マイカーを持っている人で、普段車の点検をしている人はどのくらいいるでしょう。日常点検は、車のオーナーの義務です。

特に、エンジンに関する点検は定期的に行うべきです。エンジンは車を動かすために必要なもので、不具合を起こすと良くありません。

そこでここでは、エンジンの中でも自分でどのような部分を点検すればいいかについて紹介します。エンジンをチェックするためにはボンネットを開ける必要があるので、その方法についても見ていきます。

車の日常点検とは

車の日常点検とは
車を所有している人は点検を行う義務があります。これを日常点検といって、法律の中でも定められていることです。

では、具体的に日常点検をどのくらいのペースで行うべきなのでしょう。日常点検を行う目的も理解した上で、定期的なチェックを心がけてください。

車の日常点検は所有者の義務

日常点検はドライバーの義務と紹介しましたが、正確にいうと自動車を適性な状態に保つことが義務付けられています。その一環として、2年に1回実施される車検があります。

ただし、車検だけでは十分に適正な状態に保つという条件はクリアしていません。車検に加えて12ヶ月に1回行う定期(法定)点検整備と車のオーナーが普段行う日常点検を行って、初めて安全に車を運転できる状態となります。

しかし、車検以外は法的な拘束力がありません。そのため、定期(法定)点検整備や日常点検を行っていない人は多いようです。

2010年に国土交通省が行った調査によると、定期(法定)点検整備を行っていない人は35%でした。さらに日常点検となると、約4割が実施していないという結果になりました。

一方、2008年に起きた事故の中で車の整備不良が原因と考えられるものは、800件以上起きています。いかに常日頃の車の点検が必要かが分かるでしょう。

車の日常点検を行う目的

日常点検をする目的は、道路運送車両法第47条に基づくものです。この中で、使用者の点検及び整備の義務に関する項目が記載されています。

簡単にまとめると、「自動車の使用者は点検をし、必要に応じて整備して保安基準に適合するように維持する」という義務項目です。車のコンディションを一定レベル以上にするために、日常的な点検が必要であるということです。

適正に点検をしていないと不具合が見つかり、場合によっては動かなくなることもあり得ます。また運転中に故障すれば、交通事故を起こし、歩行者やほかの車を巻き込みかねません。

修理をするとなると、それなりにまとまった費用がかかります。このように大きな負担がのしかかるので、日常点検をする必要があります。

車の日常点検を行う頻度とは

車の日常点検を行う頻度とは
教習所に通っていた時に、運転する前に点検するように言われたことを覚えている方もいるでしょう。これは運転前点検といって、日常点検の前の呼び名です。

運転前点検との名の通り、基本的に運転する前には点検するように求められていました。これが日常点検と名を変えた時に、点検する頻度も変わっています。

運転前点検では、1日1回運転する前に点検する義務がありました。しかし、日常点検では「適切な時期」に点検すればいいとなっています。

適切な時期とは、走行距離や運行頻度などを鑑みて、判断するのはオーナー自身です。1日1回点検する必要はないですが、決して点検しなくていいという意味ではありません。

定期的に点検して、不具合の芽を摘み取る必要があります。

車のボンネットの開け方を理解する

日常点検では、主に車の走行性能などを中心にチェックしましょう。中でも特に重要なのはエンジンです。

エンジンは私たちの身体における心臓のような役割があります。エンジンが動かなければ、車はどうにもならないからです。

エンジンはたいていの車でボンネットの中に設置されています。そのため、ボンネットを開けて中のエンジンを確認しなければなりません。

そこで、ボンネットの開け方についてここでは見ていきます。若干車種によって異なりますが、基本的な開け方は以下の通りです。

ボンネットオープナーを押す

ボンネットオープナーを押す
まずはボンネットオープナーを押します。車内にレバーもしくはボタンのようなものがあるはずです。

ボンネットは基本ロックがかかっているので、そのままでは開きません。車種によって異なりますが、ボンネットオープナーはダッシュボードの周辺にあるものが多いです。

ボンネットオープナーを操作すると、「ボン」という音がします。そしてボンネットが少し浮き上がったような状態になります。

もしボンネットオープナーがいくら探しても見つからなければ、説明書を探しましょう。説明書の中でオープナーの位置が書かれているはずなので、確認してください。

ボンネットの開け方を外から確認する

オープナーでボンネットのロックを外したら、今度は実際にボンネットを持ち上げる工程です。まだこの状態ではボンネットは開きません。

ボンネットオープナーを間違って操作しても開かないように、ボンネットには二重にロックがかけられています。ボンネットの中に解除レバーがあるので、これを解除してください。

レバーの開け方は、車種によって異なります。上に引き上げるものもあれば、左右どちらかに向かって押す車種もあるのでこちらも説明書などで確認しておきましょう。

レバーを解除すれば、比較的簡単にボンネットはあがります。持ち上げるような形で上に持っていってください。

ボンネットを固定する

ボンネットを固定する
ボンネットを持ち上げてそのままにしていると、点検している時に勢いよく下がってくる恐れもあります。そこでステーと呼ばれる道具で、ボンネットを開いた状態で固定してください。

ステーはボンネットの裏側に設置されている車種が多いです。片方はボンネットに固定されていて、もう片方はフックで留められています。

フックは外れるようになっているので、外しましょう。車体の方にステーを挿し込めるような穴が設置されており、多くの場合は穴の付近に「矢印」が刻印されています。

こちらにしっかり挿し込んで、ボンネットが下りてこないようにしてください。一部の高級車にはダンパーがステーの代わりに設けられている車種も見られます。

車のボンネットの閉め方について

エンジンルームの点検が終了したら、またボンネットを閉めます。ボンネットの開け方と反対の手順で進めるだけです。

ステーを外して元の位置に戻し、フックを固定させてください。ボンネットはゆっくり下ろして、20~30cm程度の隙間のところで両手を素早く離します。

あとはボンネットが自重で勝手にロックがかかります。きちんとボンネットが閉じているかどうか、最後に確認しましょう。

ボンネットが完全に閉まっていないと危険です。場合によっては走行中ボンネットが開き、前が見えなくなる恐れがあります。

車のエンジンルームの点検ポイント

ボンネットを開くと、エンジンルームが目に飛び込んでくるはずです。エンジンルームの中でも具体的にどこをチェックすればいいかについて、ここで見ていきます。

エンジンルームは主に5つの項目をチェックします。チェック項目はエンジンオイルとバッテリー、ブレーキ液、冷却水、ウインドウォッシャー液です。

これらは消耗品となります。定期的に交換しておかないと、劣化してエンジンの不具合を起こす可能性があるので、定期的にチェックをしてください。

エンジンオイルを点検する

エンジンオイルを点検する
エンジンオイルのチェック項目は十分な量があるか、汚れていないかという点です。もしエンジンオイルが十分に入っていない、劣化しているとエンジンに大きな負担がかかります。

場合によってはエンジンに不具合を起こしかねません。定期的に点検し、必要に応じて交換しましょう。

エンジンオイルのチェック方法についてまとめました。ゲージがついているはずなので、自分でも簡単にチェックできます。

エンジンオイルの点検の仕方

エンジンオイルの点検の仕方
まずエンジンオイルのレベルゲージを抜き取ります。この時、エンジンは止めた状態で行ってください。

抜き取ったらいったんゲージに付着しているオイルをふき取ります。そしてもう一度、ゲージをいっぱい挿し込みましょう。

再びゲージを抜き取って、オイルがどこに付着しているか確認します。通常ゲージにはLとHという刻印があるかと思います。

このLとHの間にオイルが来ているようであれば、問題ありません。レベルゲージを元に挿し込んでおしまいです。

範囲内にない場合、必要に応じてエンジンオイルを新たに補充しましょう。エンジンオイルが適量入っていないとエンジンが破損する可能性があります。

エンジンオイル量を確認するタイミング

エンジンオイルは長期間使い続けると徐々に劣化します。劣化したオイルを使い続けると、燃費の低下やエンジンが焼き付いて壊れてしまうなど、いろいろなトラブルを引き起こしかねません。

エンジンオイルの交換時期ですが、一般的には3~6ヶ月の間が適切です。軽自動車やディーゼル車は少し早めに交換した方がいいと言われています。

走行距離も一つの目安になるでしょう。だいたい3000~5000km走行したら、交換のタイミングに差し掛かっていると思ってください。

普段長距離運転する方は、3ヶ月以内でもこの走行距離に達する人もいるかもしれません。3ヶ月待たずに交換した方がいい場合もあります。

エンジンオイルを点検しないリスクとは

エンジンオイルの交換をしないと、オイルがどんどん劣化してしまいます。オイルが劣化すると、走行性能を低下させる恐れがあるので、適切に交換すべきです。

エンジンオイルには、摩擦を抑制する効果があります。ところが劣化するとスムーズな回転ができなくなって、燃費低下を招きかねません。

またエンジンオイルが劣化すると、潤滑にエンジンが回らなくなります。摩擦がひどくなり、エンジン音が大きくなるかもしれません。

異音が発生してもそのまま使い続けると、エンジンが最悪焼き付いて壊れてしまうこともあり得ます。エンジンが回転しなくなって、エンジンを丸ごと交換しなければならない事態も考えられます。

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バッテリー量の確認

バッテリー量の確認
バッテリー液の量も確認しておきましょう。四角形の部品で大きな端子の2つついているものが、バッテリーです。

バッテリーにUPPERとLOWERという文字が書かれていると思いますが、この間に液が来ているようであれば、問題はありません。もしLOWERよりも下のところにしかバッテリーが来ていなければ、バッテリーの液量が足りていないということです。

新しく補充して、適切な範囲に来るように調整しましょう。

最近はバッテリー液の残量が確認できないようになっている「メンテナンスフリー」のバッテリーもよく見られます。このタイプのバッテリーは、電圧以外確認するポイントがありません。

バッテリーの点検方法について解説

バッテリー液の量だけでなく、ほかにもいろいろな項目をチェックすれば、より詳細な状態を点検できます。

まずは比重のチェックです。スポイト状の比重計が販売されていますので、これを使ってバッテリー液を吸い上げます。これで中の目盛りが1.26~1.28の間に来ていれば適性です。この時、20度程度の常温であることも確認してください。

さらに、電圧も調べておくといいでしょう。電圧計を使ってバッテリーの電圧を測定します。エンジンが停止している状態で10ボルト以下になっていると、若干弱いです。

充電する、充電しても変わらない、すぐ下がってしまう場合は、本体の劣化の可能性が高いので交換してください。

バッテリー液補充の際の注意点

バッテリー液が不足していたら、補充する必要があります。自分で行っても構いませんが、いくつか注意点があるので理解しましょう。

まず補充する液体ですが、専用の補充液もしくは蒸留水を使用することです。水道水を使うと、バッテリーの劣化の原因となります。

バッテリー液を補充する際には、エンジンを止めて十分時間が経過してから行ってください。エンジンが熱を持っていると、バッテリー液に含まれる可燃性ガスに引火する恐れがあるからです。

さらに、バッテリー液は希硫酸を使用しているため腐食性が大変強いです。身体や衣服に付着すると大変危険です。衣服のほかにも車体に液体がくっつかないように細心の注意を払って作業しましょう。特に目や皮膚などにつくと大変なので、速やかに洗い流してください。

ブレーキ液の量を確認する

ブレーキ液の量を確認する
ブレーキ液の残量がどうなっているかも日常点検で確認します。

ブレーキリザーバータンク内の液量が既定の範囲内に入っているかどうかチェックします。MAXとMINという文字がタンクについているはずです。この間に収まっているようであれば、問題ありません。

ただし、もしブレーキ液の量がMINよりも下にある場合、ブレーキ系統のどこかで液漏れを起こしている可能性があります。自分で修理するのは難しいので、自動車整備工場に持ち込んで相談しましょう。

ブレーキ量が少なくなると、思うようにブレーキが効かなくなってしまいます。運転していると大変危険なので、ブレーキ液の確認も定期的に行うように心がけてください。

エンジンルームの冷却水の量を確認

エンジンルームの冷却水の量を確認
エンジンルームの日常点検では、冷却水の残量が適切かどうかも重要なポイントです。冷却水は半透明のプラスチックの容器(リザーバータンク)の中に入っています。

キャップのところに「冷却水」や「COOLANT」などと書かれているのが冷却水用のタンクです。確認の方法は簡単です。

タンクの側面に目印となるようなマークが書かれています。その位置まで冷却水が入っているようであれば、問題ありません。

もし冷却水の量がかなり少なくなっているようであれば、ラジエーターもしくはラジエーター・ホースのどこかから液漏れしている可能性があります。

自動車の冷却水の交換時期

冷却水も長く使っていると徐々に劣化してしまいます。そのため、定期的に点検する必要があります。

冷却水の点検タイミングは、1~3ヶ月に1回が理想です。そこまでは無理でも、少なくても半年に1回くらいのペースで点検はしておきましょう。

最近の車の中には、スーパーLLCと呼ばれるものを使っているモデルもあります。スーパーLLCは従来よりもかなり寿命が長くなっています。

冷却水の交換は、だいたい2年に1回くらいのペースで行うケースが多いです。車検に出すたびに交換するようなイメージです。

ただし、これはあくまでも目安になりますので、劣化がこれよりも早ければ、速やかに交換してください。

冷却水は水道水で補充できる?

冷却水が足りなくてオーバーヒートを起こしそうであれば、水道水を応急措置的に使用するのは問題ありません。エンジンを冷やすという意味では、高い効果が期待できます。

しかし、常用で水道水を使用するのはおすすめできません。内部にサビを生じさせたり、泡ができたりするので不具合が発生する危険性があるからです。

水道水はあくまでも緊急避難的に使用することです。冷却水専用のものがカー用品店で取り扱っているので、基本はこちらで補充してください。

防錆剤や消泡剤などが使われているので、長年使用し続けてもトラブルを起こす可能性は極めて低くなっています。

ウインドウォッシャー液の量を確認する

ウインドウォッシャー液の量を確認する
ウインドウォッシャー液の量も、エンジンルームをチェックする時に確認します。エンジンルームの中にウインドウォッシャータンクが設置されています。

半透明のプラスチック製の容器です。キャップのところにウインドウォッシャーのマークがついているので、目印にしましょう。

冷却水用のタンクと似ているので、見間違えないように注意してください。上からのぞけば、タンクにどのくらい入っている確認できます。

もしタンクに半分以上ウォッシャー液が入っているのであれば、問題はありません。半分以下になっているようであれば、新しいウォッシャー液を補充しましょう。

まとめ

①日常点検はドライバーの義務である
②ボンネットを開けてエンジンルームの中をチェックする
③エンジンオイルとブレーキ液、バッテリー量、冷却水、ウインドウォッシャー液の5項目を確認する

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