自分の愛車はこまめに点検して、故障しないように整備することは所有者の義務と言えます。車の点検の中でも、とくに車検は有名でしょう。その他にも自家用車の場合、1年点検をすることも義務付けられています。
今回は車の1年点検とはどのようなものかについて見ていきます。1年点検をお願いできる場所はいくつかあります。それぞれに異なる特徴があるので、どこにお願いすべきかの参考にしてください。
さらに、日常点検するのも安全に車を運転するために必要です。日常点検はどのように行えば良いかについても紹介します。
車の1年点検と車検の違いとは?
車の1年点検とは、定期点検整備の一つです。「12か月点検」と呼ばれることもあります。文字通り1年ごとに点検を実施しなければなりません。
新車購入時には購入後1年後と2年後に点検を実施します。新車の場合、初回は3年後に車検を受けることになります。新車を購入した場合、3年目に車検と法定点検を受ける形です。
車検と1年点検の違いは、その目的です。車検とは国の定める保安基準を自分の愛車が適合しているかチェックするのが目的になります。一方、1年点検は次の点検まで、車が安全に走行できるように点検するのが目的です。もし問題があれば、必要に応じて整備も実施します。
車の1年点検について
車には法律で義務付けられている点検があり、法定点検と言います。乗用車の場合、法定点検には「1年点検」と「2年点検」の2種類があります。
1年点検は、1年ごとに行われる法定点検で、タイミング的には2年点検の中間で実施される点検です。1年点検を行うことで、車の状態を安全に保てます。
トラブルなく安心して運転するためには、1年点検を受けたほうが良いでしょう。
1年点検は法定点検であり、普通車や軽自動車など自家用車の使用者には受けることが義務付けられています。
1年点検は道路運送車両法の第48条に定められています。自動車の使用者は国土交通省令により定める基準で自動車を点検しなければならないと明記されています。
1年点検は車の使用者にとって義務なので、原則受けなければなりません。しかし、毎年点検に出していない車のオーナーもいるでしょう。
では1年点検を行わないと罰則があるのかと言えば、実際のところはありません。ペナルティがないので、うっかり1年点検を忘れても大きな問題にはならないわけです。
ただし、車の故障リスクや事故予防の観点からすると、1年点検はしっかり受けるのがおすすめです。
1年点検を行うタイミングは、新車購入した場合、購入してから1年以内です。次の点検は前回の点検日から12か月以内に実施することになります。
しかし、前回の点検からちょうど1年後に毎回点検に車を出せない人もいるでしょう。1年点検は、点検してから1年後の前後1か月間に実施すれば良いでしょう。
別項で詳しく見ていきますが、お店に点検依頼すると点検整備記録簿に点検整備の内容が記載されます。また「ダイヤルステッカー」と呼ばれる点検整備済みステッカーがもらえるので、所定の位置に貼り付けておきましょう。
点検整備記録簿を見れば、次回の点検日も確認できるので、うっかり忘れる心配もありません。
1年点検を受けていれば、点検整備記録簿にも記録されるので今後車を売りに出す際も査定士に良い印象を与えられます。
1年点検をお店にお願いする場合、いくつか必要なものがあるので忘れずに持参してください。必要なものは「自動車検査証」と「1年点検の費用」です。
自動車検査証は「車検証」とも呼ばれるもので、運転する際には携帯が義務付けられています。通常は車のダッシュボードに保管されている場合が多いので、どこにあるか分からない場合には確認してみてください。
過去の点検整備記録簿と点検整備済みステッカーもあれば持っていくと良いでしょう。なくしてしまったのであれば、持参しなくても点検はお願いできるはずです。
ただ、点検整備記録簿は紛失しないように保管しておくのがおすすめです。これまでどのような点検や整備を施してきたか分かるので、査定の際にプラスに評価されます。
1年点検を受けるためには、まずお店に連絡を入れ予約しましょう。どのようなところで1年点検を実施しているかは、別項で詳しく見ていきます。
点検日当日になったら、お店に愛車を持ち込みましょう。後は専門の整備士が車の状況をチェックし、問題があれば必要な整備を実施します。
整備が必要な場合は、その箇所の説明を受けます。また、追加費用を請求されるかもしれないのでその点に関する説明もあるでしょう。
1年点検の気になる費用は、普通自動車で8,000~20,000円くらいです。軽自動車の場合は7,000~8,000円が目安になります。
1年点検は即日完了する場合が多いです。とくに問題がなければ、数時間で完了します。
1年点検には罰則規定がないので、行わなくてもとくに問題はありません。しかし、安全に快適なドライブを続けるためには、1年点検を行うのがおすすめです。
車のパーツの中には時間の経過とともに劣化したり、摩耗したりする部品もあります。1年おきに点検をしておけば、部品の劣化にもいち早く気づけ、新しいものに交換できます。
例えば、エンジンの冷却水が漏れを起こした場合、点検を実施しないと早期発見ができないかもしれません。するとエンジンを十分に冷却できなくなり、最悪オーバーヒートで車の運転ができなくなる場合もあります。
エンジンが焼き付いて修理するとなると、かなりの出費を覚悟しなければなりません。車のトラブルが起きて、多額の修理費用を捻出しないためにも定期点検で異常の早期発見が必要です。
お店で1年点検をお願いした場合、点検と整備の内容について点検整備記録簿に記録してくれます。点検整備記録簿は、いわばカルテのようなものです。
点検整備記録簿があれば、過去にどこを点検し修理したのか、その内容が分かります。今後どの部分の整備や交換が必要なのか、シミュレーションもできるでしょう。
せっかく1年点検を行っていても、点検整備記録簿に記録していなければ、車の状態を把握できません。メンテナンスした恩恵も半減してしまうわけです。
点検整備記録簿があると、車を売却した時にプラスに働きます。車の状態について正確に把握できるからです。1年点検など、こまめに点検すれば、メンテナンスをしっかり行っているところもプラスに評価されます。
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車の1年点検を受ける場所について
車の1年点検はいろいろなお店で実施しているので、依頼する際にはどこにすべきか迷うかもしれません。
ここでは、1年点検を受け付けている主なお店について、いくつかピックアップしました。それぞれに異なる特徴があるので、何を重視するか、重視するポイントをどこなら満たしているかで絞り込むと良いでしょう。
新車を購入した場合、購入先のディーラーに依頼するのがおすすめです。
ディーラーがおすすめな理由は、そのメーカーの車を日頃、点検整備しているメカニックにお願いできるからです。車の状態に精通したメカニックが対応するので、高い技術力でしっかり整備してもらえます。1年点検後、車を安心して運転できるでしょう。
ディーラーで車を購入した場合、オプションとしてメンテナンスパックに加入している可能性があります。メンテナンスパックには1年点検の基本料金も込みになっているかもしれません。
メンテナンスパックに1年点検が含まれていれば、追加料金なしで依頼できます。金銭的な負担を感じることなく、点検をお願いできるのもメリットです。
ガソリンスタンドの中には、1年点検を受け付けているところもあります。いつも利用しているガソリンスタンドで1年点検をお願いできれば、給油のついでに手軽に点検や整備を依頼できるのは魅力です。
ガソリンスタンドの中には、1年点検と給油のセットプランを用意しているところも見られます。1年点検とセットにするとガソリン料金が値引きになるサービスで、ガソリン代の節約効果が見込めます。
ただし、すべてのガソリンスタンドにおいて実施しているサービスではないので、注意しましょう。お近くのガソリンスタンドで1年点検をお願いできるか、事前に問い合わせておくと安心です。
また点検の結果、部品交換が必要でもストックがないかもしれません。そうなるとパーツの取り寄せに時間がかかるため、その日のうちに愛車が戻ってこない可能性も出てきます。
カー用品店の中には、指定工場・認証工場と言って運輸支局から認可を受けた整備工場が併設されているところも少なくありません。このようなカー用品店が近くにあれば、1年点検も手軽にお願いできるでしょう。
カー用品店で1年点検するメリットは、パーツの交換が必要でもストックが数多く用意してある点です。どのようなパーツでも自前で調達できるので、整備もスピーディです。
自前でパーツを準備できるので、余計なコストがかかりません。一般的な傾向として、ディーラーよりも安い費用で点検をお願いできるでしょう。
ただし整備の品質は、カー用品店によってピンキリです。費用や整備にかかる時間もお店によってまちまちなので、事前に問い合わせて確認すると良いでしょう。
民間の整備工場で1年点検をお願いする方法もあります。ディーラーよりも安い費用で点検をお願いできるので、1年点検をお願いしたいけれども費用をあまりかけたくない人におすすめです。
民間の整備工場の中には、日頃さまざまな車種のメンテナンスを担当している業者もあるでしょう。そのような工場にお願いすれば、質の高い点検整備が期待できます。
ただし整備工場によっては、点検に時間がかかる場合もあるので注意してください。通常でも2日程度、混雑していると3日前後かかる場合もあるので、その間の車をどうするか検討しなければなりません。
また1年点検をお願いする際、運輸支局から「自動車分解整備事業」の認証を受けているか確認しましょう。認証を受けていないと、国の基準を満たしていないので、しっかりした点検が受けられないからです。
車の日常点検について
1年点検や2年点検など、法定点検を受けることで車の不具合や劣化を早期に発見でき、運転中のトラブル発生リスクを低減できます。しかし、法定点検以外にも、日常点検をしっかり行うことが重要です。
日常点検は、自分でも行える点検整備です。ここでは日常点検をどの程度の頻度で行うべきか、どこをチェックすれば良いのかについて紹介するので参考にしてください。
自家用車の日常点検の頻度は、少なくとも月に1回のペースで実施するのがおすすめです。
日常点検は専門知識を持たない私たちが実施するので、それほど詳しく行えません。よって日常点検を行うのにそれほど時間はかかりません。1回当たりにかかる時間は個人差が若干あっても、10~15分程度が目安です。
中には1か月に1回のペースで日常点検を行うのが厳しいという人もいるでしょう。その場合、何回かにわけてチェックする方法がおすすめです。
例えば、今週はエンジンルームの状態を確認して、次の週は足回りをチェックするといった感じです。こうすれば、1回当たりにかける時間も短縮できるので無理なく日常点検を続けられるでしょう。
日常点検で欠かせないのは、エンジンルームのチェックです。動力をつかさどる重要な部品で、エンジンに異常が発生すると最悪の場合、走行不能になるかもしれません。
エンジンは年間1万kmの標準的な使用であれば、月1回のペースで点検を実施するのがおすすめです。
エンジンルームの点検はしばらく運転していない間、エンジンが冷えている時に行ってください。
エンジンルームの点検方法は、まずエンジンオイルが十分あるか確認しましょう。またエンジンオイルが黒く変色しているのであれば、劣化している証拠なので早めの交換がおすすめです。
他にも冷却水やバッテリー液が適量確保できているかチェックしてください。ブレーキオイルの量や劣化状態を確認して、必要に応じて交換しましょう。
足回りの状態も、日常点検で確認しておきましょう。足回りに問題があると運転中に挙動が乱れたり、コーナリングを思うようにできなかったりと危険につながりかねません。
点検方法は、まずタイヤの状態を目視で確認します。タイヤの溝が十分確保できているか確認し、もしスリップサインが現れているようであれば早めの交換がおすすめです。
タイヤに亀裂などの損傷がないかもチェックポイントの一つです。他にも特定のところだけ摩耗しているなどのトラブルが起きていないかも確認してください。
タイヤを触って、空気圧が十分かも確認しましょう。より詳しくチェックしたければ、ガソリンスタンドでお願いすると空気圧の状態を専用の器具で確認してくれます。
日常点検では、運転席に座って各種チェックしておきましょう。何か違和感がないかなど今一度確認してみてください。
エンジンがかかりにくい、エンジンを動かした時に異音がする、アクセルやブレーキペダルを踏んだ時に違和感がないかもチェックポイントです。ブレーキが問題なく利くかどうかも確認しておきましょう。
ワイパーがきちんと機能してくれないと、雨が降った時に安全運転を確保できません。ワイパーが正常に動くか、ウィンドウォッシャー液が出ているかがチェックポイントです。
またエンジンをかけた時に警告灯が点灯していないかどうかも、確認してください。
日常点検を行った結果、何か問題が発生したら、速やかに購入したディーラーや近くの民間工場に相談しましょう。より詳しい点検を受けて、問題が発生しているなら適切に整備してもらいましょう。
整備工場やディーラーで修理をお願いした場合、修理費用はかかるかもしれませんが、安全に車を運転するためにも、早めに専門業者の点検をお願いすべきです。
車の修理をお願いする際、自動車保険で車両保険に加入していれば保険が使えると思う人もいるでしょう。しかし、日常点検で見つかった不具合の修理のために車両保険は使えません。
新車で何か不具合が見つかった場合は、期間によってメーカー保証で修理や整備をお願いできる場合もあるので、ディーラーで相談してみましょう。