安全性を高く保つには車の点検が必要であることは知っていても、具体的には何をいつメンテナンスすべきか分からないという方も多いでしょう。なるべく費用を抑えつつ、車の良い状態を保つには車の部品ごとの点検について知っておくことが重要です。

この記事では、点検で確認するべき主な部品や、交換の目安について詳しく紹介します。また、部品交換を怠った場合のリスク、予防整備のメリット・デメリットも解説しているので車の点検についてお悩みの方は要チェックです。

車の点検と部品交換で安全性を維持しよう

車の点検と部品交換で安全性を維持しよう
車は買ったら終わりではなく、安全な走行を維持するために定期的な点検と必要に応じて部品交換をすることが重要です。この記事では、車の定期的な点検と交換が必要な部品について、役割や交換時期の目安などを詳しく解説します。

また、自分では「まだ使えるのではないか」と感じているのに交換を勧められた予防交換のメリットとデメリットも紹介します。車の点検部品についてお悩みの方は、記事を最後まで読むことで、点検の必要性や部品交換の目安が理解できるでしょう。交換が簡単な部品は自分で行いたいと考えている方も、要チェックです。

車の点検で確認するべき主要な部品は何ですか?
車の点検では、主にエンジンオイルやタイヤ、バッテリー、ブレーキパッド、エアフィルター、冷却水、ライト、ワイパー、サスペンションなど車の安全性や性能に大きく関わる箇所を確認します。とくにエンジンオイルやタイヤの空気圧などは、ほかの部品に比べて短い期間での点検が必要です。長距離の移動の予定があるときには、事前に確認しておくと安心でしょう。

車の定期的な点検と交換が必要な部品

車には定期的な点検が必要とはわかっていても、具体的にはどの部品をどのくらいの時期に交換すべきなのかわからないという方も多いでしょう。安全性を保つためにも、適切な点検が大変重要です。部品の役割や交換の目安を知っておくことで、交換の必要性の判断が自分でもできるようになります。

ここからは、車の定期的な点検と交換が必要な部品について紹介します。なかには業者に頼らず自分で行えるものもあるため、メンテナンス費用の節約をしたい方も要チェックです。

エンジンオイル

エンジンオイル
エンジンオイルは、エンジンの心臓ともいわれている大変重要な部品です。潤滑油としての役割だけでなく、洗浄や防錆などさまざまな役割があります。エンジンオイルが劣化すると、性能が低下し、エンジン内部の摩耗が進行してしまいます。古いエンジンオイルを使い続けることは、エンジンの故障を引き起こしてしまう可能性もあるため注意が必要です。

エンジンオイルの交換時期の目安は、一般的に5,000km走行ごとか半年ごとです。ターボ車や負荷のかかりやすい走行環境で使用されている車の場合は、より短い期間での交換が必要になる可能性もあります。

オイルエレメント

オイルエレメントは、オイルフィルターとも呼ばれているエンジンオイルをろ過する役割のある部品です。エンジンオイルが吸収した金属片やスラッジを取り除いて、エンジンオイルの働きを助けます。

オイルエレメントに汚れが蓄積されてくると、ろ過ができなくなってしまいエンジンオイルの流れが悪くなってしまいます。燃費性能も低下してしまうため、エコな走行を気にかけている方も定期的な交換を行いましょう。

エンジンオイルを交換する2回に1回のペース(10,000走行ごとか1年)で、オイルエレメントも交換するのが理想です。

バッテリー

バッテリー
バッテリーは、ランプ類やカーナビ・パワーウィンドウなどの電装品への電力供給と、エンジンを動かすときの点火プラグへ火花を飛ばす役割があります。車の電気系統を支える重要な部品であり、バッテリーが劣化すると電装品のトラブルが起きたり、車が動かせなくなったりします。

バッテリーの交換の目安は、2~3年程度です。走行距離が少ない場合や、アイドリング状態で電装品を使用する頻度が多い場合は、バッテリー上がりを起こしてしまう可能性があります。

バッテリー上がりはバッテリーの寿命を縮めてしまうため、使用環境にも気をつけましょう。

クーラント(ラジエター液)

クーラント(ラジエター液)
クーラントは、「冷却水」とも呼ばれる部品で、主にエンジンの熱を吸収する役割があります。作動したエンジンの燃焼室は3,000度近くまで上がり、そのままの状態にしておくことは大変危険です。

クーラントはエンジンの周りを循環してエンジンの熱を吸収し、ラジエーターで再び温度を下げてエンジンの熱を取りにいくことを繰り返しています。クーラントが劣化したり減少したりすると、冷却機能が低下してしまいオーバーヒートのリスクが高くなってしまいます。

クーラントの交換時期の目安は、2年おきが一般的です。車検のタイミングに合わせて点検を受けておくと良いでしょう。

エアクリーナー(エアエレメント)

エアクリーナーは、車のエンジンが吸い込む空気に含まれるチリやホコリを取り除いてエンジンの損傷を防ぐ役割があります。エアクリーナーに汚れが蓄積されると、うまく空気を吸い込めなくなり燃費が悪くなってしまいます。

エアクリーナーの一般的な交換の目安は、2年程度です。車検が2年おきであるため、車検のタイミングで交換すると交換を忘れてしまう心配がいりません。

土埃の多いオフロードでの走行が多い方は、これよりも短いスパンで交換することをおすすめします。エアクリーナーは、ほかの部品のなかでも比較的簡単に交換が可能です。メンテナンス費用を抑えたい方は、セルフで交換することも検討してみましょう。

タイヤ

タイヤ
タイヤは車体の重量だけでなく、乗車する人たちや荷物の重さを支える車のパーツのなかでも唯一地面に接する部品です。タイヤには低燃費タイヤやスタッドレスタイヤなど性能の異なるさまざまな種類があります。

交換目安を過ぎた状態のタイヤを使用し続けると、スリップしやすくなってしまったり走行中にパンクしたりするリスクがあり危険です。タイヤの製造日から4~5年か、溝が4mm以下になっている場合には交換を行いましょう。

また、タイヤを縁石などで傷つけてしまった場合や、ひび割れが生じてしまった場合には交換の目安を待たずに交換する必要があります。

ブレーキパッド

ブレーキパッド
ブレーキパッドは、タイヤの回転に合わせて動くブレーキディスクを挟み込み、タイヤの動きを止める役割があります。交換目安を過ぎたブレーキパッドを使用し続けてしまうと、制御力が低下し、「ブレーキを踏んでいるのにブレーキが利かない」という事態を招いてしまう恐れがあります。

ブレーキパッドの交換の目安は、厚みが3mm以下になった頃です。走行距離だと50,000km走行ごとが目安ですが、走行環境やドライバーの運転の癖によっても消耗の具合が異なります。

厚みの確認は、自分で行うのは困難であるため、気になる場合は業者に依頼して確認してもらいましょう。

ブレーキフルード(オイル)

ブレーキフルード(オイル)
ブレーキフルードは、油圧式ブレーキのなかにあるオイルのことです。ブレーキペダルを踏みこむ力を油圧としてブレーキに伝え、ブレーキをかける力をアシストする役割があります。

ブレーキフルードが劣化してしまうと、ブレーキの効きが悪くなってしまい、最悪の場合にはブレーキがまったく効かないという状態になってしまいます。また、気泡が発生しやすくなってしまうことから、金属部品が錆びやすくなってしまうことも劣化したブレーキフルードを使用するデメリットのひとつです。

ブレーキフルードの交換の目安は、2年です。車検のタイミングで合わせて点検を受けておくと安心でしょう。

ファンベルト

ファンベルトは、ゴム製の輪状になったベルトのことで、エンジンの動力を発電機やエアコンのコンプレッサーに伝えることが役割です。ファンベルトが劣化すると、エンジンがかかりにくくなり、バッテリーが充電できないことから最終的には車を動かせなくなります。

ファンベルトの交換の目安は、40,000~50,000km走行ごとか新車登録から5年程度です。定期的な点検で、亀裂や摩耗がないかベルトの状態をチェックしてもらいましょう。

「キュルキュル」といった異音がしたり、ハンドル操作が重たく感じたりする場合にもファンベルトの交換が必要です。

スパークプラグ

スパークプラグは「点火プラグ」とも呼ばれている部品で、火花を飛ばしてガソリンを着火させる、ライターのような役割があります。スパークプラグが劣化してしまうと、火花がうまく飛ばせず、エンジンがかかりにくくなります、また、燃費性能や加速性能も落ちてしまうでしょう。

スパークプラグの交換の目安は、20,000~30,000km走行ごとです。アクセルを踏んでから加速するまでのタイムラグを感じるようになったり、エンジンがかかりにくく感じたりする場合には、早めに点検を受けましょう。

スパークプラグの種類によって、交換時期は異なるため、定期的な点検が必要です。

エアコンフィルター

エアコンフィルターは、家庭で使われているエアコンと同様に、使用を続けているとホコリや花粉などが蓄積されます。目の詰まった状態で使用すると、エアコンの効きが悪くなったり、カビが発生したりします。

車内の快適な状態を保つためにも、エアコンフィルターの定期的な交換が欠かせません。交換の目安は、1年に1回もしくは10,000km走行ごとです。

カー用品店やホームセンターでは、消臭タイプや高機能(抗菌・抗ウィルス)フィルターなどさまざまな種類の商品が取り扱われています。自分の目的に合う商品を選んでみるのもおすすめです。

ワイパーゴム

ワイパーゴム
ワイパーゴムは、ワイパーに取り付けられたゴムのことです。雨の日にフロントガラスの水分を拭き取り、ドライバーの視界を確保する役割があります。ワイパーゴムが劣化してしまうと、ゴムが固くなり水分をうまく取り除けません。

交換の目安は、1年に1度もしくは拭き取りが悪く感じてきた頃です。数多くある部品のなかでも比較的簡単に交換ができる部品で、自分で交換を行う方も多くいます。

効果が弱くなった状態で走行を続けていると、天気が悪い日に思わぬ事故を招いてしまう恐れがあります。危ない状態になってしまう前に交換を行いましょう。

ウィンドウウォッシャー液

ウィンドウウォッシャー液
ウィンドウウォッシャー液は、フロントガラスの汚れを落としドライバーの視界を確保する役割があります。ウィンドウウォッシャー液は、交換ではなく補充が必要です。使用頻度はそこまで高くありませんが、液量が減ってきたら補充を行いましょう。

補充の目安は、ウォッシャー液の残量が少なくなってきたときです。ウォッシャー液には種類があり油膜除去成分の入ったものや、撥水効果のあるものなど、好みによって補充する液を選べます。

もし今まで使用していたウォッシャー液と違うものを使用する際には、残りを噴出してタンクを空にしてから、新しいウォッシャー液を入れましょう。

発炎筒

発炎筒は、事故を起こしたときなどに道路上に動かなくなった車などの障害物があることを、後続車に知らせる役割があります。火の灯りで夜間でも使用できる緊急用具です。

発炎筒は車に常時装備しておくことが法律で定められており、発炎筒が無いと車検に通りません。混合されてしまいがちな発煙筒は大量の煙を発するもので、道路上で使用すると二次被害を招いてしまう恐れがあり注意が必要です。

発炎筒の有効期限は、4年間です。期限が切れてしまう前に、新しいものに交換します。普段使うことはありませんが、万が一のときに使用期限が過ぎていて使えないという事態を防ぐためにも、車検のタイミングで有効期限を確認しておくことが重要です。

走行距離10万kmを超えたときに交換したい部品

走行距離10万kmを超えたときに交換したい部品
走行距離10万km程度で交換の目安になる「タイミングベルト」や「オルタネーターブラシ」などは普段あまり気にしない部品でしょう。新車で車を購入した方の大半は、7年で車の乗り換えを検討しています。

早い段階で車を乗り替える方は、こうした交換頻度が低いパーツのタイミングが来る前に車を手放しています。しかし、車を乗り潰すつもりで長く使用している場合には、いずれ交換のタイミングが訪れるでしょう。

年式が古くなるほど、メンテナンス費用は高額になってしまう傾向があります。足回りだと「ショックアブソーバー」や「タイロットエンド」などもチェックしておきましょう。

車の部品交換を自分で行うことは可能ですか?
ボンネットの中を触ることに抵抗のある方も多いでしょう。しかし、メンテナンスの全てを業者に依頼していると、一つ一つはそこまで高くなくても、総額はかなりの金額になってしまいます。エアコンフィルターやワイパーブレードは、カー用品店やホームセンターで手軽に入手でき、交換作業も比較的簡単に行えます。業者に依頼する場合に発生する、工賃の節約が可能です。
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車の点検で部品交換を勧められたときの対応

車の点検で部品交換を勧められたときの対応
点検を受けたときに自分では「まだ交換する必要はない」と感じていた部品でも、交換を勧められた経験のある方も多いでしょう。これは現時点で合格基準に満たないわけではなく、故障を防ぐために事前に手を打っておく予防整備に当てはまる場合があります。

ここからは、予防整備を行うメリットとデメリット、車の点検で部品交換を勧められたときの対応について紹介します。交換の必要性の見極め方が気になっている方は、要チェックです。

予防整備のための部品交換も含まれている

車検の内訳は基本料金と重量税などの税金、必要な交換部品のパーツ代(施行代)です。業者によって車検費用が異なる理由は、基本料金と交換部品の有無が違っているからです。

業者によって交換部品の有無が異なるのは、車検を通すために必要でないものも含まれていることが考えられます。見積もりに入っている部品交換のなかには、車検の合格基準に満たないから交換が必要とされるもの以外に、「予備整備」という大きな故障を防ぐため事前に行う整備のものがあります。

決して「車検の費用を高く見積もって儲けよう」と足元を見ているわけではありません。

予防整備を行うメリット

大きな事故を未然に防げることが、予備整備を行う最大のメリットです。

車は点検が必要な個所が多く、交換の時期の目安もパーツごとに異なります。そのため、「うっかり交換時期を過ぎてしまっていた」ということも大いに考えられるでしょう。

車検のタイミングで予備整備を行っていると、基本的には次の車検まで点検をしなくても良い状態にしてくれています。(オイル交換など短いスパンでの交換部品は除く)

自分で車のメンテナンスのスケジュール管理を行うことが面倒に感じてしまう方は、予防整備を受けておくことをおすすめします。

予防整備を行うデメリット

まだ使用できる部品も交換されるため、費用が高額になってしまうことが予防整備のデメリットです。次回の車検のタイミングまで点検を行わない体で予防整備が行われることから、本来ならあと1年ほど使用できそうな部品も前倒しで交換することになります。

「まだ使えるのに、もったいない」と心情的なデメリットもあるでしょう。部品を無駄使いせずに寿命の限り使い続けたいという方には、予防整備はおすすめできません。

パーツごとに適切なタイミングで交換・メンテナンスを行える方にとっては、予防整備は必要ないといえるでしょう。

車の点検時にタイヤの交換が必要なサインは?
タイヤは使用するにつれて徐々に擦り減っていきます。タイヤの溝が減少し、溝の深さが購入時の半分以下(4mm以下)になった頃が交換のタイミングです。また、タイヤの表面にひび割れがあったり、縁石にぶつけてタイヤの側面に傷がついてしまったりした場合にも交換を行いましょう。状態の悪いタイヤを使用し続けることは、スリップしてしまう危険性もあり注意が必要です。

まとめ

①車の点検部品は数多くあり、それぞれに適切な交換時期の目安が異なる
②エンジンオイルやオイルエレメント、エアコンフィルターなどは交換頻度が短い
③タイミングベルトやオルタネーターブラシなど走行距離10万kmのタイミングで交換時期がくる部品もある
④予防整備は大きな事故を未然に防止でき、メンテナンス忘れの心配もないことがメリット
⑤予防整備は前倒しで部品交換を行うため、車検時の費用が高額になってしまうデメリットがある

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