車の売却をする際、査定でメンテナンスノートの有無は重視される項目です。メンテナンスノートはカルテのようなもので、いつどこを検査し、どのような整備をしたか記録されているからです。
通常、車の売却時にはメンテナンスノートも買取業者に渡す形になるでしょう。そうなるとメンテナンスノートに住所などの個人情報が記載されている場合、悪用されるのではないかと懸念する人もいるかもしれません。
この記事では、メンテナンスノートを作成するメリットや、住所など個人情報の取り扱いについて見ていきます。
車を売却する際はメンテナンスノートがないとマイナス査定になる
「メンテナンスノートを紛失してしまった」「中古車を購入したため最初からメンテナンスノートがなかった」といった場合でも、車の売却は可能です。それは、名義変更の手続きにおいて、メンテナンスノートは法律上必要ないからです。
しかし、メンテナンスノートがない場合、マイナス査定になることは覚えておきましょう。
メンテナンスノートには、これまでの点検や整備の履歴が記載されていて、それがないと整備状況を確認できません。6か月点検や12か月点検のような定期的な検査を受けていても、その確認ができないことになります。よって、点検を受けていない車両と評価されてしまうわけです。
メンテナンスノートがなかった場合の減点は自動車査定協会の基準によると、-10~40点です。1点当たり1,000円なので、10,000~40,000円と大幅な減点になります。
メンテナンスノートについて
メンテナンスノートがなくても法律上、車を売却することはできます。しかし、ある場合と比較してかなりのマイナス査定になるのは覚悟してください。
メンテナンスノートと言われても、そのような書類を見たことがないという人もいるでしょう。ここでは、メンテナンスノートとはどのようなものかについて見ていきます。
メンテナンスノートとは、メーカー保証書と点検整備記録簿がセットになっているものを指します。法令的に見ると、メンテナンスノートは車両に常時携帯することが義務付けられているので、車のダッシュボードなどにあるでしょう。
メーカー保証書とは、文字通り、メーカーの保証を受けるために必要な書類です。保証期間が明記されているので、期間内であれば保証書を提示することで無償にて整備や交換が受けられます。
点検整備記録簿とは、これまで対象の車両にどのような法定点検を行ってきたかについて記された書類です。いつ整備したのか、どの部品をいつ交換したかについて記載されています。
点検整備記録簿があれば、今後どの部品がいつごろ交換の必要が出てくるかなどが分かります。車両のコンディションを把握するために欠かせない書類なので、査定で有無は重視されます。
点検整備記録簿は、カルテのようなものだと思ってください。いつ整備を行ったか、エンジンオイルやブレーキパッドなど消耗品をいつ交換したかが記載されています。その他にも、これまでの走行距離についても記載されているので、車の状態をより正確に把握できるわけです。
点検整備記録簿には、6か月点検や12か月点検などの法定点検を受けているかどうかも明記されています。車検は受けないと罰則がある一方、6か月点検や12か月点検は法定点検で、義務ではあるものの罰則はありません。よって法定点検を受けていない人もいるでしょう。
もし法定点検を受けていれば、点検整備記録簿にその旨が書かれているので、査定時ではアピールにつながります。つまり、車検以外にもこまめに点検をして、整備された車両であることがアピールできるわけです。
車の購入時にメンテナンスノートを受け取ったけれども紛失した場合、再発行ができるかもしれません。購入したディーラーに販売記録が残っていれば、再発行してもらえます。
ディーラーによって販売履歴の記録保存はまちまちですが、購入してから数年程度であれば記録が残っていることもあります。そのため、メンテナンスノートを紛失してしまったら、できるだけ速やかにディーラーに問い合わせてみましょう。
中古車を購入して、買い求めた時点で前のオーナーがメンテナンスノートをなくしてしまい、最初からなかったケースも考えられます。
この場合も、新車の段階で購入したディーラーが判明し、かつ記録が残っていれば再発行できる可能性があります。保証期間内であれば、メーカー保証書の再発行もお願いできるでしょう。
しかし、前のオーナーがどこで新車を購入したか分からなければ、再発行は困難です。また、かなり前に新車購入した中古車の場合、ディーラーが分かっていてもすでに販売記録が残っていない可能性もあります。
新車購入してから10年以上経過していると難しいでしょう。しかし、ディーラーによって購入履歴の保管方法はまちまちです。購入店が分れれば、とりあえず問い合わせてみることをおすすめします。
メンテナンスノートは業者に点検や整備をお願いする場合、メカニックが記載してくれます。しかし、ユーザー車検など自分で点検する際には、自分でメンテナンスノートを作成する場合もあります。
メンテナンスノートの書き方は、それほど難しくはありません。書き方が記載されているはずなので、その指示に従って記入すれば問題ないでしょう。
基本的に記号で結果を記載する形になります。問題なしであれば「レ」、交換したら「×」、調整したら「A」と記入してください。
タイヤの溝の深さ、走行距離など数字や文字などで記載する項目も一部あります。
いずれの場合でも書き方の例が書かれているので、それを参考にすれば問題ありません。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
メンテナンスノートに書かれている住所などの個人情報の取り扱いについて
メンテナンスノートを実際に手に取ってみれば分かりますが、中には住所などの個人情報が記載されています。
車を売却する際はメンテナンスノートもあわせて、買取業者に渡さなければなりません。すると自分の大事な個人情報が流出してしまうのではないかと、懸念する声も出てくるでしょう。
メンテナンスノートにおける住所の取り扱いについて、ここでは詳しく見ていきます。
メンテナンスノートをはじめ、車の売却時にはさまざまな必要書類を提出する必要があります。その中には皆さんの住所や氏名などの個人情報が記載されているものの、これらが流出することはありえません。
その理由の一つとして、個人情報保護法があるからです。個人情報保護法とは、2005年に施行された、住所や氏名など、個人の特定が可能な情報を保護しなければならないという法律です。
個人情報は組織的かつ個人的に、物理的や技術的さまざまな手段で保護しなければなりません。そのため、車売却によって個人情報が漏洩することはまずないと思って良いでしょう。
ただし、買取業者の中には個人情報の取り扱いがずさんなところもあるかもしれません。住所などの個人情報を安心して任せられる、信頼できる買取業者に車を売却することが大事です。
メンテナンスノートに記載されている住所などの個人情報の管理は、買取業者やディーラーにとって義務です。先ほど紹介した個人情報保護法でも決められていることです。
もし買取業者やディーラーが管理を怠って個人情報が漏洩してしまった場合、その業者はペナルティを受けます。1件でも個人情報を取り扱うことになれば、しっかり管理しなければなりません。
個人情報の漏洩が発覚すれば、会社の社会的信用は大きく失墜します。個人情報が流出したことのある業者に、買取をお願いする人はいないでしょう。業者の経営にも深刻な影響を与えるので、どの業者も個人情報の取り扱いには万全を期しているはずです。
主要なディーラーや買取業者を見てみると、メンテナンスノートの住所をはじめ、個人情報漏洩防止のためにさまざまな対策を講じています。
まず最近の点検整備記録簿を見てみると、車体番号のみの記載になりました。個人情報保護法の成立によって、余計な個人情報を掲載しなくなったためです。
ただし、少し前の点検整備記録簿の場合、個人情報が掲載されているかもしれません。その場合でも個人情報の部分は切り取って、次のオーナーに渡しています。よってメンテナンスノートから住所など個人情報が洩れることはまずないでしょう。
もし心配であれば、メンテナンスノートを渡す際に個人情報の取り扱いについて質問してください。説明を受けて納得できたところに売却すれば、安心です。
別項で紹介したように、渡したメンテナンスノートの住所などの個人情報は業者によって厳重に管理されます。車を売却する際に個人情報が漏洩することはまず考えにくいですが、それでも心配であれば自分でも対策しましょう。
まずはメンテナンスノートに住所などの個人情報が記載されているか確認してください。割と最近購入した車であれば、個人情報はメンテナンスノートに掲載されていないはずです。
もし住所などの個人情報が掲載されたとしても、切り取りできるようになっています。買取業者に提出する前に、個人情報の部分は切り取っておきましょう。
個人情報が切り取られたメンテナンスノートを提出したとしても、それで査定がマイナスにはなりません。
基本的にメンテナンスノートはじめ必要書類に書かれている個人情報の取り扱いは、買取業者に任せることになります。よって個人情報の漏洩が心配であれば、信頼できる業者に車を売却することが重要です。
まずは業者のホームページにて、個人情報をどう取り扱っているか確認しましょう。個人情報保護法はあるものの、具体的にどう個人情報を取り扱うかに関する明確なルールはありません。
個人情報の取り扱いについては、業者でどのような規定になっているかサイトで紹介されているはずです。ホームページに個人情報の記述があるか確認してください。
また自動車買取に関する団体に加入しているかどうかチェックしましょう。団体ごとに個人情報保護方針を定めているので、加盟業者はそのルールにのっとって管理しています。
メンテナンスノート以外の個人情報の取り扱いについて
メンテナンスノートによっては、住所などの個人情報が掲載されています。一方、メンテナンスノート以外にも車売却の際に買取業者に提出する書類の中には、個人情報の掲載されているものもあります。
もし個人情報の漏洩が心配であれば、なんらかの対策を講じると良いでしょう。その方法について以下で紹介するので、参考にしてください。
車を売却する前に、ダッシュボードの中に入っている書類などを処分しておきましょう。書類の中には住所や氏名など個人情報の記載されているものもあるからです。
具体的には、任意保険証書や車検などの見積書などが挙げられます。車関連の書類は、車検証と一緒に車のダッシュボードの中に入れっぱなしという人も少なくありません。
車庫証明書の控えを車の中で保管している人もいるようです。月極駐車場で自宅と異なる保管場所でも、マイカーがどこにあるか割り出されてしまいます。
通常は買取業者が不要な書類は処分した上で車を販売しますが、100%ではないので、念のため個人情報を特定できるような書類は車から出しておきましょう。
買取業者に提出しなければならない書類の中に、住所などが記載されているものもあります。今回紹介したメンテナンスノートの場合、点検整備記録簿に住所などが記載されています。
もし住所などの個人情報が掲載されていれば、その部分だけ切り取って提出するのがおすすめです。こうすれば、次のオーナーに個人情報が流出する心配もありません。
また必要書類の中には、自動車税納税証明書があります。自動車税納税証明書は領収書部分だけ切り取って、提出すれば問題ありません。
ただし、一部切り取りなど手を加えてはいけない書類もあるので、注意してください。もし心配であれば、買取業者に相談してみると良いでしょう。
最近では、カーナビを設置している人も多くなっています。カーナビを設置したままで売却する場合、カーナビの初期化も忘れないでください。
カーナビは個人情報など、さまざまな情報の宝庫です。自宅への移動経路が分かりますし、これまでどのようなところに行ったのかも把握されてしまいます。
カーナビのリセット方法は、それほど難しくありません。メニューの「設定」内にある「リセット」もしくは「初期状態に戻す」を選択すれば、データは削除されます。
現在ではカーナビを普段利用している人も多いようです。自動車所有者の8割強とも言われているので、カーナビの情報漏れ対策にも注意してください。
車を売却したら、車検証の所有者名義を変更しなければなりません。もし名義変更されていなければ、車検証に住所などの個人情報が掲載されています。
通常、買取業者に車を売却した場合、買取業者の方で名義変更手続きを行ってくれるでしょう。そして優良業者であれば、名義変更すればその旨の連絡があるはずです。ただ連絡するだけでなく、車検証のコピーなどでたしかに名義変更されたことを目で確認できるように配慮してくれます。
一方で、まれに車検証の名義変更をせずに中古車売却してしまう業者もあるようです。もし名義変更されないと情報漏洩の他に、車が手元にないのに自動車税を請求されてしまいます。
名義変更の連絡をくれる、信頼できる業者に車は売却してください。
最近では、車とアクセサリーをBluetoothやWi-Fiなどで接続することもあります。この接続の際に情報を同期することで、情報が車内に残っている可能性もあります。
例えば、Bluetoothの場合はスマホと車で電話帳情報や通話履歴などの情報が残っているかもしれません。そのため、Bluetoothの設定でペアリングをすべて解除しておきましょう。
またWi-Fiで接続している場合、車載アプリケーションなどのサービスのログイン情報が残っているかもしれません。そのため、Wi-Fi設定を選択して、ネットワークを削除しておいてください。
車載アプリケーションの場合、ログアウトをする、もしくはアカウントの削除を忘れずに行いましょう。
車載カメラや運転支援システムを導入している場合、カメラなどに個人情報を特定する映像が残っている可能性もあります。また、駐車場の位置情報が記録されている場合、そこから住所を特定される恐れも出てきます。
駐車サポートシステムを導入しているのであれば、こちらの対策もしておきましょう。
車載カメラや駐車サポートシステムにアクセスして、「設定」メニューを選択します。そして位置情報や映像データをすべて削除すれば、場所を特定される心配もなくなります。
もしくは工場出荷時に初期化してしまうことで、大事なデータを削除する方法もあるので試してみましょう。