車のバッテリーが上がるとエンジンがかからないなどのトラブルが起こります。バッテリーには寿命があるので点検し、定期的に交換する必要があります。
ガソリンスタンドでもバッテリーの無料点検をしてもらえるので依頼してみるとよいでしょう。また、交換費用は業者によって違うので費用などを把握しておくと便利です。
他にもバッテリーを長持ちさせる方法や、バッテリー上がりの予兆なども紹介します。
車のバッテリーの役割
車のバッテリーはボンネット中に装備されており、車に搭載された様々な電装品に必要な電力を供給しています。電力を放出しても充電すればパワーを蓄積することが可能です。
バッテリーは主に、エンジンをかける、ヘッドライトやブレーキランプなどの灯火類を点灯、点滅させる働きがあります。カーナビやオーディオを動かしたり、ワイパーやパワーウインドウを作動させたりするのに必要な電力も送っています。
車のバッテリーが上がるとエンジンがかからない
バッテリーは自動で放電、充電を繰り返すので交換の必要がないと思われがちですが、そうではありません。
バッテリーには寿命があり、内部に蓄えられた電力が少なくなってしまうことがあります。これが、「バッテリーが上がる」という状態です。
エンジンをかけるとセルモーターが回転する音がして、エンジンがかかります。しかし、バッテリーが上がるとセルモーターを回しても供給電力がないので、エンジンがかかりません。
ドアを開閉させても室内灯がつかない、ブレーキを踏んでもランプがつかないという症状が出ます。他にもパワーウインドウが開かない、ナビが作動しないなど車のあらゆる電飾品が作動しなくなる恐れもあります。リモコンキーを操作してもドアが開かなくなる可能性もあります。
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車のバッテリー上がりの原因
車のバッテリーが上がる原因としては、エンジンを切ってからライトをつけたままにした、長期間車を運転しなかったことなどが挙げられます。外気温が低いとバッテリー液が冷えてしまい、性能が落ちるのもバッテリー上がりと関係しています。
具体的にどういったことが原因になるか見ていきましょう。
車を停車させ、エンジンをオフにした後でヘッドライトなどをつけたままにすると、バッテリーの電力が消費され続けます。
特に多いのが半ドアにしたままで家の中に入ってしまい、室内灯がつきっぱなしで次の朝まで気づかないケースでしょう。バッテリーに蓄積された電力が一晩で消費されてしまい、バッテリー上がりが起こるリスクが高まります。
エンジンがかかっている走行中は、発電機が作動するので放電とともに充電もなされるため、バッテリーが上がることは少ないです。しかし、エンジンがオフだと充電がなされないので、バッテリーは蓄積されません。
長期間車を運転しなかった、車を動かさなかった場合もバッテリーが上がりやすくなります。車はエンジンをかけていない状態で放置してあっても、自然に放電が起こるので少しずつ電力が減ってしまうからです。
車には電力を供給することで動く電装品が搭載されています。カーナビなどは記憶や時計装置などが内蔵されており、機能を維持するために車を走行させていない時でも少しずつバッテリーから電力が供給され、消費しています。
日頃から短時間でも車を走らせていれば、充電がなされるので問題ないでしょう。しかし、長期間車を使わないで久しぶりにエンジンをかけようとしたらエンジンがかからなかったというのは、自然放電が原因によるバッテリー上がりだと考えられます。
バッテリーは消耗品なので寿命があり、永久的に使えるわけではないため交換が必要です。バッテリーの寿命は約2~4年だと言われています。
車をよく使う人や走行距離が多い場合は短い傾向にあり、バッテリーが古くなると、電力を作る機能が低下して発電量も落ちていきます。放電や充電がうまくいかないので、徐々に使える電力が減っていくのです。
バッテリーの寿命が近付いたというサインは、バッテリー本体を見ればわかりやすいでしょう。古いバッテリーは本体が膨らんでいます。
さらに、エンジンをかける際にセルモーターの回転が弱くなり、何回かモーターを回さないとかからなくなった場合はバッテリーの寿命だと言えます。
バッテリー液の主成分は、希硫酸という液体です。希硫酸は温度が低下すると性能が落ちてしまうという特質があります。
外気温が下がり、凍結の心配のある冬は特にバッテリー液が劣化しやすいです。北海道などの寒冷地では、バッテリー液の性能が落ちやすいと言われています。
例えば気温が0℃になると新品のバッテリーでも性能が2割ほど落ち、-10~20℃と極寒の地では新品のバッテリーの性能が半分にまで落ち込むこともあります。これが新品でなく古いバッテリーだったら、容易にバッテリー上がりを起こしてしまうと言えるでしょう。
バッテリー上がりの際の対処法
バッテリーが上がってしまうとエンジンがかからなくなるので、出勤前や帰宅時に車を動かせないため困ることになるでしょう。
万一の場合に備えて、バッテリー上がりの対処法を覚えておくと役立ちます。
バッテリー上がりの応急処置としては、他の車のバッテリーから電力を借りるジャンピングスタートなどの方法があるので、詳しいやり方を説明します。
他の車(救援車)のバッテリーと自車のバッテリーをつなぎ、電力を自車のバッテリーに送ってもらう「ジャンピングスタート」という応急処置がメジャーです。
ジャンピングスタートには、バッテリー同士をつなげるブースターケーブルという器具が必要となります。ブースターケーブルは赤と黒の2本のケーブルがあり、赤がプラスコードで黒がマイナスコードになっています。
また、救援車は電圧が12Vの乗用車でなければなりません。トラックなどは電圧が異なるので注意しましょう。
まずは、赤いコードを自車のバッテリーのプラス端子、次に救援車のプラス端子につなぎます。黒のコードを救援者のマイナス端子、続いて自車のマイナス端子につないで準備完了です。つなぐ順番やつなぐ箇所を間違えると電力が供給されないので注意が必要です。
救援車のエンジンをかけてアクセルを踏み、エンジンの回転数を上げます。自車のエンジンをかけてみて、エンジンが切れなければ電力供給が完了です。
ブースターケーブルを外す順番は、つけた順と逆です。まず自車のバッテリーのマイナス端子で、最後が自車のプラス端子となります。間違えると火花が出て危険なので気を付けましょう。
ジャンプスターターを使えば、救援車が見つからない場合でもバッテリーの応急処置ができます。蓄電機能があるジャンプスターターなら自車のみでもバッテリー上がりの解消が可能です。
まず、ケーブルをバッテリーにつないでいきます。ブースターケーブルと同様につなぎ方には順序があるので注意してください。
始めに赤いコードをバッテリーのプラス端子に、次に黒いコードをマイナス端子につなぎ、ジャンプスターター本体にケーブルをつないだら準備完了です。
本体の電源を入れて1分待ってから車のエンジンをかけましょう。しばらくエンジンがかかった状態が続けば、電力供給は成功です。
今度は本体の電源をオフにし、マイナス端子、プラス端子の順でコードを外します。
外出先でバッテリーが上がってしまい、「救援車を呼べない…」「ジャンプスターターを準備できない…」という状況に陥る場合もあるかもしれません。そんな時の強い味方がロードサービスです。
ロードサービスというと、国内ではJAF(日本自動車連盟)がメジャーです。電話連絡して場所や車のナンバーなど詳しい情報を伝えれば、駆けつけてくれます。ジャンプスターターを使ってバッテリー上がりの処置をしてもらえば、作業は完了となります。
会員であればバッテリー上がりの応急処置は無料です。会員以外だと13,000円~20,000円位の費用が請求されます。
加入している任意の自動車保険にもロードサービスが付帯している場合があるので、確認しておきましょう。保険内容によって、バッテリー上がりの処置にかかる費用やロードサービスが含まれているか違いがありますが、無償で処置してもらえる場合もあります。
車のバッテリーは定期的な交換が必要
車のバッテリーは消耗品なので、年月が経てば電力を放電、充電する機能が衰えてしまいます。そのため、定期的な交換が必要です。
バッテリーの寿命は約2~4年と言われています。しかし、車を頻繁に運転する、走行距離が多い、寒冷地に住んでいるなど車の使い方や走行時の環境によりバッテリーの劣化には大きな差が生じるでしょう。
バッテリーが上がってしまってから交換するとなると、エンジンがかからないので車が動かせず、応急処置をとらなければならないので手間がかかります。ロードサービスを呼ぶとなると余分に費用を負担しなければなりません。
バッテリー上がりを起こす前に定期的に点検、交換することで手間やコストを減らすことが可能です。
バッテリーには一般的な交換のタイミングがありますが、車の使用状況や環境によって寿命が違ってきます。バッテリーの正確な寿命というのは個々で異なるため、わかりにくいかもしれません。
ただし、バッテリーがもうすぐ上がるという状態では車に予兆が出始めます。
例えば、パワーウインドウを開閉させるのに、以前よりも開くもしくは閉まるスピードが遅くなってきたというのもサインの一つです。さらに、ヘッドライトがなんとなく以前よりも暗い、エンジンのかかり具合が悪いというのもバッテリー上がりを起こす予兆と言えるでしょう。
このようなサインが出たら、完全にバッテリーが上がってしまう前に早めにバッテリー交換をおすすめします。
ガソリンスタンドでも、バッテリーの点検や交換などを行っています。セルフのガソリンスタンドなどでは、給油中にスタッフからバッテリー点検をすすめられたことがあるという人も多いかもしれません。
バッテリーの点検だけなら、ボンネットを開けてバッテリー液の減り具合などを見るだけなので、無料でやってもらえる場合がほとんどです。時間があるなら一度その場で点検を依頼してもよいでしょう。
また、バッテリーが上がってしまった場合、近くにガソリンスタンドがあれば、急速充電をしてもらえます。ただし、出張サービスを行っているガソリンスタンドはあまりないので、ガソリンスタンドに車を運転して持ってこられる場合に限ります。
一時的に応急処置としてジャンプスターターなどでエンジンをかけてもらい、その足でガソリンスタンドに向かって急速充電を行えば、しばらくは困らない程度にバッテリーが充電されます。しかし、急速充電してもらったバッテリーは負荷がかかっているので、寿命が短くなります。
いずれにせよ近いうちに交換しなければなりません。急速充電は約30分位かかり、費用は2,000円位になります。
ガソリンスタンドでバッテリーの無料点検をしてもらった際に、バッテリー液が減っている、汚れているからすぐに交換したほうがよいとすすめられる場合もあります。
本当に交換のタイミングだという良心的なガソリンスタンドももちろんあるでしょう。しかし、中にはバッテリー交換をして利益を上げるために、まだ交換の時期ではないのに交換をすすめる場合もあるので注意が必要です。
バッテリー点検をしてもらい、ガソリンスタンドで交換をすすめられた場合はすぐに応じないで、前回いつバッテリー交換をしたのか確認しましょう。そのためには、自分でいつバッテリー交換をしたのか把握しておくことが大事です。
次回の交換時期はいつ頃なのか、ガソリンスタンドで点検を受けたタイミングと同じ位なのかもチェックしておいてください。
自分でバッテリー交換をすることも可能です。
準備するものは以下の5つです。
- ゴム手袋
- スパナ
- 保護メガネ
- 錆止めグリース
- 新品のバッテリー
- 作業の前にエンジンを止めてキーを抜いておきます。
- 始めにバッテリーのマイナスケーブルを外し、続いてプラスケーブルと取り付け金具も取り外します。
- 古いバッテリーを取り外したら、取り付け台座を綺麗に掃除しましょう。
- 新しいバッテリーを台座に置いて、金具で固定します。
- プラスケーブル、マイナスケーブルの順に取り付けます。
- 最後に錆止めグリースをターミナル部分に塗れば完成です。
作業はさほど難しくないですが、取り付け手順を間違えるとバッテリーが正常に作動しないなどの不具合が生じるので、注意が必要です。
バッテリー交換は自分でもできますが、車の構造がよくわからない、整備に慣れていない、技術力に自信がない人もいるかもしれません。そんな場合は、無理をしないでプロの手に任せましょう。
費用を節約したいからと慣れない人が自分でやると、バッテリー液が漏れるなどのトラブルが起きて車の性能が低下する可能性もあります。業者に任せたほうが安心です。
バッテリー交換はガソリンスタンドやカー用品店、民間の整備工場やディーラーなどでやってもらえます。
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バッテリー交換にかかる費用
カー用品店などの業者によって、バッテリーの交換費用が異なります。バッテリー交換にかかる費用は、本体代と工賃と廃棄代です。
バッテリー本体の価格は種類やサイズ、性能などによって約4,000円~40,000円と大きく差があります。ディーラーでは純正品を使う傾向があるので高くつくでしょう。
工賃も業者によって異なり、ディーラーは技術料が高いので3,000円位、整備工場、ガソリンスタンド、カー用品店は1,000円前後で、無料の場合もあります。
廃棄代はディーラーや整備工場は安くて500円前後、カー用品店やガソリンスタンドでは3,000円程かかります。無料で廃棄してもらえることもあるので確認してみてください。
トータルでは、ディーラーが高く、次いで整備工場やガソリンスタンドの順になります。カー用品店はバッテリーの種類が豊富で定価よりもやや安いので、交換費用も抑えられます。
車のバッテリーを長持ちさせる方法
バッテリーを少しでも長持ちさせることができれば、交換の間隔も空くので費用節約になります。
長持ちの方法としてはまず、定期的にエンジンをかけて車を走らせることです。エンジンを切ってからライトがオンになっていなかを、こまめに確認するのもポイントです。
夜のドライブはライトを点灯するので、バッテリーが消費されやすいため控えたほうがよいでしょう。他にも、アイドリングを少し長めに3分程度は行うようにすれば、バッテリーが充電されるので長持ちすることにつながります。
バッテリー上がりが1回でも起こると、性能が落ちてしまい寿命が短くなるので気を付けてください。