車の買取をする際はプロの査定士が車両の状態を確認し、最終的な買取価格を決めます。車の査定をする際には、車両の細部までチェックするものです。チェック項目の中には、今回紹介するブレーキパッドも含まれます。
この記事では、ブレーキパッドが買取価格に与える影響について見ていきます。ブレーキパッドが摩耗すると、制動力に大きな影響を与えかねません。そこでブレーキパッドの交換時期についても見ていくので、メンテナンスの際の参考にしてください。
車の買取ではブレーキパッドの残量が関係する
ブレーキパッドの状態は買取価格に大きな影響をもたらすと考えておきましょう。その理由は、ブレーキパッドの摩耗が進んでいると、ブレーキがうまく利かなくなるからです。
そのため、マイナス査定になります。とくにブレーキパッドの摩耗により、ブレーキを踏んだ場合に異音がする場合には、かなりの確率でマイナス査定になるでしょう。
ブレーキパッドが摩耗していると制動力が落ち、事故の危険性も高まります。自分の身を守るためにも定期的にブレーキパッドは交換すべきです。
ブレーキパッドの役割について
ブレーキパッドとは、その名の通り、ブレーキの制動力に大きく関わってくる部品です。自動車の他にバイクにも用いられています。
自動車の場合、ブレーキローターと呼ばれるタイヤの内側に設置されているパーツとセットで機能します。
ブレーキローターは円盤のような形状をした部品です。ブレーキパッドはこのブレーキローターの両側に2枚1セットで設置されています。
ブレーキをかけると、ブレーキパッドがローターを挟み込む形で回転を停止します。ブレーキローターはタイヤと連動しているので、ブレーキパッドが働くことでタイヤの回転も落ちていき、車両が停まる仕組みです。
ブレーキパッドが摩耗した状態で査定に出せば、マイナス査定になってしまいます。だからと言って、買取前にブレーキパッドを交換するのはおすすめできません。
なぜならブレーキパッドを新品に取り換えたことでアップする査定額よりも、交換費用のほうが高いからです。交換すれば、結果的に損してしまうわけです。
車買取の査定基準は、日本自動車査定協会という一般社団法人がガイドラインを設けています。点数で査定し、1点=1,000円です。
ブレーキパッドが摩耗していて制動力に問題ありと判断すれば、10点のマイナスです。つまり10,000円査定額から差し引かれます。
一方、ブレーキパッドの交換費用は車種によるものの、12,000~40,000円が相場です。10,000円の査定アップのために12,000円以上お金を出すのは損になります。
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ブレーキパッドを交換するタイミングを確認する方法
ブレーキパッドは消耗品で、定期的に交換する必要がある部品です。査定額を上げるためだけでなく、安全に運転するために必要なことです。
では、ブレーキパッドはどのタイミングで交換すれば良いのでしょうか。
ここからは、ブレーキパッドを交換すべきタイミングの目安について紹介します。
ブレーキパッドはブレーキローターを挟み込む形で回転を止めて、減速する仕組みです。ブレーキをかけるたびに摩擦によってすり減っていくので、パッドの厚みを基準にする方法があります。
ブレーキパッドが3mm以下になったら、そろそろ交換するタイミングが近づいていると考えましょう。厚さが3mmを切ると、より消耗が激しくなるので、ますますブレーキの利きが悪化しかねません。
ブレーキパッドの残量は、自分で確認することも可能です。ホイールを外せば目視できますし、外さなくても隙間から内部を見て確認できます。
目視だけでなく、定規などを使って実際に測定するのがおすすめです。厚みを自力で確認できなければ、整備工場やディーラーなどに車両を持ち込んでプロに確認してもらいましょう。
ブレーキパッドの交換時期として、ブレーキをかけた時に異音がしたタイミングもおすすめです。
現在の車両は何か異常がある場合、ドライバーに認識してもらうために音が鳴るように作られています。「機械式」と「電子式」の2種類のいずれかが採用されており、どちらの仕組みを導入しているかで、ブレーキパッド摩耗のサインは異なるので理解しておきましょう。
機械式の場合、「キーキー」や「カラカラ」のような音が鳴るはずです。ブレーキパッドの摩耗が一定以上進んだ場合、パッドウェアインジケーターがブレーキディスクに直接触れるような構造となっています。そのため、「キーキー」のような金属音が鳴ります。とくに注意したいのは「カラカラ」と音が鳴った時です。これはブレーキパッドが割れていることが原因なので、速やかに交換しましょう。
電子式の場合、警告灯が点灯します。国産車ではいわゆる高級車、輸入車で多く採用されています。
パーキングブレーキやサイドブレーキをかけていないのに、パーキングブレーキが消えない場合もあります。これはブレーキフルードの減少を警告している可能性があるので、速やかに点検してください。
ブレーキフルードがどこかから漏れている可能性がありますし、ブレーキパッドの摩耗が関係しているかもしれません。
ブレーキパッドが摩耗すると、ブレーキディスクとの隙間を保つためにより強く押し出されます。すると、フルードを余計に使わないといけないので、タンクの液量が減少します。タンクの液量が一定以上減少すると、ブレーキランプが点灯する仕組みです。
いずれにしてもブレーキ周りに異常が発生している可能性があるので、専門家に見てもらったほうが良いでしょう。
ブレーキパッドの交換目安を走行距離で考える方法もあります。走行距離が3~10万kmに達したら、交換時期が差し迫っていると考えましょう。
3~10万kmと言われると、かなり幅があるように感じられます。これだけ違いがあるのは、ドライビングスタイルの違いによるものです。
もし急ブレーキをかけたり、ストップ・アンド・ゴーのような車に負担のかける走りをしたりしていると、ブレーキパッドの摩耗も早くなります。3万kmになったら寿命に近づいている可能性もあります。
一方、高速道路や郊外の道路など、信号や渋滞の少ないところを主に走っている人なら、10万km程度持つかもしれません。ブレーキを激しくかける機会がないので、ブレーキパッドの摩耗も進みにくいからです。
ブレーキパッドの交換方法について
ブレーキパッドが摩耗していて、いろいろなサインが出ているのであれば、速やかに交換しましょう。
DIYに自信のある人なら、ブレーキパッドを自力で交換できないかと思うかもしれません。そこで、ここではDIYでブレーキパッドを交換できるか、専門家にお願いする場合どこに持ち込むべきかについて見ていきます。
ブレーキパッドは車の走行性能に関わる重要なパーツです。そのため、基本的にプロの業者で交換をお願いすることになるでしょう。
ブレーキパッドの交換は「自動車分解整備事業」などの認証を受けた業者でなければ、することができません。運輸局長の認定した整備工場に車両を持ち込んで、ブレーキパッドの交換を依頼しましょう。
具体的には、ディーラーや町の整備工場、カー用品店などで受け付けています。
ディーラーであれば、純正のブレーキパッドに交換してもらえます。一方、整備工場やカー用品店であれば、社外品に交換することで費用を安く抑えられるのが魅力です。
純正品にこだわるか、費用重視かで、どの業者に交換をお願いするか検討してください。
ブレーキパッドを自分で交換する方法もあるにはあります。自分の車両に限り、DIYによるブレーキパッドの交換は認められているからです。
手間賃がかけらず部品代だけのコスト負担になります。金銭的な負担を必要最小限に抑えたいと思っている人にもおすすめです。
しかし、安全性を考えるとDIYによるブレーキパッドの交換はおすすめできません。もし交換が不十分であれば、ブレーキが十分に利かずに重大な事故の原因になりかねないからです。
車両に関する十分な専門知識を持っていて、自信のある人であれば、自分で交換してもかまいません。ただし安全運転を担保したければ、やはりプロのメカニックの在籍する業者にお願いすべきです。
ブレーキパッドの交換にかかる時間は車種によって若干異なるものの、おおよそ30~40分程度で作業が完了します。即日交換できる可能性が高いので、代車を用意してもらう必要はありません。
ブレーキパッドの交換は、ホイールを外してブレーキキャリパーを開きます。ピストンをもとの位置に戻してから、ブレーキパッドの交換作業を行う手順です。
ブレーキフルードも必要に応じて、同時交換するのも一考です。この場合、追加作業が必要ですのでもう少し時間はかかります。それでも1時間程度で交換作業は完了するので、即日交換が可能です。
ブレーキパッドの交換費用をできるだけ抑えたければ、車検や定期点検の際に一緒に交換するのがおすすめです。
ブレーキパッド単体の交換の場合、部品代と作業代が個別に発生します。
車検や定期点検の場合、ブレーキパッド以外の個所もあわせて点検整備をお願いできます。他の個所も同時に整備をお願いすれば、作業代を抑えられるわけです。
また車種によって、ブレーキパッドの費用が変わってくる点にも留意してください。普通車と比較して軽自動車のほうが交換費用は安くなります。普通車でも車種によって費用が異なり、高級車やスポーツカーは交換費用も高めです。将来の交換費用も留意して、車探しすると良いでしょう。
ブレーキパッドの交換費用を比較すると、激安価格で交換を請け負っていると宣伝している業者もあるでしょう。しかし、相場よりもかけ離れた激安価格を提示している業者は注意が必要です。
激安価格で交換できるのは、コストを極限まで圧縮しているからです。安価な社外品に交換している可能性があり、ブレーキ性能に問題のある恐れが出てきます。
激安業者にブレーキパッドの交換をお願いしたところ、以前と比較してブレーキ鳴きがひどくなったといった話も聞かれます。
また、自分の車のサイズに合っていないブレーキパッドに交換させられるかもしれません。するとブレーキをかけていなくても運転中に「カタカタ」と異音が発生する恐れもあるので、あまり安い業者には依頼しないほうが無難です。
ブレーキパッドの交換費用をなるべく安く抑えたいと思うのは無理もありません。しかし、どれほど激安にこだわっても、一般的な業者で交換するのと比較して数千円程度の節約効果にとどまります。そのため、あまり費用にこだわりすぎるのはおすすめできません。
激安価格で交換をお願いした結果、ブレーキに異常が発生してしまっては元も子もないでしょう。
もしお店にブレーキパッド交換を依頼するのであれば、信頼できるかどうかを重視してください。こちらの話に親身になって耳を傾けてくれる、作業内容の説明が丁寧かなどをチェックしましょう。
また、何かあった場合にアフターフォローが充実しているかもチェックして、安心して任せられる業者を選んでください。
ブレーキパッドを長持ちさせる方法
ブレーキパッドの摩耗は、常日頃の運転方法によってある程度コントロールできます。ブレーキパッドを少しでも長持ちさせられれば、交換頻度を少なくでき、コストカットも可能です。
では、ブレーキパッドを長持ちさせるためにはどのようなところに気をつければ良いのでしょうか。
ここでは、長持ちさせるポイントについて紹介していきます。
ブレーキパッドを長持ちさせるためには、急ブレーキは極力かけないように心掛けることが大事です。ギリギリまでアクセルを踏み続けて、直前になっていきなりブレーキペダルを強く踏み込むようなドライビングスタイルでは摩耗も進みやすいです。
停車位置を前もって想定して、その手前から徐々にブレーキペダルを踏み込んでいきましょう。そうすれば、ブレーキパッドにかかる摩擦を少なくできます。
徐々にブレーキをかければ、ブレーキパッドとローターに均等に摩擦がかかります。均等にパッドの摩耗も進むので、結果的に長持ちさせられます。
ディフェンシブドライビングを日常的に心掛けることも、ブレーキパッドを長持ちさせるためのコツです。「防衛運転」とも言われますが、安全運転を心掛けることです。
例えば、車間距離を十分とって運転すれば、前方車両が予期せぬ動きをした場合も急ブレーキをかける必要はありません。また前方で何かあった場合を想定して、いつでも減速できるように準備して運転することもディフェンシブドライブに当たります。
このように常に危険を想定して、対応できる運転を心掛ければ、いわゆるパニックブレーキをする必要がなくなります。よってブレーキパッドの過度な摩耗を抑制できるわけです。
ブレーキフルードを定期的に交換することで、ブレーキシステムのコンディションを維持できるのでおすすめです。ブレーキパッドを長持ちさせるためにも有効と言われています。
ブレーキフルードの交換時期は、車種によってまちまちです。ブレーキフルードの交換タイミングは車のマニュアルなどに記載されているはずなので、まずはチェックしてみましょう。
ブレーキフルードを劣化したままで使い続けると、ブレーキフルード中の水分によって部品が腐食する可能性もあります。ブレーキパッドを長持ちさせるためにも、ブレーキフルードの定期的な点検を心掛けましょう。
山道や坂道を走行するのはなるべく避けることも、ブレーキパッドの摩耗を抑え長持ちさせるためのコツです。
坂道を下る時にはどうしてもブレーキをかける頻度も多くなるので、摩耗も進みやすくなります。
山道や坂道を走行する際には、ギアを落として運転するのも一考です。ギアを低速にすることでエンジンブレーキが利きやすくなるので、フットブレーキをそこまでかける必要はありません。
緩やかな坂道を走行する場合、エンジンブレーキをかけることでフットブレーキをあまり使わずに済みます。エンジンブレーキをうまく活用することで、ブレーキパッドを温存するように心掛けましょう。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!