車から聞こえる変な音は、心配の要らない音と直ぐに点検・修理を受けるべき音があります。
加速時に聞こえる風を切る音やエンジンが唸る音は、車の不調によるものではなくメンテナンスも必要ありません。しかし、普段聞きなれない異音がした場合は、自己判断が難しく点検を受けることをおすすめします。
この記事では、どこからどのような音がするのかによって、考えられる原因と対処法を紹介します。車から異音が聞こえてお困りの方は要チェックです。
車から変な音がしたら点検しよう!
変な音が車から聞こえた場合、車のどこかに不備が生じている可能性があります。音がしても心配の要らないケースもありますが、なかには車が故障してしまう前触れのものもあるため、原因が分からないまま放置してしまうのは危険です。
この記事では、変な音が車から聞こえた際の音別の原因や対処法について紹介します。最後まで記事を読むことで、車から聞こえる異音の原因や、対処法を理解できるでしょう。車から聞こえる音でお悩みの方は、要チェックです。
車から変な音がする理由
変な音が聞こえると、そのまま運転をしても大丈夫なのか心配になってしまう方も多いでしょう。
車は数多くの部品から構成されており、走行中はエンジンが稼働していることから、車から異音がするからといって、必ずしも車に異常が発生しているとは限りません。
ここからは、変な音が車からする理由について、「心配のいらない音」と「故障の可能性がある音」に分けて紹介します。どこからどのような音がしているかが重要であるため、よく聞き分けておきましょう。
エンジンは多くの部品から構成されており、動作中は音や振動が常に発生します。そのため、音が出ても故障とは限らず、走行中のタイヤの音や風切り音の可能性もあるでしょう。
特に風の強い日や、中央線を踏んだときには音が発生しやすい傾向です。高速道路でアクセルペダルを踏み込み、加速をしたときにもエンジンが唸ります。
なかでも軽自動車は、運転席とエンジンまでの距離が短く、エンジンが高回転した際にはエンジン音やロードノイズが車内に聞こえやすいのが特徴です。
振動も相まって、エンジンが壊れてしまわないか不安になってしまう方もいるでしょうが、心配は要りません。
普段と変わらない走行環境であるにも関わらず、普段と異なる音や振動がエンジンや駆動系から聞こえた場合には故障やトラブルが発生している可能性があります。
このような場合には、安全な場所にまず停車して目視で点検を行うことが重要です。車の部品のどこから変な音が聞こえるのか、異音の発生源を特定する必要があります。
また音がしている場所だけでなく、どのような音がしているかも記憶しておきましょう。整備工場に持っていったときに、音がした状況を詳しく説明できると、原因追究に役立ちます。スムーズなメンテナンス・修理を受けるためのポイントです。
ブレーキパッドの交換など、比較的安価なメンテナンスで済むケースもありますが、駆動系にトラブルが起きている場合、修理内容によっては数十万円の修理費用が必要になります。状況によっては、車を乗り換えた方が良い可能性もあります。
なお、整備工場によっても見積もり金額に差があるため、少しでも費用を抑えるには相見積もりを取ることがおすすめです。
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車の変な音の原因がエンジン回りの場合
エンジン回りから変な音が聞こえる場合には、ベルト関係の「キュルキュル」といった音や、エンジンオイル不足による「ゴロゴロ」もしくは「ガラガラ」といった音があります。
修理・交換をすることで直ぐに改善するものや、深刻な状況につながる恐れのあるものなど、エンジン回りで変な音が聞こえたときには見極めが必要です。しかし、ボンネット内に格納されていることから、車内には聞こえづらいことが難点です。
ここからは、車の変な音の原因がエンジン回りの場合について紹介します。
ファンベルトやタイミングベルトは、エンジンの動力を周囲の補器類に伝える役割があります。
ベルト類はゴム製で、雨水がついたり劣化してきたりするとキュルキュルと音が鳴ります。雨水が原因の場合は時間と共に改善しますが、劣化が進んでいることが原因で音が鳴っている場合には交換が必要です。
劣化した状態のベルト類を放置していると、突然ベルトが切れてしまうリスクが高くなります。もしベルトが切れるとエンジンが停止し、車を動かせなくなってしまうため注意が必要です。
雨水の可能性が低く、キュルキュル音が聞こえたら点検・交換を行いましょう。
アクセルペダルを踏み込んだときにエンジン内部から聞こえるガラガラまたはゴロゴロといった音は、オイルの劣化や不足、異常燃焼が原因です。
エンジンオイルには、エンジン部品が動作するときに摩耗するのを防ぐ潤滑の作用があります。エンジンオイルが不足すると、エンジン部品がぶつかり合い、摩耗してしまいます。
走行中は停車し、専門家に点検を依頼しましょう。なお、停車後直ぐにボンネット内を触ることは危険です。自分でエンジンオイルの残量を確かめたいときにも、エンジンを切ってしばらく時間を置き、エンジンが冷めてから確認を行いましょう。
オルタネーターは、エンジンの動力によって生まれたエネルギーを電力に変えて、バッテリーに蓄える部品です。故障するとアクセルやブレーキの効きが悪くなったり、電装品に異常が出たりします。
基本的には故障するリスクの低い部品ですが、走行距離が長い車や年式が古い車だと、故障の可能性があり修理や交換が必要です。
オルタネーターが故障すると、バッテリーの充電ができず電圧が低下し、メーターパネル内にあるバッテリー警告灯が点灯します。「ヒューン」といった音が聞こえたらバッテリー警告灯がついていないか確認しましょう。
「カリカリ」「キンキン」「カンカン」という音はオーバーヒートの兆候で、冷却水不足が原因です。
稼働中のエンジンの燃焼室は1,000度を超えており、冷却水はオーバーヒートを起こさないようエンジンを冷やす役割があります。冷却水が不足していると、正常にエンジンが冷却できず、エンジンがオーバーヒートしてしまうのです。
初期症状は「カリカリ」といった音で、症状が進行すると「カンカン」「キンキン」といった音が鳴ります。エンジンが焼け付き、走行不能となってしまうため、金属音が車から聞こえた際には安全な場所に車を停止させ、ロードサービスなど救助を依頼しましょう。
ウォーターポンプが劣化し正常に作動しなくなると「ガラガラ」といった異音が発生します。
ウォーターポンプは冷却水の流れをつくる役割があり、故障し冷却水が正常に送れなくなると、エンジンがオーバーヒートを起こしてしまう恐れがあります。
ウォーターポンプの修理は3,000円程度ですが、エンジンが焼けてしまい交換するとなると数十万円の費用が必要です。ウォーターポンプのトラブルは、水温計を確認することでも調べられます。
高い修理費用を支払うことになる前に、車の異常を確認したらなるべく早く点検・修理を受けましょう。
車の変な音の原因が足回りの場合
変な音の発生源は、エンジンルームだけではありません。足回りから変な音がする場合、ブレーキパッドのすり減りやギア・ベアリングのトラブルなどが考えられます。
足回りの部品から出る異音は、場所の特定がエンジンルームよりも簡単です。なかには性能に問題のないものもありますが、エンジンルームから聞こえる変な音と同じく、なるべく早く場所を特定し適切な修理・交換が必要です。
ここからは、車の変な音の原因が足回りの場合について紹介します。
「ゴーゴー」という音は、トランスミッションやハブベアリングの故障が原因で発生します。車はエンジンの動力をトランスミッションやディファレンシャル・ギヤが回転し、タイヤを動かして走行します。
特にハブベアリングは車体とホイールをつなぐ役割があり、タイヤと共に回転しているため常に負荷がかかっている部品です。劣化したハブベアリングをそのままにして走行すると、その周辺の部品も損傷してしまう恐れがあります。
ハブベアリング自体の寿命は10年近くあり、車検のタイミングで見てもらえる部品ですが、車を走らせているときに「ゴーゴー」という音が聞こえたら点検を受けましょう。
「キーキー」音はブレーキからする場合が多く、その場合はパッドとローターの摩擦やパッドの残量不足が原因です。
車のブレーキは、ブレーキパッドがローターを挟み込むことで制動力を発生させる仕組みです。ブレーキパッドとローターのあたり方に問題があり、たまたま音が鳴った場合は特に心配は要りませんが、頻繁に音がする場合はブレーキパッドのすり減りを疑いましょう。
なお、純正のブレーキパッドは残量が少なくなると、あえて「キー」と音が鳴る仕組みで、ドライバーにブレーキパッドの交換時期を知らせています。
ブレーキパッドの交換は5,000km走行毎が目安です。
足元からの「ゴー」という鉄板が擦れるような低い音は、ブレーキキャリパーの錆び付きが考えられます。
ブレーキキャリパーとは、ブレーキに関わる部品のひとつで、ブレーキパッドの動きを制御する役割があります。
ブレーキキャリパーは錆びやすく、程度によっては走行してブレーキを繰り返し踏んでいると自然と錆び付きも取れるので、過度な心配は要りません。
しかし、錆が浮いた状態で長期間放置してしまうと、錆が固着して走行できなくなる恐れがあります。このような場合には研磨や交換などの対処が必要です。
普段あまり車を使用しない方は、ブレーキキャリパーの錆び付きに気をつけましょう。
車の変な音の原因がマフラーの場合
エンジンから排出されるガスをそのまま外気に放出すると大音量が発生したり、有毒成分が排出されたりしてしまいます。車体下にある筒状の「マフラー」と呼ばれる部品は、音を鈍くしたり排出ガスを抑制したりする役割があります。
マフラーから異音が聞こえる場合は、排気システムにトラブルが生じている可能性があり、なかには大きな事故につながるケースもあるため注意が必要です。
ここからは、車の変な音の原因がマフラーの場合について紹介します。
低音の「ボー」という音は排気漏れの兆候で、マフラーやフロントパイプに腐食や接合部のズレなどのトラブルが生じていることが原因です。
排気ガスには、水分が多く含まれており、外気との温度差が大きいと結露のようにパイプ・マフラー内に水が溜まってしまいます。そこから錆が発生し、腐食して穴があいてしまうことで排気漏れが生じます。穴の箇所を特定することも含めて、早めに点検・修理を受けましょう。
マフラーが正常であれば、音を小さく抑える効果から排気音はそこまで気になりません。普段は気にならない排気音が気になるような状況であれば、排気系のトラブルが考えられます。
「カラカラ」という音は、排気系に異物が混入している可能性があります。石やゴミがマフラーから混入してしまった場合には、こうした異音が発生します。
また、消音効果のあるパイプが外れ落ちてしまっていたり、内部のセラミックが剥がれていたりすることも原因のひとつです。
セルフメンテナンスで対処するのは難しいため、整備工場に車を持っていき原因を調べてもらいましょう。
マフラーに異常があると、消音効果が正常に得られず、周囲に迷惑をかけてしまう恐れがあります。特にカスタムしたマフラーは異常が出やすいため、定期的な点検が必要です。
排気系から「カンカン」と音が聞こえる場合は、遮熱板やマフラーがボディに干渉している可能性があります。
遮熱板は、エンジンの熱気を遮断する役割のあるプレートです。本来ならしっかりと固定されていますが、金具が劣化して固定する力が弱くなり、エンジンの振動で変な音が聞こえます。
走行中にもカンカン音が聞こえる場合には、マフラーと車体が擦れている可能性が高い傾向です。しばらくしても音が続く場合には、干渉部分を修理する必要があります。修理費用の目安は、数千円~2・3万円程度です。修理で対応できるのか、交換になるのかによっても金額が異なります。
スタビライザーは、車体の傾きを抑えて車内の快適性を保つ役割があります。スタビライザーが劣化してしまうと、路面からの衝撃を抑えられず乗り心地が悪くなってしまいます。
また「コンコン」と音がする場合は、アッパーマウントが故障している可能性があり、劣化を放置することは危険です。
どちらも駆動系に影響があるため、早めに点検を受けましょう。
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車から変な音がする場合の対処法
外出先や走行中に、異音に気づくこともあるでしょう。普段行きなれている整備工場が近くにない状況でも、ロードサービスを活用したり、ディーラーや自動車整備工場に点検を依頼したりすることで、車のトラブルを解消できます。
また、早くに点検を受けようとしても、整備工場や時期によっては予約が取れない場合もあり、緊急性が高いときには別の対処方法を検討することが必要です。
ここからは、変な音が車からする場合の対処法について紹介します。
異音がする場所を特定できていない場合や、変な音が鳴る原因が分からないまま走行を続けることは危険です。まずは異音の原因を特定するために、専門業者に点検を依頼しましょう。
整備士を派遣して、その場で原因を調べてくれるサービスに対応している業者もあります。
しかし、人が出払っていたり、整備工場の予約が立て込んでいたりする場合には、派遣を断られてしまう可能性があります。このような際には、近くのガソリンスタンドや、車に詳しい知人に見てもらうのもひとつの手段です。
緊急時は、修理・交換は後に回して、異音が発生している場所の特定を優先させましょう。
加入しているロードサービスや保険会社に連絡することで、専門家の派遣や適切な対処法を教えてくれます。また、加入プランやサービス内容によっては、専門家を派遣してくれたり、提携しているロードサービスを手配してくれたりすることが特徴です。
もしロードサービスに加入していない方でも、有料で対応してくれる業者もあります。点検作業だけであれば、10,000~20,000円程度が目安です。
夜間の対応や特殊な措置が必要な場合には追加費用が発生する場合があります。万が一に備えて、事前に業者や加入プランを見直しておくと安心です。
変な音がしたまま走行を続けてしまうと、なかには危険な事故につながる恐れもあるため、無理な走行は控えましょう。