車検シールは車検の後にもらって車に必ず貼らなければなりません。しかし、このシールは一度貼ると剥がしにくいので、慎重に扱う必要があります。
車検シールを剥がした状態で公道を走ってはいけないので、もし剥がす際は、剥がしてもいいケースか否か、ルールをきちんと確認した上で行いましょう。
そして、貼り間違いによって剥がす必要が生じないように、貼り付ける段階から正しいやり方を確認し、作業にあたるようにしてください。
車検シールを剥がす方法は?
車検シールは、その車が車検を受けたことを証明するシールで、これによって車検の有効期間も確認することができます。
剥がすことも可能ですが、一度剥がすとそのまま貼り直すことは基本的にできないので注意しましょう。
そもそも車検シールとは?
車検ステッカーなどと呼ばれることもある車検シールは、「検査標章」というのが正式な名称です。これは車が車検に合格していることを示すもので、車検後に車検証と一緒に受け取ることができます。
また、車検シールには次の車検までの有効期間も記されており、期限まではその車で公道を走ってもいいという証明にもなるため、ドライバーの車検切れ防止に役立ちます。
また、警察もこれをチェックすることで車検切れの車を取り締まります。
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車検シールをきれいに剥がす方法
車検は多くの場合、2~3年周期で行われるので、車検シールはその間に剥がれることがないようにできています。そのため、剥がすとなると手間がかかり、それ相応のステップを踏まなければなりません。
まず、シールの外側を覆っている透明シールを丁寧に剥がし取ります。すると粘着部分が残るので、シールの上から霧吹きで水分を吹きかけ、よく濡らしてからウェットティッシュとラップをかぶせて、20~30分おきましょう。
粘着質の部分がふやければ、きれいに剥がすことができるので、ヘラやスクレーパーを用いてガラスを傷つけないよう慎重に処理します。
残った粘着質はウェットティッシュでこすり取るか、アルコールをかけて拭き取るようにしてください。
剥がす場合の注意点は、ほとんどの場合、車検シールは一度剥がすと再利用はできません。また、シールを貼っていない車は公道を走ることはできません。そのため、貼り直せるシールがない場合は安易に剥がさないようにしましょう。
車検シールをきれいに剥がす方法を説明しましたが、車検シールは原則として剥がしてはいけません。また、やむを得ず剥がす場合は、そのシールはもう使えないので再発行する必要があります。
なぜ車検シールは剥がしてはいけないのかというと、道路運送車両法の第66条に「自動車検査証を車内に備え付け、検査標章を表示しなければならない」と、定められているからです。
もし車検シールなしで公道を走行すれば、やはり同法の109条により、50万円以下の罰金となります。
シールがないことを警察に指摘された場合、車検証を示すことで問題ないと見なされる場合とそうでない場合があるので注意しましょう。
もしも車検シールを貼っていないのに加えて、車検そのものも受けていないことが発覚したら、罰則はさらに重くなり6点の違反点数、30日間の免許停止、そして6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられます。
ただし、車検直後に車検シールが発行されず、後日郵送となることもあります。その場合はシールの代わりとして発行から15日間有効の「保安基準適合標章」が発行されるので、代わりに貼っておきましょう。
車に貼る重要シールのまとめ
車に貼るシールやステッカー類には、車検シール以外にも「定期点検ステッカー」「車庫証明シール」などがあります。
それぞれ重要な意味がありますが、取り扱いに関するルールは異なるので、その違いを詳しく確認しましょう。
①定期点検ステッカーは剥がしてもいい
定期点検ステッカーとは、法定12ヶ月点検を受けた時に、整備工場で貼ってもらうものです。
昔の電話機のダイヤルのように数字が円形に配置されており、真ん中に次の点検日の「年」が、その周囲の数字で「月」が分かるようになっています。
これは、車内から見てフロントガラスの左上に貼られます。法律上、フロントガラスに貼ることが認められているシール・ステッカー類は限られており、さらに車検シールと重ならないようにしなければなりません。
車検シールは剥がした状態で公道を走ると罰則が科せられます。一方、定期点検ステッカーは最初から貼らなくても問題ありませんし、一度貼られたものを剥がしても大丈夫です。
ただし、剥がす場合は剥がした痕が残らないよう慎重に行いましょう。実際、見栄えなどの問題から、定期点検後にステッカーを受け取っても貼り付けずに車内で保管するというケースもあります。
定期点検ステッカーがないと点検が受けられないことはないので、必要に応じて扱いましょう。
定期点検ステッカーは、期限を過ぎた場合は剥がしてしまいましょう。なぜなら、このステッカーは「有効期間の間だけ」フロントガラスに貼ることが認められており、それを過ぎると保安基準に反することになるからです。
ステッカーの裏側にも、期限を過ぎたものは必ず剥がすようにとはっきり記載されています。
しかし、貼ったままだと即座に逮捕されるわけでもないので、神経質になる必要はありません。
②車庫証明シールはできるだけ剥がさない
車のイラストと保管場所標章という文字が記されている「車庫証明シール」は、管轄の警察署で車庫証明の手続きを取ったときに発行されます。
これは車の駐車スペースが確保されていることの証明であり、車への貼付は法律上の義務です。
自動車の保管場所の確保等に関する法律の第6条・7条によると、交付されたシールは車に貼らなければならないとされています。
車庫証明シールを貼る場所は、自動車の保管場所の確保等に関する法律の第7条によると「車庫証明シールは車の後面のガラスにシールの内容が後ろから見やすいように貼り付けなければならない」と、定められています。
具体的にどこに貼ればいいのかというと、リアガラス(リアウインドウ)です。バックドアガラスとも呼ばれる単体では開閉することができない後方の窓で、ほとんどの車がこの場所に車庫証明シールを貼っています。
上述の通り、車庫証明シールを車に貼ることは法律上の義務です。しかし、罰則規定は存在しないので、剥がした・あるいは最初から貼っていないからと言って取り締まりの対象になったり、罰金刑などで処罰されたりすることはありません。
義務は義務なので、警察に見つかれば注意を受ける可能性はあります。しかし、国内には車庫証明が不要な地域もあるので、そもそも車庫証明シールが貼られていない車があっても不思議ではありません。
③車検シールは剥がしてはいけない
自動車が公道を走る際は、車検にパスした状態でなければいけません。車検に通ることで、その車は法律上の安全基準や環境基準を満たしていると認められ、決められた有効期間だけ公道を走ることを許されています。
この車検にパスした事実を証明するのが「車検シール」であり、先に紹介した定期点検ステッカーや車庫証明シールと比べると「重み」が違うと言えます。そのため、このシールを貼らずに走行したり、意図的に剥がしてそのままにしたりしていると罰則が待っています。
罰則は、道路運送車両法の規定に基づき50万円以下の罰金刑です。さらに、車検切れの状態にあわせて自賠責保険の期間も切れていることなどが発覚すれば、もっと重罪になります。
ディーラーなどに車検を頼んだ場合は、車検シールを貼ってくれる場合がほとんどなので貼り忘れはないでしょう。しかし、後日郵送になる場合やユーザー車検の場合は注意しましょう。
車検シールを剥がす必要がある3つのパターン
ここまでで、車検シールは必ず貼らなければならない、そして剥がしてはいけないというルールを説明しました。
しかし、現実にはどうしても剥がす必要がある場合も存在します。以下では、想定される3つのパターンについて説明します。
まず、車検シールを剥がさなければならない一番のケースとして、新しい車検シールや保安基準適合標章と交換する場合が挙げられます。
保安基準適合標章は、車検が終わってからすぐに車検シールが発行されない場合、15日間だけシールの代わりに使えるものです。
しかし、車検シールを新しいものに貼り直すにあたり、車のユーザーが古いシールを自分で剥がさなければならないケースは、ほとんどありません。
たとえ車検の直後に車検シールが発行されない場合でも、業者のほうで古い車検シールを剥がしてくれることがほとんどです。
車検を民間車検場やディーラーの指定工場などで受けた場合、車検証や車検シールは後日郵送となることが多いです。こうした場合、シールは業者で剥がしてくれて、新しいシールが郵送されてくるまでの間は保安基準適合標章を使うことになります。
この保安基準適合標章は、紙片をセロハンテープなどで貼る簡易的なものなので、剥がすのも簡単です。
車検シールを貼る位置は法律で決まっているので、間違えてしまった場合は剥がして貼り直す必要があります。しかし、この剥がす工程で破損してしまう可能性もあります。
そもそも車検シールは一度剥がすと、そのままもう一度貼るのは難しいので、その場合は再発行が必要になるでしょう。
具体的な「貼り間違い」のパターンとしては、以下のような状況が挙げられます。
慣れない方の場合、車検シールを貼るのは意外と難しい作業です。できるだけ貼り間違いが起こらなように、シールの裏側の説明はよく読みましょう。
近年、車の事故防止や安全対策のために、運転支援システムなどを取り付ける車が増えています。そして、車検シールとの関わりで問題になるのが「ドライブレコーダー」です。
シールを貼る位置によっては、ドライブレコーダーの映像記録の邪魔をする形になってしまうことがあります。
ドライブレコーダーや運転支援システムを搭載した車は、フロント部分にカメラが設置されていることが多いです。そのため、そのままにしておくと録画画像にステッカーしか映っていないということになりかねません。
システムの性能を活かすには、シールを剥がす必要があります。しかし、車検シールは一度剥がすと貼り直しはほぼ不可能です。
もちろん剥がしたままでは違反になりますので、「破損」ということで再発行するしかありません。
こうした事態を防ぐために、ドライブレコーダーを搭載した車に車検シールを貼る場合は、ディーラーなどに依頼・相談するのがベストです。専門家の意見を聞きながら、適切な位置に貼りましょう。
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車検シールは一度剥がしたら再発行になる
車検シールは一度剥がすと貼り直しはまずできないので、貼り間違い・貼り直しは再発行となります。
以下では、車検シールを再発行する場合の手順を説明します。
- 普通自動車やバイクの車検シールの再発行は陸運(支)局、軽自動車の場合は軽自動車検査協会で行います。いずれも管轄に関係なく、どの地域でも手続きができます。
- 手続きを行うにあたり「車検証」「車検シール」「検査標章再交付申請書(OCR第3号様式)」「申請手数料(印紙代)」「車の使用者の印鑑」などが必要です。この車検シールとは、汚損・破損した現物が必要という意味になります。紛失した場合は「理由書」という書類を記入する必要があります。もし代理人が手続きを行う場合は、上記の書類に加えて「委任状」が必要です。また、申請する際は手数料として約300円ほどかかります。
- 手続きが済めば車検シールと一緒に車検証も新しく渡されます。車検証はきちんと車内に保管しましょう。
車検シールの上手な貼り方
そもそも、車検シールは、剥がす必要が生じないように貼るのがベストです。では、シールを貼る場合はどのような点に注意したらいいのでしょう。
以下では、車検シールを上手に貼るための手順を説明します。
- シールを貼る場合全般に言えることですが、貼る位置と角度はあらかじめ確認しておいてください。
- 貼る場所に汚れや埃がついていると粘着力が弱まるので、水拭きと乾拭きをしておきましょう。
- 車検シールはそのままでは貼れず、2つのシールを組み合わせて初めて完成するものなので、この組み合わせの段階で間違えないようにしてください。
- 車検シールを半分ずつ剥がしてそのつど透明なシールに貼り付け、車検シールが透明シールの上に完全に貼られた状態になることを目指しましょう。
- 後は、完成したシールをフロントガラスやナンバープレートの所定の位置に貼るだけです。
場合によっては、業者のほうで車検シールを貼ってくれたり、車検シールをあらかじめ完成させてくれたりすることもあります。
車検シールを貼る場所は?
車検シールを剥がさずに済ませるには、最初から間違えないで貼ることが大切です。
以下では、車検シールを貼る場所について詳しく説明しますので、貼付時は十分注意しましょう。
車検シールは、車の内側から貼り付けて車検の有効期間が外からも確認できるようにする必要があります。そのため、ルームミラーがある一般的な車は、フロントガラスの上部にあるミラーの陰に貼り付けるよう定められています。
ルームミラーの陰に貼ると車内側からはシールが見えなくなるので、ドライバーにとっても邪魔になりません。
もしも、ルームミラーの上部にシールを貼るだけの隙間が存在しない場合は、ミラーの下部に貼りましょう。
乗用車の中には、ルームミラーが存在しないタイプのものもありますし、またルームミラーなしでも車検には通ります。こうした車の場合は、ルームミラーを基準として車検シールを貼ることができません。
では、どこに貼るかというと、フロントガラスの上部のうち、運転席から最も離れた場所になります。言い方を変えると、助手席側のフロントガラスの上部です。
運転中にドライバーの視界に入って邪魔にならない位置というのが重要です。
フロントガラスがないバイクやトレーラーは、ナンバープレートに車検シールを貼ります。
しかし、フロントガラスと運転室がある車は、車検シールをフロントガラスに貼るのが原則です。
では、フロントガラスの所定の位置が彩色されている車はどうなるのでしょう?
こうした色付きのフロントガラスは、メーカーによって「ハーフシェイド」や「トップシェイド」と呼ばれています。色は黒・緑・青などで、直射日光を抑えたり、紫外線をカットしたりする効果があります。
しかし、車検シールは外から見やすいように貼らなければならないので、彩色された部分にそのまま貼ると見づらくなってしまうのが難点です。
この場合はフロントガラスの着色された部分を避けて、下にずらして貼りましょう。