車検証には車の持ち主の住所が記載されており、引っ越しなどで住所が変わったら変更の手続きを行う必要があります。
しかし、この手続きは事前に書類を用意し、陸運(支)局か軽自動車検査協会の窓口が開いている時間に行わなければなりません。
また、ひと口に「住所変更」といっても、ナンバーも変更する場合や車検を同時に行いたい場合もあります。さらに、免許証の書き換えなども必要になってくるでしょう。
この記事では、車検証の住所変更について詳しく説明していきます。
車検証の住所変更はどこで行うの?
引っ越しで住所が変わった場合は、転居してから「15日以内」に車検証の住所変更をしなければならないと法律で決まっています。
それでは、実際にその手続きはどこで、どのように行うのでしょう?
車検証関係の手続きは「陸運(支)局」「軽自動車検査協会」で行う
車検証に関わる手続きのほとんどは、普通自動車の場合「陸運(支)局」、軽自動車の場合「軽自動車検査協会」で行います。
普通自動車と小型自動車の場合は、一部の都道府県ではオンラインでも手続きが可能です。
陸運(支)局・軽自動車検査協会ともに、支局や支所は全国のどこでもいいわけではありません。車を主に使う地区(多くの場合は居住地)を管轄するところで手続きをしなければならないので、場所を間違えないように気を付けましょう。
普通自動車の場合、車検証の住所変更は陸運局、あるいはその支局である陸運支局で行います。
陸運(支)局は国土交通省に属している行政機関です。
陸運局の正式名称は「地方運輸局」といいます。北海道から九州まで各地域に設置されていてます。その中でも細かく管轄ごとに分かれて存在するのが「支局」です。
どの施設でも、車検や自動車のナンバー登録、鉄道・船舶に関係する手続きや施設管理などを行っています。
ここで行われる手続きで、私たちにとって身近なものとしては、「車の新規登録による自動車ナンバーの付与」「車の所有者の住所・氏名の変更登録」「売買や譲渡による名義変更」などがあります。
また、盗難などの理由で車検証を紛失した場合も、ここで手続きをすることになるでしょう。
手続きの多くは業者が代行してくれるので、馴染みがない施設かもしれません。しかし、車に関するほとんどの手続きはここで行われています。
軽自動車の車検証の住所変更をする場合は、軽自動車検査協会での手続きになるので注意しましょう。
軽自動車の手続き全般は、ここで行います。用意する書類や処理の流れなどは陸運(支)局とほとんど変わりません。
車検、名義変更、引っ越しなどにより手続きが必要になった場合は、軽自動車検査協会に問い合わせましょう。
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住所変更手続きをしないとどうなるの?
具体的な住所変更手続きの方法を説明する前に、そもそもなぜ住所変更が必要なのかという疑問にお答えします。
そのためにまず「住所変更手続きをしないとどうなるのか」について説明しますので、理解を深めていきましょう。
転居したら車検証の住所変更手続きが必要です。法律によって、転居後15日以内に手続きすることと規定されており、これに違反すると罰金を払わなければなりません。
しかし、住所変更をしなくても車検は受けられます。その上、住所変更しているか否を公的機関がチェックすることもありません。
住所変更していないことが判明して罰金を支払うケースがあるとすれば、事故などに遭遇して車検証を警察に見せることになった場合くらいでしょう。
車検証の住所変更をしないことによるデメリットのひとつとして、自動車税の納税通知書が、前の住所に届いてしまうことが挙げられます。
自動車税や軽自動車税の納付書の送付先は、車検証記載の住所が基準となっています。
前の住所から転送されればいいのですが、そうでない場合は税金が未納となり、悪ければ滞納として延滞金がつく恐れもあります。
納税通知書は4月1日時点の車検証の内容に基づいて発送されるので、引っ越しの際は注意しましょう。
リコールとは、販売済みの車に欠陥の可能性があることが判明した場合に、対象車の修復を一斉に行うものです。
車検証の住所変更をしていないと、前項の納税通知書と同じように、リコール時の連絡も前の住所に送られる可能性があります。そうなると、車の持ち主が自分の車にリコールが必要であることに気付かないまま運転し続ける恐れがあります。
最寄りのディーラーから電話連絡が来ることもありますが、必ず来るとは限らないので、やはり住所変更をしておくに越したことはないでしょう。
車検証の住所変更をしておかないと、事故に遭遇した際の手続きが煩雑になる恐れがあります。
車の保険には、強制的に加入させられる自賠責保険と保険会社で個人が手続きを行う任意保険がありますが、いずれも保険金の支払時には車検証の内容を確認します。
車検証は、いわば車とその持ち主の「本人確認書類」です。そのため、車検であれ保険の手続きであれ、あらゆる場面でそこに記載されている情報が車の現物やその持ち主と一致しているかどうかがチェックされます。
実際のところ、車検証の他の内容に矛盾がなければ、住所が不一致というだけで保険金が支払われないということはまずありません。しかし、手続きがスムーズに進まない可能性はあるでしょう。
事故に遭遇すると、保険会社とのやり取り以外にも、警察の対応や当事者同士のやり取り、修理の手続きなどで大変な手間がかかります。少しでもスムーズに進められるよう、住所変更は前もって済ませるのがベストです。
車検証の住所変更では少し特殊なケースもある
車検証の住所変更といっても少し特殊なケースがあります。
ここからは、「住所変更と同時にナンバープレートの変更も必要な場合」「車検と同時に住所変更したい場合」「Bタイプ車検証だった場合」についてそれぞれ説明していきます。
車検証の住所変更を行う場合、ナンバープレートも変更しなければならないことがあります。それは、住所が変わることで陸運(支)局の管轄も変わってしまうときです。
引っ越し後、ナンバー変更をどのタイミングで行うという決まりはありません。しかし、前述の通り車検証の住所変更は引っ越し後15日以内にするのがルールなので、ナンバー変更もこれに準ずると言えるでしょう。
車のナンバーを変更する場合は、車検証の書面上の番号だけではなく、ナンバープレートの交換も陸運(支)局などで行わなければなりません。そのため、手続きの際は書類だけではなく実車を持ち込むことになり、通常の住所変更よりも時間がかかります。
これに加えて、陸運(支)局は平日しか窓口が開いていないという不便さもあります。車の扱いや手続きに慣れていない方は、住所・ナンバーの変更手続きの全てを代行業者に任せてもいいでしょう。
引っ越し後、車検の時期が近いのであれば、住所変更手続きを同時に済ませるのもひとつの手です。
車検を依頼する業者に、住所変更手続きの代行は可能かどうか確認し、大丈夫なら必要書類を預けます。
車検と儒諸変更は同時に済ませたほうが面倒がありません。ただし、引っ越しから15日以内に済ませられない場合は、警察に車検証をチェックされると法律違反と見なされる恐れがあるので、注意しましょう。
車検証の書面上にある、所有者と使用者が異なる「Bタイプ車検証」と呼ばれるものがあります。
住所変更を含め、このタイプの車検証の内容を変更する場合は、備考欄に記載されている所有者に連絡を取る必要があります。
ローンやリースを組んでいることから、車の所有者(名義人)がローン会社やリース会社になっているのがBタイプ車検証の特徴です。車の使用者は、あくまでもその車を「借りている」ことになるため、車検証を変更する場合は所有者の許可が必要です。
またBタイプ車検証は、所有者であるローン会社やリース会社が合併や住所変更、社名変更などを行っていると、記載されている内容と現在の状況が異なっていることもあります。いずれにせよ、そうした点を確認した上で手続きを進めることになるでしょう。
なお、Bタイプ車検証の「所有者」には、登録識別情報と呼ばれるものが通知されています。もしもこのタイプの車検証の名義そのものを変更する場合は、この登録識別情報が必要になります。
住所変更時の必要書類
車検証の住所変更手続きで必要な書類はいくつかあります。
事前準備が必要な書類は、警察署から発行してもらう車庫証明、役所で交付してもらう住民票です。そして、車検証、手数料納付書、自動車税(環境性能割・種別割)申告書も必要です。
この「手数料納付書」と「自動車税(環境性能割・種別割)申告書」の2つは、陸運(支)局の窓口で入手できます。
また、当人以外の人が手続きを代行するのであれば、委任状も用意しましょう。
必要な書類は、車検証、住民票か印鑑証明(コピーでも可)、自動車検査証記入申請書、軽自動車税(種別割)申告書です。
この「自動車検査証記入申請書」と「軽自動車税(種別割)申告書」の2つは、協会の窓口で入手できます。また、申請書はWebサイトからダウンロードも可能なので利用してもいいでしょう。
陸運(支)局や軽自動車検査協会で手続きする時は手数料もかかるので、支払いができるよう現金も忘れないようにしましょう。
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住所変更にかかる費用
車検証の住所変更の手続きでは、どのくらいの費用がかかるのでしょう?
まず印紙を購入する形で陸運(支)局に支払う手数料は、350円と全国一律なのでさほどかかりません。
費用がかかるのは、陸運(支)局での手数料よりも、手続きに必要な書類を準備する際です。車庫証明を警察署から発行してもらう際は2,500~3,000円がかかりますし、住民票、印鑑証明書の発行も一部につき200~400円ほど必要です。
そのため、普通自動車の車検証の住所変更を陸運(支)局で行う際は、3,000円前後がかかると考えましょう。
なお軽自動車の場合は手数料無料で、車庫証明も不要です。
これにプラスして、ナンバープレートを交換する場合はさらに費用がかかります。通常の変更なら1,500円前後といったところですが、希望ナンバーを選択するなら約3,900~5,600円、図柄ナンバーを選択するなら約7,000~9,200円が必要です。
住所変更の手続きの流れ
車検証の住所変更手続きの流れは、いたってシンプルです。
- まず手続きを行う施設の窓口に出向き、申請書を受け取って必要事項に記入します。
- 次に印紙販売窓口で、手数料分の印紙を購入して手数料納付書に貼付してください。
- 後は、この申請書や納付書を含めた必要書類をまとめて窓口に提出し、新しい車検証が交付されるまで待つことになります。
管轄の陸運(支)局が変わったことでナンバープレートも変更する場合は、車検証が交付された後で変更手続きを行います。古いナンバープレートを窓口に返納し、続けて新しいプレートを受け取りましょう。
なお、普通自動車と小型自動車の場合は、「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」というオンラインサービスで手続きを済ませることも可能です。
軽自動車にも、継続検査に関してオンラインで手続きできるサービスがありますが、住所変更については未対応となっています。
車検証に関するその他の手続きについて
車検証に関する手続きは住所変更だけではなく、氏名変更や紛失・盗難、汚損・破損時の再発行などもあります。
以下で詳しく説明しますが、こうした手続きも全て陸運(支)局や軽自動車検査協会で行うことになります。
結婚して名字が変わるなどした場合、車検証の氏名変更手続きが必要です。
この場合、戸籍謄本、車検証、手数料納付書、申請書、納税申告書を用意しなければなりません、書類が揃ったら、陸運(支)局あるいは軽自動車検査協会に持参しましょう。
なお、車の所有者と使用者が異なるような場合は、いずれかの氏名が変わるごとに変更手続きが必要になります。
もしも、実際に氏名が変わる本人以外の人が窓口に行く場合は、委任状も準備しておいてください。
車検証を紛失したり車ごと盗まれてしまった場合は、速やかに再発行しましょう。
紛失した場合は、車検証を携帯せずに車で公道を走ると違反になるので、電車やバスなど公共交通機関などを利用して手続きに赴くことになります。
また、盗難に遭ってしまった場合は、まず警察に届け出て「受理番号」を発行してもらってください。その後、陸運(支)局などに出向いて、警察へ届け出た月日など詳細な内容を書類に記入してから再発行することになります。
事故などで車検証が破れてしまったり、車が大雨や洪水に遭遇して水没したりして、汚れてしまうことがあります。軽微な破損や汚れなら問題ありませんが、文字が識別不能になってしまったら速やかに再発行しましょう。
陸運(支)局もしくは軽自動車検査協会で手続きをする際は、判別不能となった車検証も持参してください。車検証の現物がないと、再発行の理由が汚損・破損ではなく「紛失」ということになるので、理由書などの記入が必要になります。
住所変更した時に必要なその他の手続きについて
車検証の住所変更手続きについて、その必要性や手続き方法を説明してきました。しかし、実際に転居した際に手続きがいるのは車検証だけではありません。
以下では「免許証」「車庫証明」「保険」などの変更処理について詳しく説明します。
住所が変わったら、運転免許証の住所も忘れずに変更しましょう。
運転免許証には身分証明書としての役割もあるので、正確な内容にしておくことが必要です。また、手続きを怠ると道路交通法に基づいて処罰され、20,000円以下の罰金が科せられることになります。
免許証の住所変更手続きは、警察署、運転免許試験場、運転免許センターなどで行えます。
新住所が記載された住民票やマイナンバーカードが必要なので、忘れずに準備してください。
住所が変わったら車庫証明の住所変更手続きも必要なので、免許証の変更とあわせて警察署でまとめて済ませるといいでしょう。
警察署で交付された車庫証明書を陸運(支)局での手続きで使うので、効率よく行ってください。
車検証の住所が変更されていなくても、自賠責保険や任意保険の手続きで特に大きな問題はなく、保険金も支払われます。ただし、保険会社では折に触れて保険証券の内容を確認するので、変更手続きはきちんと済ませておくのが無難です。
自賠責保険も任意保険も、住所変更はそれぞれの保険会社の窓口に出向いて行います。
任意保険は基本的に自動継続ですが、自分で手続きをして自賠責保険に加入している場合は、住所変更しないと更新の連絡が現住所に届かなくなるので要注意です。