後方の車などに自車が後退するのを知らせるためについているのが、バックライトです。このバックライトは個数や色、取り付け位置などが車検の合否の判断基準となる保安基準で決まっています。
保安基準に適合しないと車検に通らないので、バックライトに関してはどのような基準になっているか知っておくことが大事です。また、簡単にできるセルフのバルブ交換方法や交換にかかる費用なども紹介するので、カーライフに役立てましょう。
バックライトの役割
車の後方に装備されているライトにはいくつか種類があります。その中でも、車を後退させる時に光るのがバックライトです。
バックライトは通常走行時には点灯せず、ギアをRに入れた時のみ点灯するのが特徴です。そのため、後退灯やリバースランプとも呼ばれています。
バックライトは、車がバックする時に後方を照らすことで車の後ろや周囲にいる歩行者や自転車、他の車の運転者に注意を促すという重要な役割を担っています。また、車を後退させる側の運転者がバックライトの灯りにより、後方の視界がより広がることで車や歩行者、自転車などをいち早く発見できるという点もメリットです。
バックライトが点灯しないと、いきなり車がバックしてきて歩行者や他の車が気付かずに衝突してしまうリスクもあります。そのため、交通事故防止の観点からも必要不可欠なライトだと言えます。
車検にはバックライトの検査基準がある
車検は法律で規定されている車の検査で、合格していなければ公道を走行することができません。車検では、車の各部位が国が定める保安基準に適合しているかを調べます。
バックライトにも保安基準が定められています。具体的にはバックライトの色や数、大きさや取り付け位置などです。
前述しましたが、バックライトは車の後退時に運車の後方や周囲の車、歩行者や自転車などに後退することを知らせ、交通事故防止を促すという重要な役割を担っています。また、運転者自身も車の後方を照らすことで、後退時に目視しづらい後方の安全を確認できます。
そのため、取り付けられているバックライトが保安基準から外れていると、車検に合格できず再検査となってしまうので注意しましょう。
バックライトの色は、白色のみと決められています。赤色や黄色など、白以外の色では車検に通りません。
白色と言っても人によって判断基準が違ってくることがあります。そのため、色温度を目安にすると良いでしょう。
この色温度には、ケルビンという単位があります。ケルビンは光の色を数値化させた値で、ケルビン数が高いと白色が青色に見えてしまいます。
一般的にはバックライトの電球は、6,000ケルビンのものが使用されていることが多いです。通常、人の目で見て7,000ケルビンまでなら白色と判断されます。
しかし、それ以上ケルビン数が高い電球をつけると、車検時に検査官には青色に見えてしまうので注意してください。
バックライトは個数にも規定があります。いくつつけても良いというわけではなく、通常1個もしくは2個と決まっています。
2個以上つけてしまうと、車検に通らないので注意が必要です。乗用車などを購入すると、始めから左右に2個備えつけられているのが一般的です。
ただし、車種によっては備えつけられている個数も違うので一概には言えません。もし始めから1個しかなかった場合、2個に増やすのは問題ないとされています。
しかし、元は2個ついていたのを1個に減らしてしまうと整備不良とみなされ、車検では不合格となるので気を付けましょう。2個つける時は、左右対称であるということが条件となっているので注意してください。
夜間に灯りの少ない場所で駐車する時、後方が見えづらいのでバックライトをできる限り明るいものにしたいと考える方もいるでしょう。しかし、周囲が暗い中運転中に急に前方から強い光が視界に入ると、眩しくて一瞬前がよく見えない状態になり、交通事故を誘発しかねません。
そのため、バックライトは明るさに対しても注意が必要です。数値的には明るさの上限規定はありませんが、他の交通の妨げにならない程度の光の強さであることという決まりがあります。
明るさは、電球のワット数で言うと、15w以上、75w以下の間でなければいけません。純正の電球を使っていればまず問題ないと思いますが、社外品を取り付ける際はワット数にも注意が必要です。
バックライトの取り付け位置も保安基準で決まっています。特に高さが問題となります。
地面からあまりに高い位置にバックライトが設置されていると、後方の運転者には眩しく感じて視界を遮ることにもなるので返って危険です。逆に低すぎると後方をしっかり照らすことができないため、視界が狭くなり後方の歩行者や車の存在に気付くのが遅れてしまいます。
具体的にはバックライトの上側の縁が地面から1.2m以下で、下側の縁が地面から25㎝以上の位置に取り付けなければならないことになっています。決められた範囲内に収まっていなければ車検で不合格となるので、気を付けましょう。
ほとんど純正のバックライトは、保安基準に適合する位置に取り付けられているので問題ありません。ただし、自分でカスタマイズする場合はこの取り付け位置に十分注意が必要です。
バックライトは光がしっかりと後方に行き届かないと、昼夜問わず安全性を保てないので視認性も重要なポイントとなります。バックライトの光は、昼の明るい時間帯でも、車から後方100m離れた位置から点灯しているのを確認できなければならないとされています。
光が弱すぎて後方100m離れたら確認しづらいと、つけている意味がないからです。また、もっと遠くからでも点灯確認できるようにレンズの大きさも決まっています。
レンズ面積は20㎠以上の大きさがなければなりません。車の後方というのは運転者自身では目が行き届かず、予期せぬ事故を招くことにもなるので視認性はとても重要だと言えるでしょう。
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車検に通らないバックライトとは?
個数や色、取り付け位置などがバックライトの保安基準を満たしていても、車検に通らない場合があります。それはライトカバーに深いヒビ割れがある、破損して中の電球が見える場合です。
電球が見えるとショートする可能性があるので、安全性の問題ありとなってしまいます。カバーが割れたり欠けたりしてライトを点灯した時に光が外の漏れた状態であると、車検には通りません。
基本的にわずか1㎜、2㎜の光の漏れでもNGとされています。ただし、ライトカバーの表面に小さなこすり傷、浅くて短いヒビがある程度ではカバーが破損するリスクも低いことから、車検では問題ないとされています。
そうは言っても傷があればもろくなっておりいつかは破損するので、早めに補修、修理しておくことが大事です。
バックライトが切れたままの走行は整備不良になる
車を運転していて知らないうちにバックライトが球切れを起こし、点灯しなくなっていたという場合もあります。球切れで点灯しない場合も、車検では不合格となるので注意が必要です。
さらに、通常車を運転している場合、整備不良(尾灯等)という交通違反になります。バックライトを2個つけていて片方のみ球切れの場合、それだけで即取り締まりを受けるというケースは少ないとされています。
注意、警告を受ける程度にとどまるのが一般的です。ただし、万一両方とも球切れを起こしている場合は取り締まりを受け、切符を切られて違反点数が累積されます。
さらに、反則金も納めなければならないので気を付けましょう。
バックライトの寿命と交換のサインとは?
バックライトの球切れはいつ起こるのか、車を使っている上で気になるところです。バックライトは基本的にギアをRに入れ、車を後退させる時のみ使用するライトです。
夜間点灯させたまま走行するヘッドライトなどと比べると、使用は短時間なので球切れすることは滅多にないとされています。しかし、点灯の頻度が高い場合や接触不良などが起こると、球切れとなる可能性もゼロではありません。
そのため、時々は点灯させて、球切れを起こしていなか点検しておいた方が良いでしょう。また、夜間壁にライトを当てて光が暗い、点灯したり消えたりするといった状況になったら交換のサインです。
早めに新しいバルブを購入し、交換しておいてください。
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バックライトのバルブのタイプ
車の灯火類の電球はバルブと呼ばれています。バルブには種類があり、バックライトのバルブは国産車の場合、T16かT20かS25という3つの種類のどれかが使われる場合が多いです。
T16が一番小さいサイズのバルブで、16wと消費電力も一番少ないのでやや暗いです。さらに、形状が同じでT16より大きいのがT20で21wと消費電力もやや多くなり、T16よりも明るいのが特徴となります。
S25はT16などとはやや形状が異なり、電球の根本にあるねじのような部分、口金がついているのが特徴です。消費電力は21wですがT20よりも値段が高いとされています。
国産車では少なくなっていますが、外国車では主流のバルブタイプです。
バックライトをLEDにしても車検は通る
ディーラーなどから新車で購入すると、ほとんどの場合純正のバックライトがついています。一部の車両では初めから明るいLEDライトがついているものも多いですが、ほぼ普通のハロゲンライトが装備されています。
車のライトには主に3つの種類があります。
- ハロゲン
- HID
- LED
一番明るいのがLEDで次いでHID、やや暗いのがハロゲンです。スイッチをオンにしてすぐに点灯するのがLED、次いでハロゲン、HIDはじんわりと明るくなります。寿命はダントツでLEDが長く、次いでHID、短いのがハロゲンです。
LEDは3つの中で値段が割高ですが、需要が長く点灯の瞬発力や明るさから言うと3つの中でもっとも優れていると言えます。
バックライトとして元から車に備わっていたのが純正のハロゲンライトの場合、暗いので明るいLEDに交換したいという方もいるはずです。この場合は、交換するLEDライトの規格が保安基準を満たせば車検に合格できるので問題はありません。
LEDはハロゲンやHIDと比べると明るく、長持ちするとされています。バックライトは薄暗い中、目が行き届かない後方を照らし、安全に車を後退させるためにはとても重要です。
初めから装備されている純正のライトはやや暗いハロゲンライトが多いので、少しでも明るいLEDに交換するという方もいるかもしれません。LEDライトと言っても色々なタイプがあります。
明るさの単位の一つである、ルーメン値が注目されることが多いです。ルーメンは光源から放たれる光の量、光束を意味します。
ルーメン値が高くても、LEDライトの中には時間が経つにつれルーメン値が下がり、暗くなってしまうものがあります。点灯直後に熱が発生し、明るい光を放ちますが、負荷が重くなり放熱が追い付かずに徐々に電流が流れなくなって明るさが軽減していくからです。
LEDライトのルーメン値というのは点灯直後の値であり、それが維持されるというわけではありません。逆にルーメン値が高すぎるLEDライトは電子部品の破損にもつながるので、長持ちしないとも言われています。
そのためLEDライトを選ぶ際はルーメン値ではなく、体感できる明るさや寿命年数を目安にした方が良いでしょう。ネットの口コミを参考にしたり、カー用品店でスタッフに相談したりすると選ぶ際の参考になります。
バックライトの交換の仕方
バックライトが球切れを起こした際は、自分でも交換できます。交換方法は大きく2つに分けられます。
車のトランクの内側から、もしくはテールランプカバーを外して行う方法のどちらかが一般的です。車種によっても違うので、車の取扱説明書を作業前に確認してみましょう。
また、作業後はきちんと点灯するか確認するのを忘れないでください。
トランクを開けて、バックライト付近の内張を確認すると一部剥がせる部分があります。その部分をめくるとコネクターがあるのがわかるはずです。左回しにコネクターを回して抜き、新しいバルブをはめて回します。後は内張りを元通りに戻せば終了です。
トランクを開けるとテールランプ本体の横付近にボルトが2つほど見えるので、ドライバーで外します。この時ツメがかかっている場合、無理に引っ張っても取れないので注意しながら引き抜きます。裏側のコネクターを反時計回りに回して外し、新しいバルブをはめて時計回りに差し込みます。後はテールランプ本体を戻してボルトを閉めれば完成です。
バックライト交換にかかる費用
バックライトの交換と言うと難しく思われがちですが、手順さえ覚えれば車にあまり詳しくない方でもセルフ交換することが可能です。自分で交換すれば、業者に依頼した際にかかる工賃が不要になるので部品代だけで済みます。
部品代はハロゲンライトなら1,000円位でも購入できます。より明るくて耐用性の高いLEDライトに交換するなら、カー用品店などでは3,000円~4,000円程かかるでしょう。ネットで購入すると1,000円~2,000円位で高品質なライトが購入できる場合もあります。
また、セルフ交換が心配なのでカー用品店や整備工場などに交換を依頼したいという場合は、部品代プラス工賃が500円程かかるとされています。ディーラーに依頼すると技術料として工賃が1,500円程かかる場合もあるので、確認してみてください。
バックライトなどの灯火類は定期点検が大事
車の後退時のみに点灯させるバックライトは、点灯時間も短く球切れを起こすリスクも少ないとされています。しかし、他にも車には様々なライトが備わっています。
特にバックライトと同様に後方についているライトは、球切れや不良に気付きにくいので定期的な点検が必要です。車の後方にはテールランプやブレーキランプ、ナンバー灯などが備わっています。
テールランプはヘッドライト(車幅灯)と連動しており、ライトスイッチをオンにすると点灯します。ブレーキランプはブレーキをかけた時に、ナンバー灯はヘッドライト(車幅灯)と連動しています。
ヘッドライトなど車の前部に備わっているライトは、球切れなどに気付きやすいでしょう。しかし、テールランプやブレーキを踏んだ際にしか点灯しないブレーキランプは、切れていても気付きにくいものです。
夜に壁にライトを照らして見たり、ブレーキを踏んで点灯しているか人に見てもらったりするなどして確認しておくと安心です。