車を所有していると定期的な車検は避けて通れません。車検に通らないと不安に思うかもしれませんが、車検のチェック項目には落ちる理由やパターンが決まっているので、ポイントを押さえておけばほとんどの場合は心配いりません。

この記事では、車検に落ちた場合の再検査の段取りや費用、万が一車検切れになってしまったときのデメリットやリスクを説明します。

さらに、車検に通るようにするために日頃からできる対策方法なども紹介します。

車検に通らない車の特徴とは?

車検はチェックリストを使って行われるので、通過しない車にはある程度共通の特徴があります。

もともと車検は安全性・環境保護の観点から行われるので、車検に落ちる車はいずれかについて問題があると言えるでしょう。

法定点検とワンセットで車検を受ける一般的なやり方なら、大抵は車検にも合格します。

不合格となるのは、よほどの劣化・故障、基準を逸脱した改造、書類不足、税金や違反金の未納、ユーザー車検における操作ミスなどがあった場合が多いです。

法定点検がワンセットなら大抵は車検に通る

法定点検がワンセットなら大抵は車検に通る
車検は、ディーラーや整備工場で法定整備とワンセットで受ければ、大抵の場合は通ります。
なぜなら、車検で通らないような劣化・故障・整備不良などが見つかっても、その場で修理してもらえるからです。

それ以外にも、法定整備をワンセットにした車検であれば、スタッフも車検に通すことを前提とした上で整備を行ってくれます。

また、指定工場で受けない場合でも、スタッフは車検場の検査ラインについて知識があるので安心です。

問題は「ユーザー車検」を利用する場合です。費用を抑えるために法定点検を行わずにユーザー車検で済ませようとすると、車検で通らない可能性は高くなります。

そのため、車検は法定点検をワンセットにしてプロに任せるのが最善と言えます。

車が車検に通らないパターン

車が車検に通らないパターン
車が車検で不合格となってしまうパターンとしては、部品の劣化や故障、保安基準を満たさない改造、必要書類が足りない、税金や違反金の未納、ユーザー車検における操作ミスなどに大きく分類できます。

以下では、それぞれの車検に通らないパターンについて詳しく解説します。

部品の劣化や故障

車検に通らないパターンの一つとして最も典型的なのが、部品の劣化や故障です。

車検とは、車が安全に走行できることを確認するための検査なので、劣化や故障で安全性が損なわれていれば不合格となります。

よくあるのが、フレームが破損していたり、タイヤが摩耗していたり、ライトの光量がバルブ(電球)の劣化によって少なくなっているというケースです。その他、ホーンの不備やヘッドライトの角度(光軸)の異常などもあります。

このような、ちょっとした劣化や故障であれば、車検に落ちても当日中にガソリンスタンドなどに持ち込んで直せることも多いです。

あるいは、法定点検と合わせて車検を受けている場合は、車検が終わってから「故障個所があったので直しておきました」と事後に報告があるでしょう。

ただし、その日のうちに修理できないこともあります。それは劣化や故障の範囲が広すぎたり、交換用の部品がすぐに用意できなかったりする場合です。

安全基準を満たさない装備や改造

車検に落ちるもう一つのパターンに、保安基準を満たさない内容の改造(カスタマイズ)を行っていたというケースがあります。

カスタマイズそのものは禁止されてはいないものの、安全性を損なう内容のものは認められません。

例えば、ボディサイズが決められた寸法から逸脱していたり、タイヤがボディに接触していたりすると車検に落ちます。また、車検非対応のマフラーや使用が認められていない色のライトを使った場合も通りません。

他にも、車のボディにカーラッピングを施した場合です。カーラッピング自体は合法ですが、フロントガラスや運転席・助手席のサイドガラスなどにまで、はみ出してしまうと違法改造車と見なされることがあります。

このようなカスタマイズを行う際は、それが適法かどうか確認することが大切です。

なお、装備が純正品だけであれば心配する必要はありません。注意が必要なのは、自作したパーツや汎用品を使用した場合です。

用意する書類や物品の不足

車の状態以前の問題として、車検を受ける際に必要書類が揃っていないと車検を受けられません。

車検を受けるときの必要書類は、「車検証」「自賠責保険証明書」「自動車税の納税証明書」の3つです。

車検証は、正式には「自動車検査証」といい、前回の車検で車が保安基準を満たしていたことを証明する書類です。前回の車検の有効期間が記載されており、満了日を迎える前に次の車検を受けて、有効期間を更新することになります。

自賠責保険証明書は、車を運転する場合に加入が義務付けられている自賠責保険の証明書のことです。多くの場合、車検の際に一緒に更新されます。

自動車税の納税証明書は、普通自動車の場合は都道府県税の自動車税(種別割)、軽自動車の場合は市町村税の軽自動車税となり、いずれも納税した際に半券の形でもらいます。

納税証明書は半券なので紛失しやすいです。納税したらすぐに車検証や自賠責証明書と一緒に保管しておくといいでしょう。

税金や違反金の未納

自動車税や軽自動車税が未納だと車検は受けられません。また、駐車違反などの反則金が未納だった場合も同様です。

現代では、車が違反金など未納でないかオンラインで照会することができます。未納の事実が判明すると「車検拒否制度」という制度に基づき、車検そのものを拒まれてしまいます。

税金や違反金と車検の関係は無自覚な方が多いので注意しましょう。

ユーザー車検での操作ミス

多くの場合、車検はディーラーや工場に持ち込んで行いますが、その他にも「ユーザー車検」という方法があります。

ユーザー車検は、車のユーザーが陸運局に車を持ち込んで自ら車検を行うというやり方です。業者に頼むよりも費用が抑えられるのが大きなメリットです。

ただし、プロでない方がユーザー車検を行うと、車に問題がないにも関わらず、検査手続き時の操作ミスが原因で不合格となることもよくあります。

当日中に2回までなら再検査可能ですが、こうなると時間のロスになることは否めません。

不合格となる操作ミスとしては、例えばサイドスリップ検査の際にハンドルを誤って動かしてしまった、ブレーキ検査の際にペダルの踏み方が甘かったなどのケースが考えられます。いずれもユーザー車検初心者に多いミスです。

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車検に通らなかったらどうするの?

車検に通らなかったらどうするの?
車検で不合格になってしまったら、指摘された箇所を改善して再検査を受けなければなりません。

ただし、もともと車検に通る見込みがない車の場合は、車検に出す前に売却したり廃車にしたりすることを検討してもいいでしょう。

再検査

車検で不合格になっても、保安基準に適合していない箇所や部品を当日中に修理できれば再検査を受けられます。

車検は一度の費用で当日3回まで受けられます。また、2回目以降は1回目の不適合箇所のみの検査になるので、時間もさほどかかりません。

当日中に再受検できる場合

車検は1回の申し込みで1日3回まで検査を受けられます。つまり、1回不合格になっても後2回再検査を受けられるのです。

車検に通るか不安な場合は、再受検の可能性も考えて早朝から受けるのがおすすめです。

車検の結果、指摘を受けた箇所が当日中に直せるものであれば、自力で直すか整備工場や身近なガソリンスタンドなどで直してもらいましょう。

2回目の車検は指摘を受けた箇所のみの点検になるので、さほど時間はかかりません。

15日以内に再受検できる場合

上記のような当日中の再受検が間に合わない場合は「限定自動車検査証」を発行してもらえます。これがあると、車検に通らなかった車でも15日間は公道を走ることができます。

つまり、その15日間の間に車検不適合箇所を修理や交換などして、再検査を受けるということです。

再検査は、車検の翌日以降だと新たに検査手数料がかかりますが、不適合箇所のみの点検になるので、さほど大きな金額にはならないでしょう。

15日以内に再受検できない場合

上記で紹介した限定自動車検査証があっても、修理や交換が間に合わなかったり、スケジュールの都合でどうしても15日以内に再車検を受けられなかったりする場合もあるでしょう。そうなると、残念ながら「車検切れ」となります。

車検切れの車(無車検車)は、公道を走ることが禁じられており、違反すれば重い罰則が科せられます。

改めて車検を受けるにしても積載車による移動や仮ナンバーの取得などの方法を考えなければなりません。

再検査の費用について

車検に落ちた当日中であれば、後2回までは無料で再検査を受けられます。

当日中の修理や再検査が難しい場合は、陸運局の窓口などで「限定自動車検査証」を発行してもらえます。これがあれば、次の車検時の検査手数料は1,300円程度です。(※地域によって異なる)

ただし、限定自動車者検査証の有効期間は15日です。それを過ぎると、次の再検査の費用は1,800円となり、車を移動させるための費用もかかるので注意しましょう。

売却する場合

車検に通らない車や合格するためには高額の修理費用がかかる車の場合は、思い切って売却するのも一つの手です。

「車検に通らない車」だからと言って、それだけで買取金額が大幅にダウンすることもありません。ただし、車検の残り有効期間の長さによって、査定額が多少変動することはあります。

また、老朽化や故障が原因で車検に通らない車は買い叩かれる恐れもあるので、売却より廃車によって現金化したほうがお得になるケースもあります。

廃車にする場合

老朽化や故障が原因で車検に通らない車は、高額な修理費用を払って乗り続けるよりは、いっそ廃車手続きを取ることで現金化したほうがトータルで見てお得なことがあります。その場合は、廃車専門の業者に依頼するといいでしょう。

廃車専門の業者は、経年車や事故車でも解体してパーツ単位でリサイクルするので、車検に通らない車でも相応の売却額が期待できます。

廃車にするか否かは、車検を受ける前に判断するようにしましょう。

車検切れのデメリットとリスク

車検切れのデメリットとリスク
車検で不合格になった車をそのままにしておくと、有効期間の満了日を迎えて「車検切れ」になります。

車検切れの車には、公道を走ると違法になるリスクや改めて車検を受ける際に移動についてのコストがかかるなどのデメリットがあります。

公道を走れば摘発対象になる

車検切れの車は、ただ所有しているだけで処罰されることはありません。私有地や私道であれば運転しても問題ありませんが、公道を走行すると違法行為として摘発対象になるので、くれぐれも注意してください。

車検切れの「無車検車」で公道を走った場合の罰則は重く、6点の違反点数つまり少なくとも30日間の免許停止、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金となります。もしも同様の前歴があれば、免許取り消しもありうるでしょう。

さらに全ての車が加入を義務付けられている自賠責保険が切れていると、罰則はさらに重くなり、6点の違反点数、90日間の免許停止、6カ月以下の懲役か80万円以下の罰金です。

ちなみに車検と自賠責保険の更新のタイミングは同じことがほとんどなので、車検が切れれば大抵は自賠責保険も切れます。

自分の車が車検切れでないか否かは、車検シールや車検証で確認しましょう。有効期間の満了日を覚えておき、車検のタイミングを逃さないようにしてください。

車検のための移動でコストがかかる

車検切れになった車(無車検車)は、公道を走れないため、改めて車検を受けるには車の移動や運搬方法を検討しなければなりません。そのための方法はいくつか考えられます。

まず、キャリアカーを使って自力で運ぶ方法ですが、これはコストがかかりすぎます。

また、レッカー移動を業者に依頼すると、車検切れの車のタイヤを道路で転がして移動しなくてはいけないため、これも「公道を走行した」と捉えられる恐れがあります。

そのため、業者に車の引き取りを依頼するとしたら「積載車」を持っているところに限られるでしょう。しかし、その場合も引き取り場所に積載車が入り込めるほどのスペースがないと、断られてしまう可能性があります。

最も簡単なのは、住所がある市町村役場で手続きをして「仮ナンバー」を取得することです。運転の用途・期間・範囲は限定されますが、手続きは安価で済みますし、車検を受ける場所まで自分で運転して行けるので気楽に利用することができます。

車検が通るようにするために必要なこと

車検が通るようにするために必要なこと
車検がスムーズに合格するためには、日常的に車の状態を気にかけて定期的なメンテナンスを心がけ、必要書類も事前に準備することが大切です。また、改造(カスタマイズ)を行った車は構造等変更申請が必要になることもあります。

それぞれの内容について詳しく説明します。

日常点検とメンテナンス

車検をスムーズに合格するために最も大切なことは、車に不具合や不調などがあれば、すぐに対応することと、日常的な点検とメンテナンスを心がけることです。

車検は車の安全性を点検するものなので、自分の車の安全性について日頃から気にかけておくようにしましょう。

しかし、頻繁に業者の点検を受けるのは大変です。例えば、定期的に行う必要があるオイル交換などのタイミングで、あわせてチェックしてもらうことを習慣づけるとよいでしょう。

書類の用意

車検の際は「車検証」「自賠責保険証明書」「納税証明書」の3つの書類が必要です。

もしこれらの書類のいずれかを紛失していることが判明したら、速やかに再発行手続きを行いましょう。

車検証は、普通自動車なら陸運(支)局で、軽自動車なら軽自動車検査協会で手続き可能です。

自賠責保険証明書は、加入している保険会社に再発行を依頼することになりますが、会社が不明であれば車を購入したディーラーなどを通して確認する必要があります。

納税証明書は、普通自動車なら陸運(支)局に併設されている都道府県税事務所の窓口で、軽自動車なら市区町村役場で再発行します。

いざ車検を受ける際に慌てないように、これらの必要書類はメンテナンスノートなどと一緒にして車検証入れなどで保管しておきましょう。

改造(カスタマイズ)したら構造変更申請

改造(カスタマイズ)を行った車の場合、指定部品を使っているなら車検にも通ります。ただし、取り付け方法に問題があったり、取り付けることによって車体の重量や高さが増したりするなど、他の部分に影響をおよぼしてしまうと車検に通らなくなることもあるので注意しましょう。

また、指定部品ではなく「指定外部品」を使って改造している場合は、保安基準に規定されていない部品なので、車検で落ちる可能性が高くなります。そのため、指定外部品を使う場合は、事前に構造等変更の申請を行ってください。

構造等変更とは、要するに改造によって車が全く新しいものになったので、特殊な車として最初から新規検査をやり直す手続きのことです。陸運(支)局か自動車検査登録事務所で手続きすることができます。そこで合格すれば公道を走れます。

まとめ

①車検は法定点検がワンセットなら大抵は通る
②車検に落ちる主な理由は部品の劣化や故障、装備品の問題など
③違反金が未納の場合やユーザー車検での操作ミスで落ちることもある
④車検当日中に3回は再検査を受けられる
⑤「限定自動車検査証」の発行により再検査まで15日は猶予される
⑥15日目を過ぎると最初からやり直しになる
⑦どうしても車検に通らない場合は、車を売却したり廃車にするという選択肢もある
⑧車検対策として日常的なメンテナンスが大切

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