車を中古車として売却する際、その車がバッテリー切れを起こしていたらどうすべきか迷うという方は多いかもしれません。このような場合は、修理や交換を済ませてから売る方がよいのでしょうか?
実は、車のバッテリーが切れていても大した問題ではありません。バッテリー切れは査定ではチェックされませんし、買取店に直してもらった方が結果的に安上がりだからです。
ここでは、バッテリー切れの車を売りに出す場合の心構えと留意点を説明します。
バッテリーが切れている車でも売却できます
バッテリー切れになっている車はエンジンもかからないので、買取価格の査定に悪影響があるのではないか、動作不良と見なされるのではないか、と不安になるでしょう。
しかし、車のバッテリー切れはさほど問題にはなりません。バッテリー切れで動かない車を査定に出す場合は、事前にひと言、お店に伝えておくだけで十分です。
仮にバッテリー切れが影響して買取価格から差し引かれたとしても、気にするほどの金額にはならないことが多いです。
買取店にとって、車のバッテリー切れは「よくあること」です。そもそも車を売却したいということは、なんらかの理由で不具合が起きている可能性もあるため、バッテリー切れ程度で驚かれることはありません。
不具合のない車でも、長期間運転していなければバッテリーが上がっている可能性も考えられます。その点は買取店も十分心得ているので、車が動かない原因が本当にバッテリー切れのみであれば何の問題もありません。
バッテリー切れは簡単に直せる
車のバッテリー切れは珍しくないため、買取店も復旧方法は心得ています。
査定を依頼する際は、バッテリー切れを起こしている可能性があると前もって伝えておけば、あとは店側ですぐに回復させてくれるでしょう。
バッテリーは別の車から電気をもらうことで回復させることができます。そのため、例えば買取店が出張査定で訪れた場合などは、査定士が乗ってきた車のバッテリーをケーブルでつなぐことで復旧できます。
大抵の場合、買取店側はブースターケーブルなどの道具を持っているはずです。ただし、前もって言わないと持ってこない可能性もあるので、特に出張買取を依頼する時などは、申し込んだ時点で車の状態を事前に伝えておくことが大切です。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
バッテリーが切れないようにするには?
もちろん、バッテリー切れは起こさないのが一番です。基本的に、バッテリー切れが起きるのは電気の消費スピードが充電のスピードを上回ってしまうからで、それが起こらないようにすれば防止することは可能です。
ここでは、故障以外でバッテリーが切れる原因としてよくあるものを3つ挙げます。万が一の時のために覚えておきましょう。
バッテリーが切れてしまう、いわゆるバッテリー上がりの原因で最も多いのが「ライトの消し忘れ」と「エアコンの使いすぎ」です。
ライトの場合は、つけたままで下車するとアラームが鳴る車が多いですが、エアコンの場合はエンジンを切っていても使える車もあるので、注意が必要です。
エンジンを切っている間はヘッドライト、エアコン、カーナビ、室内灯などの電力を消費する機器の使用を控えましょう。電気を消費するこれらの装備のスイッチをこまめに切るようにしているだけで、バッテリー切れの対策となります。
車は走行することによって発電機が作動し、作られた電気がどんどん蓄積されていきます。走れば走るほど充電が進むことになりますが、走行距離があまりに短いと消費量に対して充電が追い付かなくなることがあります。
走行時間が30分以上なら効果がありますが、5分から10分程度のちょい乗りだと消費のスピードが充電のスピードを上回ってしまうのです。そして、バッテリー内の電気が減っていき、最終的にバッテリー切れとなります。
そのため、週に一度は30分以上は車を運転し、電力が蓄積されるようにするのがベストです。近所にちょっと買い物に行く程度の使用頻度ではバッテリー切れ予備軍のような状態なので、注意してください。
車は、乗らずに放置するだけでも電力を消費していきます。これを「自然放電」といい、2ヶ月から3ヶ月程度乗っていない期間があると、車に乗ろうとした時にバッテリー切れを起こしてエンジンがかからないことがあります。
運転の機会が少ない場合は、マイナス端子を抜いておけばバッテリーを外したのと同じ状態になり、1ヶ月程度はもたせることが可能です。ただし、それでも自然放電は起きていますので、いずれバッテリーは切れると考えておきましょう。
マイナス端子の外し方は簡単で、バッテリーに接続されている黒い方のケーブルをスパナで外すだけです。ただ、不用意に触ると高圧電流で感電するので、扱いに慣れていない方は触らない方がいいでしょう。
バッテリー切れの車を売りに出す場合の注意点
売却する車のバッテリーが切れていると、車を査定してもらう時にどのような影響があるのか、あるいは影響がないのかを理解しておきましょう。
知識がないと足元を見られることになったり、実際の査定額が想像とかけ離れてしまったりするかもしれません。
特に覚えておきたい事柄を以下で挙げていきます。参考にしてください。
バッテリーが切れている車を中古車として売る場合、バッテリーは新品と交換するべきか悩む方もいるでしょう。
「バッテリー切れのままだと、査定で減点されて買取価格が下がるのでは…」そう考える方もいるかもしれません。
しかし、切れたバッテリーを自分で交換する必要はないです。むしろ、自分でやると損になることのほうが多いです。
買取店が車を査定する時は、どの店でも共通のチェックシートを使っています。そして、そのリストの査定項目の中にバッテリーに関する項目はないので、たとえ査定時にバッテリー切れを起こしていても査定結果に直接影響してくることはありません。
そのため、逆にバッテリーが新品で充電がしっかり行われていたとしても、買取金額が高くなるということもないのです。
最も、バッテリーの交換や修理を買取店に任せることで数千円程度マイナスになることもありますが、次の項目で述べる通り、それも大した問題ではありません。
車のバッテリーが切れていると、査定に出す前に自分で交換した方が査定士の心証がいいのではないか、バッテリー切れのせいで買取価格が下がったりするのではないか、と思うかもしれません。それでも、査定に出す前にバッテリーを自分で交換するのはやめた方がいいでしょう。
売却される中古車になんらかの欠陥や修理の必要があるのは当たり前のことで、買取業者もそれは十分承知しています。買取業者側には、そうした欠陥を安く修理するノウハウや部品の調達ルートを持っていることが多いです。
そのため、素人が自力で修理すると5,000円かかるものも、業者が修理すれば2,000円で済むということもよくあります。たとえ買取価格から修理の費用がマイナスされても、どのみち安く済みます。
つまり、バッテリーを自分で交換して5,000円を払ってから査定に出すか、そのまま査定に出して修理費として2,000円を査定額から差し引かれるかの違いに過ぎないということです。そうなると、バッテリー切れのまま査定に出した方がいいことが分かるでしょう。
ここまでで、車のバッテリー切れは査定にさほど影響を及ぼさないことを説明しました。これを知っておくと、査定時にバッテリー切れを起こしていても慌てずに済むのと同時に、悪徳業者を見分けるのにも役立つでしょう。
買取業者の中には、残念ながら悪質な業者もいます。バッテリー切れは大した問題ではないのに、それを理由に高額な請求をしてきたり、ペナルティのような形で安く買い叩こうとしたりするような業者もいます。
こういった業者と遭遇して足元を見られないようにするためにも、「バッテリー切れは車の査定においては騒ぐような事柄ではないのだ」と覚えておきましょう。
その点に難癖をつけてくるような業者は、避けるのが賢明です。
車が動かないときは念のためバッテリー切れ以外の理由も確認する
長らく運転していなかった車に、久しぶりにエンジンをかけてみたら動かないという状況の場合、まずはバッテリー切れの可能性を考えるでしょう。
長期間車を使っていないと、自然放電されるだけで充電されることはないので、バッテリーが切れる可能性は大いにあります。
本当にバッテリー切れが原因であれば、交換や充電をすれば再び車を動かすことができます。しかし、車はそれ以外の理由でも動かなくなることがあるので注意が必要です。
確かに、一般道路での車のトラブルで最も多いのがバッテリー切れです。しかしエンジンが故障しているなど、もしもどこかに異常が発生していたらバッテリー切れを解消しても車は動きません。
バッテリー切れ以外で車が動かなくなる原因は、大きく分けて「燃料切れ」「周辺機器のトラブルや故障」などに分類されます。これ以外にも、車の運転を始めて間もない方や、購入したてで車の扱いに慣れていない方の「操作ミス」などもあります。
これらの原因について詳しく説明します。
車が動かなくなった理由が、燃料切れや操作ミスなどが原因の場合は以下の4つの状態が考えられます。
高速道で発生する車のトラブルの中で最も多いのが、ガソリン切れによる立ち往生です。
多くの場合、残量警告ランプがついてから50㎞程度は走ることが可能です。だからといって給油を先延ばしにすると、渋滞に巻き込まれたりしてガソリンが空っぽになってしまうことがあります。
運転しようにもキーが回らない、さらにエンジンもかからないという場合は、ハンドルロック(ステアリングロック)の可能性があります。
これはキーを抜いてからハンドルを動かすと発生する盗難防止の機能で、ハンドルを左右に動かしつつキーを回すことで解決します。
ギアの位置が不適切だと、事故防止のため車のキーは回らないようになっています。
オートマ車の場合はギアをP(パーキング)に入れる、ミッション車の場合ならN(ニュートラル)にして、クラッチを踏みつつキーをひねってみましょう。
車によっては、フットブレーキを踏んだ状態でキーをひねらないとエンジンがかからないものがあります。
これは、誤操作による急発進で事故が起きるのを防ぐための機能で、この場合もフットブレーキを強く踏んでキーをひねれば解決します。
車が動かなくなった理由が、周辺機器のトラブルや故障が原因の場合は以下の3つの状況が考えられます。
電子キーが原因で車が動かなくなることがあります。「半ドアでエンジンがかからない」「キーの充電が足りずに反応しない」というケースです。
この場合は、電子キーに内蔵されている非常用のメカニカルキーを使いましょう。電子キーのボタンやスライドロックを操作して取り出すことができます。
ただし、メカニカルキーを使うとアラームが鳴る車もあります。慌てず落ち着いて対応してください。
冬場は気温が低いためバッテリーの放電力が弱まることがよくあります。さらに、エンジンオイルが固まってエンジンがかかりにくくなり、故障と勘違いすることもあります。
これはエンジンが温まるのを待てば大丈夫なので、5分ほど時間をおいてエンジンをかけ続けるようにしましょう。
焦って立て続けにキーを回すと、かえって電力を食ってしまい逆効果なので注意しましょう。
車が動かなくなるその他の原因として、「エンジンなどの故障」「ファンベルトの断裂に伴うオーバーヒート」「セルモーターの固着」などがあります。
特にエンジンの故障は修理に出すと十万円単位の出費になることもあります。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
バッテリー切れの車をできるだけお得に売る方法
できるだけ車は高く売りたいものですが、バッテリー切れとなった車の最大の問題は「車が動かせない」ということです。かと言ってレッカーを頼んだりバッテリーを交換したりすれば、費用がかさみます。
つまり、バッテリー切れの車を売るのは、判断を間違えると手間と費用が無駄にかかってしまうということになります。そうならないための方法を紹介しましょう。
バッテリー切れの車を査定してもらう場合、特におすすめなのは「出張査定」です。
買取店から査定士が来てくれるので、動かすことができない車でも気軽に査定してもらえます。
もしバッテリーを充電しても動かず、故障していることが判明したという場合でも、査定後に買い取りが決まれば店側がレッカー移動してくれます。自分でレッカー移動の手配をしたり、修理したりする必要はありません。
査定基準はどんな場合でも同じなので、お店に持ち込んで査定してもらう場合と比べて買取金額が安くなったり高くなったりするということもないです。
ただし、業者によっては別途手数料がかかりますので、予約する際にきちんと確認しておきましょう。
バッテリー切れの車に限らず、「相見積もり」は車を売る際のテクニックのひとつです。
これは2~3社以上の業者に車の買取金額の見積もりを出してもらうもので、いわば「買取競争」の形になります。そのため、高値買取をしてくれるかもしれません。
中古車の買取業者にはそれぞれ扱いに長けている車種があり、また買取後の販売ルートも異なる場合があります。よって算出される買取金額にも差が出ることがあり、そこには得意とする車種や販売網の広さなどの特徴が如実に表れます。
各業者からの見積もりが出揃ってからも、交渉次第では金額をプラスできるかもしれません。これも業者同士の競争を促す相見積もりならではのメリットとなるので、高値を出している業者にすぐ飛びつかず慎重に進めましょう。
売却先が決まったら、それ以外の業者には断りの連絡を入れることを忘れないでください。連絡が絶対に必要というわけではありませんが、マナーを守って気持ちよく商談をしたいものです。
悪徳業者との取り引きを避けるために、バッテリーの交換費用や、売る車の中古車市場での相場を事前に確認しましょう。
費用や相場について無知のままだと、いざという時の判断材料がなく足元を見られかねません。
車を査定する際の査定項目はどの買取店でも同じですが、店ごとの在庫数や得意とする取り扱い車種、販売ルートなどで買取額は変動します。
先にご紹介した「相見積もり」で、相場と合わせて平均的な買取額の見当をつけておくとなお安心です。相場を知っておくことで、交渉による買取金額アップも期待できます。
売る車の中古車価格を知っていれば、どのくらいの金額までならプラスできるのか、おおよその見当がつくでしょう。