マイカーを保有している方の中には、現在乗っている車をできるだけ長く乗り続けたいと思っている方もいるでしょう。また、クラシックカーの独特な表情が好きという方もいるかもしれません。
車両は古くなると部品が劣化して、不具合が出たり動かなくなったりするものです。このような古くなった車両を復活させる方法として「レストア」があります。
この記事では、レストアとは何か、レストアをするメリットやデメリットについて解説します。古い車に興味のある方は参考にしてください。
レストアの基礎知識
まずは、古くなった車を復活することができるレストアの概要について見ていきます。
車の状態を改善する、整備するという意味では、他にもいくつか用語があります。それは修理やオーバーホールなどです。
レストアと修理やオーバーホールとでは、どのような違いがあるのかについても、以下で解説していきます。
レストアとは何か?
レストアとは、古くなった車両を整備して新品に近い状態に持っていくことです。
工業製品の一種である自動車は、どうしても経年劣化してしまうものです。使用すればするほど部品が消耗して、不具合が出やすくなります。
使っていなければ大丈夫かというとそれは間違いで、車を長期間放置すると様々な部品の腐食や劣化が進んでしまいます。
古い車はいろいろなところにガタがきているものが多いです。そこでレストアをして、必要な部品を交換してコンディションを向上させていきます。
レストアをする箇所は広範囲にわたります。機械部分の修理だけでなく、シートや内装の修理、ボディの再塗装なども含まれます。
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レストアと修理の違い
車に必要な整備の手を加えるという意味ではレストアと修理は似ていますが、若干の相違点もあります。
それは、整備をするタイミングです。
修理は故障など車両に何かしらの不具合が発生したときに行うことです。
一方、レストアは別に車両に問題が発生していない場合でも行うことがあります。この部分が修理とは異なります。
イメージ的には、レストアというジャンルの中に修理がある感じです。レストアの中には修理の工程も含まれますが、その他に問題ない箇所にも手を加えて、新車に近い状態に戻すことがレストアの目的の一つになります。
レストアとオーバーホールの違い
車のコンディションを整えるという意味では、レストアとオーバーホールも混同されがちですが、異なる部分があります。
それは、手を加える箇所です。
オーバーホールの場合、車の中でも主に機械パーツの修理が中心です。エンジンやトランスミッション、ブレーキなどの修理などがメインとなります。劣化や破損した機械を修理して、元通りにするのがオーバーホールです。
一方、レストアの場合、機械部分を含む車両全般に手を加えます。シートや外装など幅広く必要に応じて修理をしていきます。
機能を元に戻すのがオーバーホール、機能だけでなく見た目まで全体的に新しい状態に生まれ変わらせるのがレストアということです。
レストアを行う対象というのは、まずクラシックカーやヴィンテージカーなどの旧車です。
このような旧車には新車にない魅力があり、購入するコレクターも多いです。しかし、クラシックカーやヴィンテージカーの場合、そのままだと走行できない、何らかの問題が起きる可能性が高いです。
そこで、必要な整備をして新車のような走行ができる状態にするのが、レストアです。
事故車もレストアの対象となります。
交通事故を起こして、愛車に深刻なダメージを与えてしまったとします。しかし、その車両に愛着があって、また乗りたいと思う方もいるでしょう。
その場合、必要に応じて部品を交換したり修理したりして、新品に近い状態に戻したりするためにレストアを行います。
車を売却する際は、少しでも高く買い取ってほしいと思うものです。そこで、オーバーホールをする方も少なくありません。
オーバーホールは必要な機械部分の整備をするので、プラス査定をしてもらうための手法にもなります。しかし、この場合は買取金額のアップ分よりも、オーバーホールにかかる費用のほうが上回ってしまう可能性があります。
また車に長年乗っていると、あちこちにガタが来ます。そこでオーバーホールをして車検を通し、引き続き走行させるのも一つの方法です。
オーバーホールの場合、機械のみの修理がメインになります。外装や内装などは修理をしないので、全体的な整備と比較するとコストカットできます。
もう少し愛車を長持ちさせたければ、レストアよりもオーバーホールのほうが安上がりでおすすめです。
レストアをするメリットとデメリット
レストアをして、旧車を新車に近い状態に持っていくのにはメリットとデメリットがあります。
自分にとってレストアをすることでプラスとマイナスどちらのほうが大きいのか、実際に業者に依頼する前に検討してみてください。
まずは、レストアをするメリットからご紹介します。
レストアをするメリット
クラシックカーのような旧車を復活させられるのは、車好きの方にとっては大きな魅力でしょう。また、新品同様の状況に戻すことで、リセールバリューを上げられるのもメリットの一つです。
今回は、レストアをすることの主なメリットについて4つ紹介します。
古い車の中には、ボロボロになってしまっているものもたくさんあります。錆ついたり塗装が剥がれてしまったりしている車もあるでしょう。
また、事故などでボディに傷やへこみがあって凸凹している車両もあるかもしれません。
このような、一見最悪の状態の古い車を復活させられるのがレストアのメリットの一つです。
実績のある整備工場に持っていけば、きれいな状態に復活できるでしょう。
コンディションは悪いけど自分のお気に入りの車種で、もう一度復活させたいということであれば、レストアを選択するのがおすすめです。
動態保存に貢献できるのも、レストアをするメリットの一つです。
動態保存とは、古い車のコンディションを整えてそのままの状態で保存することです。
古い車の中には、すでに生産中止されているものもあります。生産中止されている車両は、これから先減ることはあっても増えることはありません。そのため、できるだけ現存するものを残しておくことが大事です。
貴重なヴィンテージカーをレストアして残すことで、希少価値のある車両が存在できるというわけです。
レストアのメリットとして、旧車をそのまま残せる点が挙げられます。
レストアは機械類だけでなく、外装や内装にも手を加えていきます。しかし、基本的にはその車両の持っているテイストをそのまま残すのが一般的です。中身は新品同様に戻しますが、一方で当時の面影はそのまま残せます。
場合によっては、自分が生まれる前に流行っていた車両を見たり運転できたりするかもしれません。両親など自分たちより前の世代が乗っていた車を運転することで、当時の様子をしのぶこともできます。
つまり、レストアはちょっとしたタイムスリップを体験できる手法とも言えます。
レストアによって新品に近い状態に戻すことで、リセールバリューがアップするのもメリットです。
レストアの対象は旧車が中心です。すでに生産中止されている車種が多いので、もし残すことができればプレミアがつきます。人気車種であれば、高額で売却できる可能性もあるでしょう。
通常、中古車の価値は時間が経過すればするほど下がっていきます。しかし、ヴィンテージカーやクラシックカーの場合は逆に古いほうが高値で取り引きされることもあります。
特にスポーツカーでヴィンテージものの場合、ファンの間で高く評価されます。レストアをすると多少なりとも費用がかかりますが、それを賄える価格以上で売却できるかもしれません。
レストアのデメリット
レストアにはメリットがある半面、デメリットもあります。それは、手間暇がかかる上に、自分の要望通りに仕上がらないかもしれないということです。またメンテナンスコストがかかる点にも注意しましょう。
今回は、レストアをする主なデメリットについて3つ紹介します。
レストアのデメリットの一つは、手間暇がかかって思うように作業が進まないことです。
旧車のレストアの場合、部品調達の難しいケースが多いです。車両だけでなく、その部品も製造中止になっている可能性があります。
この場合、純正パーツをほかで見つけたり中古パーツをオークションなどで購入したりしなければなりません。
それでもパーツを確保できない場合も考えられます。その場合には、自分たちでそのパーツを作らないといけません。
また、パーツが見つかったとしても、プレミアがついている可能性が高いです。従来のパーツと比較して、高値で購入しなければなりません。
費用の中には部品調達コストももちろん含まれます。そのため、従来の整備と比較して割高になってしまうことが多いです。
レストアをする場合には、どの業者に依頼するかが重要なポイントです。
レストアの出来栄えは、業者によって変わります。また、業者によってレストアへのこだわりも違ってきます。
徹底的に細部に至るまでレストアしようとするところもあれば、価格に合わせたレストアに限定する業者もあります。
レストアを依頼する前に入念に打ち合わせして、自分の思いを業者と共有することが大事です。どの程度のレストアを希望しているのか、仕上がりをどうして欲しいのか、しっかり伝えましょう。
また、レストアが終わって納車されたときには車の状態をしっかりチェックすることをおすすめします。中には見えない部分を手抜きする業者もいます。
業者をしっかり見定めないと納得いかない仕上がりになるリスクがあることは、理解しておきましょう。
レストアをすれば、クラシックカーでもヴィンテージカーでも運転できる状態になります。
しかし、旧車であることに変わりはありません。現代の車と比較して、こまめに点検や整備を行う必要があります。
そのため、どうしてもメンテナンスコストが高くついてしまうのは、レストアのデメリットです。
また低年式の旧車の場合、税金が高くなります。新車登録から13年以上経過すると自動車税と自動車重量税、18年経過すると自動車重量税が増税となります。
さらに、燃費も現代のモデルと比較すると、悪い可能性が高いです。
このように、ランニングコストがかなりかかりますので、そのことも想定してレストアするか検討しましょう。
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レストアしたい車が車検切れだった場合はまず車検に通すこと
レストアの対象になるのは古い車両です。中には長年放置していて、車検切れになっている車両もあるでしょう。
この場合、車検を通さないと公道を運転できません。車検切れになっている車両をどう車検に通すかについて、ここで詳しく見ていきます。
車検切れの車両を公道で走行するのは、いかなる理由でも道路運送車両法違反に該当します。たとえ車検を通すために車検場まで運転した場合だとしても同様です。
もし車検切れの車両を公道で運転した場合、まず行政処分として違反点数6点です。一発で免停処分になってしまうほど、重たいペナルティとなります。
さらに、刑事罰もついてきます。車検切れの車両を運転すると、6か月以下の懲役もしくは300,000円以下の罰金です。
また、車検が切れているということは、自賠責保険も切れた状態になっていることが多いです。自賠責保険の切れた車両を運転するのも違法行為になります。
そして、万が一運転中に事故を起こして相手にけがをさせた場合、保険が使えないので全額自分で賠償する必要があります。
このように、車検切れの車両を運転することはできないため、別の方法で車両を持ち込んで検査を受けなければなりません。
車検切れの車の移動方法
車検の切れている車両を運転することはできません。そのため、自走以外の方法で検査場に車両を持ち込む必要があります。
車検切れの車両が検査を受ける場合、持ち込む方法は2つあります。どちらの方法が自分に適しているのか検討してみてください。
車検切れの車は走行できないので、レッカー車などを使って運ぶ方法があります。
古い車だと故障のため動かない場合も多いでしょう。車が動かなくても、レッカー車があれば問題なく運び入れてもらえます。
この場合、レストアして走行できる状態にしてから車検を通すことも可能です。
ただし、レッカー車で運んでもらうと、レッカーの移動費が車検費用に上乗せされます。レッカー代としてどのくらいかかるのか、あらかじめ見積もりを出してもらいましょう。
トータルコストを見てからレッカーの手配をお願いするのがおすすめです。
車検切れの車のままでは公道を運転できません。しかし、仮ナンバーを取得すれば一時的に公道を走行することが可能です。
仮ナンバーの申請は、市区町村役場などの公的機関で申請できます。自動車臨時運行許可申請書に必要事項を記入し、印鑑を押して提出します。
申請書を提出する際は、本人確認書類、車検証、自賠責保険証などが必要です。また手数料として750円かかります。
仮ナンバーには有効期限があるので、取得は車検に持ち込む前日に手続きしましょう。有効期限は最大5日です。非常に短期間なので、仮ナンバーを取得したら速やかに車検を通すようにしてください。
また期限までに仮ナンバーは返却しなければなりません。もし返却を怠った場合、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に処されますので注意しましょう。
車検切れの車を検査する場合「継続検査」と「新規検査」がある
車検切れの車を検査するにあたり、車の状態で検査の種類が変わってきます。
車検は切れているけれども税金は納めているのであれば、継続検査の扱いとなります。
継続検査は、新車登録をして2回目以降に受ける検査のことです。引き続き車を運転するのが目的で、検査を受ける形になります。
車検切れの車の中には抹消してナンバープレートを返却しているケースもあるでしょう。この場合には、新規検査を受ける形になります。
新規検査の場合、自分で検査するユーザー車検を行わずに車を購入した店舗やレストアをした工場で行うのが一般的です。
対象の車両の扱いがどうなっているか、まずは確認しておきましょう。また、継続検査と新規検査の車検費用については、あまり大きな差はありません。