ディーラーやカー用品店で実施している車の無料点検サービスは、受けておいて損はないでしょう。しかし、無料と言っても本当に費用を請求されないか不安だという人もいるかもしれません。
点検自体は無料ですが、メンテナンスが加わると有料になってしまうので、注意が必要です。無料点検サービスの内容や費用のかかる法定点検について紹介するので見ていきましょう。
車の点検の種類
車の点検には、法律で実施することが規定されている法定点検(定期点検)があります。車種によって点検の頻度や点検項目数、内容なども違ってきます。
一般的に自家用の普通車や軽自動車などのマイカーは、12ヶ月と24ヶ月点検を受ける必要があります。ただし、法律で義務付けられていますが、受けなくても罰則が科されることはありません。
一方でバスやレンタカー、タクシーなどの事業用車やトラックなどの貨物車は、12ヶ月と24ヶ月点検以外にも3ヶ月と6ヶ月の点検が義務付けられています。事業用車や貨物車の場合は、点検を受けないと法律違反として罰則が科される点が異なります。
ディーラーの車無料点検、アフターサービス
ディーラーで行われている点検、サービスには新車購入後の1ヶ月点検と、6ヶ月点検があります。これは義務ではなく、ディーラーの新車に対するアフターケアサービスの一環です。
点検のみに限り、無料である場合がほとんどです。新車購入後に、ディーラーから1ヶ月点検のお知らせがハガキやメールなどで来るのを目にしたことがあるでしょう。
面倒くさくて放置してしまう人もいますが、無料なので点検を受けておいて損はないと言えます。
ディーラーでアフターケアの一環として行われる1ヶ月点検は、点検項目数は少なく、初期不良を確認するための点検です。
エンジンルーム点検では、エンジンオイルの劣化具合や液漏れの有無、燃料漏れの有無などを見ます。
室内の点検では、ブレーキペダルを踏みこんで、床板との隙間に遊びがないか、駐車する時のフットブレーキの踏みごたえやサイドブレーキのレバーの引きしろなどをチェックします。エンジンをかけてアクセルを踏み、加速や減速がスムーズ化なども確認するでしょう。
足回りではパワーステアリングやデファレンシャル、ブレーキの配管などの状態を見ます。また、タイヤの溝や破損の有無なども点検します。
1ヶ月点検は30分~1時間位で済むので販売店に車を預ける必要がありません。店内で雑誌などを読みながら待つことも可能です。
新車購入から6ヶ月後の点検では、1ヶ月点検で実施した室内、下回り、エンジンルームの点検に項目をプラスして色々な箇所を調べます。
室内点検項目はブレーキペダルを踏みこんだ時の床板との隙間や遊びやブレーキの効き具合、パーキングブレーキの踏みごたえやレバーの引きしろなどです。シートベルトのねじれや損傷の有無、シートベルトランプや給油ランプといった各種ウォーニングランプの異常の有無も見ます。
また、エンジンルームではブレーキフルードの液量やバッテリーの液量、エンジンオイルの汚れやクーラント液の液量などを調べます。エンジンのかかり具合や異音がしないか、ファンベルトやパワーステアリングの緩み、損傷の有無などの確認も必要です。
下回りでは、サスペンションなどの損傷や油漏れなどを見ます。
外回り点検では、タイヤの空気圧や亀裂などの有無、溝の深さやナットの緩みも点検項目です。そして灯火や方向指示器などの点灯状況、ワイパーのふき取り状態や作動状況などもチェックされます。
6ヶ月点検ではエンジンオイル交換をすすめられることが多く、交換を依頼すると工賃と部品代がかかるので注意しましょう。走行距離が少なかったり車の使用状況によってはエンジンオイルの交換は不要なので、ディーラーのスタッフに相談してください。
ディーラーで新車を購入すると、メンテナンスパックへの加入をすすめられることがあります。メンテナンスパックはディ-ラー独自の商品であり、点検や車検をセットにしたものです。
ディーラーの有償サービスの一つで、メーカーによってメンテナンスパックの内容には違いがあります。
例えば、半年ごとの定期点検、オイル交換代と車検にかかる費用がセットになっています。点検の回数や期間などは様々です。
メンテナンスパックのメリットは、あらかじめ点検や車検にかかる費用を支払っておくことで、点検などを受ける度に費用がかからないという点です。計算すれば1回あたりの点検代がメンテナンスパックに入らない場合よりも安くなることもあるため、お得だと言えます。
一方で、オイル交換の回数が多すぎる、点検や車検は必ずディーラーで受けなければならないといったデメリットもあります。
ディーラーのメンテナンスパックが必要かどうかは、車の使用状況や整備の何を重視するかなどによって違ってきます。車の安全を第一に考える、ディーラーの整備を信頼している、部品は純正が良いという人はメンテナンスパックに加入しても良いでしょう。
さらに、年間走行距離は平均1年で1万㎞程度ですが、車を頻繁に使い長距離を走るので、年間走行距離が平均よりかなり多いという人も同様です。逆に、コスパを最優先に考える、ディーラーよりもカー用品店などで整備を受けたい、車について詳しく、自分である程度はメンテナンスできるという人はメンテナンスパックが不要かもしれません。
またエンジンオイルなどの部品は純正にこだわらない、年間走行距離は1年で1万㎞位がそれ以下という人、定期点検やオイル交換の時期は忘れないという場合、加入しなくても問題ないでしょう。このように個々の条件が違うので、メンテナンスパックは必ずしも必要というわけではありません。
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カー用品店の点検サービス
カー用品店というとタイヤやホイールの販売で有名なタイヤ館、大手のオートバックスやイエローハットなどがメジャーです。これらの店舗ではディーラーの1ヶ月、6ヶ月点検と同様に車の無料点検サービスを実施しています。
点検項目数や内容は店舗によって違うので、それぞれの点検内容について見ていきましょう。
タイヤ館でも無料の点検サービスを実施しているので見ていきましょう。中でもタイヤに特化したタイヤ点検では、4項目の点検を行います。
1つ目は車を使用しなくても自然に抜けてしまう空気圧を調べ、減っていたらその場で補充します。
2つ目はタイヤの偏摩耗です。タイヤの片側だけもしくは両肩だけすり減っていないかを見ます。
3つ目はタイヤの傷やヒビなどの有無です。バーストの原因にもつながるので細かにチェックします。
4つ目はタイヤの溝です。溝がなくなり、スリップサインが見えるとかなり危険なので、タイヤ交換が必要です。
また、100㎞点検といって、新品のタイヤ購入から走行100㎞をめどに、空気圧とホイールナットの緩み確認の点検を行っています。タイヤ館でタイヤを購入した人が対象です。
タイヤ以外にも、自動車安全メンテナンス点検を実施しています。内容は、エンジンオイルやバッテリーの劣化具合や液漏れの有無、ワイパーのゴムの劣化状況です。
また、希望すればスペアタイヤのチェックや灯火類の点灯、クーラント液の液量、エアコンフィルターの汚れやシャフトブーツの損傷の有無、ブレーキパッドやブレーキフルードの状態などの点検も受けることができます。
点検の結果やメンテナンス状況はメンテナンスセイフティーバスという記録簿に記載し、受け取ることも可能です。
オートバックスでは、5項目について無料点検をサービスで行っています。
1つ目がタイヤで傷の有無や溝の深さなどを見ます。
2つ目はエンジンオイルです。オイル量や汚れ具合をチェックします。
3つ目はバッテリーです。劣化具合や電圧不足になっていないか確認します。
4つ目はワイパーです。ワイパーを作動させて動きが滑らかか、ゴムが劣化、摩耗していないかを見ます。
5つ目は灯火類の点灯についてです。ヘッドライトをはじめ、スモールライトやテールランプ、ブレーキランプなどもしっかり見てもらえます。
オートバックスの無料点検は10分ほどなので、予約なしで行ってもやってもらえるでしょう。ただし点検や整備が混んでいれば待たされるか、日を改めなければならない場合もあるので注意が必要です。
オートバックス会員になるとお得なサービスが受けられます。会員はカードのランクによってはオイルやオイルフィルター、エアフィルターやバッテリー、ワイパーなどの部品交換の基本工賃が無料となるのでお得です。
イエローハットでは、12項目もの無料点検を実施しているので、内容を見ていきましょう。
まずタイヤに関しては空気圧や外傷の有無、溝の深さなどをチェックします。さらに、エンジンオイルやブレーキフルード、バッテリーの液量や劣化具合、クーラント(冷却水)の液量も確認します。
シートベルトに不具合がないか、ウォッシャー液の残量やエアクリーナーの汚れ具合もチェック項目です。他にも、オートマチックトランスミッション、パワーステアリングフルードやワイパーのゴムの劣化具合、ライトの点灯状況なども見ていきます。
無料点検は予約しなくても受けられますが、店が混雑していると即日できない場合もあるので、確認してから行きましょう。
イエローハットでカード会員になると、カードの種類によってはエンジンオイル、オイルフィルター、エアフィルターの交換工賃が無料となるのでお得です。
ガソリンスタンドでの無料点検サービス
無料点検を受けられるガソリンスタンドもあります。店舗によって点検項目は違いがあるので事前に確認しておくか、スタッフに聞いてみましょう。
例えば、タイヤの溝や空気圧、エンジンオイルやブレーキフルード、バッテリーの液量や劣化の有無、ラジエーター液やウォッシャー液の残量、ワイパーゴムなどを点検してもらえるのが一般的です。ガソリンスタンドの場合、給油や洗車で寄ったついでにやってもらえるので効率的です。
しかし、ガソリンスタンドが混雑する時間帯や、学生アルバイトしか勤務していないタイミングなどではその場で点検を受けられないことがあります。点検できる整備士が勤務している時間帯を聞いておくと良いでしょう。
無料点検が有料になる場合もあるので注意を
カー用品店やガソリンスタンドの無料点検、ディーラーがサービスを行う1ヶ月、6ヶ月点検は点検自体の費用はかかりません。しかし、気を付けたいのが部品交換をした場合の費用です。
点検後に部品が劣化、摩耗している、オイルなどの液量が不足しているケースもあるかもしれません。その場合は交換をすすめられることが多いです。
部品交換は有料となっているので、部品代の実費と工賃を請求されることがあります。無断で部品交換をしてしまう所はないでしょうが、あらかじめ確認しておいたほうが無難です。
中でも、エンジンオイル交換をすすめられる場合も多いでしょう。エンジンオイルは走行距離もしくは経過月数に応じて交換します。
走行距離が少ないからといって、交換しないのは間違いです。特に短時間短距離走行が多い場合はエンジンオイルの劣化を早める要因となっていますので、半年に1回程度の交換がおすすめです。
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法定点検や車検は有料となるので注意
車の点検にはお店やディーラーが独自のサービスとして行う無料点検の他にも、法律で義務付けられた点検があります。それが法定点検や車検です。
法定点検は車種によって頻度などが違いますが、一般的に自家用車は12ヶ月と24ヶ月点検を受けなければなりません。法定点検は点検自体サービスではないので、見てもらうだけでも費用は発生します。また、メンテナンスが必要となると、整備費が別途かかることを覚えておいてください。
車検は新車購入から3年後に1回目、以降2年ごとに受けなければならないと決まっています。車検は検査費用以外にも税金や保険料などが別途かかってくるので、まとまったお金が必要となります。車の点検のみなら無料だと間違えないようにしましょう。
法定12ヶ月点検は、ディーラーやカー用品店、整備工場などで依頼できますが、点検自体も有料です。点検項目は26項目もあるので、無料点検ではやらない細かな部分まで丁寧に点検していきます。
室内点検ではブレーキペダルの床板との隙間やパーキングブレーキの引き具合、ブレーキの効き具合などです。
エンジンルーム点検ではエンジンオイルなどの漏れや劣化、パワーステアリングの緩みや損傷の有無、点火プラグの状態、排気の状態などを見ます。
下回りの点検ではブレーキホースやパイプの液漏れや取り付け状態、マフラーや遮熱板の緩みや損傷の有無などを確認します。
外回りや足回りの点検ではブレーキパッドの摩耗状態、タイヤの空気圧や亀裂の有無、ホイールナット、ボルトの緩み、プロペラシャフトやドライブシャフトの緩みなどです。
業者によって異なります。
ディーラーは車種によって違いますが、軽自動車だと9,000円~14,000円位、普通車では10,000円~26,000円位が相場です。
カー用品店は10,000円~20,000円位
ガソリンスタンドは10,000円~30,000円位となっています。
法定24ヶ月点検も、ディーラーやカー用品店などで依頼できます。12ヶ月点検よりも点検項目が多くなり、26項目にプラスして合計56項目の点検が実施されます。
室内点検ではブレーキペダルと床板の隙間やブレーキの効き具合、ハンドル操作の状態などが点検項目です。
エンジンルーム点検ではエンジンオイルや燃料漏れの有無、ファンベルやパワステ装置のベルトの状態、電気配線の接続部や悪臭ガスなどの発散防止装置に異常がないかなどを見ます。
下回りの点検ではステアリングやポールジョイントブーツの損傷の有無、マフラーやブレーキのチェックをします。
外回り、足回りの点検ではタイヤの空気圧や溝、ブレーキディスクとパッドの摩耗度、サスペンションやドライブシャフトブーツの損傷の有無、フレームやボディの歪みや傷の有無、ライトの点灯状況などのチェックです。
24ヶ月点検は車検を依頼すると、車検前に一緒に行うのが一般的です。そのため、点検費用は車検費用に含まれた形で請求されることが多いでしょう。車検費用は車種ごとに決まっている税金や保険料を含む法定費用と、業者の手数料である基本費用に分けられます。
ディーラーでは法定費用にプラス40,000円~100,000円前後の費用がかかるとされています。
カー用品店では法定費用にプラス30,000円~80,000円ほど費用がかかるとされています。
自分で日常点検をしっかりやっておくことも大事
車の整備点検には、運転者自らが行う日常点検も含まれます。日常点検は車に詳しくない人でも比較的簡単にできる内容になっているので、覚えて取り入れてみてください。
室内やエンジンルーム、外回りなどの15項目の点検項目があります。ボンネットの開け方やエンジンルーム内のオイルの場所などは車の取扱説明書にも記載されているので、併せて確認しておくと良いでしょう。
できれば1週間に1回、少なくても1ヶ月に1回程度は日常点検をやることおすすめします。