車を日々安全に運転するためには、日ごろからこまめに点検する必要があります。日常点検するのは自動車のオーナーの義務です。
しかし、具体的にどこをどのように点検すればいいかわからないという方も多いかもしれません。ここでは、日常点検で押さえておいてほしいポイントと実際のやり方について見ていきます。
エンジンや足回りのような運転性能に直接関係するところは、日常的に点検するのがおすすめです。
車のエンジンルームの日常点検のやり方
車の日常点検で押さえておきたいのは、エンジンに関することです。エンジンが動かなければ、自動車を走行させられません。
そこでここでは、エンジンルーム内の点検方法について見ていきます。エンジン以外にもいろいろとチェックしておきたい項目がありますので、点検の際の参考にしてみてください。
エンジンルーム内を点検する際には、ブレーキ液の量が適正かどうか確認しましょう。ブレーキ液が不足していると、ブレーキの利きが悪くなり事故の原因となりえます。
エンジンルーム内に、ブレーキ・リザーバー・タンクが設置されているはずです。この中のブレーキ液の量がどのくらいか、目視してください。
タンクにはMAXとMINの2つのラインが設置されています。この間にブレーキ液が来ていれば、問題ありません。
もしMINよりも下の部分までしか液が来ていないようであれば、ブレーキ液不足の状況です。補充して適正な量まで戻しておきます。
著しくブレーキ液が不足している、補充してもすぐになくなってしまうのであれば、液漏れの可能性も考えられます。この場合は、整備工場で本格的な点検をしてもらってください。
エンジンルームの中には、バッテリーが装備されています。バッテリー液が不足すると、エンジンがかからなくなる恐れがあるので日常的に点検しましょう。
バッテリー液の点検も、基本は目視です。本体にUPPERとLOWERと刻印されているはずなので、この間に液が来ているかどうかチェックします。
もしLOWERレベルよりも下までしかバッテリー液が来ていないようであれば、不足しています。バッテリー液を補充しましょう。
バッテリー液は腐食性が強いです。点検や補充をする際には体はもちろんのこと、衣服や車のボディに液がつかないように気を付けてください。
中には液がどこまで来ているのか、見づらいという車種もあります。その場合は、少し車体を揺らしてみると確認しやすくなります。
エンジンルームを点検する際には、冷却水の量も確認します。冷却水が不足するとエンジンがオーバーヒートする危険性があり、最悪エンジンそのものが故障してしまうかもしれません。
エンジンルーム内に、ラジエーター・リザーバー・タンクが設置されています。この中の冷却水の量を確認しましょう。
タンクにもFUULとLOWと書かれています。この間に冷却水が来ているかどうか確認します。
もし冷却水が不足しているのであれば、補充して適正な量までもっていってください。冷却水が著しく減少しているのであれば、ラジエーターの本体もしくはホースから漏れを起こしている可能性も疑わなければなりません。
エンジンオイルの量も確認をしましょう。エンジンオイルが不足もしくは劣化している場合、エンジンが破損しかねません。
エンジンオイルの点検をする際には、オイル・レベル・ゲージで確認します。まずはフラットなところでエンジンを止めた状態で、点検してください。
まずは、オイル・レベル・ゲージを抜いてきれいにオイルをふき取ります。そして、ゲージをいっぱいまで差し込みます。
もう一度抜いて、オイルがどこまで付着するかを確認します。HとLの間であれば、既定の範囲内で問題ありません。
オイルをふき取る時にタオルを使用すると思いますが、ふき取ったタオルはルーム内部に置き忘れないでください。エンジンの熱によって発火してしまう恐れがあるためです。
ウインド・ウォッシャー液の確認もしておくといいでしょう。ウォッシャー液が不足していると、フロントガラスの汚れを落とせなくなり、視界に問題が起きます。
ウインド・ウォッシャー液を貯蔵しているタンクにはエンジンオイルのように、ゲージがついています。これを引き抜いて、NORMALとLOWの間に来ているか確認してください。
もし不足しているのであれば、補充する必要があります。この時水などではなく、専用液を補充します。
ウインド・ウォッシャー液には凍結防止の性質があるためです。整備工場やディーラーなどに相談してみるといいでしょう。
ウォッシャー液が空の状態でスイッチを入れると、モーターが故障する可能性もあります。その意味でも、定期的に点検するのがおすすめです。
エンジンルームを点検する際には、エアクリーナーのチェックもしておきます。こちらはこまめに行う必要はありません。
特に新車の場合、しばらくはすぐに汚れるものではないので点検しなくてもいいでしょう。しかし、エアクリーナーが汚れると、ごみのろ過ができなくなりエンジンパフォーマンスが低下してしまいます。
もし汚れがひどくなっているようであれば、掃除や交換をしてください。エアクリーナーには種類があって、どれかによって洗浄できるかどうか変わってきます。
乾式の場合、洗浄はできないので注意が必要です。フィルターに付着したホコリや砂塵などを払いのけます。
一方湿式の場合、市販の洗浄液などで洗浄することも可能です。
車の足回りの点検のやり方
日常点検をする際にはエンジンルームだけでなく、足回りのチェックも行ってください。タイヤなどに何らかのトラブルを抱えていると、運転中に想定外のアクシデントが起きる危険性もあります。
足回りではタイヤをメインにして、問題が起きていないかどうか確認しましょう。具体的にどう確認するか、以下にまとめました。
まずは確認するのは、タイヤの空気圧についてです。空気圧が不十分だと燃費性能が低下しますし、走行性能も悪化してしまいます。
適正空気圧は車種によって異なります。運転席のドアや給油口などに空気圧表示シールが貼られているはずなので、こちらで確認しましょう。
空気圧を測定する時には、走行前のタイヤが冷えているタイミングで行ってください。空気圧が低下しているのは、バルブのゴム部分が劣化していて、そこから漏れている可能性もあります。
空気を入れたりタイヤ交換をしたりする際には、バルブも新しいものと交換するのがいいでしょう。
自家用車に装着されているタイヤには溝がついているはずです。同じタイヤを使い続けると摩耗によって、この溝が浅くなることもあり、スリップなどが起こりやすくなります。
特に雨の日など、路面が濡れている時には危険です。タイヤの溝のチェックをする際には、タイヤの三角マークがあるはずなのでここで確認してください。
三角マークのところにスリップサインが表示されるようになっています。もし、三角マークの延長線上で溝が途切れている箇所があれば、スリップサインが現れていると解釈できます。
この状態になっているのであれば、整備工場やディーラーなどで新しいものと交換した方がいいでしょう。
タイヤの点検をする際には、目視することも大事です。目視することで、タイヤの摩耗状況を確認できます。
全体的に摩耗している分には、スリップサインが出ていない限りでは問題ありません。しかし、ある特定の箇所だけ摩耗していると、偏摩耗と言って何か不具合が起きている可能性があります。
例えば、両サイド、もしくは片方だけ摩耗が激しい、センター部分だけ摩耗している場合などです。このような摩耗が起きるのは、タイヤのローテーションをしていない、適正な空気圧ではないなどの原因が考えられます。
タイヤの偏摩耗を放置していると、寿命が短くなってしまいます。また、振動や騒音が激しくなって車内で快適に過ごせなくなるので、点検を心がけましょう。
タイヤを目視する際に、傷が入っていたり、ひび割れが起きていたりしていないか確認しましょう。もしこのような状況のままで走行を続けると、ある日突然バーストを起こして重大な事故につながりかねません。
タイヤは何層かになっていて、内部にコードという箇所があります。コードまで傷やひび割れが達していると、かなり危険な状態です。
タイヤのひび割れは経年劣化なので、長く使用していれば発生しやすくなります。しかし、劣化のペースを遅らせることは可能です。
タイヤを保管する時は、直射日光の当たらない場所で保管してください。また、タイヤ圧を適正なものに調整していれば、ひび割れの拡大を抑制できます。
ランプが正しく点灯していない場合も、危険です。特に夜間運転する際に周りのドライバーが皆さんの車両を確認できなかったり、ブレーキや左折、右折の情報を正しく理解できなくなったります。
ライトの確認をする際には、エンジンをかけてください。そしてヘッドライトやテールライト、ブレーキランプ、方向指示器などを動かし、正しく点灯されているかどうか見てもらいましょう。
この点検をする際には、複数人で確認するのがおすすめです。
また、レンズなどに傷が入っていないかどうかも確認しておきます。どこかにぶつけた自覚はなくても、小石を跳ね上げて傷つけている可能性もあります。
ライトが球切れになっているのであれば、速やかに交換してください。整備工場やディーラーに相談するのが確実です。
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運転席における車の点検の仕方
自動車の日常点検をする際には、運転席の各機器の確認もします。機器が正常に作動しないと、運転するうえで支障をきたす恐れもあるためです。
では、具体的にどの部分をチェックすればいいのでしょう。ブレーキやエンジンなど、走行性能にかかわる部分を中心に点検してください。
運転席では、まずブレーキの点検をします。まずはブレーキペダルを踏み込んでみてください。
床との間に十分隙間があればいいですが、狭くなっているのであればブレーキ液が漏れている、もしくは空気が混入している可能性があります。ブレーキの利きが悪くなるので、速やかに修理に出した方がいいです。
また、パーキングブレーキも引いてみます。引いた時に引きしろが適正かどうか、新車の時と比較してみてください。
特に引きしろが多くなっていると、ブレーキの利きが甘くなっている可能性が高いです。例えば坂道で駐車した時にパーキングブレーキを入れていても、後退する恐れがあるので注意しましょう。
運転席で点検する際には、ワイパーを作動させ、ワイパーが正常に動いているかどうか確認しましょう。低速や高速など、それぞれの段階で確認します。
また、ウォッシャー液を噴射させてみて、正常にウォッシャー液が出てくるかチェックしてみてください。ウォッシャー液が正常に出てこない場合、ノズルがつまりを起こしている可能性が高いです。
そのままにしているとフロントガラスの汚れを取り除くことができなくなり、視界不良を起こす危険性があります。
また、ワイパーがガラスに張り付いている状態になっている場合もあり得ます。この状態で無理やり作動させるとワイパーのゴムが傷つく可能性がありますので、注意してください。
運転席で点検する際には、実際にエンジンをかけてみましょう。エンジンがスムーズに始動するか、アイドリング時に安定したエンジン音をしているかチェックしてみてください。
もし始動するまでに時間がかかったりエンジンに異音がしていたりすれば、噴射や点火系統に何らかの不具合を起こしている可能性が高いです。速やかに修理をお願いしてください。
そのほかにも、運転中のエンジンの状態を確認します。回転数が安定しない、加速が以前と比較して鈍い場合にはエンジンに何かしらの不具合が起きているかもしれません。
走行できてもエンジンに気になる箇所があれば、早めに整備の依頼をするのが賢明です。
車の日常点検のやり方の基本
車の日常点検することは大事です。しかしいざ実際に点検するにあたって、わからないことがあるという方もいるかもしれません。
例えばどの程度の頻度で行えばいいか、エンジンルームの開け方がわからないという方もいるでしょう。このような気になる疑問点について、詳しく解説します。
車の日常点検は、運転する前に確認するといいでしょう。ただし毎回行わないといけないというわけではなく、急ぎで出発しなければならない時には点検をパスしても問題ありません。
この日常点検、一昔前までは「運転前点検」と呼ばれていました。教習所で運転する前に点検するよう、教官に言われた方も多いはずです。
そのくらい1日1回運行前に点検することが以前は義務付けられていました。しかし今では、そこまで頻繁に行う必要はないとされています。
その背景には、車の技術革新で故障を起こしにくくなったことが挙げられます。また、ユーザーの使用方法が多岐にわたることも関係しているかもしれません。
基本的に自己点検で日常点検をすればいいです。しかし責任がなくなったわけではないので、できるだけこまめに点検するように心がけましょう。
車の日常点検で、エンジンルームのチェック方法について解説しました。しかし、中には「ボンネットの開け方がわからない」という方もいるかもしれませんので、紹介します。
まず車内にボンネットオープナーのボタンがあるのでこれを引っ張ります。車種によって異なりますが、運転席の右足の近くにあるものが多いです。
次にボンネットのところに行くと、少し開いた状態になっているはずです。真ん中のあたりにレバーがあるので、これを動かすとボンネットが持ち上がります。
エンジンルームの中にステーと呼ばれる棒があるので、これで開いた状態で固定します。ボンネットのところにステーを入れる穴があるので、こちらに差し込んでください。
エンジンルームを点検してすべて完了したら、後はボンネットを閉めます。ステーを外して両手でボンネットを閉めるだけです。
日常点検で、どこをチェックすればいいかわからなくなることも最初のうちはあるかもしれません。そこでおすすめなのが、日常点検チェックシートを見ながらチェックしていく方法です。
JAFのホームページなどで提供しているので、こちらをダウンロードしてチェックしてください。そうすれば、見落とす項目などもなくなるはずです。
また、チェックシートを点検のたびに見ながら確認することで、車両変化についてもチェックできます。気になる項目があればチェックシートに書き留めておくと、整備工場に修理を依頼した際に詳しく説明もできるでしょう。