にする場合、費用がかかってしまいますが、この費用分がかからないことになります。
車が修復不能な場合は、廃車専門の買取業者に査定に出すのがおすすめです。
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全損した車でも買い取ってくれる理由
全損して、もはや走行できないような車でも、買い取ってくれる業者はあります。しかし、一見すると価値のない全損車をなぜ業者はお金を払って引き取ってくれるのでしょうか?
もちろん買取業者としてみれば、全損車でも価値があると判断するから買い取ってくれるわけですが、なぜ全損車に価値があるのか、その理由についてここで詳しく見ていきます。
全損車でも買い取ってくれる業者があるのは、部品がまだ使えるからです。
全損車になると、修復が難しい車両もあります。車両本体は修復して自走することが困難でも、細かく部品ごとに見ていけば、まだ使えるものもあるかもしれません。
本体同様、自動車のパーツについても中古マーケットがあります。新品と比較すると、中古パーツのほうが安いです。そこで修理費用を少しでも安く抑えるために、中古パーツの需要も高くなっています。
例えば、事故で全損車になっていても、エンジンはほとんどダメージがないような車両も見られます。このような場合、全損車でもそれなりの高値で売却できるかもしれません。
全損車を買い取る業者の中には、修復して中古車として再度売り出すところもあります。高い板金技術があれば、全損車だったということがほとんど分からないレベルにまで修復することも可能です。
国内には、事故車と分かっていても格安価格で購入できるため購入を希望する方もいます。しかし、事故車の国内におけるイメージは決して良くないため、ごく一部でしょう。
たとえ国内で買い手がつかなくても、海外であれば売れる可能性は十分あります。海外では、日本ほど車の状態について厳しくありません。
特に新興国では、希望する車種であれば多少問題があっても買い手がつきます。そのため、全損車でも修復して海外に輸出する買取業者も見られます。
全損した場合の保険の取り扱いについて
自賠責保険だけでなく、いざというときのために任意保険に入っている方がほとんどでしょう。任意保険の加入状況によっては、保険が適用されるかもしれません。
どの保険が使えるかは、どのような事故を起こしたかによって変わってきます。
もし単独事故で車が全損になった場合、車両保険に加入していればこちらから保険金が支払われることもあります。
一方、車同士の交通事故だった場合、過失割合によって対応が変わります。もし相手の過失が大きかった場合、相手が任意保険に入っていれば対物賠償から修理費用が支払われるでしょう。
また、相手が対物超過特約に加入していた場合、車の時価額+50万円を上限として修理費用を賄ってもらえます。
全損になった場合、車両保険などが利用できます。しかし、いくつか注意すべきポイントもありますので、覚えておきましょう。
まず、全損になって車両保険を利用すると所有権を失うことになります。
車の所有権は保険会社に移行するため、車の処分などを自由に決められません。修理したり売却したりすることが自由にできなくなりますので、注意しましょう。
また、車両保険に入っていても補償を受けられないケースもあります。それは地震によって車が全損になってしまった場合です。
ただし、近年の保険の中には地震で車が全損になっても補償を受けられる特約をつけられる商品もあります。
全損車で補償を受けられる特約とは?
任意保険には、いろいろな特約をつけられます。全損になってしまった場合、条件次第で特約をつけていると補償を受けられるかもしれません。
具体的にどのような特約をつけていると補償の対象になるのか、主なものをピックアップしてみました。
これから自動車保険に加入する、見直す際の参考にしてみてください。
「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」とは、自然災害の影響で車が全損した場合、一時金を受け取れる特約のことです。
通常の車両保険の場合、自然災害によって車が全損になっても補償の対象外です。しかし、こちらの特約に加入していれば、自然災害で車が全損してもお金を受け取れます。
災害で車が全損になった場合、保険によって変わりますが50万円程度が給付されます。ただし、一時金は車両保険金額をベースにしているものが多いです。もし車両保険金額が50万円未満の場合、車両保険の上限が一時金の上限となります。
地震・噴火・津波車両全損時一時金特約をつける場合には、金額などの条件を確認しましょう。
2019年から開始された比較的新しい特約なので、自動車保険に加入している方でも、この特約を知らないという方はいるかもしれません。
「故障運搬時車両損害特約」とは、車両が全損などで走行不能になってレッカー移動することになった場合、補償が受けられる特約となっています。また、事故以外の故障で車両が自走できなくなった場合でも使用できます。
特約をつけるとなると保険料が心配になるかもしれませんが、この特約は料金も年間「数千円」程度で、そこまで高額ではありません。
ただし、保険会社に事前連絡した場合に限って補償されるなどの条件がついていることもあるので、加入する前に確認しておきましょう。
全損車を買取に出すメリット
全損した車を買い取ってもらうメリットとして大きいのは、お金が入ってくるかもしれないという点です。
状態や車種によってまちまちですが、それなりのまとまった買取額がつく可能性はあります。もちろん、状態によっては買取価格がつかない場合もありますが、その場合でも無料で車両を引き取り、処分してくれるところが多いです。
廃車を業者にお願いする場合、手続き代行やスクラップ費用などで数万円ほどかかります。この費用が0円になるので、たとえ買取価格がつかなくても買取業者に出すのはお得です。
また、廃車にする場合は面倒な手続きをしなければなりませんが、買取業者にお願いすれば、各種手続きの代行もお願いできるので、その点もメリットと言えます。
全損車を買取に出すデメリット
全損した車を買取に出すデメリットは、普通の車を買い取ってもらう場合と比較して、査定額が低くなる点です。
車の査定は車両の状態も重要な判断材料の一つです。車が全損している場合、修理も大掛かりなものになるでしょう。費用もかかりますので、その分査定額から差し引かれます。
また、車が修復不能な場合、部品を取り出して売却することになります。車全体を売却するのと比較して、部品だけを売るとなると売却益も少なくなります。そのため、どうしても買取価格は安くなります。
通常時よりも全損車は半額以下の買取価格しかつかない場合も多いので、その点はあらかじめ留意しておきましょう。