梅雨の時期は、雨による視界不良や路面悪化で事故が増加します。ワイパーの劣化やタイヤの摩耗は大きなリスクとなるため、事前の点検が欠かせません。
この記事では、梅雨前にチェックすべき点検項目と雨天時の運転のコツを詳しく解説します。
梅雨に入る前に車の点検をしよう!
雨の日は晴天時よりも事故が起こりやすく、車の不具合が事故の原因になります。梅雨入り前にワイパーやタイヤなどの消耗品を確認・交換し、ブレーキやライト類も正常に作動するかチェックしておきましょう。
事前に車両を万全な状態に整備しておくと、雨天時の思わぬトラブルを未然に防げます。
梅雨は事故が起こりやすい?
梅雨時期は雨によって道路状況が悪化し、交通事故が増加しやすい傾向にあります。実際、雨の日の事故件数は晴れの日の約5倍にもなるとのデータもあり、注意が必要です。
路面が濡れるとスリップ事故が多発し、視界不良による追突事故も増える傾向があります。整備不良の車はリスクが高く、ワイパーが劣化していると視界不良を悪化させ、タイヤの溝が浅いと制動距離が伸びてスリップしやすくなります。
梅雨時は普段以上に車のコンディションに気を配り、安全運転を心がけましょう。
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梅雨に車の点検が必要な理由
なぜ梅雨時に車の点検が必要なのでしょうか。
それは、梅雨の長雨によって車体は汚れが蓄積しやすく、放置すると落ちにくいシミとなって塗装にダメージを与えます。また、大雨では視界が悪化し、ワイパーやガラスの状態次第で前方確認が困難になるのです。
さらに、路面に水膜ができるとハイドロプレーニング現象が発生しやすくなり、ハンドルやブレーキが効かなくなる危険があります。加えて、大雨で道路が冠水するとエンジン故障や車両浸水のリスクもあります。
このように、梅雨時特有のリスクに備えるためには、事前の車両点検と対策が必要です。
梅雨は雨天が多く、泥やホコリなどの汚れが車に付着しやすい時期です。雨自体にも大気中の有害物質やホコリ・花粉といった不純物が含まれているため、雨滴が乾燥すると車体に残りシミになります。
梅雨の長雨で汚れが蓄積すると塗装面に水垢やイオンデポジットが発生し、洗車しても簡単に落ちない頑固な汚れへと発展します。また、酸性雨によりボディがサビやすくなる懸念もあり、梅雨時はこまめな洗車とボディコーティングなどの対策が重要です。
梅雨入り前にワックスやコーティング剤で車体を保護しておけば、汚れの固着防止に効果的です。
雨の日はフロントガラスに雨粒が付着し、運転中の視界が悪くなりがちです。大粒の雨や土砂降りでは、ワイパーを速く動かしても視界が一瞬真っ白になり危険です。
さらに、ワイパーゴムが劣化していると雨水を十分に拭えずにギラつきや拭きムラが残ってしまい、前方が見えづらくなります。フロントガラスに油膜がついている場合も、水をはじかず膜状に広がって視界を妨げる原因です。
こうした状況では標識や歩行者の発見が遅れたり、ブレーキのタイミングが遅くなったりする恐れがあります。
ワイパーの状態を梅雨前に点検し、ゴムが硬化・ひび割れしていたら早めに交換しましょう。撥水コーティングをガラスに施工しておくと雨粒をはじき、視界確保に有効です。
梅雨の大雨時には路面に大量の水がたまり、ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。高速走行時などにタイヤと路面の間に水の膜ができ、タイヤが水の上を滑ってしまう現象です。
ハイドロプレーニングが発生するとハンドルやブレーキが全く効かなくなり、車両のコントロールが失われて危険です。
タイヤの溝が減っていると排水性能が低下し、低速でもハイドロプレーニングを起こすリスクが高まります。梅雨前にはタイヤの残り溝をチェックし、溝が浅い場合は早めの交換を検討しましょう。
また、雨の日の高速道路では無理なスピードを出さず、水たまりに注意して運転すると、予防につながります。
排気管(マフラー)まで水に浸かる深さになると、排気口から逆流した水がエンジン内部に侵入し、最悪の場合「ウォーターハンマー現象」によりエンジンが破損してしまいます。
実際、タイヤの半分以上の高さまで水に浸かるとエンジンルームに達して故障する可能性が高いとされているのです。さらに、水位が上がってタイヤがほとんど水没するほど深くなると車体が浮き上がり、タイヤが浮き袋のようになって流されてしまう危険もあります。
急な冠水路では無理に進まず、深みに入らないよう回避が大切です。どうしても走行する場合は、水深が浅いかを確認し、低速で慎重に進みましょう。また、冠水した後はブレーキが利きにくくなる可能性があるため、安全な場所で一度ブレーキを踏んで性能を回復させるといった対処も必要です。
梅雨前にやるべき車の点検
梅雨に備えて事前に点検しておきたい項目をリストアップします。
視界確保の要となるワイパーとフロントガラス、雨の日のグリップ力を左右するタイヤは特に念入りにチェックしましょう。また、湿気による不快臭を防ぐエアコンのフィルター、万一の事故時に備えるドライブレコーダーも確認・準備しておくと安心です。
バッテリー上がりが起きやすい時期でもあるため、バッテリー点検も重要です。さらに、車内のカビ対策としてフロアマットの手入れも忘れずに。
以下、梅雨前に点検すべき具体的なポイントを紹介します。
梅雨入り前にまず確認したいのがワイパーとフロントガラスの状態です。
ワイパーゴムは劣化すると拭き取り性能が落ち、雨の日の視界不良を招きます。一般的にワイパーゴムは半年~1年で硬化や亀裂が生じるため、交換の目安は約6ヶ月~1年程度です。梅雨前に交換しておけば、長雨でも良好な視界を保てるでしょう。
また、フロントガラスには撥水コーティングを施しておくのがおすすめです。撥水剤を使えば雨粒が水滴となって流れ落ちやすくなり、走行中も視界が確保しやすくなります。ワイパー作動時のビビリ音軽減にも効果的です。ガラスに油膜がついている場合は、専用クリーナーで除去してから撥水加工を行いましょう。
ワイパーとガラスを万全に整備して、梅雨のドライブでもクリアな視界を確保してください。
濡れた路面でしっかりグリップを得るには、タイヤの状態が重要です。
梅雨前にタイヤの残り溝を点検しましょう。タイヤ溝が極端に浅くなっている場合、排水性が悪化して雨の日は制動距離が大幅に伸びてしまいます。スリップサインが現れる前でも、残り溝が少なくなったタイヤはハイドロプレーニング現象を起こしやすいため注意が必要です。一般道では残り溝が2~3mm程度になったら交換を検討すると安心です。
また、タイヤにヒビ割れや損傷がないか、空気圧は適正かも確認してください。空気圧不足は雨天時の走行安定性を損ないます。
摩耗したタイヤを履いたまま梅雨を迎えるのは危険なため、梅雨入り前に必ずチェックし、必要なら新品タイヤに交換して安全を確保しましょう。
梅雨時期は湿度が高く、車内が蒸し暑くなりがちです。そのため、エアコンを使用する機会も増えますが、同時にエアコンの嫌なニオイが気になる季節でもあります。
「生乾き臭」のような臭いの原因は、エアコン内部に繁殖したカビや、ホコリを含んだフィルターの汚れです。梅雨前にはカーエアコンのクリーンフィルターを新しいものに交換しましょう。
エアコンフィルターはゴミやホコリを除去してくれる部品ですが、汚れが詰まってくると効果が低下します。掃除ができない構造のため定期的な交換が必要で、フィルター交換が車内の臭い対策になります。
エアコンの送風口にエアコン消臭スプレーを使用したり、エバポレーターの洗浄を行うとより効果的です。梅雨時に快適な車内環境を保つため、エアコンのメンテナンスも忘れずに実施しましょう。
万一の事故やトラブルに備えて、ドライブレコーダーの準備も梅雨前に確認しておきましょう。雨の日は事故率が高くなるため、いざという時に映像記録があると心強いです。
ドライブレコーダーは走行中の映像を記録し、事故発生時の状況や位置関係を後から確認できるため、過失の有無を証明する有力な証拠になります。あおり運転被害の記録にも役立ち、装着車両が増加傾向です。
まだ搭載していない場合は梅雨前に前後カメラタイプのドラレコ設置を検討しましょう。すでに設置済みの場合も、録画状況のチェックを行い、確実に映像を残せる状態にしておくのが大切です。
雨天時の事故でもしっかり証拠を残せるよう、ドラレコの準備を万全にしておきましょう。
梅雨時はライト類やワイパーの使用頻度が増え、エアコンも稼働するため車のバッテリーに負担がかかりやすい季節です。エンジン始動時にバッテリーが弱っていると、雨の中で立ち往生などの事態にもなりかねません。
最近のバッテリーは突然性能が低下してエンジンがかからなくなるケースが多いため、早めの交換が肝心です。一般的にバッテリーの寿命は2~3年程度とされており、2年以上使用したバッテリーは梅雨前に点検しましょう。
エンジン始動が重い、ヘッドライトが暗いなどの前兆がある場合は要注意です。交換目安は2年ごとともいわれ、特にアイドリングストップ車では劣化が早いため注意しましょう。
梅雨前にバッテリーの電圧や劣化度合いをチェックし、必要に応じて新品に交換すると、雨の日のバッテリー上がりトラブルを防げます。
梅雨時期は車内も湿気がこもりがちで、放っておくとカビが発生しやすくなります。フロアマットは泥汚れや雨水を吸収し、雑菌やダニの温床になる場合があります。
車内がカビ臭い原因は、フロアマットの汚れに繁殖したカビです。梅雨入り前にフロアマットを清掃し、天気のよい日に天日干しする習慣をつけましょう。
直射日光に当てて乾燥させるとマット内部の湿気が飛び、泥汚れも乾燥して落としやすくなります。さらに、太陽光の紫外線にはダニやカビの殺菌効果も期待できます。
マットを天日干しする時間がない場合でも、車内の換気をこまめに行い湿気を逃がすのが大切です。また、除湿剤や消臭剤を車内に置いておくのも効果的でしょう。
梅雨時の車内清潔対策として、フロアマットの丸洗いや車内の拭き掃除を行い、快適な車内環境を維持してください。
たとえ溝が残っていてもゴムは経年劣化で硬化・ひび割れが進むため、使用年数が長くなるとグリップ力や排水性が低下します。タイヤのサイドウォールや溝底に細かなヒビが見られる場合も交換を検討すべきサインです。
実際、タイヤメーカー各社も安全のため3~5年での交換を推奨しています。また、製造から年数が経ったタイヤは走行距離が少なくても内部劣化が進んでいる場合があります。日頃から残り溝がどれくらいあるか、スリップサイン(溝が1.6mmになると現れる突起)が出ていないか確認しましょう。
走行距離や年数の目安とともに、タイヤの見た目や触った感触にも注意を払い、早め早めの交換で常に万全のタイヤ状態を保ちましょう。
雨天時に運転する際のポイント
雨の日は普段以上に慎重な運転が求められます。視界が悪く路面が滑りやすい状況では、車間距離や速度、周囲の確認方法など運転方法の工夫が必要です。
下記では、雨天時に安全に走行するために気を付けたいポイントを解説します。晴天時との違いを意識して運転すると、雨の日の事故リスクを減らせるでしょう。
雨の日は、前の車との車間距離を普段の約2倍とるのが安全運転の基本です。
濡れた路面ではブレーキをかけてから停止するまでの距離が乾燥路より長くなり、場合によっては1.5倍~2倍近くに達します。そのため、晴天時と同じ速度で走行するなら車間距離は2倍必要だと考えてください。
晴天時は前車との距離2秒以上が目安ですが、雨天時は4秒以上に延ばすイメージです。実際、高速道路では「雨の日は車間距離2倍」と掲示される場合もあります。
車間を十分に保てば、前車が急ブレーキを踏んでも慌てず減速できますし、周囲を確認して回避行動をとる余裕も生まれます。雨天時は焦らず余裕を持った車間距離で走行し、追突事故を防ぎましょう。
雨の日はスピードを控えめにしましょう。
路面が濡れるとタイヤと路面の摩擦係数が低下し、同じ速度でも止まるまでの距離が長くなります。そのため、晴天時よりもおおむね20%程度減速して走行すると安心です。
例えば、晴れの日に時速50kmで走っていた道なら、雨の日は40km前後に落とすイメージです。
高速道路では、制限速度ぎりぎりで走るとハイドロプレーニング現象の危険も高まります。実験では時速80kmを超えると発生リスクが大きくなるとされるため、大雨の時は速度計を常にチェックし、いつもよりゆとりある速度設定を心がけましょう。
また、急ブレーキや急ハンドルはスリップの原因です。早めに減速し、緩やかな操作を徹底すると、雨の日でも安定した走行が可能です。
雨天時は路面上にできた水たまりや水のたまりやすい車輪の跡に注意が必要です。
車輪の跡は大型車などの通行でできたわだち状の溝ですが、雨の日は水がたまりやすく、踏むと滑りやすくなります。高速走行中に深いわだちに乗るとハイドロプレーニングを引き起こす可能性が高まります。
教習所でも「水のたまりやすいわだちは避けて通行するように」と指導されるほどです。そのため、雨の日は車輪の跡をむやみに踏まず、できるだけ水たまりを避けた走行ラインを取りましょう。
道路全体に水が浮いている場合も、車線内で比較的水の薄い部分を選んで走るよう意識してください。また、走行中に大きな水たまりを見つけたら減速してから通過し、ハンドルをしっかり握って横滑りに備えると安全です。
雨の日は視界が普段より悪いため、周囲の状況確認は晴天時以上に念入りに行いましょう。サイドミラーやバックミラーは雨滴で見えにくくなる場合があるため、ミラー越しの確認に加えて目視も怠らないようにします。
歩行者や自転車は、雨具を着ていたり傘を差していたりすると発見が遅れがちです。夜間ともなれば、暗い色の服装の歩行者は直前まで視認できないケースもあります。
右左折時や車線変更時には必ず目視で死角をチェックし、雨音で周囲の音も聞こえにくいため注意を払いましょう。また、車が巻き上げた水しぶきで後方の二輪車や歩行者の視界を妨げていないかにも配慮が必要です。
雨の日は「自分が見えにくい」だけでなく「他の人からも見えにくい」状況だと意識し、360度気を配るくらいの慎重さで運転してください。
日中でも雨雲が厚い日は薄暗く感じる場合があります。そのような時は早めにヘッドライトを点灯しましょう。
周囲が暗いと視界が悪いだけでなく、ライトを点けていない車は他のドライバーや歩行者から発見されにくくなります。ライトを点けると自車の存在を周囲に示せて、安全性が高まるでしょう。
実際、雨の日は道路交通法でも「昼間でも50m先が見えにくい場合は点灯」が義務付けられています。小雨程度でもワイパーを使用する状況ならライトも点灯するのが望ましいです。
夕方以降の時間帯やトンネル・高架下など薄暗い場所では早め点灯・こまめな消灯を心がけましょう。ヘッドライトだけでなく、リアのスモールランプやブレーキランプの点灯も周囲に自車位置を知らせる重要な手段です。
ライトを活用して「見えて、見られる」状態を作り、雨の日の事故防止につなげましょう。
雨の夜間運転では、対向車のヘッドライトや街灯の光が濡れた路面に反射して眩しく感じる場合があります。眩しさを軽減する対策として、偏光レンズのメガネやサングラスを活用する方法があります。
偏光レンズは反射光をカットする特殊なフィルターが入ったレンズで、雨天時や夜間でも明るく視界を確保しつつ路面のギラつきを抑えてくれるでしょう。
例えば、株式会社タレックスのモアイパープルという薄い紫色の偏光レンズは夜間使用が可能で、75%もの高い透過率を保ちながら不要な反射光だけ約20%カットし、白線や標識を見やすくしてくれます。
個人差はありますが、実際に装着すると裸眼より格段に路面状況が把握しやすくなるとの声も。注意点として、夜間運転用には可視光線透過率が高い(色の薄い)偏光グラスを選ぶ必要があります。
適切な偏光レンズを利用して雨の夜でも視界をクリアに保ち、安全運転に役立てましょう。
雨の日の交通で気を付けたいのが二輪車への配慮です。二輪車は車体が軽くタイヤも細いため、雨で濡れた路面ではスリップしやすく不安定になります。
実際、バイクは「雨の日はできるだけ乗らない方がよい」と言われるほど危険度が増す乗り物です。そのため、雨天時に自分の車の前後に二輪車がいる場合はいつも以上に注意しましょう。
前方にいる場合は十分な車間距離をとり、バイクが急ブレーキや転倒をしても対処できるだけの余裕を持ちます。後方からバイクが来ている場合は、急な車線変更やブレーキを避けて進路を譲るなど、安全な距離を保ってください。
また、自転車は傘を差していたりレインコートで周囲が見えにくかったりするため、思わぬ動きをする場合もあります。
二輪車の挙動に常に注意し、安全を脅かさない運転を心がけると、結果的に自分の安全にもつながります。雨の日は「二輪車が滑りやすい」前提で、寛容な運転を心がけましょう。
エアコンをONにして除湿機能を使います。同時にエアコンのモードを外気導入に切り替え、フロントガラスの曇り取りスイッチを押しましょう。乾燥した外気が車内に送られ、ガラスの曇りを効率的に取れます。
冷房中でも一時的に温度設定を上げて、エアコンをOFFにせず継続運転がポイントです。外気温が高い夏場の雨では、内気循環にしてエアコンを付ける方が効果的な場合もありますが、曇りを感じたら早めの対処が大切です。
視界が曇ったまま走行するのは危険なため、少しでも曇り始めたらすぐにデフロスターを作動させ、安全な視界を確保しましょう。
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