車に装備されているフィルター類は消耗品であるため、定期的に交換することが良い車の状態を保つポイントです。エアコンフィルターやオイルフィルターは交換頻度が高く、交換を怠ると燃費性能の低下や、エンジンに負荷がかかってしまう恐れがあります。
エアコンフィルターは、メンテナンスのなかでも比較的簡単に行える項目であり、自分で交換しようと考える方も多いでしょう。
この記事では、エアコンフィルターやオイルフィルターの役割から、交換時期・費用の目安、交換方法まで詳しく紹介します。
車の点検時に必要なフィルター交換
車の快適な車内空間を維持するためには、フィルターの点検・交換が欠かせません。フィルターは、汚れをせき止める役割があり、古くなってくると目詰まりを起こします。
今回は、車のフィルターの基礎知識から、交換方法まで詳しく紹介します。最後まで記事を読むことで、フィルター交換の必要性や、適正な交換時期・費用が分かり、セルフメンテナンスを行うときにも役立つでしょう。
車のフィルター交換についてお悩みの方は、要チェックです。
エアコンフィルターの基礎知識
カーエアコンの仕組みは、家庭で使用されているエアコンとよく似ています。
エアコンフィルターの仕組みを理解していると、点検を受けるときにも部品の役割や交換が必要な理由が分かりやすくなるでしょう。自分でメンテナンスを行う場合にも、基礎知識を付けておくことが重要です。
また、車のエアコンフィルターには種類があり、自分の好みに応じたフィルターを選べます。
ここからは、エアコンフィルターの基礎知識について紹介します。
エアコンフィルターは、車内の空気を浄化し、異臭やカビの発生を防ぐ役割のあるカーエアコンの部品のひとつです。
エアコンは外気を取り込み、送風機(ブロアファン)や熱交換器(エバポレーター)に空気を送ります。このとき、枯葉や虫が入り込み、エアコンの部品が傷ついてしまうのを防ぐのもエアコンフィルターの役割です。
エアコンフィルターに汚れが蓄積すると、目詰まりを起こしてエアコンの効きが悪くなったり、カビが発生してしまったりします。そのため、定期的な点検と交換が推奨されています。
エアコンフィルターは、消耗品です。エアコンフィルターを交換しないとチリや埃によって目詰まりを起こし、エアコンの効きが悪くなってしまいます。
汚れが溜まった状態のエアコンフィルターだと、しっかりと車内を冷やす(温める)ために必要以上にエネルギーを使用して、燃費が悪化してしまうことも交換するべき理由です。
汚れが溜まったエアコンフィルターに水分が付着すると、カビが発生し、車内にカビや悪臭が広がります。衛生的にも悪影響を及ぼしてしまうため、快適な車内空間を保つには定期的なエアコンフィルターの交換が必要です。
エアコンフィルターには、空気洗浄機能付きフィルターや、防臭・脱臭機能付きフィルターなど様々な種類があります。ホームセンターやカー用品店には数多くの商品が販売されており、自分の目的に応じた高性能のエアコンフィルターを手に入れられます。
喫煙者の方が頻繁に乗車する場合には消臭タイプのエアコンフィルター、花粉症だったりアレルギーを持っていたりする場合には抗アレルギーの高機能フィルターがおすすめです。
乗車する人たちや、使用環境によって適切なエアコンフィルターは異なります。商品によって価格にも差があるため、目的と予算に合うエアコンフィルターを選ぶことが重要です。
エアコンフィルターは、1年または10,000~20,000km走行ごとに交換することが推奨されています。
エアコンフィルターは、原則使い捨てです。水洗いや掃除機で汚れを吸い取ってもフィルターの汚れは取り切れていません。クリーンな空気を車内に送れるよう、エアコンフィルターは都度買い替えましょう。
また、紹介した交換時期はあくまでも目安であるため、使用環境によっては1年未満や10,000km走る前に交換が必要です。都会にお住まいの方や喫煙者・ニオイに敏感な方はこの基準より早めのタイミングで交換することをおすすめします。
エアコンフィルターの交換費用は、純正で5,000~10,000円程度です。整備工場では社外品も取り扱っているため、5,000円程度で交換が行えます。
ディーラーや整備工場など、業者に依頼する場合にはいずれもエアコンフィルター代とは別に作業料金が発生します。
「作業手順が分からないためプロに依頼したい」「自分で行うのは面倒」という方は、業者への依頼がおすすめです。一方で、「自分でできるメンテナンスはなるべくセルフで済ませたい」とお考えの方は、自分で交換を行ってみるのが良いでしょう。
交換するエアコンフィルターの種類や、業者によって料金は異なるため、事前に総額を確認しておくことが重要です。
エバポレーターとは、ラジエターと同じ熱交換器のひとつで、空気を冷やす役割があります。エバポレーターは結露で湿気が溜まりやすく、カビや菌が発生しやすい環境です。カビ臭を除去するためには、エバポレーターの清掃が必要です。エバポレーターのメンテナンスは使用環境にもよりますが、半年~1年の頻度で行うことをおすすめします。
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エアコンフィルターの交換方法
エアコンフィルターの交換は、必要な道具も少なく、車のメンテナンスのなかでも比較的簡単に行える作業です。
業者に依頼すると部品代のほかに作業代も含まれてしまうため、自分で行うよりも高くついてしまいます。自分でもできる簡単な作業はなるべく自分で行うことで、メンテナンス費用を節約できるでしょう。
ここからは、エアコンフィルターの交換方法について手順を詳しく紹介します。セルフメンテナンスをご検討中の方は、要チェックです。
作業は必ずエンジンを停止した状態で行います。このとき、エアコンが内気循環になっていることを確認し、外気循環の状態なら内気循環に切り替えておきましょう。
国産車の場合は、一般的にグローブボックスの奥にエアコンフィルターが格納されています。一部の車種は、助手席や運転席の足元にあるため、自分の車のエアコンフィルターの場所を事前に確認しておくと作業がスムーズに進められます。
車の取扱い説明書に格納場所が記されているため、分からない場合は調べておきましょう。いずれの場合も、比較的取り出しやすい場所に格納されています。
グローブボックスを開き、グローブボックスを固定しているダンパーステーを外してからグローブボックス本体を取り出します。グローブボックスの両側を内側に押し、引き上げながら引っ張ることで簡単に外れる仕組みです。
グローブボックスを外した場所を覗くと奥にフィルターカバーが見えます。奥にあるフィルターカバーのツメを外し、必要に応じてスクリューも外しましょう。ツメは片方ずつ外すことで簡単にフィルターカバーの取り外しができます。
フィルターカバーの破損を防ぐために、手前に引く際には無理に力を入れて取ろうとしないよう注意が必要です。
フィルターケースを引き出して、新しいフィルターを装着します。エアコンフィルターは開封後すぐに装着することが望ましいことから、このタイミングで開封するのがおすすめです。
フィルターには裏表があるため、間違えないよう注意が必要です。裏表が分かりやすいよう、フィルターには印が付けられています。装着ができたら、取り外したものをこれまでと逆の手順で元に戻します。
なお、交換時の日付と走行距離をメモしたシールを空気圧のステッカー近くに貼っておくと、次回のエアコンフィルターの交換のタイミングを計るのに便利です。
初めて行う方でも、手順を確認すれば簡単に行えることがエアコンフィルターのメンテナンスの特徴です。しかし、短い時間で済ませようとすると、フィルターの裏表を間違えてしまったり、部品を破損してしまったりと思わぬミスを招いてしまいます。慣れ・不慣れに関係なく、車のメンテナンスを行うときには時間に余裕を持って作業することをおすすめします。
エアコンフィルターを交換するメリット・デメリット
車のエアコンフィルターは、駆動系の部品と違って交換を怠っても車が動かなくなるわけではありません。なかには「車を購入してからエアコンフィルターを替えたことがない」という方もいるでしょう。
しかし、快適な車内空間を保つためには交換が必要で、放置することは衛生的にも良くありません。あまり重要視されないエアコンフィルターですが、燃費性能にも影響があります。
ここからは、エアコンフィルターを交換するメリットとデメリットを紹介します。
エアコンフィルターを交換するメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
- 燃費性能が回復する
- 冷却効果を維持できる
- カーエアコンの異臭対策になる
- 花粉やウィルスの対策ができる
エアコンフィルターを定期的に交換していると、冷却効果を維持したり、異臭対策ができたりすることがメリットです。
また、目詰まりを起こした状態で放置していると、エアコンは設定温度にするまで必要以上にエネルギーを必要とするため、燃費が悪くなってしまいます。
定期的なフィルターの交換は、こうした事態を防ぐ効果があります。高品質のエアコンフィルターを選ぶことで、花粉やウィルス対策も可能です。
エアコンフィルターを交換するデメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
- メンテナンス費用が発生する
- 作業に手間がかかる
エアコンのフィルター交換は、数多くある車の点検のなかでも比較的安価で手間もかからずに作業が行えます。デメリットは少しの手間と費用がかかることだけであるため、なるべくこまめにメンテナンスを行うことがおすすめです。
もし、作業を面倒に感じてしまう場合には、業者に依頼すると良いでしょう。費用はセルフメンテナンスよりもかかってしまいますが、数十分で完了するため車を預ける必要はありません。簡単な作業であっても、事前に予約をしておく方がスムーズに対応してくれます。
オイルフィルターの基礎知識
オイルフィルターは、エンジンオイルの状態を保つ重要な役割がある部品のひとつです。エアコンフィルターと同様に消耗品であり、交換を怠ってしまうとエンジンが損傷してしまう恐れがあります。
オイルフィルターが目詰まりを起こしてしまうと、エンジンに負担がかかり燃費性能にも影響があります。車の寿命を延ばすためにも、定期的な点検・交換が必要です。
ここからは、オイルフィルターの種類や交換時期・交換費用など、基礎知識について紹介します。
オイルフィルターは、エンジンオイルに含まれるスラッジや細かい金属片などの汚れをろ過し、エンジンオイルの質を保つことが役割です。
エンジンオイルはエンジンの潤滑や洗浄などの役割があり、エンジン部品の摩擦による金属片や、燃料の燃えカスであるスラッジを取り除きます。オイルフィルターは、エンジンオイルが取り除いてきた汚れをキャッチして、再びオイルが洗浄効果を発揮できるよう働きます。
なお、オイルフィルターは「オイルエレメント」とも呼ばれています。
オイルフィルターは消耗品です。フィルターに汚れが蓄積すると、ろ過機能が低下し、エンジンオイルの性能も損なわれてしまいます。
エンジンオイルを新しくしても、オイルフィルターが汚れていてはエンジンオイルの効果を十分に得られません。オイルフィルターの目詰まりによってエンジンオイルの流れが悪くなってしまうと、燃費性能の低下や故障の原因になってしまいます。
また、エンジンオイルの汚れを取り除けないことから、汚れたままのオイルが循環してエンジンに負荷がかかってしまいます。そのため、オイルフィルターは定期的に交換が必要です。
オイルフィルターは、複数の種類があります。
一般的にはフルフロータイプが使用されており、多量のオイルを効率的にろ過できます。
フルフロー・バイパス併用型は、フルフロータイプよりもフィルターの目が細かくいことが特徴です。フルフロータイプだと取りこぼしてしまうような細かい汚れも、取り除きます。ガソリン車よりもスラッジが発生しやすいディーゼル車に多く用いられているタイプです。
その他にも、マグネットがついており金属片を吸着する性能のあるものや、高粘度のオイルを使用するスポーツカーに適したものなど様々です。
予算に合わせて、高性能のフィルターを選ぶことをおすすめします。
オイルフィルターの交換の目安は、オイル交換の2回に1回のペースが推奨されています。オイルフィルターを交換するには、エンジンオイルを一度抜き取る必要があることから、オイル交換とセットで行うのが一般的です。
前回の走行から10,000km走行した頃や、1年に1回のタイミングもオイルフィルターの交換の目安です。しかし、あくまでも目安であり、走行環境や車の状態によってはさらに短い頻度で交換が必要になる場合もあります。
オイルフィルターは都度状態の確認ができないため、オイル交換のタイミングでチェックしておくことがポイントです。
オイルフィルター交換の費用は、車の種類やオイルフィルターの種類によっても異なりますが、1,000~3,500円程度が目安です。業者へオイルフィルターの交換を依頼する場合には、オイルフィルター代とは別に作業料金が発生します。
オイルフィルターには、カートリッジごと交換するタイプと、ろ紙だけを交換するタイプがあり、構造によっても金額に差があります。高性能であるほど高値になりますが、「高いからもったいない」と交換の頻度を減らしてしまっては意味がありません。適切な頻度で行う上で家計の負担にならないものを選びましょう。
オイルフィルターの交換は、オイル交換と同時に行います。
作業手順は、まずエンジンオイルを抜き、次にオイルフィルターを外します。取り付け部分に古いオイルフィルターが残っていないことを確認してから、フィルターを設置して新しいオイルを注ぐ流れです。古いパッキンを確認して正確に取り付けます。
自分で交換を行う際には、古いエンジンオイル・オイルフィルターの処分方法に注意が必要です。普通ゴミとしては処分できないため、廃油箱を使用し、自治体の定める方法に従いましょう。
エアコンフィルターよりも難易度が上がってしまうため、プロに任せることをおすすめします。
年間走行距離が20,000kmを超えるような状況は、通勤や通学などで毎日車を使用している方に多く見られます。また近所の買い物など、自分の足として使用している「ちょい乗り」のような車の使い方も、案外車に負担がかかっているため要注意です。
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