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季節によっては、カーエアコンやクーラーが動かなくなると困ってしまいます。また、作動しても異音などがしたり、効きが悪くなったりすると不安になるものです。
そういった場合は、まず異常が起きているのがどの箇所なのか点検しなければなりません。自分でできる点検方法もありますが、細かいチェックや修理をするとなると専門の業者に依頼する必要があるでしょう。
修理を依頼する業者にはどんな種類があるのか、費用はいくらかかるのかなどを説明します。
カーエアコンは点検や修理が必要になることがある
日本は四季がはっきりしているので、ドライブの際、季節ごとにカーエアコンが非常に役に立っているというドライバーは多いでしょう。
暑さや寒さは、それなりの対処をしないと体調に影響し、運転にも悪影響を及ぼします。
しかし、カーエアコンに不具合が生じて、点検や修理が必要になることがあります。その際、どんな順序でチェックを行い、どのような段階で業者へ依頼するといいのでしょう?
以下では、不具合が起きた時にすぐにできるチェック方法や、不具合のパターンなどを説明していきます。
カーエアコンの修理は一般的な車の修理とは少し違うところがあるので、業者へ修理を依頼する際の選択肢も少し特殊です。
カーエアコンはどんなときに点検が必要?
カーエアコンは、具体的にどのような状況になったら点検をすべきなのでしょう?
まず、寒い季節や湿気の多い時期は窓ガラスが曇りがちになりますが、これに対してエアコンを使っても曇りが取れないようなら点検すべきです。
それ以外にも、エアコンは正常に作動するものの、冷房を使った時に風が冷たくなるまで時間がかかる場合も挙げられます。
また、エアコンを入れて異音や異臭がしたら、修理することも視野に入れて点検することをおすすめします。
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カーエアコンはどんな仕組みなのか
カーエアコンの点検・修理について説明する前に、まずはその仕組みを知っておきましょう。
冷房と暖房とでは仕組みが異なるため、不具合が起きた場合はそれぞれ原因や対処方法も違ってきます。
カーエアコンの冷房の仕組みは、車の中でどのように「冷気」が作られるか、ということになります。
単純に言えば、エアコンの冷気というのは、液体が蒸発する際に発生する「気化熱」を利用することで生み出されています。
この場合の液体とは、エアコンガスのことです。ガスは元々気体ですが、これを圧縮することで液体にし、また気化させて気体にする…という処理を何度も繰り返すことで冷気を発生させます。
液体となったエアコンガスは、エバポレーター内で蒸発させられ、エバポレーターはその際の気化熱冷却によって冷えます。そこに空気を送り込むことで、冷たい空気が流れていくというわけです。
カーエアコンの暖房の仕組みは、エンジンの熱を利用するので、余計な燃料は使いません。
車のエンジンというのはかなりの高温になるので、ラジエーター冷却水(クーラント)を循環させて放熱するという仕組みです。
そして、この熱気に風を当てることで車内に温風が流れるのですが、エンジンの温度はサーモスタットで一定に保たれています。このような構造なので、エンジンをかけたばかりでまだ温まっていない場合は、冷却水も冷たいままで冷たい風が出ます。
暖房で故障が多いのはサーモスタットで、また冷却水の漏れなどがあると暖房が機能しません。他にも暖房機能を担っている部品はたくさんあるので、不具合があれば専門家に見てもらうのが賢明です。
異常かな?と思ったらまず確認すること
カーエアコンが期待通りに動いてくれなかったりすると、故障や不具合の可能性を考えてしまうかもしれませんが、実は単純な操作ミスということもあります。
以下では、こうした場合にまずチェックすべきことを説明します。
まずは、「A/C」がOFFの状態になっていないか確認しましょう。
A/Cは「Air/Compressor」の略称で、コンプレッサーの制御に使われています。
冷房が使えるのはA/CがONの状態になっている時です。一方、A/CがOFFの状態だと「送風モード」になっておりコンプレッサーが作動しておらず、冷房機能は働きません。
エアコンがうまく動かない場合、これがONになっているかまず確かめて、次にONの状態できちん動作するか試してみてください。
A/Cのランプが点滅している場合は、何らかの理由で内部に異常が起きている可能性が高く、専門家による点検が必要になります。
なお、暖房の場合はA/Cは関係ありません。
カーエアコンには「外気導入」と「内気循環」の2種類の状態があります。
もしもエアコンの効きが悪いと感じたら、外気導入になっていないか確認しましょう。これは外の空気を車内に取り込んでいる状態なので、冷暖房の効果も薄れます。
運転席の前にある切り替えボタンを操作して内気循環の状態にすると、冷暖房の効果は高まります。
しかし、密閉状態になるので窓が曇りやすくなるなどのデメリットもあります。上手な使い分けが必要です。
カーエアコンの異常や不具合がある時は、エアコンガスの漏れを確認しましょう。
冷気はエアコンガスの液化と気化の繰り返しで生み出されているので、ガスが漏れていると冷房の機能は低下してしまいます。
異常を感じたらすぐに専門家に見てもらったほうがいいのですが、さしあたりエアコンガスが漏れているかは自力で確認することもできます。その方法は以下になります。
- エアコンを入れて温度調整、エアコンファンを最大にします。
- 「内気循環」の設定にして、エンジンの回転数を1500rpm(回転)まで上げてください。
- その状態で、「のぞき窓」と呼ばれるサテライトグラス(サイトグラス)から、冷凍サイクル内の状態を確認します。そこでエアコンガスが適正量かどうか判断できます。
適正量の場合、最初に極小の気泡が見られますが、エンジンの回転数が上がるとやがて消えます。
異常がある場合、最初からずっと気泡が多すぎたり全くなかったりしています。これはエアコンガスが多すぎているか少なすぎているかが原因です。
エアコンガスの漏れの有無を確認し問題がないようなら、次に自力で確認できるのは「コンプレッサー」です。
コンプレッサーとは、カーエアコン内でエアコンガスを圧縮する役割の装置で、エアコンのスイッチを入れると作動します。
コンプレッサーが故障しているかどうかを確認する方法は簡単で、カーエアコンのスイッチを入れた時に「カチッ」と音がするかどうかです。
しかし、音がしなかったとしても素人が修理できるものでもないので、最初から業者に見てもらうのがベストでしょう。
コンプレッサーはカーエアコンの最も重要な機関で「カチッ」という音は電磁クラッチが生きているかどうかを確認するためのものです。これが壊れると冷気が出にくくなるので、すぐ修理してください。
業者にも確認を依頼しよう
カーエアコンが故障や不具合を起こしており、その原因がエアコンガスの漏れである可能性があれば、点検や修理は専門の業者に依頼するのが一番です。
以下では、業者がどのように点検と修理を行うのか、その内容を説明します。
カーエアコンのエアコンガスに異常があった場合、専門店ではまずガス漏れのチェックをしてから、不足しているガスを充填します。
ガス漏れの主な原因は経年劣化によってガスの通り道に穴が開くことです。
最初の点検では専用の器具を使って漏れが起きている箇所を確認します。一例として、冷凍サイクルのパイプジョイント部分をリークテスターという機器で検査するやり方があり、ガス漏れを感知するとブザーが鳴ります。
ガス漏れの修理が済んだら、次に行うのがエアコンガスを適正量に調整することです。通常は200gのエアコンガス1~2本程度を使いますが、どのような修理を行うかによって、この本数や修理費用も異なってくるでしょう。
カーエアコンの異常や不具合の原因は、ガス漏れ以外にも様々なものが考えられます。そのほとんどは素人が判別したり修理したりできるものではないので、専門の業者に依頼することになります。
先述したコンプレッサーはもちろんですが、他にも「送風機モーター」が故障していることもあります。これが作動しないと風が発生しないので、冷房や暖房自体は機能していても、快適な空気が車内に行き渡りません。
冷却水の温度を感知して水温を調整する「サーモスタット」が故障すると、冷却水の温度が十分に上がらず暖房機能に影響します。逆に温度が上昇しすぎるとオーバーヒートの原因にもなるので、早めの修理が必要です。
冷却水(クーラント)が足りなくなっている可能性もあります。冷却水不足はウォーターポンプやラジエーターの故障とも関係があります。その上、エンジンの熱調整にも関わってくるので、放置すると重大な故障につながります。
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カーエアコンの修理が可能な業者
カーエアコンの本格的な点検・修理は専門業者に任せるのが一番です。
しかし、通常の車の修理とは異なり、こういった電装機器の修理に対応してくれる業者は限られてきます。
特徴も踏まえて、カーエアコンの修理が可能な業者を5つ紹介します。
カーエアコンの修理を依頼するなら、「自動車関係の電気屋さん」である電装業者、あるいは電装屋がおすすめです。
電子機器に精通しており、専門知識と技術力を備えているので信頼がおけます。
自動車ディーラーに依頼しても、結局こうした電装屋に外注することも多いです。直接依頼したほうが安上がりになることもある一方、ディーラーを通さないと修理は受け付けられないというケースもあるので注意しましょう。
ディーラーに点検や修理を依頼すると、多くの場合費用が高くなりますが、技術的には安心できるでしょう。
また、新車で保証がついていれば、購入後3年間または60,000kmの間は無料で修理してもらえることもあるので、それを利用するのが得策です。
ただし先述したように、カーエアコンなどの電装系の機器は、ディーラーに依頼しても電装屋へ外注されることが多いです。もしも電装屋につてなどがあれば、最初からそちらに依頼したほうが手間が省けるかもしれません。
自動車整備工場にカーエアコンの修理を依頼する場合は、工場ごとに対応が異なります。
知識やスキルがある整備士がいれば期待できる一方、複雑な作業を要する場合は対応できなかったり、時間がかかったりすることもあります。
自動車用品店は、カーエアコンに限らず様々な点検や修理に対応しています。必要なパーツも大量に仕入れているので費用が安価で済むのも利点です。
待ち時間を避けるため、事前に予約を入れていくといいでしょう。ただし、店舗によってはこうした修理を受け付けていないこともあります。その場合は別の店舗を探す必要が出てきます。
また、他の業者でも言えることですが、修理費用が最終的にいくらになるかは、作業が全て終わらないと分かりません。
ガス補充などカーエアコンの簡単な修理ならガソリンスタンドでも依頼できます。給油のついでなどに頼める気軽さがメリットでしょう。
しかし、電装業者などと比べると設備や技術面で劣りますし、対応できる修理内容には限りがあります。
修理費用はどれくらいかかる?
カーエアコンの修理費用は、内容によって大きく異なります。
以下では、単純なエアコンガスの不足からガス漏れ、コンプレッサーその他の機器が故障しているケースまで、修理費用のおおよその金額を紹介します。
カーエアコンの不具合の原因がガス不足で、ガスの補充だけで済むようなら3,000円~5,000円程度の金額で済みます。
2~3年で補充が必要とも言われているので、不具合の有無にこだわらず補充時期を覚えておきましょう。
ガス缶と器具さえあれば自分で補充することもできますが、これは基本的に危険が伴う作業です。器具の接続を間違えたことでガス缶が破裂し重傷を負ったというケースもあるので、必ず専門家に依頼してください。
ガスの通り道に穴が開いていたり、亀裂が生じたりしてしたせいでエアコンガスの漏洩が起きていた場合は、長年の使用による経年劣化によって起こります。
この状況だと、漏れたエアコンガスを補充する前にガス漏れの原因そのものを修理しなければなりません。費用の相場は20,000円~30,000円程度です。
単なるガス不足よりは高くつきますが、それでもエアコンの修理費用としてはまだ安いほうです。
目に見えないほどの小さな穴や亀裂でも、十分にガス漏れの原因になります。エアコンパイプの連結部などでよく起こりますが、見ただけでは漏洩箇所を特定するのは難しい上に、放置すれば亀裂は大きくなるので、専門家に早めに修理してもらいましょう。
コンプレッサーをはじめとする、その他の機器を修理した場合の費用を見ていきましょう。
コンプレッサーは故障してしまうと、もはや修理ではなく交換しなければならないため、少なくとも50,000円~150,000円は見込んでおいたほうがいいでしょう。
送風機モーターが故障していた場合は、コンプレッサーに次いで高く修理費用は20,000円~50,000円が相場です。
エンジンの温度調整に欠かせないサーモスタットが故障したら、修理費用は10,000円~15,000円程度です。サーモスタットが使えないと暖房が効かなくなるので、特に冬場は早急に修理しましょう。
故障の原因が冷却水の不足だった場合、補充だけなら50,000円程度で済みます。ただし、冷却水を循環させるホースに亀裂があって漏水していたり、ラジエーターに故障があったりした場合は、最大で80,000円ほどかかることもあります。
カーエアコンは、車の安全性や機能に直接関わるものではありませんが、修理の内容によっては費用が高額になります。
タイミングによってはカーエアコンが不具合を起こしたのと合わせて、車を買い替えるのも一つの選択肢でしょう。
カーエアコンが故障している場合、売却時の査定では想定される修理費ほど大きく影響しません。そのため、費用をかけて修理して古い車に乗り続ける費用を考えると、故障したまま売却して乗り換えたほうがお得になることもあります。
普段から定期的にチェックするのがベスト
カーエアコン関連の機器も、経年劣化によって寿命を迎えます。また、季節や地域によっては数ヶ月間全く使わないこともあるので、故障になかなか気付かない、久しぶりにエアコンを作動させた途端に故障に気付く、ということもあるでしょう。
そうした事態を防ぐには、定期的なチェックが大切です。と言っても大げさなことではなく、冷房や暖房がきちんと効いているか、異音や異臭はしないかを普段から確認しておくだけで十分です。