車のリレーは耐久性が高く、簡単に故障する部品ではありません。しかし、消耗品であるため永久的に故障しないものでもなく、不調が感じられた際には、完全に故障してしまう前に適切な対処が必要です。
リレーはカー用品店やホームセンターなどで簡単に入手ができるため、場所の特定さえできれば比較的簡単に交換が可能です。
この記事では、車のリレーの役割や寿命、故障した際の症状から原因・対処法まで詳しく紹介します。
車のリレーが故障する前に点検しよう!
車のリレーは、電磁石を利用して電流のON/OFFを切り替えるスイッチの役割を担っている重要な部品のひとつです。耐久性が高く、簡単に故障する部品ではありませんが、万が一トラブルを起こしてしまうと車を正常に動かせません。
今回は、車のリレーの役割や故障した際の症状、故障する原因などについて詳しく紹介します。また、リレーが故障したときの対処方法についても解説しているので、車のリレーに関してお悩みの方は要チェックです。
車のリレーとは?
車のリレーは、ライト類やワイパーなど車に搭載されている電装品へ電気を運ぶ中継部品です。車には数多くのリレーが付いており、電磁石を使って小電流で大電流のON/OFFを制御します。小さな電流で大きな電流を制御できるため、車の電装品で広く使用されていることが特徴です。
ヘッドライトやエアコンなどの高電力が必要な装置を、直接スイッチで操作するのではなく、リレーして作動させることで効率的に動作します。
語源は運動会のリレーに由来しており、電力を後ろにつないで行くことが、リレーのバトンをつなぐことに似ていることから名付けられました。
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リレーの役割
リレーは、小電力で大電力を制御し、複数の電装品を支えて電流の急増を防ぐことが役割です。また、リレーは回路の保護にも一役買っており、電装品に一気に大電流が流れ込むことを防ぐクッションの役割もあります。
発電所でつくられた電気を家庭に分配する変電所をイメージすると、リレーの役割が分かりやすいでしょう。
プッシュスタートシステムをONにすると、バッテリーから他のシステムに電流が流れます。リレーがトラブルを起こしている場合は、車を正常に動かせません。リレーは車の快適性を保つために、欠かせない役割をもっています。
リレーはコイルと接点で構成されており、電装品のON/OFFを制御する汎用性の高い電気部品です。コイルに電流を流すと、電磁石の力で接点が動いて回路を開閉します。
スイッチがOFFの状態で、リレーが作動していないときは、バネの力で接点が離れた状態になっていますが、スイッチが入ると接点が閉じて電流が流れる仕組みです。この仕組みを利用することで、小電流を流すだけで、大電流の制御が行えます。
構造や仕組みがシンプルであることから、車の電装品に限らず、家庭用電気製品にも多く用いられていることが特徴です。
リレーは「ヒンジ型」と「プランジャ型」に分けられ、用途や電気容量に応じて使い分けられています。
ヒンジ型は、構造的に簡単で使用頻度が高いことが特徴です。電磁石の接極子が支点を中心に回転することで、接点の開閉を行います。
プランジャ型は、発生する磁力が強く稼働距離を稼げることが特徴です。大容量リレーに用いられ、接触部をプランジャ型電磁石によって駆動させることで接点の開閉を行います。
どちらも基本的な理論は変わりませんが、電気容量や中継距離によって使い分けられていることがポイントです。
リレーの寿命はどのくらい?
リレーは耐久性が高く、寿命がとても長いパーツです。しかし、用途や環境によって寿命は異なるでしょう。また、ガソリン車なのか、ハイブリッドシステムを搭載した車なのかによっても搭載しているリレーは違いがあります。
ここからは、リレーの寿命はどのくらいなのかや、リレーを長持ちさせる方法はあるのか詳しく紹介します。
リレーは電気の中継地点として、車が作動する際には常に動いている部品です。そのため、一般的には10万回以上の動作に耐えられる高い耐久性を持っています。消耗品ではありますが、リレーが寿命を迎えてしまう前に、セルモーターやオルタネーターが寿命を迎えてしまうことが大半です。
しかし、いくら耐久性に優れているといっても、リレーが永久に使えるわけではありません。経年劣化や酸化によって、コイルが発する磁力が低下する場合があり、磁力が弱くなってしまうと接点を上手く接続できず通電に支障をきたしてしまいます。
メインリレーは耐久性が高く、モーターで走るハイブリッド車ではとくに強化されているため、寿命が短くなることはほぼないと言われています。メインリレーは、各パーツに用いられているリレーに比べて、素材的にも構造的にも持続性と耐久性に優れていることが特徴です。
メインリレーが故障すると、車は走れなくなってしまいます。他のパーツのリレーより先にメインリレーが寿命を迎えることは、まず無いでしょう。
しかし、過電圧などのトラブルが生じた場合は、耐久性の高いリレーでも故障してしまう恐れがあるため、注意が必要です。
メインリレーが故障した際の症状
メインリレーは重要な役割を担っていることから、故障してしまうと電装品が正常に作動しなかったり、エンジンの始動不良が起こったりと、深刻なトラブルにつながる可能性があります。
ここからは、ガソリン車とハイブリッド車それぞれのメインリレーが故障した際の症状について、詳しく紹介します。プロでないと見極めが難しいケースもあるため、要チェックです。
メインリレーの不具合は全電装品に影響し、とくに燃料ポンプ制御でエンジンの始動不良を引き起こすことがあります。しかし時間が経過すると、この症状は収まってしまうケースが多く、バッテリーの電圧不足やセルモーターの劣化など、他の部品の不具合と混同しやすいため、注意が必要です。
また、不調は気温の高い夏に起きやすく、夏場にエンジンがかかりにくいと感じる場合は、メインリレーが故障している可能性があります。
メインリレーのトラブルは、ほかの電装品とも関連していることから、ダッシュボードの警告灯が点灯したら、点検を受けるようにしましょう。
ハイブリッドシステムの不具合は複雑で、起こりうる症状には、走行不良から気が付きにくい程度の加速力や燃費性能の低下まで様々です。メインリレーの故障なのか、他の部品か故障しているのか判断がプロでないと難しいため、専門診断が必要です。
ハイブリッド車のメインリレーは高電圧を扱っているため、故障して交換が必要になってしまうと、費用が高額になる可能性があります。
故障の程度と修理方法は製造メーカーの整備工場などが所有している専用の診断機器を使用しないと判断できないケースもあるため、まずは業者に問い合わせましょう。
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【症状別】リレーが故障する原因
リレーは車の部品のなかでも耐久性が高いですが、車の環境や使用方法などによっては故障を引き起こしてしまう恐れがあります。過電圧や経年劣化など、故障する原因を知っておくと、リレーの故障を防ぐための手段も考えられるでしょう。
ここからは、どのような状況や環境がリレーの故障を招くのか、症状別に原因を詳しく紹介します。
過電圧によってリレーのコイルが熱で溶けて接触すると「レアショート」が発生し、電装品が作動しなくなります。
レアショートとは、熱に耐えきれずコイルが焼き切れてしまい、電磁石としての役割が果たせなくなってしまう状態のことです。
レアショートが起きると、スイッチをONにしても電装品が作動せず、正常に車を動かせません。原因は外的要因による被膜の損傷や、空気中の湿気が被膜に侵入して性能が低下する高湿度などの環境が挙げられます。
レアショートを防ぐには、日常の点検や環境に応じた設備管理が不可欠です。
電磁石であるコイルに比べるとリレーの接点部分は熱に弱く、癒着すると開閉ができずに通電しっぱなしになってしまいます。
リレーの役割は、電装品への電流を繋いだり切ったりすることから、繋がりっぱなしな状態は、リレーとしての役割を果たせていません。大容量リレーに使用される「プランジャ型」よりも、「ヒンジ型」のほうが許容電圧が低く、不具合が起こりやすいのが特徴です。
なお、繋がりっぱなしの状態だとスターターに負担がかかってしまい、スターターが故障してしまいます。スターターが故障してしまうと、車はエンジンがかけられず動かせません。長年車を使用している場合は要注意です。
リレーは耐久性に優れており簡単に壊れるパーツではありませんが、永久的に使えるわけでもありません。長年使用している車の場合は、経年劣化・寿命が考えられるでしょう。
リレーは10万回の動作に耐えられるようつくられていますが、経年劣化によって磁力低下が起きると、接触不良につながります。接触不良が起きると、動作が間接的になったり通電しなかったりします。
また湿気が多く接点が腐食してしまう場合も接触不良が起きてしまうため、注意が必要です。電装品への電気供給ができないと、コイルが劣化したときと同様の症状が発生します。
各電装品のリレーが故障したときの対処法
リレーが故障した際、場所の特定さえできればセルフでの修理が可能です。しかし、場所の特定は難しく、上手くいかない場合もあります。「自信がない・面倒に感じてしまう」という方は、無理をせずにプロへの依頼も視野に入れましょう。
ここからは、各電装品のリレーが故障したときの対処法について紹介します。
リレーが故障してしまったとき、自分で新品交換を行えます。専門的な道具は必要ないため、車のメンテナンスに慣れていない方でも比較的簡単に行えるでしょう。
リレーはカー用品店やホームセンターなどで購入できます。電装品に使われているリレーも、ハイブリッドシステムに用いられている特殊な物でない限り数百円で購入可能です。
セルフメンテナンスの場合、作業料金は発生しないため、費用を抑えられることがメリットですが、手間や時間がかかってしまうため、時間に余裕をもって行いましょう。
もし自分でリレーの交換を行ったのにも関わらず、すぐに故障してしまう場合にはプロに依頼しましょう。
部品交換後にすぐに再度故障してしまう場合には、過電流が原因の可能性が高い傾向です。過電流の場合は、専門的な知識や技術が必要であるため、ディーラーや自動車整備工場に持ち込み、点検を行ってもらうことをおすすめします。
なお、プロに依頼する場合には作業料金が発生するため、事前に見積もりをとっておくと安心して依頼できるでしょう。汎用リレーは、数百円程度で購入ができます。作業料金は数千円程度をみておきましょう。
リレーは数多くあり、不具合を起こしている場所の特定も難易度は高めです。ボンネット内部を触るのは抵抗があるという方や、セルフで行うのは面倒と感じてしまう方は、初めからプロに依頼することをおすすめします。
また、リレーの交換はまったく危険がないというわけではありません。リレーは電気を扱う部品であるため、感電のリスクもあります。事前準備をしっかりと行っておくことで感電は防げますが、不安に感じてしまう場合は、ディーラーや自動車整備工場に依頼しましょう。
なお、ハイブリッド車は構造も複雑であり、より専門的な知識と技術が必要です。信頼できる業者を選ぶことが重要です。
メインリレーが故障した際の対処法
各電装品のリレーは数百円程度で入手が可能でしたが、メインリレーとなるとそうではありません。より専門的な知識と技術が必要であるため、基本的にはプロに依頼します。
メインリレーが故障してしまった場合は、車が動かせず困ってしまう方も多いでしょう。ここからは、メインリレーが故障した際の対処法について紹介します。
リレーの不具合は、エンジンの始動不良を引き起こすほかにも、全電装品に影響を及ぼします。しかし、時間が経過することで症状が収まってしまうこともあり、メインリレーの不具合だと特定することは困難です。
また、エンジンオイルや冷却水のように、状態を目視で確認ができません。こうした理由から、セルフでの修理は大変難しいでしょう。
故障時には自力での復旧が不可能であることから、専門家に依頼して、点検を行ってもらう必要があります。もし自走ができない状態であれば、ロードサービスにレッカー移動を依頼しましょう。
ハイブリッド車には200V以上の高電圧システムが用いられています。ハイブリッドシステムを搭載した車の場合は、感電して大けがをしてしまう恐れがあるため、自分では触らずにプロに依頼しましょう。
通常時であれば、ハイブリッドシステムで使用している電力は車内に流れ込まない仕組みになっています。しかし、事故などによって車が破損している場合には、車内に電流が流れ込んでしまう可能性もあります。感電してしまわないよう、車の破損時には車からすぐに離れてプロに救助を依頼しましょう。
ハイブリッド車のメインバッテリーの交換費用はおおよそ30,000~50,000円程度です。
メインリレーが故障したときは、まずディーラーや自動車整備工場で不調の原因を追究しましょう。持ち込んで専門家に見てもらってから、各電装品を担当しているリレーが故障している場合、交換を依頼するか、自分で修理するか選びます。
車種によって、リレーの付いている場所は異なります。ネットで情報を調べたり、取扱説明書を確認したりして交換を行いましょう。
汎用リレーの場合はそこまで費用もかからず、古いリレーを外して新しいリレーをはめるだけです。自信がある場合は、自分で交換することに挑戦してみても良いでしょう。
燃料ポンプ用リレーは、2,000~3,000円で交換は専門知識が必要です。また、ハイブリッド車のメインリレーは30,000~100,000円と高額で、高い知識と技術が求められます。