車は、車検のみならず法定点検を受けることが法律で義務づけられています。
法定点検は車種によって期間などが異なります。主に自家用車は12ヶ月と24ヶ月の点検が必要です。
法定点検は費用がかかり、特に24ヶ月点検は12ヶ月点検よりも点検項目数が多いため、車検の前に行うので車検費用と合わせて結構な出費となります。その上、部品交換の箇所が増えると料金が加算されていきます。
この点検費用を少しでも安くするための対策を知り、取り入れてみましょう。
法定点検の種類
車は車検だけ受けておけば大丈夫だと思われがちです。しかし、車検以外にも定期的に法定点検を受けなければなりません。
道路運送車両法という法律で法定点検の義務が明記されており、車種や用途によって期間や点検内容などが異なります。まず自家用車の場合、1年ごとに行う12ヶ月点検と2年ごとに行う24ヶ月点検が義務化されています。
12ヶ月点検と24ヶ月点検では検査項目の数が異なり、より細かな点検を実施するのが24ヶ月点検です。
また、3ヶ月点検及び6ヶ月点検もあります。これらの点検はバスやタクシー、レンタカーなどの事業用車やトラック、けん引車などの貨物自動車に義務づけられています。
自家用車の場合は、3ヶ月点検と6ヶ月点検は任意となっており、義務づけられていません。
12ヶ月点検、24ヶ月点検にかかる費用
法定点検にかかる費用は、自家用車の12ヶ月点検と24ヶ月点検では異なります。12ヶ月点検は点検項目が26項目、24ヶ月点検は56項目と項目数が多いので24ヶ月点検の方が高いのが一般的です。
24ヶ月点検は車検前の整備の一環として行うので、業者に依頼する場合は24ヶ月点検費用も車検費用に含まれた形で請求されます。また、車種によってもかかる費用が違ってきます。
- 軽自動車は9,000円~12,000円位
- 排気量1,500㏄までの普通車は10,000円~16,000円位
- 排気量2,000㏄までの普通車は11,000円~18,000円位
- 排気量2,000㏄以上の車だと12,000円~20,000円位
- 排気量2,500㏄以上の車だと13,000円~22,000円位
一方で24ヶ月点検(車検)にかかる費用は「法定費用」「車検基本費用」「部品代」に分けられます。
法定費用は、税金、自賠責保険料、印紙代です。車種によって金額は異なりますが、業者によって金額が変わることはなく一定となります。
車検基本費用は、業者に支払う代行手数料のことで、20,000円~100,000円位と業者によって差が生じます。
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6ヶ月点検などは無料になる場合も
ディーラーなどの販売店で車を購入すると、1ヶ月もしくは3ヶ月、6ヶ月点検などの案内がハガキやメールなどで来ることがあります。この点検はバスやタクシーなどの事業用車に法律で義務づけられている3ヶ月点検、6ヶ月点検とは異なります。
新車1ヶ月点検や6ヶ月点検は、メーカーや販売店が提供する無料のサービスとなります。そのため、点検自体を受けても費用を請求されることはありません。
しかし、オイル交換などの整備をすれば、工賃や部品代が実費でかかってきます。6ヶ月点検ですすめられるがままに頼んでしまうと、費用が発生します。
オイル交換は経過時間や走行距離に応じて行うものです。全く車に乗っていないという場合であっても、オイル交換をしておいた方が良いとされています。
車を頻繁に送り迎えや買い物など短時間で短距離の使用が多い場合は、エンジンオイルの劣化を早めていますので、必ず交換しましょう。
車の点検はどこでやると安い?
車の法定点検が依頼できるのは、ディーラーや民間の整備工場、カー用品店やガソリンスタンド、車検専門店などがあります。法定点検で気になるのは、どの位の費用がかかるのか、きちんと点検されているのかという点でしょう。
法定点検の費用や技術力なども、正直業者によって異なってきます。また、それぞれの業者には特徴があり、メリットもデメリットもあるのでどこに頼もうか迷うかもしれません。
法定点検で何を優先させるのかを明確にして、納得のできる業者に依頼するようにしてください。
車の購入先であるディーラーは、接客が特に丁寧で相談しやすいというメリットがあります。特に商談の際に応対してくれたスタッフがいれば心強いでしょう。
また、費用の支払いにクレジットカードが使える所がほとんどなので、ポイントを貯めることも可能です。整備工場を併設している関係で車の部品の在庫も揃っており、部品交換にもスピーディーに対応してもらえます。
自社の車種の整備に関し講習を受けた整備士が点検、整備してくれるので技術面ではクオリティーが高く、満足できる仕上がりになり、安心できるという強みもあります。一方で、技術力が高く部品も純正で質が高い分、どうしても工賃や部品代が高くついてしまうのが難点です。
ディーラーの12ヶ月点検費用は、車種や年式などによっても異なりますが、約10,000円~20,000円位かかります。所要時間は2時間ほどになることが多いです。
一方で24ヶ月点検は、車検費用と合わせて法定費用がプラス40,000円~100,000円程かかるとされています。即日終わりというのは難しく、3日程預かってその間は代車が貸与されるのが一般的です。
車検専門業者は、車検のみならず法定点検も請け負っています。とにかく費用が安くてスピーディーに点検、整備してもらえるのが魅力です。
スムーズにいけば1時間程度で点検が終わります。整備内容によっては1日車を預かる場合もありますが、代車が無料で貸してもらえるサービスなどを行うお店もあります。
車内清掃や洗車なども無料でやってくれることが多いです。ただし、費用を安くすることを第一に考えている業者が多く、整備内容が不十分な場合もあるので注意が必要です。逆に費用が安いからと依頼したのに、実際に整備の必要がある箇所が多く、最終的に追加費用がかかるケースがあることも念頭においておきましょう。
車検専門業者の12ヶ月点検は、車種や年式などによっても異なりますが、約6,000円~10,000円かかります。所要時間は早ければ1時間ほどです。
24ヶ月点検は車検費用と合わせて法定費用がプラス20,000円~40,000円程かかるとされています。点検も車検もあわせて2時間ほどで仕上がるのが一般的です。
カー用品店は比較的街中で見つけやすいと言えます。カー用品を販売しているだけであって、品ぞろえも豊富でしかも価格がリーズナブルなのが大きなメリットです。
工賃もディーラーほど高くはつきません。クレジットカードが使えるお店もたくさんあるので便利です。
一方、お店によって整備士の技術力には差があるので、ディーラーほどのクオリティーは期待できないと言われています。また、作業内容によってはお店に併設された整備スペースではできないことがあるため、他の場所に車を移動させなければならないこともあります。
カー用品店の12ヶ月点検費用は、車種や車の年式などによっても異なりますが、6,000円~15,000円程度です。所要時間は1~2時間ほどになるでしょう。
一方で24ヶ月点検は車検費用と合わせて法定費用がプラス25,000円~70,000円程かかるとされています。所要時間は数時間程度かかります。
ガソリンスタンドでの法定点検は、カー用品店同様に工賃はさほど高くないとされています。全国どこにでもあるので、いつも給油に行くガソリンスタンドでついでに法定点検の申し込みができるので効率的です。
ただし、部品を交換するとなると在庫がない場合が多いので、取り寄せていると時間を要することがあります。そうなると1日で済むはずの法定点検に数日かかる場合もあるでしょう。
さらに、整備士の技術力はお店によって差が生じます。質の高いお店にあたればいいですが、そうでなければ整備が不十分のままという可能性もゼロではないのでお店選びが重要です。
ガソリンスタンドの12ヶ月点検費用は、車種や車の年式などによっても異なりますが、7,000円~15,000円位かかります。所要時間は2時間ほどです。
一方で、24ヶ月点検は車検費用と合わせて法定費用がプラス30,000円~50,000円程かかるとされています。ガソリンスタンドは場合によっては車検などができない所もあるので、あらかじめ確認しておいてください。
車の点検、整備や修理などを主に請け負う整備工場は、ディーラーよりも工賃や部品代は安いのが一般的です。長年その地にある整備工場などは、経験豊富で技術力の高い整備士が在中している可能性が高いでしょう。
技術面ではクオリティーが高いので安心して任せられます。点検や整備の設備も充実している工場なら、少し手の込んだ修理や部品交換でもすぐに対応してもらえるかもしれません。
また普段からオイル交換などの整備を依頼し、顔なじみになれば工賃の値引きなどサービスをしてくれる可能性もあります。一方でクレジットカードが使えずに現金払いのみの所もあります。
整備工場によっては整備内容に満足できない、接客が良くないという所もゼロではないので選ぶ際は評判も参考にしてください。
整備工場における12ヶ月点検の費用は、車種や年式などによっても異なりますが、5,000円~10,000円位かかります。所要時間は1~2時間ほどかかることが多いです。
一方、24ヶ月点検は車検費用と合わせて法定費用がプラス30,000円~80,000円程かかるとされています。所要時間は数時間で済む場合もありますが、整備内容によっては車を数日預かるケースもあります。
車の法定点検は、ブレーキペダルやブレーキパッドなどの制動装置やエンジンルーム内の動力伝達装置のチェックが行われます。さらに、バッテリーなど電気系統やタイヤ、ホイールなどの走行装置、マフラーの点検やランプの点灯、ワイパーの作動なども確認します。
点検内容によっては、業者に依頼しなくてもセルフできる場合もありますが、それは整備に慣れた人の話です。簡単な日常点検なら誰でもできますが、法定点検となると少し専門的な点検、整備になるので難易度がぐっと高くなり、時間も手間もかかります。
費用はかかりますが、自分でやると思わぬ故障を招いてかえって修理費がかかるかもしれません。そして何より取り扱いを間違えるとケガすることにもなりかねないので、無理をしないで専門業者に任せた方が安心です。
法定点検費用を安くするには
法定点検を業者に任せるとしたら、費用を少しでも安くしたいと考える人も少なくないでしょう。実際に法定点検を依頼する業者によって費用は異なるので、どの業者を選ぶかによっても費用に差が生じます。
例えば、カー用品店を選んでも、お店によってサービス内容や費用も違います。他にも、部品交換の必要があった場合より安いリビルト品を使う、整備に無関係なサービスは断るといった方法が挙げられます。
どうしたら点検費用を少しでも抑えられるか、参考にしながら見ていきましょう。
法定点検をやってもらう業者を選ぶ際、費用を安くしたいなら比較的高いと言われている所は避けた方が良いでしょう。
車を購入したディーラーからは法定点検が近づくとメールやハガキ、電話などでお知らせが来ます。断るのは心苦しいかもしれませんが、費用面を考えると技術料が高く、高価な純正部品を使うディーラーでの法定点検は費用が高くなりがちです。
費用が安く、スピーディーに点検してもらえるカー用品店や近場の整備工場などを複数ピックアップしてください。ネットから気軽の法定点検の費用を見積もりしてもらえる所もあるので、利用することをおすすめします。
近所の整備工場なら電話で問い合わせれば、費用などの相談にも乗ってくれるはずです。
かかる費用を比較して、できるだけ安い所を選ぶことが大事です。ただし、車の年式や状態によっては部品交換箇所や修理箇所が多くなる可能性もあります。そうなると実費で工賃や部品代もかかってくるので、考慮して考えておくことが必要です。
点検を項目に沿って行うと、劣化や摩耗している部品を指摘される場合も少なくありません。車に詳しくない人だと業者の言う通りにいくつも部品交換を依頼し、結果的にディーラーに頼むのと同じくらい費用がかさむこともあります。
今すぐに交換しなくてもいいけれど、できれば早めに交換した方が良いという程度の箇所もあるでしょう。予算をオーバーするようなら、今回の交換はやめて次回に回すということも可能です。
点検して勝手に整備してから費用を請求するというお店は少ないはずです。点検後に整備箇所についてはお店の方から説明があるので、予算などの事情を話して整備士と相談しながら交換するかどうか決めてください。
車の部品を交換しなければならないという時に、新品の部品を使うと純正でなくても費用がかさんでしまいます。そんな場合はリビルト品を使ってもらうのがおすすめです。
リビルト品は、全くの新品ではなく部品自体は中古品なので、価格は新品よりはリーズナブルになっています。その上、機能は新品とさほど変わらないので安心できます。
整備工場などは特にリビルト品の扱いも多いので、依頼すれば揃えてくれる場合もあるので頼んでみましょう。
法定点検はあらかじめ決められた検査項目に沿って行われ、必要があれば部品の交換などの整備を行います。中には、点検や整備に含まれない洗車や車内清掃をサービスでやってくれる業者もいます。
こういったサービスを有料として行い、費用だけを後で請求するという場合も少なくありません。点検ついでに車をきれいにしてもらいたいという人ならいいですが、基本的に自分でできることにお金をかけたくないという人なら不要です。
点検前に、洗車や車内清掃などが点検に含まれるか、行うとすれば無料か有料かを確かめておくことも大事です。もし有料ならば事前に断っておけば余分な費用がかからずに済みます。
日頃から自分で車のメンテナンスをしておけば、点検費用の節約にもつながります。
例えばエンジンオイルの交換は、経過時間や走行距離などによって交換時期が決まっています。きちんと適度なタイミングで交換しておくことも、エンジンの機能を守り故障を防ぐためには必要です。
また、普段の運転の仕方も車が長持ちするか関係してきます。急発進や急ブレーキを繰り返せば、その分タイヤがすり減り交換のタイミングが早まります。エンジンにも負荷をかけるので、部品交換などが必要となってしまうかもしれません。エコドライブを心がけることは、点検費用を安くすることにもなります。
また、ウォッシャー液の補充やライトのバルブ交換は自分でも割と簡単にできるメンテナンスです。やり方を覚えてカー用品店などで部品を購入し、セルフ交換してみましょう。
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