今や生活必需品の一つとも言える車ですが、その使用方法を誤ると、人や物に被害を与えたり、自然環境を破壊してしまったりする恐れがあります。
車は道路交通法や道路運送車両法などといった法律によって「使用」「維持」「管理」について細かく規定されています。そのため、購入や買い替えに関しても、しかるべき手続きを踏む必要があります。
しかし、車を購入したり買い替える際、どのような手続きが必要なのかを詳しく把握している方は少ないかもしれません。
この記事では、車を買い替える際の手順や手続きに必要なもの、抑えておくべきポイントなどを解説していきます。
車を買い替える時の手順と手続きを把握しておこう
今乗っている車を買い替える場合、必要書類をもれなく準備し、名義変更などの「手続き」を進める必要があります。
また、手続きだけではなく、買い替えに適した時期や予算の把握、ライフスタイルに合った車種選びといった「正しい手順」を踏んで買い替えないと、損をしたり後悔をしてしまったりすることもあります。
そこで今回は、これまで慣れ親しんできた愛車を買い替える時の手順や手続きを、時系列に沿って整理していきます。
また、お得に賢く車を買い替える上で抑えておきたいポイントも紹介します。
まずは今の車が「買い替え時」かどうかを見極めよう
家族構成や主な用途の変化、家計的な要因など、車を買い替えたいと思うきっかけや動機は様々です。
その時に「買い替え時」を知っておけば、スムーズに次の車への乗り換えができるでしょう。
そこでまずは、今の車が本当に「買い替え時」なのかどうかを見極めるポイントを3つ紹介していきます。
車検の更新時期は、自家用乗用車の場合、新車時は3年、以降は2年に1度、必ずやってきます。
この車検にかかる費用は、車の維持や管理コストの中で最も大きなウェイトを占めているため、車検の期限が近付いた時に更新をせず、思い切って車自体を買い替えてしまうのも手です。
また、車は年式が古くなり走行距離が伸びると、あちこちに故障や不具合が出やすくなってきます。すると、発生した故障の修理代はもちろん、先ほど触れた車検時の追加整備費用もかさんできます。
そのため、故障や不具合が増え始めるとされている「10年・10万kmを超えた車」も、買い替え時が来ていると言えるでしょう。
さらに、毎年4月1日時点の所有者に課税される「自動車税」も、車を維持していく上で必ず発生する費用です。
自動車税は、新規登録の日から13年以上(ディーゼル車は11年)経過すると、約15%増税されます。
自動車税は、その車の排気量が大きくなる程、税額が高くなる仕組みとなっています。そのため、排気量が大きな車に乗っている場合は特に、自動車税が増税される前に買い替えたほうがお得です。
車を買い替える際、今乗っている車を下取りや買取に出して、次の車を購入する費用の一部に充てようと考える方も多いかもしれません。
この場合、下取りや買取の査定額は、前の車のリセールバリュー(再販売する時の価値)によって決まります。
リセールバリューは、車検が更新される年度(3年・5年・7年・9年目)のタイミングでガクンと下がります。また、買い替え前の車と同じ車種がモデルチェンジされた時も、リセールバリューが大幅に下落することがあります。
リセールバリューが下がる前に、車を高値で買い取ってもらえれば、その分を次の車の購入費として充てられるので節約することができたり、ワンランク上の車を狙ったりすることも可能です。
リセールバリューが残っている、言い換えれば「今の車が高く売れる時」もおすすめの買い替え時と言えるでしょう。
車は便利な「道具」であると同時に、個人の趣味・趣向を満たす「嗜好品」でもあります。そのため、「乗りたい車がある」という時も「買い替え時」の一つであり、欲求に従って買い替えを決めるのも決して間違いではありません。
なぜなら、予算の都合ばかりを重視して次の車を決めてしまうと、後々購入を悔やんでしまう可能性もゼロではないからです。
もちろん、車は大きな買い物なので、予算を全く無視し、いわゆる「衝動買い」で買い替えを決めることはおすすめできません。
しかし、趣味・趣向やインスピレーション、用途などを重視して買い替え時を決めたほうが、その後のカーライフが有意義で充実したものになることでしょう。
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車を買い替える時の一般的な手順と手続き
次は、車を買い替える時の一般的な手順と手続きについて、その流れを順番に解説しましょう。
なお、この流れが絶対に正しいというわけではなく、あくまでもモデルケースです。買い替える動機やタイミングによっては、若干手順が変わったり、他の要素が加わったりすることもあります。
参考までに見ていきましょう。
車を買い替えるとなれば、それが新車である場合はもちろん、中古車であったとしても大きな買い物になります。
そのため、現在の車の「ローンの支払い状況」「売却する時の予想額」などを調べ、次の車の購入予算を決めることから始めましょう。
購入予算が決まらないと、買い替える車の候補を絞り込むことができません。また、予算を考えずに無理な買い物をしてしまうと、その後の支払いに苦労することもあります。
この時、重要になるのが下取りや買取額の予想です。同じ状態の車であっても、業者によって買取額はかなり異なります。そのため、車の買い替えをする時は必ず複数の業者に査定を依頼し、査定額が最も高い業者を探すようにしましょう。
なお、前の車のローンが残っていても、ローンを完済したり、残債を次の車のローンに組み込むなどをすれば、下取りや買取を伴う買い替えも十分可能です。
次に、購入予算と今後の用途やライフスタイル、そして個人的な趣味・趣向などをもとに、欲しい車の車種やタイプを絞り込みましょう。
いったん車を買い替えれば、その車を3年、5年と長期間にわたって、乗り続けるケースも多くなります。そのため、買い替える時の状況だけではなく将来的な展望を見据え、車種・タイプを絞り込むようにしましょう。
また、次に乗りたい車がはっきりと決まっている場合は、前のローンの支払いが終わるまでや頭金が貯まるまで、買い替えを待つのも一つの手です。
買い替えの候補に決めた車種やタイプが全く同じであったとしても、購入先によっては価格が異なります。
新車の場合は価格差と言っても値引き幅程度で、あまり違いはありません。しかし、一点物である中古車に買い替える場合は、購入店舗によって価格も程度も千差万別です。
さらに、新車・中古車に関わらず、価格帯や程度が同じでも、購入後のアフターフォローやローン金利などが異なります。
購入先店舗の「質」によって、買い替え後のカーライフの「質」も変わるとさえ言えるため、購入先の選定は慎重に行うよう心がけましょう。
販売店の質について、ネットを駆使して口コミや評判をリサーチするのも一つの方法です。しかし、ネットでは分からないこともあるので、可能でれば実際にそのお店に行き、直接雰囲気を確かめてみましょう。
新しい車と購入先のお店を決めたら、次は買い替えの手続きを行います。その際に必要書類を揃えておかなくてはなりません。
車の買い替えの際、購入手続きに必要な書類は、普通車と軽自動車で若干異なるので注意しましょう。
- 実印
- 印鑑証明書
- 車庫証明
- 委任状
- 認印
- 住民票
- 車庫証明(地域によって必要)
- 委任状
このうち、ユーザー自身が必ず準備しなければならないのは、普通車の場合は実印と印鑑証明書、軽自動車の場合は認印と住民票です。
やや取得が面倒な車庫証明に関しては、購入する業者に代行を依頼できます。
委任状に関しては業者側が書式を準備しているはずなので、ユーザーはそれに署名・捺印するだけです。
なお、今の車を業者に下取りや買取に出す場合は上記に加えて以下の書類も必要になります。
- 車検証
- 自賠責保険証
- リサイクル券
- 印鑑証明書 など
いずれも、車のダッシュボードなどに保管していることが多いですが、スムーズに乗り換え手続きを進めるために事前に所在を確認しておきましょう。
車を買い替える時の手続きはお店に任せてOK
ここまでの手順に沿って進めていけば、あとの細かい手続きは基本的に次の車を購入するお店に任せて問題ありません。
しかし、必要書類のうち業者に代行を依頼することも多い、車庫証明の取得を含め、買い替え手続きの代行手数料は、業者や店舗によってかなり差があります。
そのため、購入先に代行手数料がいくら程度かかるのか事前に確認し、その額も車を買い替えるお店選びの材料にするとよいでしょう。
また、普通車を「廃車」にして次の車に買い替える場合、その時期やタイミングによっては自動車税が還付される可能性があり
この自動車税還付金の取り扱い方は業者や販売店によって異なります。きちんと次の車の購入代金から割り引いてくれるところもあれば、全く反映してくれない業者も存在します。
自動車税還付金の取り扱い方についても、事前に問い合わせるとよいでしょう。
車の買い替え手順と手続きで抑えておくべきポイント
車の買い替えに伴う手順や手続きは、基本的にその大部分を業者が行うため、それほど難しく考える必要はありません。
ただ、効果的かつお得に買い替えを行い、より良いカーライフを送るためには押さえておいてほしいポイントがいくつかあるので、紹介していきます。
買い替えを検討する際、タイミングや予算の把握も大切ですが、今後の人生設計とそぐわない車に乗り換えてしまうと後悔する可能性があります。
例えば、今後家族が増えたり、遠距離通勤になったりする可能性があるにも関わらず、予算を気にして普通車から軽自動車に乗り換えたとしましょう。
この場合、乗車可能人数の不足や通勤時の負担に耐えかね、もう1台車を買い足してしまったら、購入・維持・管理コストがかえってかかってしまう可能性もあります。
今後、自分の生活スタイルがどのように変化していくのかを正確に見極めるのは難しいかもしれません。しかし、せめて今後その車に何人乗せる可能性があるかについては、ある程度計算に入れてから車を選ぶようにしましょう。
中古車は、たとえ車種やタイプが同じであっても、販売店や買取店によって購入額や下取り・買取額が異なります。
そして、販売店や買取店はできるだけ多くの車を売り、そして買取もしたいと思っています。そのため、競合店の存在を知れば値引きや買取額UPなどを含めた、価格交渉をしかけてくることもあるでしょう。
価格交渉をして購入額を値引きしてもらい、加えて下取り・買取額のUPもできれば、買い替えに要するコストはかなり節約できます。
車を買い替える時は一つの店舗に任せっきりにするのではなく、売却額・購入額を複数のお店で比較し、最も高く売れるお店と最も安く買えるお店を探すようにしましょう。
万が一の事故に備えて加入する自動車保険のうち、強制保険と呼ばれる自賠責保険に関しては、買い替えた車が納車された時点ですでに加入済であるため、それほど気にすることはありません。
一方、ユーザーの意志で加入や補償内容を決めることができる任意保険に関しては、車の買い替え、つまり使用する車の変更に合わせてユーザー自身が切り替え手続きを行う必要があります。
任意保険の補償対象となる車両の切り替えが済んでいない場合、万が一の際に補償が受けられなくなる可能性があります。そのため、買い替え手続きが終了し納車されて使用を始める前に、任意保険の切り替え手続きを済ませておきましょう。
また、買い替えによって車種やタイプが変わった時は、今加入中の補償内容についても、買い替えた車とその用途に合わせて一度見直すことをおすすめします。
特に車両保険は、購入した車の時価によって保証額や支払保険料が変わってくるので、加入するかどうかは見直すようにしましょう。
ここまで述べてきたポイントを抑えた上で、手順に沿って買い替えをすれば、効率的かつお得にカーライフを継続できるでしょう。
しかし、お金さえ支払えばすぐに次の車が納車されるかと言えば、そうではありません。書類の準備や手続きだけでも、平均して2週間程度の時間がかかります。
そして予算の把握や車種の慎重な選定、売却店や購入店の選抜にかけるべき時間を加味すると、お得に後悔なく車を買い替えたいなら、1ヶ月程度の準備期間を確保すると安心でしょう。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!