近年、車の新しい乗り方として一般的になりつつあるのが「カーリース」になります。
カーリースとは、車の購入や維持管理にかかる費用を全て分割して支払うことができて、まとまった出費なしで好きな車に乗れるというサービスです。
カーリースはあくまでも車を借りている形ですが、その車の車検は誰が責任を負い、費用はどのように支払うことになるのでしょう?
この記事では、カーリースの独特な車検の仕組みや進め方、費用に関する考え方などを説明していきます。
カーリースを利用すると車検はどうなるの?
カーリースは、毎月一定額を払いながら車を使用できるサービスです。その月々の料金には車検費用も含まれています。
しかし、リース車はあくまでも借り物なので、車検は誰がどのように行うのか疑問に思うでしょう。
カーリースの特徴を踏まえて車検の方法や費用について詳しく説明していきます。
カーリースの3つの特徴
最初に、カーリースというサービスの特徴を確認しておきましょう。
特徴として以下の3つが挙げられます。
マイカーを購入する場合、車の購入費用の大部分をローンで分割払いし、それとは別に頭金を用意したり車検代などをその時々で支払うのが一般的でした。
一方、カーリースの場合は、これらの費用を全てひっくるめて毎月一定額を分割払いします。月額料金に含まれるのは、自動車税、環境性能割、重量税、自賠責保険料、重量税や事務手数料などです。さらに頭金も不要で、月額料金のみで車を利用できるのは大きなメリットでしょう。
カーリースの場合、リース期間中は車をマイカーのように所有し、自分の好きなタイミングで利用できるのも魅力です。
また、リース会社によりますが、選べる車種なども幅広いので、自由度が高いと言えるでしょう。
車には車検代や税金以外に修理費などの維持費がかかりますが、カーリースではプランによっては月額料金に含められます。そのため、想定外の故障が生じた場合も急な出費で困ることがありません。
また、カーリースは最後に車を返却することで車両代の残りを埋め合わせることになりますが、車に傷や不具合があると原状回復の措置が必要になります。リース会社によっては、こうした費用も最初から月額に含めることができます。
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車検(自動車検査登録制度)とは?
車検の正式名称は「自動車検査登録制度」です。
マイカー、カーリース、レンタカー、カーシェアリングなどの乗り方の種類に関わらず、公道を走行する全ての車が車検を受けなければなりません。
車検時にチェックされるのは、その車が国道交通省で定めている保安基準をきちんと満たしているかどうかです。基準を満たしていない場合は、きちんと整備した上で再度検査を受ける必要があり、かなり厳密に運用されている制度だと言えます。
車検は日本独特のもので、車の安心・安全な利用のためになくてはならない制度です。
全ての車は、車検を受けることで最低限必要とされる安全と環境基準を満たすと見なされ、事故のリスクを可能な限り減らすことができます。
車検では、車のそれぞれの機能が正常に作動しているかなどの安全性チェック、さらに排気ガス規定を満たしているかなどの公害防止性能チェックが行われます。
車検には有効期間も存在し、期限が切れた車は公道を走れません。
車検を受ける義務があるのは、排気量が251cc以上の二輪車と小型特殊自動車を除く自動車です。
定期的な法定点検と合わせて受けることにより、日本の車の安全性は保たれていると言えるでしょう。
車検の有効期間が切れるとどうなるのでしょう?
まず、期限切れの車検証では道路の走行が認められません。違反すれば6点の違反点数、免許停止で最低30日間、さらに刑事罰として6ヶ月以下の懲役か300,000円以下の罰金が科されます。(2021年4月時点)
さらに、車検では同時に自賠責保険の手続きも行うので、車検が切れている車はこの保険も切れていることが多いです。
車検切れ・無保険で車を運転すると、1年6ヶ月以下の懲役か800,000円以下の罰金とさらに重い刑事罰が科せられます。(2021年4月時点)
ちなみに、整備料金は純粋に車の状態によって決まるので、車検が切れたことで、その後の車検費用が割高になることはありません。
ただし、車検切れの車は公道を走行できないので、車検場所への移動や運搬方法を検討する必要があります。
車検の費用の内訳
カーリースの場合、車検の費用は月々の料金に含まれていますが、金額に関しては普通の車検と同じです。
その車検の費用には、以下で説明する「法定費用」「車検基本料」「部品交換費用」の3種類があります。
法定費用は、法律によって車ごとの金額が最初から決められています。その内訳は大まかに「自動車重量税」「自賠責保険料」「印紙代」の3種類です。
自動車重量税とは、車両の重さによって税額が決まる税金で、次の車検までの期間分を先に前払いする形になっています。金額は0.5トンごとに高くなっていき、新規登録後13年、18年とそれぞれ経過すればさらに金額はプラスとなります。
自賠責保険料とは、法律により加入が義務付けられている強制保険です。カーリースの場合は契約時に加入しているので車検時にはかかりません。
そして、車検に関わる手続きの手数料として印紙代が必要となります。
金額の基準が明確に定められている法定費用に対し、業者や部品交換の内容ごとに金額が異なるのが「車検基本料」「部品交換費用」の2つです。
車検基本料とは、業者へ支払う工賃と同じ意味合いになります。
そして、車検基本料はさらに「法定点検の整備代」と「代行手数料」に分類できます。
法定点検の整備代とは、車検の際、安全性のチェックとメンテナンスのために法定24ヶ月点検をあわせて行うので、その費用のことです。
代行手数料とは、車検に関連するさまざまな手続きを業者が変わりに行うことから、その手数料として必要になります。
部品交換費用とは、法定24ヶ月点検で交換が必要と判断された消耗品の部品代と交換作業の工賃になります。
これらの消耗品は、具体的にはブレーキオイル、エンジンオイル、バッテリーなどです。
以上の費用の金額は、業者ごとに違うので、複数の業者を比較して安くなるところに依頼するのもいいでしょう。
マイカーを車検に出すには?
ここまでで、車検を受ける場合の一般的な内容や注意点などを説明しました。
カーリースではなく普通に購入したマイカーの場合は、これらの内容を踏まえて車検を依頼する業者を自力で探し、必要書類なども準備することになります。
また、車検の時期も把握しておく必要があります。ディーラーや、手広く営業している販売業者などと取り引きがある場合は、車検のタイミングが近くなると連絡してくれることが多いので、その点は安心です。
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リース車を車検に出すには?
カーリースによるリース車も、整備工場に車と必要書類を持参して車検を受けるという手続きはマイカーと同じです。
しかし、カーリースの契約プランによっては車検費用の定額部分が最初から月額料金に含まれていたり、車検を受ける業者も最初から決まっていることがあります。この点がマイカーとは違います。
リース車の車検は誰がすることになるのでしょう?
リース車はあくまでも借り物なので、「所有者はリース会社」であり、「使用者はリース契約者」となる点がポイントです。
車の管理は、日常的に車を使っている「使用者」が行うべきなので、車検をするのはリース契約者です。
後は契約プランの内容により、車検の受け方が異なってきます。
カーリースのプランは2種類です。このうち「メンテナンスリース」は、車検費用の支払方法も含め、車検を受ける場所などはリース会社が全てお膳立てしてくれます。
「ファイナンスリース」というプランの場合はマイカーと同様、全ての手続きを行うのは車の使用者です。
カーリースで借りている車は、日常的に車を利用している使用者が車検を受けます。
期日が近くなるとリース会社からお知らせが来るので、有効期限について神経質になる必要はないでしょう。
また契約時のプランの内容によりますが、車検を受ける整備工場が指定されている場合は、それに従って車を持っていきます。
特に指定がない場合は、自分で整備工場および業者を選択することになるでしょう。
整備工場が指定されている契約プランの場合、車検費用の大部分はすでに月額分に含まれています。ただし、部品交換や修理が必要になると、契約プランによっては別途支払いが必要になります。
整備工場に特に指定がない契約プランの場合は、全ての費用を自分で精算しなければなりません。
リース車の車検料はどうなる?
少し前述しましたが、リース車の車検料の支払方法は契約プランによって異なります。具体的には「メンテナンスリース」と「ファイナンスリース」という2種類のプランです。
以下でそれぞれの内容を解説します。
メンテナンスリースは、車検の費用の大部分が全て月額料金の中に含まれるプランです。
通常、車検基本料は業者ごとに異なりますが、リース会社は最初から特定の業者と提携しているので、金額を事前に決めて月額に分割できるのです。
車検に伴う法定24ヶ月点検を受けて部品交換や修理が必要になった場合は、その費用は別途用意する必要があります。しかし、これも契約内容によっては月額に含まれる場合があります。
ファイナンスリースは、車検時の費用が月額のリース料には含まれていません。そのため、車検を受けてから別途自分で支払う必要があります。
ただし、自動車重量税・自賠責保険料・印紙代の法定費用はリース料に含まれているので、車検代を別途払うといってもその分は通常の車検より安く済むでしょう。
また、オイル交換などの定期的なメンテナンス費用も自己負担です。
リース車の車検を受ける場所
カーリースのリース車を車検に出す場合、どこの業者、あるいは整備工場に持っていくといいのでしょう?
これについてもメンテナンスリースとファイナンスリースによって2パターンに分かれることになるので、覚えておきましょう。
メンテナンスリースの場合、車検はリース会社が指定する業者で受けることになります。リース契約を結んだ時点で決まっており、指定される業者はリース会社と提携しています。
むしろ、この提携があるからこそ、車検基本料も定額で分割払いが可能になると言えるでしょう。
リース会社の意向を無視して別のところで勝手に車検を受けると、費用が自己負担になることもあります。
ただし、このように業者が最初から決まっている点が窮屈に感じる、指定された業者とは別に懇意にしている業者などに依頼したいという方もいるかもしれません。
そういった場合は次で説明する「ファイナンスリース」を選択してもいいでしょう。
ファイナンスリースの場合、車検を受ける業者などは特に決まっていません。リース車ではないマイカーを車検に出す場合と同様に、自分で業者を探して依頼する必要があります。
リース会社からのカーリースで車を利用したいものの、普段から付き合いのある整備業者などがいるので車検はそこで受けたい、などの希望があればファイナンスリースの契約が向いています。
こういった点でバランスを取りながらプランを選ぶといいでしょう。
リース車の車検の流れ
リース車を車検に出す際の流れを確認していきましょう。
- まず、車検の時期が近付くと、リース会社からハガキや電話、メールなど何らかの形で案内が来ます。
- メンテナンスリースで契約している場合は、リース会社が指定した業者に連絡を入れて車検の日時を予約することになります。一方、ファイナンスリースの場合は指定がないので、車検を受ける業者を自由に選んで予約を入れましょう。
- 車検当日は、業者のもとへ車と必要書類を持ち込んで、車検にかかる時間や日数、代車は借りられるかどうかを確認してください。
業者は最初に法定点検によって車両に異常がないかどうかを確認します。場合によっては部品の交換や修理を行ってもいいか確認してくることがあるでしょう。そして、車を万全の状態にしてから車検を行います。 - 無事に車検が通れば、新しい車検証を受け取って終了です。
車検で必要なもの
車検を受ける際に準備しなければならない必要書類は、マイカーの車検でもリース車の車検でも同じです。
用意するものは以下です。
- 身分証明書(運転免許証)
- 前回の車検で交付されている車検証
- 車検時に更新される自賠責保険の保険証
- 自動車税の納税を証明する納税証明書
なお、最近まで車検には印鑑(認印)も必要でしたが、これは2021年1月から不要となりました。今まで押印が必要だった箇所は、車の使用者のサインだけで済むようになっています。
車検を受ける時期
車検は、どれくらいのサイクルで受けることになるのでしょう?
カーリースの場合は、リース会社から案内が来るので有効期間について普段から神経質になる必要はありませんが、覚えておけば準備もスムーズにできます。
車検の有効期間は車の区分ごとに異なります。それは以下の通りです。
- 自家用乗用自動車…新車登録から3年後、それ以降は2年おき
- 軽乗用自動車…新車登録から3年後、それ以降は2年おき
- 普通貨物車(1ナンバー)…新車登録から2年後、それ以降は1年おき
- 小型貨物車(4ナンバー)…新車登録から2年後、それ以降は1年おき
- バス・タクシー…新車登録から1年おき
- レンタカー(乗用自動車のみ)…新車登録から2年後、それ以降は1年おき