車検は費用がかかるので、次の車検の時期が来る前に車を買い替えようと考える方は多いです。しかし、ここでトラブルになりがちなのが「納車遅れ」です。
購入した車の納車が長期間かかってしまい、今まで乗っていた車の車検が有効期間を迎えてしまうことが少なくありません。
なぜ納車遅れが起きるのか、そして車検切れを迎えてしまった場合どう対応すればいいのでしょう?
この記事では、納車遅れの原因や対策などについて詳しく解説していきます。
納車遅れで「車検切れ」になることがある
新車・中古車に限らず、購入した車の納期が遅れてしまうことは珍しいことではなく、今乗っている車の車検の有効期間を見計らって車を購入した場合はトラブルに発展することがあります。
こうしたトラブルが起きる理由やその背景、そして実際に車検切れになってしまったらどのような不利益やリスクが生じるのかを説明します。
車検と納車の関係
車検前のタイミングで車を買い替える場合、納期がいつになるのか分からないのは死活問題です。車の納期によっては、現在乗っている車が車検切れになってしまいます。
以下では、このような「車検」と「納期遅れ」の密接な関係について説明します。
車の買い替えに適したタイミングはいくつかありますが、中でも「車検前」で買い替えを検討するユーザーは多いです。
なぜなら、車検で数万円から十数万円という費用をかけるなら、いっそ車を売却し、それで得たお金と車検費用分を合わせて新しい車に使ったほうがいいからです。
そのため、車の納期遅れが車検切れのトラブルにつながるケースも少なくありません。
ユーザー側としては車検前に車を買い替えたいのに、場合によっては意図したのとは正反対に車検費用と新車の購入代の双方がかかってしまうことになります。
「納期遅れ」と言っても、そもそも新車・中古車に限らず、車の具体的な納車日時はその直前になるまで決まらないものです。
売買契約を結んでから車を用意するまでの間に、何らかの理由で用意が遅れてしまうことは珍しくありません。そのため、販売店側も具体的な納車日時については決めることができないのです。
購入する側もある程度そうした事情を心得ておかないと、納車されると思っていた日に納車されないため、イライラを募らせてしまうことになります。
車検前のタイミングを狙って車の乗り換えを予定している場合、あまりに納車が遅れると、現在所有している車の車検有効期間が満了日を迎えてしまいます。すると「車検切れ」となってしまい、様々な不利益やリスクが発生することになります。
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なぜ納車が遅れるのか
車の「納車遅れ」は新車・中古車に限らず起こりうることですが、その理由はそれぞれ違います。
新車は完全受注生産なので何らかの理由で製造が遅れることで納車が遅れます。中古車の場合は点検に時間がかかることが原因です。
以下では、新車・中古車それぞれの納車が遅れる理由について詳しく説明します。
新車の場合、納期遅れが発生する最も大きな理由は、完全受注生産だからです。
新車は売買契約を結んでから車の製造が始まるので、何らかの理由で製造過程に遅れが生じるとどうしても納期が遅れます。
では、なぜ製造や生産の過程で遅れが生じるのかというと、その理由は様々です。例えば、当該車両について検査不備などが発覚してリコールが生じたりすると、その車種全般について生産にストップがかかるでしょう。
また最近では、新型感染症の流行により工場でもリモートやソーシャルディスタンスを保った形での作業が行われるようになりました。生産現場がフル稼働していないことから、生産が大幅に遅れるケースも少なくありません。
また、公的機関からの注文があるとそれを優先するケースもあります。受注した車種が人気車種のため生産が追い付かない場合や、反対に、注文が少ない車種であるため整備できる技術者が少ない場合なども、納期遅れが生じやすいです。
中古車の納車遅れが生じる理由としては、まず納車前の整備で時間がかかる場合です。
中古車は部品の消耗劣化が進んでいることも多いです。必要なパーツの取り寄せに時間がかかると、それに伴いどうしても整備に時間がかかります。
また、購入者側のローンの審査に時間がかかっていたり、書類に不備があったりした場合なども納車は遅れます。
もしもこうした心当たりがないのに納車まで長い時間がかかっている場合は問い合わせてみましょう。
中古車の場合、気を付けるべきなのは詐欺の可能性です。納車がひどく遅れている上に業者からも連絡がないという場合は要注意です。中には年単位で納車が遅れたあげく、水没車をつかまされたという事件もあります。
特にこうした詐欺の温床になっているのが中古車のネット販売です。もちろん全てが詐欺ではありませんが、やはり実車を見て売買するのが安全と言えるでしょう。
詐欺の可能性がある場合は、専門機関に相談してください。
納期遅れによる不利益
車の購入者は納期遅れが起きた場合、現在乗っている車の車検切れ以外にも不利益をこうむることがあります。例えば、車がないにも関わらず自動車税を課されたりといったことです。
以下ではそうした不利益の内容を説明していきます。
納車遅れで最も恐れなければいけないのが「車検切れ」です。
車検を受けるタイミングで車の乗り変えを検討していた場合、納期遅れが原因で車検切れになってしまうと、乗れる車が手元になくなってしまいます。
車検切れになると、その車では公道を走れない、改めて車検を受けるにはコストをかけて車を移動させなければならない、さらに費用もかかってしまう…と、メリットはありません。これらの不利益について詳細な内容は後述します。
車を購入するタイミングによっては、「まだ納車されていないのに自動車税の請求書が来た」というトラブルに発展することがあります。これは、販売店側によって登録された月と実際の納車月がずれることで起きます。
注意すべきなのは3月の決算期とその直前の時期です。販売店側は、決算期に向けて販売台数を増やすため、できるだけ多くの台数を売って登録作業を進めていきます。しかし、繁忙期のため手が回らず登録から納車までの間に時間がかかることがあります。
自動車税は、4月1日時点の車の持ち主に対して課されるものなので、その時の名義人に納付書が届くことになります。しかし、4月1日時点で「登録」はされていても、納付書が届くまでの間に納車されていなければ、車が届いていないのに税金の納付書だけが届いた、という事態になるでしょう。
4月は就職や引っ越しシーズンなので、車の販売店は3月まで繁忙期となります。手続きや納期の遅れが発生しうることは念頭に置いておきましょう。
車を購入する場合、様々な手続きが必要です。しかし納期遅れが生じると、そうした手続きのスケジュールが狂ってしまいます。
例えば、自宅に駐車スペースがなければ、月極駐車場などを探して借りなければなりません。予め納車のタイミングを見込んで場所を借りても、納期が遅れてしまうと、車がないのに駐車料金ばかりがかかるという結果になります。
駐車場については、ただ場所を借りるだけではなく、車庫証明の登録手続きも付随してくるので要注意です。駐車スペースの確保については、登録日と納車日の双方をはっきりさせてから手続きを進めるのがベストと言えるでしょう。
また、納期遅れが生じると、自動車の任意保険の手続きも遅れることになります。購入に合わせてディーラーで手続きする場合は問題ありませんが、保険会社と前もって納車予定日などを打ち合わせている場合は、こうしたスケジュールも狂っていきます。
車検切れによる不利益
ここまでで、車の納期遅れによって生じうる不利益をいくつか紹介しました。ここからは、特に車検切れになってしまった場合に発生する「公道を走れない」「移動手段がなくなる」「費用がかかる」という3つのデメリットについて説明します。
車検切れによる不利益で最も大きいのが、「公道を走れない」ということです。
車検切れ自体は特に違法ではありませんが、その車で公道を走り、それが発覚すれば法律違反として処罰されます。具体的なペナルティの内容は、違反点数6点、30日間の免許停止、6カ月以下の懲役または300,000円以下の罰金です。
また車検が切れると、同時に自賠責保険が切れていることも多く、この「無保険」状態での公道の走行も違反なので、罪はさらに重くなります。
このような「無車検」と「無保険」状態で公道を走行すると、違反点数12点、90日間の免許停止、1年6カ月以下の懲役または800,000円以下の罰金となります。
これを避けるためにも、やはり車検は有効期間内に受けるのがベストです。
なお、車検切れの車を改めて車検に出す際も、公道を運転するのは厳禁です。レッカーなど何らかの方法で車両を運搬するか、役所で「仮ナンバー」を申請して一時的に運転可能にするしか方法はありません。
納期遅れによって今すぐに運転できる車がない場合は、必要に応じて移動手段を検討しなければなりません。
以下では、「手元に車が全くない場合」「買い替え予定の車がまだある場合」「車はあるものの車検切れで公道を走れない場合」の3パターンについて説明します。
手元に車が全くなければ、公共交通機関を利用しましょう。納車時も、販売店で自宅まで車を持ってくるとは限りません。また、納車費用を少しでも抑えるためにこちらから受け取りに行くというやり方もあります。その際も電車やバス、タクシーでの移動となります。
買い替え予定の車がまだ手元にあるならその車を利用しましょう。
しかし、車があっても車検が切れている場合は問題です。移動に際しては上記のように公共交通機関を利用するか、あるいはその車を車検に出して、納車までの間だけでも乗れるようにするという選択肢になるでしょう。
車検では、数万円から十数万円の費用がかかるものです。多額の出費を避けるために車検のタイミングに合わせて車の買い替えを検討していても、納期遅れによって車検切れになってしまうこともあります。
そんな時は仕方がないので車検を受けるのもひとつの選択肢ですが、もともとの意図を考えると本末転倒です。
また前項で述べた通り、車検切れの車を移動するにはさらに費用や手間がかかるので、余計な出費ばかりになるでしょう。
車検付きメンテナンスパックは必要なのか?費用対効果を徹底解説!
納期遅れで車検が切れそう!どうする?
では本当に車検のタイミングを見計らって車を購入し、納期遅れによって車検切れになりそうな場合、どうすればいいのでしょう。
以下では、こうした場合にディーラーとどのように相談・交渉するといいのかを説明します。
納期遅れが発生しても、それだけを理由に契約キャンセルすることはできません。車の売買契約のキャンセルは、どちらか一方の契約違反とそれが是正されない状態、もしくは契約者双方の合意が必要です。
納期遅れは契約違反にはあたりません。また、もし契約キャンセルが認められたとしても、場合によっては手付金が没収されてしまったり、キャンセル料・違約金などの支払いが必要になったりすることがあります。
契約キャンセルの交渉は慎重に行いましょう。
納車遅れについて販売店側にクレームを入れて、車検切れになってしまった場合などはその解消や埋め合わせを求めたくなる方もいるかもしれません。
具体的には、納車前に支払うことになった自動車税の返金や、納車されるまでの代車の手配などを求めることになります。また、買い替える予定だった車の車検代や車の運搬費用を請求することも考えられるでしょう。
ただし、こうした要求に対する販売店側の対応は一律ではないので、交渉次第となることも多いです。
例えば、買い替える予定の車の車検有効期間がいつまでなのかなど、こちらの状況や今後の予定などをきちんと説明して、まずは販売店側の理解を求めるようにしましょう。
また、クレームが高じて犯罪行為にならないよう注意してください。要求がエスカレートして業務妨害、名誉棄損、強要・恐喝・脅迫と見なされる言動に至れば、警察沙汰へと発展することも考えられます。
納期遅れのトラブルを防いで車を購入する方法
ここまでで、車の納期遅れによって生じるトラブルについて説明してきました。
最後に改めて、納期遅れが発生する可能性を踏まえた上で、車を購入する場合はどんなことに注意すべきなのかをまとめます。
ここまでの内容からも分かる通り、購入した車の納車日は基本的に分からないものです。大まかな見当をつけることはできても、販売店側が想定していなかったような不測の事態が起こることもあり、納期が延びるのは珍しくありません。
購入する側が取れる対策としては、車を買う場合は時間に余裕を持たせることに尽きます。
例えば、「今乗っている車の車検時期が間近だから!」「春から車を新しくしたいから!」などの突発的な理由や思い付きで車を購入するのは控えましょう。
詐欺でもない限り、販売店側もできるだけ早く納車しようと考えているものです。また、納期が遅れているからと言ってクレームを入れても、それで納期が早まるとは限りません。
とにかく購入の時点で、納期遅れの可能性をスケジュールに折り込んでおくことをおすすめします。
車を購入すると様々な手続きが必要です。時間に余裕があれば、そうした手続きを行うためのスケジュールも立てやすいでしょう。
新車・中古車に限らず、具体的な納車日は直前になるまで分かりません。それでも「できるだけ早く購入したい」あるいは「納期を可能な限りはっきりさせたい」という場合は、中古車の展示品など現物があるものを選ぶといいでしょう。
現物があれば、車を実際に運転してチェックできます。また、それを踏まえて納車前に必要な整備点検の内容をスタッフと打ち合わせることが可能です。そのため、納車時期も見当をつけやすくなるでしょう。
もちろんこれも絶対ではなく、中古車なので納車前点検の段階で何らかの不具合が見つかり、さらなる修理が必要になることも考えられます。
納期遅れ防止のために中古車の現物を選ぶというのは、リスクを減らす手段であり、ゼロにする手段ではないと考えてください。それに、納車前の整備点検に時間がかかるのは、それだけ丁寧に作業を行っているからだとも言えます。
車の購入に際しては、やはりスケジュールに余裕を持たせておくのが一番です。
納車が遅れている場合、こちらからもこまめに担当者に連絡し、状況を確認するようにしましょう。
担当者の一存で納期を早めることはできません。しかし、まめに連絡してこちらの現状を覚えていてもらうことで、車検切れなどのトラブルに至った場合も何らかの対応を考えてくれる可能性があります。
納期遅れがトラブルに発展するかどうかは、営業の対応次第という部分もあります。状況によっては納車遅れによって生じた不利益や損失をどう処理するかについて、販売店側に相談してみましょう。