旅行などで長距離運転する前には、車の事前点検が必須です。旅先で車の故障が起きて予定が台無しになってしまったという事態は避けるべきです。
事前に愛車の状態をチェックしておけば、走行中のトラブルを未然に防ぎ、安全で快適なドライブを楽しめます。今回は、長距離運転前に確認すべき点検項目と運転中の注意点について詳しく解説します。
車を長距離運転する前に点検をしよう!
長距離運転の前には、必ず車の点検をしておきましょう。
遠方へのドライブは普段より車に負荷がかかり、思わぬ不具合が起こる可能性があります。走行中のトラブルは安全面でも深刻な危険につながるため、事前に異常がないか確認しておくことが大切です。
高速道路でのトラブルは対処が難しく、事故や大渋滞の原因にもなりかねません。楽しい旅のスタートを切るためにも、出発前の点検を習慣にしましょう。
長距離運転する前に点検しておかないとどうなる?
長期休暇中はディーラーや整備工場がお休みの場合も多く、旅先や走行途中で車が故障してもすぐに修理できない場合があります。
高速道路上でエンジントラブルが起これば路肩に停車するしかなく、レッカー移動や救援を待つ間に大幅な時間ロスになってしまいます。計画した旅行の日程が狂ってしまい、同乗者にも迷惑をかけてしまうかもしれません。
また、突然のタイヤパンクやバッテリー上がりで立ち往生すると、場所によっては身動きが取れなくなって危険です。安全かつ予定通りに目的地に到着するためにも、長距離運転前の点検は必須です。
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車の長距離運転前の点検項目
具体的に長距離運転前にどのような項目を点検すべきかを確認しましょう。
燃料やタイヤなどの基本的な部分から、エンジン周りの状態、ブレーキ、ライト類まで、初心者の方でも押さえておきたいチェックポイントがあります。一つ一つ順番に見ていき、必要な対策や準備を解説します。
事前にしっかり点検しておくと、長距離ドライブ中のトラブル発生率を下げられるでしょう。
長距離ドライブ前にはガソリンを満タンにしておきましょう。
高速道路や山間部では次のガソリンスタンドまで距離が遠い場合もあり、燃料が少ないまま走行を続けるのは危険です。渋滞にはまりノロノロ運転が続くと、想定以上に燃料を消費します。
ガス欠で立ち往生してしまうと、走行車線上なら重大事故につながりかねませんし、サービスエリアまで辿り着けなければレッカー車を呼ぶしかなくなります。
出発前に燃料計をチェックし、余裕を持って満タン給油しておきましょう。また、長距離では予想外に燃費が悪化する場合もあるため、早めの給油を心がけましょう。
タイヤの空気圧を適正値に調整しましょう。
空気圧が不足していると走行中にタイヤが過熱しやすく、最悪の場合バーストする危険があります。逆に、過剰でもタイヤの接地面が減ってブレーキ性能が落ちるため、必ず適正な空気圧になっているか確認します。
あわせてタイヤのひび割れや傷もチェックしましょう。ゴムの劣化によるひびや、釘などを踏んだ傷がある状態で長距離を走ると、途中でパンクするリスクが高まります。
さらに、溝が浅く摩耗したタイヤでは雨天時の排水性が低下し、ハイドロプレーニング現象と呼ばれる雨の日にタイヤが水に浮いてハンドルやブレーキが効かなくなる現象が生じる危険性があります。高速道路ではこの現象が起きやすいため、出発前に溝の深さが十分あるか確認してください。
タイヤのチェックは目視でも可能ですが、不安があれば専門店で見てもらうと安心です。スペアタイヤやパンク修理キットの有無も合わせて確認し、万一に備えておきましょう。
バッテリーが劣化して電力が弱まっていると、サービスエリアで一休みした後にエンジンがかからなくなる恐れがあります。出発前にバッテリー残量や電圧をチェックし、使用年数が長い場合は早めに交換するかモバイルバッテリーやブースターケーブルを用意すると安心です。
また、冷却水が不足しているとエンジンを十分冷やせず、長時間走行時にオーバーヒートしてしまう危険があります。リザーバータンクの液面が規定範囲に収まっているかチェックし、不足していれば指定のクーラント液を継ぎ足します。
また、オイル量が不足したまま長距離を走ると、エンジン内部の潤滑不良で重大な故障につながりかねません。オイルレベルゲージを引き抜いて量を確認し、適量より少なければオイルを追加します。オイルの汚れ具合も見て、真っ黒に汚れているようなら出発前にオイル交換を検討しましょう。
エンジンルーム内のチェックを怠らなければ、走行中のエンジントラブルを未然に防げます。
ブレーキペダルを踏んだ感触に違和感がないか確かめましょう。スカスカとした踏み心地の場合や踏み込んだときに異音がする場合は要注意です。
特にチェックしたいのがブレーキパッドの摩耗です。ブレーキパッドは消耗品で、摩耗が進むとブレーキをかけたときにキーキーと高音が鳴ります。長距離走行中にパッドが限界を迎えると、ブレーキの効きが極端に悪くなり危険です。出発前にパッドの残量を点検し、薄くなっているようなら早めに交換しておきましょう。
また、ブレーキオイルの量も確認してください。ブレーキオイルが不足すると制動力に影響するため、ボンネット内のリザーブタンクで適量入っているかチェックします。色が濁っている場合は劣化している証拠のため、整備工場での交換を検討してください。
さらに、ブレーキランプが切れていないかも念のため確認しておくと安心です。
長距離運転では、車の各種ライト類が正常に機能するか事前に確かめてください。夜間走行の予定がなくても、トンネルの通過や悪天候でヘッドライトが必要になる場面は出てきます。
ヘッドライトが左右とも切れていないか点灯させて確認し、暗いと感じる場合はレンズの汚れを拭き取ったりバルブを交換したりして光量を確保します。ウインカーやハザードランプも全方向しっかり点滅するかチェックしましょう。
ウインカーの球切れは周囲の車への意思表示が伝わらず、合流や車線変更時に事故の元になります。また、ブレーキランプも含め後方のランプ切れは自分では気づきにくいため、壁やガラスに反射させたり家族に見てもらったりして確認してください。
さらに、高速道路を走るならフォグランプやバックランプも正常か見ておきましょう。
ライト類は安全運転に直結する重要な要素のため、出発前に一通り点灯確認を行い、切れている電球があれば交換してから出発するようにします。
車の長距離運転で疲労する理由
長距離運転では前方を凝視し続けるため、まばたきが減って目が乾燥したり、遠近調整を酷使して眼精疲労がたまりがちです。日中であれば太陽光の眩しさ、夜間であれば対向車のライトなども目に負担をかけます。
同じ姿勢を長時間続けると、体が疲れます。運転席に座りっぱなしでハンドルを握り続けると、首や肩、腰に負担が集中し、血行も悪くなって筋肉がこわばるのです。その結果、体全体が重くだるくなって集中力が低下します。
さらに、渋滞のノロノロ運転はイライラの原因になりますし、高速道路で単調な景色が続くと退屈からくる眠気に襲われます。
長距離ドライブは楽しい反面、ドライバーの目や体、精神に相当な負荷がかかることを理解しておきましょう。疲労要因を知っておくと、事前に対策を立てやすくなります。
ガムや飴もおすすめです。運転しながら噛むと脳が刺激され、眠気防止や退屈しのぎになります。噛む動作はリラックス効果もあるため、渋滞中のストレス緩和にも役立ちます。
偏光サングラスがあると日差しや対向車のライトの眩しさを和らげてくれるため、目の疲れを軽減できるでしょう。座席に敷くクッションも長時間座っている腰やお尻の負担を和らげ、正しい姿勢を保つ助けになります。
車の長距離運転の注意点
長距離ドライブを安全に行うために、運転中に気を付けるべきポイントも押さえておきましょう。ただ闇雲に長時間走り続けるのはNGで、計画や休憩の取り方、体調管理などいくつか注意すべき事項があります。初心者の方は無理をしがちですが、余裕を持っての運転が事故防止につながります。
ここでは、長距離運転時の具体的な注意点を紹介するため、出発前に確認しておいてください。
長距離運転をする際は、時間にゆとりを持ったドライブ計画を立てましょう。
到着時刻を厳しく決めすぎてしまうと、予定通りに進まない場合に焦りやイライラが募り、安全な運転ができなくなります。渋滞や休憩のタイミングで遅れが生じるのはよくあるため、スケジュールには余裕を持たせるのが大切です。
例えば、目的地まで5時間かかる計算なら、1~2時間程度余分に見ておくと安心です。早めに着いたら現地で休んだり観光したりできるため損はありません。反対に、ギリギリの計画で出発してしまうと、途中で休憩を削ったりスピードを出しすぎたりする原因になります。
無理のない工程を組み、できれば同乗者とも交代で運転できるようにすると、心にも余裕が生まれます。計画段階から安全運転は始まっているため、ゆったり構えたスケジュールで長距離ドライブに臨みましょう。
長時間同じ姿勢で座り続けるため、エコノミークラス症候群に注意が必要です。
エコノミークラス症候群とは、長時間動かずにいると血行が悪くなり、血の塊ができて肺などに詰まってしまう症状です。飛行機の長距離フライトで有名ですが、車の運転でも起こり得ます。
防ぐためには、定期的に体を動かしましょう。サービスエリアで休憩する際には車外に出て足や腰を伸ばし、深呼吸をして体に酸素を取り入れましょう。運転中も信号待ちのときにふくらはぎを軽くマッサージや、かかとの上げ下げ運動をするだけでも効果があります。
また、水分補給も血液ドロドロの防止に有効です。トイレが心配だからと水分を我慢せず、適度に飲み物をとってください。
エコノミークラス症候群は最悪、命に関わる危険もありますが、こまめな休憩と体操で十分に防げます。長距離ドライブでは意識して体を動かし、健康を保ちながら運転しましょう。
ナビに任せきりにせず、主要な高速道路やインターチェンジ、休憩ポイントの位置関係を頭に入れておくと安心感が違います。
お盆や年末年始など渋滞が予想される時期であれば、事前に高速道路の渋滞予測情報をチェックし、混雑を避けられるルートがないか検討してみましょう。あわせて道路交通情報で事故や工事による通行止めの情報が出ていないかも確認します。万一の迂回路も把握しておけば、予期せぬトラブル発生時にも落ち着いて対処できます。
また、休憩場所となるサービスエリアやパーキングエリア、道の駅なども地図で確認し、休憩のタイミングを計画に組み込んでおくと良いでしょう。2時間おきにどこで休憩できるかを把握しておけば、疲れてから無理に探す必要がなくなります。
さらに、大雨や雪が予想される場合、チェーン規制や速度規制がかかる可能性が高まりますし、大幅な渋滞になるケースもあります。その場合は出発時間をずらすか、場合によっては中止や延期の判断をするのも安全策として大切です。
長距離運転に臨む前日は十分な睡眠をとり、当日に疲れを残さない状態で出発するようにしましょう。
寝不足のまま長時間運転すると判断力や集中力が著しく低下し、居眠り運転につながる危険があります。出発前夜はお酒も控え、万全のコンディションで臨むのが理想です。
また、当日の朝は軽くストレッチをして体を目覚めさせるとともに、適度に朝食を摂りましょう。空腹状態だとエネルギー不足で疲れやすくなり、食べすぎると消化に血液が回って眠くなりやすいため、ほどほどが肝心です。
運転中もこまめな水分補給を心がけ、夏場であればエアコンを適切に使って車内環境を快適に保ちましょう。
長距離ドライブでは、一般的に1日あたりの走行距離は約300km程度を目安にしましょう。
300kmは高速道路を使って5時間前後の運転に相当し、適度に休憩を挟めば大きな疲労を感じにくい距離感です。個人差や道の状況によって変わりますが、初心者の方や一人で運転しきる場合には、300km前後が望ましいでしょう。
それ以上の距離を移動しなければならない場合は、途中で一泊する計画にするか、複数人での交代運転を検討してください。1日で500km、600kmと走ると、終盤には注意力が低下し事故のリスクが高まります。
距離だけでなく運転時間も考慮し、「〇時間以上運転したら必ず休む」「夜間は運転しない」といった自分ルールを設けるのがおすすめです。
運転前にシートの位置やハンドルの高さ、バックミラーとサイドミラーの角度をしっかり調整しましょう。
背もたれに深く腰掛け、背筋がシートに沿うようにします。ハンドルは肘が軽く曲がる位置で握り、力を抜いてリラックスした状態が理想です。
ペダルは無理なく踏み込める距離にシートを合わせ、ブレーキを踏んだ際に膝が伸びきらないポジションに調節します。
頭が前に突き出した姿勢や、猫背・あごが上がった姿勢は首や腰に負担がかかり、長時間運転すると痛みやコリの原因になります。
小柄な方はシートクッションを使って視界を確保しつつ、体がシートにフィットするよう調整しましょう。
正しい姿勢で座れば血流も確保されるため、エコノミークラス症候群の予防にも役立ちます。姿勢が悪いと疲労が何倍にも増してしまうため、途中で腰痛に悩まされたり集中力が切れたりしかねません。
定期的にシートから背中を離して伸びをするなど、姿勢リセットも行いましょう。
一般には2時間に1回、100km走行ごとに1回の休憩が推奨されています。運転に集中していると「まだ大丈夫」と感じがちですが、体は確実に疲労しています。
休憩ではサービスエリアやパーキングエリアに車を停めて、車外に出て新鮮な空気を吸いましょう。軽くストレッチをしたり、トイレに行ってリフレッシュしたりすると、次の運転に向けて気分転換できます。休憩中にコーヒーを飲んだり、ガムを噛んだりするのも眠気対策に有効です。
ただし休憩を急ぐあまり、危険な場所に停車するのは避けてください。高速道路なら必ずSA・PAを利用し、一般道でも安全に停車できる場所を選びましょう。
また、どうしても眠気が取れない場合は思い切って仮眠を取るのも大切です。車中での短い仮眠でも、取るのと取らないのとではその後の集中力が大きく違います。
長距離を安全に走り切るためには、「休むも運転のうち」と心得て、早めの休憩を心がけましょう。
長距離では、ついスピードが出過ぎる傾向があるため、意識して法定速度内に抑えてください。高速ではガソリンスタンドがあるサービスエリア間隔が決まっており、区間によっては次の給油所まで100km以上離れている場合もあります。燃料計が半分を下回ったら早めに給油する習慣でいれば、ガス欠の不安なく走行できます。
高速道路は便利な反面、一度トラブルが起こると重大事故につながるリスクが高いといえるでしょう。一般道以上に気を引き締めて、安全第一で走行してください。
車検付きメンテナンスパックは必要なのか?費用対効果を徹底解説!
長距離運転する前の点検ができる場所
自分でできる範囲の点検はありますが、不安な場合や時間がない場合はプロに点検を依頼するのも一つの方法です。
長距離ドライブ前に車のコンディションを万全にするために、整備士によるチェックを受けられる場所をいくつか紹介します。専門知識を持ったプロに見てもらえば、初心者の方でも安心感がぐっと高まるでしょう。
ただし、お盆や年末年始など行楽シーズン直前は点検希望者が増えるため、早めの予約がおすすめです。
ディーラーにはメーカーの車種に精通した国家資格整備士が在籍しており、最新の設備で細部までチェックしてくれます。メーカー純正の点検項目に沿って診断機を使った電子系統のチェックや、エンジン・ブレーキ・タイヤなどの安全点検をまとめて受けられます。
新車購入から年数が経っていない車であれば、保証やリコール対応も含めて安心して任せられるでしょう。
仕上がりの確実さではディーラーがおすすめです。ただし、簡単な点検でもディーラーによっては数千円〜1万円程度かかる場合がありますし、部品交換となれば純正部品の価格が割高です。
飛び込みでは対応できない場合が多いため、事前予約が必要です。費用はかかってもプロにしっかり見てもらいたい、安全最優先の方にはディーラー点検をおすすめします。
地元に昔からある整備工場や、ガソリンスタンド併設の工場など、様々な車種に対応しています。腕利きの整備士さんが在籍している工場なら、ディーラーに負けない丁寧な点検と適切な整備をしてくれるでしょう。
年式が古い車や改造している車などは、メーカー系ディーラーよりも融通が利く民間工場の方が頼みやすい場合もあります。
費用もディーラーに比べて比較的リーズナブルな場合が多く、相談しながら必要な整備だけお願いできるのもメリットです。ただし、工場の規模や整備士の技術レベルは様々なため、信頼できる工場選びが大切です。
サービスの行き届いたガソリンスタンドでは、給油時にタイヤの空気圧チェックやオイル量の点検を無料でしてくれるところもあります。また「○○点検パック」などの有料メニューを用意しているスタンドもあり、数十分程度でエンジンオイルやバッテリー、ワイパーゴムなど日常点検項目を一通り見てくれます。
ガソリンスタンドは自宅近くや旅先でも見つけやすく、思い立ったときに立ち寄りやすい利便性が魅力です。ただし、専門工場ほどの高度な整備はできないため、あくまで簡易的なチェックと消耗品の交換が中心になります。
長距離ドライブ前に「とりあえずざっと見てほしい」場合には、ガソリンスタンドの点検サービスを活用するのも良いでしょう。
全国展開しているカー用品店も車の点検には便利です。多くのカー用品店には整備工場が併設されており、オイル交換やタイヤ交換はもちろん、無料の安全点検サービスを実施している店舗もあります。専門資格を持ったスタッフが在籍しているため、幅広い車種やメーカーに対応できるのが強みです。
旅の途中で不具合が見つかった場合でも、チェーン店なら他店舗でフォローしてもらえる安心感もあります。費用は点検内容によりますが、簡単なチェックであれば比較的安価、無料で受けられます。
待ち時間に店内でドライブ用品の買い足しができるのもカー用品店ならではのメリットです。
10分でも目を閉じるだけで、驚くほどスッキリします。さらに、車外に出て深呼吸をしながら軽くストレッチをすると、血流が促進され、体が目覚めます。安全なドライブのためには、運転技術だけでなく「休む勇気」も持ち合わせましょう。