近年は車検をネット予約できるところが増えており、場所によってはインターネット予約割引を実施するケースもあります。
車検は業者へ依頼する方法と、自身で点検を実施するユーザー車検の2つがあり、それぞれで予約する方法が異なります。一般的には業者へ依頼するのが主流ですが、整備スキルをお持ちの場合はユーザー車検の実施を検討してもよいでしょう。
当記事では、車検の種類と予約方法、選ぶポイントを解説します。
車検を受ける方法は2種類
車検とは、2年または3年おきに行う自動車の点検整備のことです。国が定めた基準に基づき、安全性や排出ガスといった車の状態を確認します。日本では新車の場合、初回は3年目、それ以降は2年ごとに車検を受けなければなりません。
車検を受けることによって、安全な走行が可能か、環境に優しい車両かを保証されます。
車検には主に2つの種類があり、それぞれの特徴や手間が異なります。ここでは「業者に依頼する場合」と「ユーザー車検を利用する場合」について解説します。
業者に依頼する場合
一般的な車検方法として「業者に依頼する」という選択肢があります。ディーラー、カー用品店、ガソリンスタンド、車検専門店など、さまざまな場所に車検を依頼可能です。
業者に依頼すると、専門の技術者が自分の代わりに車の点検や整備を行い、必要な部品交換や修理を提案してくれます。
最大のメリットは、車に詳しくなくても専門的なアドバイスを受けられる点です。プロの整備士が点検を行うため、細かな不具合や故障の前兆も早期に発見できます。また、基本的に費用だけ負担すればよいため、仕事で多忙な方や車の整備スキルに自信がない方におすすめです。
ただし、費用が高めになりやすい点に注意が必要です。とくにディーラーでの車検は高額なケースが多く、修理や部品交換が発生すると、さらに費用が膨らむ可能性があります。そのため、事前に見積もりを取り、どの程度の費用がかかるかを確認しておくことが重要です。
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ユーザー車検を利用する場合
「ユーザー車検」とは、車の所有者が陸運局に車両を持ち込み、自ら車検を実施する方法です。車検の依頼より費用が安く抑えられるため、整備スキルをお持ちの方におすすめといえます。
ユーザー車検の最大のメリットは、依頼車検と比べてコストを大幅に削減できるところです。プロへ依頼する際に発生する作業費用や手数料がかからないため、最低限の費用で車検を済ませられます。車検にかかる費用は、自動車税や検査手数料といった「法定費用」と、整備作業や部品交換にかかる「整備費用」の主に2点です。
このうち、法定費用に関しては依頼と同じですが、整備費用に関しては依頼の工賃がかからない分、大幅に費用を節約できます。
しかし、ユーザー車検は注意点も少なくありません。まず、車検に必要な知識や整備スキルが求められる点です。車の整備には専門知識が必要で、一般人が短期間勉強してどうにかなるものではありません。そのため国内の車検の大半は、業者への依頼で済ませるパターンがほとんどです。
また、車の不具合があると、内容によっては車検に通らない可能性があります。部品交換の必要が生じた場合は業者に頼む必要が生じるため、結局のところ依頼するケースと費用が変わらなくなります。
さらに、ユーザー車検はプロに依頼するより時間がかかるため、時間に余裕がない方には向かないかもしれません。陸運局への持ち込み、順番待ち、点検項目に不合格になった場合の再検査など、不確定要素が多数存在します。実施する場合は、スケジュールに余裕を持たせたほうがよいでしょう。
車検の依頼先の特徴と予約方法
車検の方法や依頼先が決まったら、早いうちに予約をしておきましょう。
近年はインターネットを活用して簡単に車検を予約可能で、徐々に主流になりつつあります。24時間いつでも予約でき、手続きもシンプルです。電話での予約に比べて手間が少なく済みます。
こちらでは、ディーラー・カー用品店・ガソリンスタンド・車検専門店で車検を受ける際の特徴と、それぞれの予約方法について解説します。
ディーラー車検は、車を購入した店舗で受けることが多く、正規のサービスを受けられる安心感が魅力です。とくに、新車の車検はディーラーに依頼する方も珍しくありません。同メーカーの車種に関する情報に詳しいため、整備の質が高く、部品交換もスムーズです。車検後も定期的なメンテナンスや保証を継続することで、長期的な信頼関係を築けます。
ディーラー車検では、公式ウェブサイトや専用のアプリ、電話を使って車検の予約が可能です。ただし、メーカーによって対応手段が異なる点にご注意ください。原則はWeb予約です。ディーラー車検はほかの選択肢と比べて料金が高い傾向にあるため、車検に求める質と費用のバランスを見て判断しましょう。
タイヤやアクセサリーといったアイテムを販売するカー用品店の多くでは、車検も受け付けています。ディーラー車検より費用が安い傾向にあり、アフターサービスが充実している点も魅力です。手軽で高品質な車検を求める方に向いています。全国に店舗があるため、アクセスしやすい点もメリットといえるでしょう。
ただし、ディーラーに比べて車両に関する詳細な情報や過去の整備履歴がないため、より一般的な整備が中心です。特殊な車両や複雑な整備が必要な場合には、対応が難しいこともあります。また、店舗によっては整備工場を持っていないところもあるため、車検の完了に時間がかかるかもしれません。予約方法は店舗によりますが、ネット予約が一般的です。
整備士がいるガソリンスタンドでは、車検も受け付けています。最大のメリットは費用の安さで、ディーラーやカー用品店、車検専門店より比較的低コストです。その代わり、整備内容は最低限に抑えられ、法定点検のみで済ませるところもあります。部品交換や詳細な整備を求めるなら、ほかのところも検討したほうがよいでしょう。
ガソリンスタンドでの車検予約は基本的に電話ですが、近年はネット予約に対応しているチェーンも増えつつあるようです。
車検専門店は、名称の通り車検を専門に行う店舗です。車や関連商品の販売といった別の側面がない分、効率的かつスピーディーに車検を実施してくれます。
車検専門店では、数時間で車検が完了する「立ち会い車検」も実施しており、時間を取れない方にもおすすめです。費用も安い傾向にあり、部品交換や整備の範囲も適宜相談できます。融通を利かせやすいため、ムダな出費を抑えたい方にも向いています。
車検専門店での予約方法は、主に電話とネット予約です。
ユーザー車検の予約方法
ユーザー車検では、車の所有者が陸運局または軽自動車検査協会に出向き、車検を受けます。基本的に飛び入りでは車検を受けられないため、予約をしなければなりません。
ここでは、普通自動車と軽自動車の場合に分けて、ユーザー車検の予約方法を解説します。
普通自動車のユーザー車検は、国が管理する陸運局へネット予約をしなければなりません。まず、国土交通省が提供している「自動車検査インターネット予約システム」にアクセスします。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末から予約できるため、やりやすいデバイスを使いましょう。
初回利用または前回から2年1カ月以上経過している場合は、アカウントを作成しなければなりません。氏名・電話番号・パスポートといった基本情報を設定して、登録を済ませてしまいましょう。
次に、ユーザー車検を受ける陸運局や予約内容を選択します。画面の指示に従い、場所や車種、予約日を入力しましょう。最後に予約確認を行い確定すれば、予約完了です。予約番号が発行されるため、当日まで取っておきましょう。車検当日に向けて必要書類を準備しなければなりませんが、こちらについては後述します。
軽自動車のユーザー車検は、軽自動車検査協会で行います。軽自動車も同様に「軽自動車検査協会インターネット予約システム」を通じて予約を行いますが、電話予約も可能です。ネット予約の手順は、基本的には普通自動車と変わりません。アカウント登録が必要なため、個人情報を確認できる書類を用意しておきましょう。
電話予約では音声ガイダンスが発生するため、指示に従ってアカウント登録を行います。ただし、電話予約は受付時間がある点にご注意ください。平日は午前8時45分〜11時45分と午後13時00分〜16時00分です。回線が混雑するとうまくつながらない可能性があるため、その場合はネット予約を利用しましょう。
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ユーザー車検に必要な書類
車検の依頼とユーザー車検では、必要書類が一部異なります。これまで車検を依頼していた方が初めてユーザー車検を受ける際は、必要書類に不備がないようご注意ください。
こちらでは、ユーザー車検に必要な書類と、それぞれの入手方法について解説します。
車検証は、車両の所有者や車両の情報が記載された公式な書類です。この書類がなければ、車検を受けられません。
なくした場合は再交付しなければならないため、事前に陸運局か軽自動車検査協会にて手続きを行いましょう。
車検証は運転時に必ず携帯しなければなりませんが、車内のどこにしまったか分からなくなる方も珍しくありません。車検を受ける際は、事前に収納場所を確認しておきましょう。
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は、法律で加入が義務付けられている保険です。自賠責保険は車検時に更新されるため、自賠責保険加入の証明書も提出しなければなりません。
基本は前回の車検時にメンテナンスノートと一緒に渡されますが、紛失した場合は契約の保険会社に連絡して再交付してもらいましょう。
自動車税納税証明書は、車検を受ける車両が適切に自動車税を納めていることを証明する書類です。自動車税は毎年納税義務があり、この証明書がないと車検を受けられません。
万が一紛失してしまった場合は、自治体の税事務所で再発行が可能です。
自動車検査票は、陸運局や軽自動車検査協会で配布される用紙です。この検査票を元に各検査項目のチェックを行います。
基本的に検査当日の窓口で配布されるため、車検が終わるまでなくさないようにしましょう。
自動車重量税納付書は、車検の際に重量税を納付するための書類です。車検当日は本書類に納税額の印紙を貼り付けて提出します。
納付書自体は当日に窓口で配布されるため、印紙代を用意しておきましょう。
継続検査申請書は、車検が終わった後に車検証を交付するための書類です。
車検当日は本書類をコンピュータに挿入することで、新しい車検証が交付されます。そのため、なくさないようご注意ください。
定期点検整備記録簿とは、法定点検が完了したことを記録する書類です。
業者へ依頼する場合はあまり見ることはありませんが、ユーザー車検の場合は自分で記録しなければなりません。
車検では認印が必要です。これは各種書類に押印するためのもので、署名の代わりとして求められます。
車検当日は、忘れずに持参しましょう。
車検の予約におけるポイント
車検の予約は、単に日時を決めるだけでなく、どこで受けるか、どのようなサービスが受けられるかをよく考える必要があります。整備の手厚さや費用が場所によって異なるため、目的に応じた手段や場所を選定しましょう。
ここからは、車検の予約前に押さえておくべきポイントを紹介します。
依頼やユーザー車検、ディーラーや車検専門店など、実施する車検の方法や場所によって費用が大きく異なります。最も低コストなのはユーザー車検ですが、こちらは整備スキルや知識が必要です。また、法定費用に関しては依頼するケースと変わりません。
一方、車検を業者に依頼する場合は、ガソリンスタンドや車検専門店が低コストです。その代わり、点検内容は最低限である点にご注意ください。充実したサービスや質の高い点検を求めるなら、ディーラーやカー用品店がおすすめです。
割引キャンペーンの有無も、車検の予約におけるポイントです。
例えば、カー用品店や車検専門店では、時期によって割引キャンペーンを実施していることがあります。
早期予約割引やリピーター割引、インターネット予約割引など、さまざまな特典が用意されているため事前に調べておくとよいでしょう。
車検を受ける際には、費用だけでなく整備補償やアフターサービスの充実度も大切なポイントです。車検は車の安全性を保つのに必要ですが、点検後に不具合が発生する可能性もゼロではありません。万が一車検後に問題が発生した場合に備えて、整備補償が充実しているところを選ぶと安心です。
多くのディーラーや大手カー用品店では、車検後に一定期間の整備補償が付帯されています。例えば、車検後に部品の故障や不具合が見つかった場合でも、一定期間内であれば無料で再整備や部品交換を受けられます。
また、車検後の定期点検やオイル交換といったアフターサービスを無料で実施してくれるところもあるため、より高い安全性を求めるなら、サービスの充実度にも注目しましょう。
安価な車検を提供する店舗では、こうしたアフターサービスが限定的、または存在しない場合が多数派です。費用を高めにして充実したサービスを受けるか、費用を抑えて最低限の整備にするか、自分の用途に応じて判断しましょう。
車検が当日に終わるとは限りません。車の状態や店舗の混み具合、整備工場の有無によって、車検完了が後日に回ることもあります。車検を予約する際は、当日中に車検が終わるのか、代車を用意してもらえるか確認しておきましょう。
車検の依頼を請け負っている多くの店舗では、車検中に代車を無料または有料で貸し出してくれるサービスを提供しています。ただし、代車が必ずしも希望するタイプやサイズの車ではない場合もあるため、事前に代車の詳細についても確認しておかなければなりません。また、店舗によっては代車の貸出が混み合っていることもあるため、早めの予約が必要です。
とくに、通勤や家族の送迎といった事情で車が必須な場合は、代車の有無が車検場所選びの大きなポイントになり得ます。代車が不要であれば、その分の費用を抑えることも可能です。
依頼とユーザー車検のどちらでも必ずかかる法定費用は、「検査手数料」「自動車重量税」「自賠責保険料」の主に3つです。これらは法律で定められた費用のため、必要な金額より減ることはありません。
ここで注意すべき点は、法定費用が現金のみ対応であることです。基本的にクレジットカードや電子マネーでの支払いに対応していないため、必ずキャッシュを用意しておきましょう。
多くの店舗では、整備費用や追加サービスに対してはクレジットカードが利用できる一方、法定費用については現金支払いが義務付けられています。この点を把握しておかないと、当日に現金が不足して車検が終わらないかもしれません。法定点検費用は事前に決まっているため、自賠責保険の料金や自動車重量税を計算したうえで、充分な金額を持参しましょう。