車には必ず車検証が付随しており、運転時は保管していないと法律違反になるほどの重要書類です。そのため、紛失したり汚れたりした場合は必ず再発行の手続きが必要になります。
では、その手続きは具体的にどのように行えばいいのでしょう。氏名・名義変更との違いや、再発行せずにいた場合のリスクなどとあわせて、詳しく説明していきます。
車検証は再発行できる
車検証は意外と簡単に再発行できます。ここでは、その方法について詳しく説明していきます。
また、どんな場合に車検証の再発行が必要になるのか、車検証を紛失して再発行する場合に注意すべきポイントは何か、知っておくと安心です。
車検証の再発行が必要になるケース
車検証の再発行が必要になるケースとして、「紛失」「盗難」「汚損・破損」「引っ越しによる住所変更」が挙げられます。
その他、車を改造したことによる「構造等変更」の申請を行えば、必然的に車検証は新しくなります。
多くの場合、車検証は車のダッシュボードに自賠責証明書などと一緒に保管されていますが、紛失することもあり得ます。
車検証を携帯せずに車を運転するとそれだけで法律違反になり処罰されるので、すみやかに再発行しましょう。
ただし、手続きは陸運(支)局で行うことになるので(軽自動車なら軽自動車検査協会)、車検証がないとそこまで車で移動することができません。
紛失による再発行手続きを行う際は、電車やバスなど公共交通機関などを使って陸運(支)局まで行くことになるでしょう。
車検証を保管している車を盗まれてしまった場合も、再発行の手続きが必要になります。手続きをしないと、盗まれた車が事故を起こしたり犯罪に利用されたりした場合、責任が車検証上の車の所有者にかかってくるからです。
車を盗まれた場合は、まずは警察へ盗難届を出して詳細な状況などを伝えてください。すると、届け出の「受理番号」が発行されるので、その後で陸運(支)局(軽自動車なら軽自動車検査協会)へ行き再発行を行います。
車が事故に遭ったり大雨や洪水で水没してしまったりすると、車内に保管していた車検証が汚損・破損することがあります。
軽微な汚れや破れなら問題ありませんが、記載されている文字が判別できないほどであれば、すみやかに再発行しましょう。
この場合も普通自動車なら陸運(支)局、軽自動車なら軽自動車検査協会で手続きを行います。各施設の窓口でもらえる申請書や手数料納付書に必要事項を記入し、本人確認などを行えば即日発行されます。
この手続きの際、汚損・破損してしまった車検証も必ず持参するようにしてください。汚くなってしまったからと破棄してしまうと、再発行の手続きが汚損・破損によるものではなく「紛失」となるので、再発行のための理由書などの提出が必要になります。
引っ越しによって住所が変わった場合も、車検証の再発行が必要です。単身赴任など住民票を移さない一時的な移動であっても、引っ越しをしたなら移動してから15日以内に住所変更と再発行をしなければなりません。
こうした車検証上の住所を変える手続きを「変更登録」といいます。戸籍や住民票上の住所にかかわらず、その車を日常的に使用する「使用の本拠」が変わった場合に手続きをしなければならないという考え方です。
また、引っ越しに伴う変更登録を行わないと、様々な面で支障が生じることがあります。例えば、車を保有していると自動車税の納税通知書が毎年春に届きますが、これが前の住所へ送付されてしまいます。
それから、リコールが発生した際に通知が現住所に届かなくなるので、車の改修が遅くなるでしょう。万が一、盗難や事故などに遭遇した場合も、車検証の内容と現況が一致しないことになるので、手続きがスムーズに進まない恐れがあります。
車好きの方は、愛車をカスタマイズすることも多いでしょう。しかし、車の内容が大きく変わり、そのままでは車検に通らなくなった場合、構造等変更手続きを行って車検証を再発行する必要があります。
例えばエンジンを別のものに変えた、乗車定員を減らした場合などが、こうした改造に該当します。このような車は、いわば今までとは全く別の車に生まれ変わったと見なされ、一から車検をやり直すことになるのです。
つまり、構造等変更手続きにおける検査は、継続検査ではなく新規検査と同じもので、以前に受けた車検の内容も一度リセットされます。そうして新しく発行された車検証には、「改」という文字が型式欄に記載されているでしょう。
構造等変更の手続きは必要書類も多く、やや煩雑なところがあります。しかし、検査をパスすれば改造車両で合法的に公道を走ることができるので、改造を検討している車好きの方はぜひ覚えておいてください。
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車検証の氏名変更や名義変更は再発行ではない
住所を変更した場合は車検証を再発行しますが、「氏名変更」や「名義変更」が必要な場合はどうなるのでしょう?
実はこの2つは再発行とはならず、全く別の手続きとして行われることになります。その違いについて、以下で説明します。
車検証の氏名変更は、結婚などの理由で名字が変わった場合に行われます。
必要書類は以下の5つです。
- 戸籍謄本
- 車検証
- 手数料納付書
- 申請書
- 納税申告書
これらを準備して、陸運(支)局もしくは軽自動車検査協会で手続きします。
なお、車の所有者と使用者が同じなら問題ありませんが、両者が異なる場合はそれぞれの氏名が変わるごとに手続きをしなければなりません。
氏名変更する本人以外の人が手続きをするなら「委任状」も用意しましょう。
名義変更は車の所有者、つまりその車について管理責任を負う「持ち主」が変わった際に行う手続きです。正式には「移転登録」といいます。
例えば家族・友人・知人間で車を譲渡した場合などに、この手続きが必要になります。また、ネットオークションなどで車を入手した場合も名義変更しなければなりません。
名義変更手続きは販売店で中古車を購入する場合も必ず行われますが、業者側で済ませていることが多いので馴染みが薄いものだと言えるでしょう。
車検証がないと車に乗ってはいけない?
車で公道を走る際は、車検証を携帯していなければなりません。これは道路運送車両法で定められたルールで、違反すると500,000円の罰金が科されます。
一般的に車検証は車のダッシュボードに保管されています。そしてこれとワンセットになることが多いのが自賠責保険証です。
自賠責保険証も紛失した状態で運転すると、さらに300,000円の罰金がプラスとなります。
さらに車検証を紛失しているのみならず、車検の有効期間までもが切れていたという場合、その車は「無車検車」と呼ばれ、あわせて自賠責保険も切れていることがほとんどです。
万が一事故を起こしてチェックしてみたところ、車検証がない、自賠責保険証がない、その上車検も切れていて自賠責保険も更新されていなかった…ということになれば、罰則はさらに重くなります。
たとえ車に乗る機会が少ないとしても車検や車検証の重要性は変わりませんので、放置しないようにしましょう。
車検証の再発行方法
ここまでで、車検証を再発行しなければならない様々なケースについて説明してきました。
それでは、実際に再発行手続きを進めていく場合、事前にどのような書類を用意して、どこに発行処理を依頼するといいのでしょう?
車検証を紛失・汚損・破損などした場合、再発行処理は管轄の陸運(支)局で行います。所有しているのが軽自動車である場合は、同じく管轄の軽自動車検査協会になります。
注意点は、いずれも平日の日中しか営業していないことです。また、車検証を紛失している状態で車を運転してはいけないので、いずれの施設に赴く場合も電車やバス、タクシーなどの公共交通機関を利用することになるでしょう。
車検証の再発行手続きで必要になるものはあまり多くありません。以下の持ち物を必ず持参しましょう。
- 印鑑
- 運転免許証などの本人確認書類
- 再発行手数料
あとは施設の窓口で「申請書」や「手数料納付書」、場合によっては「理由書」などをもらって必要事項を記入します。
この時、車検証の再発行の理由が「汚損・破損」である場合は、「使えなくなった車検証」も持参しないと、再発行理由が「紛失」になるので要注意です。
また、本人以外の人が手続きをする場合は「委任状」も必要です。
車検証の再発行手続きを行うと、よほどの問題がなければその日のうちに新しい車検証を受け取れます。手続きにかかる時間も1時間ほどです。
ただし、手続きを行う陸運(支)局や軽自動車検査協会が特に混雑する時期が、年度末の3月です。3月は就職や引っ越しなどが重なる時期なので、車の購入や内容の変更、車検も多くなっています。このタイミングで手続きをする場合は注意が必要です。
車検証を再発行する理由によっては、それ以外にも様々な手続きが必要になるので気を付けましょう。
例えば、車ごと車検証を盗まれて紛失した場合は、車検証の再発行以外に、車の抹消登録の手続きをすべきです。
一時抹消登録なら、一時的に車の登録を外すことになるので自動車税についても免除を受けられます。また、盗難にあわせて廃車にするなら、永久抹消登録するという選択肢もあります。
盗難の場合は警察に届け出を出す必要がありますが、氏名の変更による車検証の再発行をする場合も、警察署に行かなければなりません。それは運転免許証の書き換えが必要になるからです。
さらに、改造による構造等変更の検査を受けた場合は、任意保険の内容が変わる可能性があるので保険会社で手続きをしましょう。これを怠ると、万が一事故などに遭遇した場合に保険金の支払いなどで揉める恐れがあります。
車検証の再発行手続きは、業者などに代行してもらうことが可能です。
陸運(支)局や軽自動車検査協会は、営業時間が限定されているので、行政書士、代理店、ディーラー、カー用品店、整備工場などで代行できるところに依頼してみましょう。
ただし、代行してもらう場合は本人の「委任状」が必要です。
少しややこしいのが、車検証上の所有者と使用者が異なる場合です。所有者の住所変更を使用者が代行する場合は、所有者の委任状を用意することになります。
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車検証を紛失すると何が困る?
たった一枚の書類ではありますが、車検証を紛失することによるデメリットとリスクは多大なものがあります。
以下では、車検証がないことで処罰されるケースや、様々な手続きが受けられなくなるケースについて説明します。
車検証を携帯していない状態で、車を公道で運転してはいけません。不携帯の理由にかかわらず、道路運送車両法第66条第1項に違反したとして500,000円以下の罰金を払うことになります。
車検証を携帯していないことがバレるのは交通違反などで摘発された時が多いです。
また、自賠責保険証がないとさらに罰金がプラスされます。
車検証がないと車を公道で運転できなくなるほか、車検を受けられなくなります。それは、車検を受けるときに車検証と自賠責保険証明書と自動車税納税証明書の提出が必要だからです。
特に車検証と自賠責保険証明書はワンセットで保管されていることが多いので、紛失の場合は両者ともにない場合がほとんどでしょう。
車検では最初に「同一性の確認」といって、車検証と車の内容を照合します。車検証がないとその作業ができないため、車検が受けられないことになります。
また、自分の車がリコールの対象であることが判明しても、やはり車検証がなければ手続きはできません。自動車保険の手続きもできないため、とにかく車検証がないと車に関するあらゆる手続きが滞ると言えます。
もし車検証を紛失したのを機に車を手放すとしても、売却や廃車の手続きには車検証が必要です。
車検証に載っている情報について
車検証には、その車に関する膨大な情報が記載されています。車台番号の他に「ナンバープレートの番号である自動車登録番号または車両番号」「車の型式」などです。プロならこれらの番号の組み合わせだけで、どんな車なのかを見抜くこともできます。
また、車をカスタマイズする上で重要なのが「乗車定員」「車両重量」「車両総重量」「長さ・幅・高さ」「原動機(エンジンやモーター)の型式」「総排気量」などです。これらから逸脱する形で改造すると車検に通らず、構造等変更の申請をしなければなりません。
車が製造あるいは登録されてからどのくらい経ったのか、検査や点検の状況はどうなっているのか、を確認するなら「登録年月日/交付年月日」「初年度登録年月日」「使用の本拠の位置」「備考」などを見ましょう。次の車検時期や、自動車重量税が上がるタイミングなどをチェックできます。
ここで紹介したものも、車検証に載っている情報のほんの一部です。車検証にはその車の情報がたくさん載っています。
車検証を紛失・汚損・破損しないためにできること
車検証を紛失・破損・汚損などした場合の再発行手続きについて説明してきましたが、そもそも車検証は紛失しないに越したことはありません。事故や盗難の可能性を考えると紛失や破損の可能性を完全になくすことはできませんが、最小限にすることはできます。
まず、車検証は汚れや水気からガードできるケースに保管しましょう。常に車のダッシュボードに入れておくなど保管場所を決めておき、あとは車が盗まれないように防犯上の注意も怠らないようにしてください。
すぐ廃車にするなら車検証の再発行は不要なことも
車検証の紛失や盗難を機に、いっそ車を手放して廃車にしようと考える方もいるかもしれません。
原則的には廃車手続きでも車検証が必須ですが、廃車専門の業者に依頼する場合は再発行手続きが不要になることがあります。
ただし、その場合はそのまま車を一切走行しないなどの条件があるので気を付けましょう。また、全ての業者が車検証不要で廃車手続きをしてくれるとは限らないので事前に各業者へ問い合わせて確認しておくと安心です。