春は新生活の始まりの季節です。車を買って新生活に備えたい人にとって、購入費用の捻出は大きな課題でしょう。

カーローンを検討しても月々の返済が高額になるケースも少なくありません。そこで、「残価設定ローン」を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事では、新車の購入を検討している方に向けて、残価設定ローンのメリットやデメリットについて紹介します。

この記事を読めば、支払い方法の仕組みや他の方法との違いが分かります。

新車の購入を検討しているなら残価設定ローンも押さえておこう!

新車を購入したい場合、多くはカーローンの借り入れを検討するでしょう。しかし、昨今の物価高によって車両価格は高騰しています。そのため、月々の支払額も高額になりがちです。

そこで、残価設定ローンを検討してみてはいかがでしょうか。様々な支払方法を知っておけば、自分にあった返済プランを取捨選択できます。無理のない範囲で新車を購入するためにも必要な知識をおさえておきましょう。

残価設定ローンとは?

残価設定ローンとは?
残価設定ローンとは、新車購入時に契約するカーローンにおいて支払金額の一部を「残価」として取り置き、最終回の返済時に一括で返済する方法です。

残価以外の金額については、通常のカーローンと同様に支払期間に応じて月額支払いに割り振ります。そのため、通常のカーローンと構造が異なる点に注意しましょう。

残価設定ローンの構造

残価設定ローンでは、全体の支払金額が「月額払いで支払う部分」と「最後に一括で支払う部分」の2つに分かれています。

はじめに借入期間に応じた最後に一括で支払う部分である「残価」を設定します。そして、残価を差し引いた残りの金額を月額払いで支払うという構造をとっています。

そのため、残価を設定していても支払総額は変わらない点に注意しましょう。借入額は減らせません。

また、設定された残価は車の下取り価格に該当します。そのため、価格を担保するためにも、通常のカーローンと異なり走行距離やカスタマイズなどが契約上制限されているケースが多い点が特徴です。

さらに、借入額に対する利子は月々の支払い分だけでなく、残価に対してもかかってくる点に注意しましょう。

審査の通りやすさ

残価設定ローンであれば、無担保で借り入れるカーローンと比較すると事前審査におけるハードルは低くなっていると言われています。

ただし、審査の通りやすさが通常のローンと比べて通りやすいわけではない点に注意しましょう。なぜなら、残価を据え置いていたとしても、審査の対象になる借入額は残価も含めた金額であるためです。

審査される借入額はローンの種類が変わったとしても、金額は変わりません。とはいえ、返済負担率の観点から考えると残価設定ローンは大きなメリットがあるでしょう。

返済負担率とは、年収に占める年間の総支払額の割合です。目安は30~35%とされていますが、残価設定ローンであれば月々の支払額が低く抑えられるため、返済能力があると判断される可能性があります。

残価設定ローンの中途解約の方法

残価設定ローンの中途解約の方法
契約期間中における解約方法として、以下の3つがあります。

  • 残りの支払金額を一括返済する方法
  • 下取りに出す方法
  • 売却する方法

一括返済は、支払いの最後に据え置いている残価を含めて、残りの残債を一度に払いきります。返済が完了するため、車の所有権は自分に移る点がメリットです。また、返済期間中の金利負担をなくせる点も利点です。ただし、一度に大金を支払わなければならないため、貯蓄に余裕がある人にしか選べない方法といえます。

下取りに出せば、下取り価格を残った金額の返済に充てられます。下取りに出す相手はローンを組んだディーラーになるでしょう。とはいえ、下取り価格と残債に差額が生じるケースもあるため注意が必要です。下取り価格が残債より高ければ問題ありませんが、低ければ追加で支払わなければならず、リスクのある方法といえます。

下取りに出さずに、中古車買取業者へ車を売却する場合、所有権の有無に注意しましょう。返済途中であれば、所有権はディーラーもしくは信販会社にあります。そのため、売却したい場合は所有権を移譲してもらわなければならず、残債は一括で支払う必要があります。売却額が支払いに充てられる可能性はあるものの、残債よりも売却額が低額であれば追加の手出しが必要な点に注意しましょう。

残価設定ローン満了時の選択肢

残価設定ローン満了時の選択肢
ローン契約が無事に満了した場合、その後の選択肢として、以下の3つがあります。

  • 下取りに出す
  • 新しい車に乗り換える
  • 買い取る

下取りは残価の支払いを回避する方法の一つです。契約開始時に残価は固定額として設定しています。その残価が車の下取り額に該当するため、支払い義務が免除されるのです。ただし、事故による損傷がない、走行距離の制限を守っている、といった前提があって実現します。契約時の条件を満たしていなければ差額を請求されるケースもある点に注意しましょう。

新しい車に乗り換える場合、返済期間が終了した車はディーラーや信販会社に返却します。そして、新しいローン契約を結びます。買い替え時のローン契約に引き続き残価設定ローンを利用したり、通常のローン契約を利用したり、どちらでも制約はありません。

そのまま車に乗り続けたい場合は、残価を支払って買い取る方法をおすすめします。最終回に据え置いた金額については、現金で一括支払いするか、再度ローン契約を結ぶか、どちらかの選択肢から選べます。

残価設定ローンの契約期間はどのくらい?
残価設定ローンの契約期間は一般的に3年~5年です。
3年で区切る場合、最初の車検前のタイミングが該当します。傷や故障も起きにくく、需要も下がりづらいため、乗り換えを検討しているのであれば、おすすめのタイミングです。
5年目で区切る場合、2回目の車検前やメンテナンスの必要性が出てくる時期が該当します。無駄なメンテナンス費用を支払う前に乗り換えを検討するのであれば、このタイミングもおすすめです。

残価設定ローンのメリット

残価設定ローンのメリット
複数ある車の支払方法の中で残価設定ローンには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

月々の負担を抑えられたり、乗り換えしやすかったり、様々な特徴があります。自分にとって魅力的な内容があれば、今後購入を検討する際の選択肢になるでしょう。

ここからは、残価設定ローンのメリットについて紹介します。

月々の負担が軽減される

1つ目のメリットは、月々の返済による負担を軽減できることです。

残価設定ローンは、まず残価を設定し、残価を差し引いた金額を契約期間に応じた月数で割ります。そのため、総額を月割りした返済額よりも低く抑えられる点がメリットです。

この方法を活用すると、高価格帯の車に乗れる可能性が高くなるでしょう。月々の負担が気になり、乗りたくても乗れなかった車に手が届くかもしれません。

また、高価格帯の車でなくても、月々の返済額が抑えられれば家計への負担も軽減されます。無理な金額でなければ、貯蓄や他の趣味にお金を充てられるため、生活が豊かになるでしょう。

常に最新の車に乗れる

2つ目のメリットは、常に最新の車を試せる点です。

残価設定ローンは契約期間が短期間であることが多いためです。また、新車に乗り続けることは安全面でも大きな利点があります。技術は日進月歩の進み具合で進化しており、新しい安全機能であったり、便利機能であったりが毎日のように発信されています。

車を安心して乗り続けるためにも、最新の技術が詰め込まれた車種に乗り換えやすい点は、金銭面以上のメリットがあるでしょう。

乗り換えやすい

3つ目のメリットは、乗り換えのしやすさです。そのため、短期間で次々と様々な車に乗りたい人におすすめな仕組みといえます。

とはいえ、お得に乗り換えるためには条件があります。それは、新車であれば同じメーカーの車を選び続けることです。残価設定ローンにおいては、契約中の車と同じメーカーの車種を選べば、乗り換え時に残っている残価を支払わなくてもよいとされています。

いろいろな車に乗りたいけれど、できるだけ乗り換え時のコストを抑えたい人にとってはおすすめの方法です。

契約満了後は購入した店舗に車を返却するだけで、簡単に乗換えられる点が残価設定ローンの魅力です。

売却価格の最低額が想定ができる

4つ目のメリットは、売却価格の最低額が事前に想定できる点です。

契約時に設定された残価は、契約満了時の車の評価額といっても過言ではありません。また、その金額は契約満了時まで変わらない点が特徴です。

固定された金額は売却時に最低金額として、買取業者は査定します。一定の金額は担保された状態で車に乗り続けられるため、中古車市場のトレンドや動向を気にせず、売却のタイミングも意識する手間が省ける点は大きなメリットでしょう。

残価設定ローンのデメリット

残価設定ローンのデメリット
メリットの多い印象を受ける残価設定ローンですが、デメリットももちろんあります。金利面や契約上の注意点、様々な制約条件など、ローンにまつわる注意点を知った上での検討が重要です。

ここからは、残価設定ローンで注意したいデメリットについて紹介します。目先のメリットではなく、デメリットも理解したうえでローンは契約しましょう。

銀行のカーローンより金利が高い

1つ目のデメリットは、金利面です。ローンなどお金を借り入れる際に注意したいポイントとして金利が挙げられます。

残価設定ローンはディーラーローンよりも金利は低く設定されていますが、残価にも金利がかかる点は意識しておかなければなりません。

金利が低ければ支払う金額も少なく思えますが、利息の総額は同程度になることも少なくありません。また、銀行のカーローンと比較すると金利は高くなるケースが多いようです。

できるだけ支払う利子を少なくしたい方にとっては、残価設定ローンは不向きといえるでしょう。

走行距離に制限がある

2つ目のデメリットは、ローン契約期間中の走行距離に制限がある点です。超過すると最終清算時に追加費用が発生するケースがあるため注意しましょう。

その理由として、走行距離と車の価値が関係しています。一般的に走行距離がかさんでいる車は価値が低くなります。なぜならば、走行距離に応じて車体に蓄積されるダメージが大きくなるためです。いくら年式が新しいとはいえ、過走行気味の車は中古車市場でも価格が安い傾向にあります。

残価設定ローンにおいては、当初に設定した残価よりも価値を下げないためには走行距離に制限を設けるのが一般的です。通勤や趣味で長距離運転をしがちな方は、残価設定ローンを契約すると思いがけない出費につながるかもしれません。

売却または残価精算が生じる

3つ目のデメリットは、契約を満了した車に関する手続き方法が返却もしくは残価の清算に限られることです。

残価設定ローンは原則として、契約満了後は車をディーラーへ返却しなければなりません。もしくは、同じメーカーの車へ乗り換える必要があります。これら2つの選択肢以外には、残価を支払い買い取らなければなりません。そのため、ローンの支払期間が終わったとしても、自動的に車の所有権を入手できない点に注意しましょう。

同じ車に乗り続けるためには、一括で残価を払いきらないとならないため、家計に大きなダメージを与えかねません。

乗り換えは同一メーカーの車種に限定される

4つ目のデメリットは、契約満了時に乗り換える場合、選択肢が同一メーカーの車種に限られる点です。

前述の通り、残価を支払わない場合、車は返却するか乗り換えしか選択肢がありません。乗り換えを選んだとしても、車は購入した販売店へ返却し、同じメーカーの取り扱われている車種の中から新たな車を選びます。

もし、他メーカーに乗り換えたい場合は残価を一括で清算しなければなりません。様々なメーカーの車を楽しみたい人にとっては制限がある契約になるでしょう。

所有権はディーラーにある

5つ目のデメリットは、契約期間中の車の所有権はディーラーにある点です。そのため、契約期間中に売却したくなったとしても、自由にできません。

とはいえ、所有権については他のカーローンと条件は変わりません。どのローン契約を選んだとしても、契約期間中の所有権は資金を貸した側にあるため、契約期間中に売りたくなった場合は残債を一括で支払い、買取後に所有権を自分に委譲しましょう。手続きに時間を要する点は意識しておかなければなりません。

残価を上回る価値があると損失が生じる

6つ目のデメリットは、残価を上回る価値がついた場合に、その恩恵を受けられない点です。

残価は最終支払い後の車の評価額に値します。とはいえ、契約期間中における価格変動に影響を受けないため、査定額のベースも残価から大きく変わりません。

しかし、リセールバリューの高い車を選んでしまうと、残価に対して本来の査定額が高額になるケースが多々あります。通常のカーローンで購入していれば得をしていたと後悔することもあるでしょう。

残価設定ローンでは、車のカスタマイズはできないのでしょうか?
残価設定ローンは車をディーラーに返却することを前提とした契約です。そのため、返却後の車の用途を考慮し、カスタマイズを禁止しているケースが多くなっています。
とはいえ、車好きの人であったり、憧れていた車に乗る人にとっては、自分の好みに合わせてパーツの付け替えなど楽しみたい人は多いでしょう。
車を自分の好きなように改造したい方にとって、残価設定ローンの利用は不向きだといえます。

残価設定ローンとそれ以外の契約方法を比較!

残価設定ローンとそれ以外の契約方法を比較!
車の購入にあたって、ローンなど購入資金に関する契約方法は様々です。そのため、自分にあった支払い方法を見つけるためにも、用意された選択肢を比較検討しなければ最適な方法は選べないでしょう。

ここからは、残価設定ローンと、それ以外の契約方法である「現金購入」「通常のカーローン」「カーリース」を比較していきます。

残価設定ローンと現金購入を比較する

残価設定ローンと現金購入を比較した場合、総支払額と資金繰りについて検討しましょう。

残価設定ローンの場合、月々の負担は軽減されます。現金購入は一回で支払いきってしまうため、月々の支払いがなくなります。これらは、それぞれの方法の特有のメリットでしょう。

しかしながら、残価設定ローンであれば金利が加わるため、現金購入に対して、総支払額が高額になります。一方で、現金購入は一度に大きなお金が必要になるため、金利負担はないものの、資金繰りは難しいでしょう。

資金繰りは簡単ではあるものの、トータルの負担が大きくなる残価設定ローンと、資金繰りは難しいものの月々の負担は無くなる現金購入の違いを念頭に支払方法を検討しましょう。

残価設定ローンとカーローンを比較する

残価設定ローンとカーローンを比較する
残価設定ローンと通常のカーローンであれば、月々の負担度合いと借り入れ後の自由度の違いが注意点です。

残価設定ローンであれば月額の負担は少ないものの、カスタマイズといった自由度は低くなっています。通常のカーローンであれば、月々の支払いは高くなるものの、満了後は自分のものになるため自由度は高くなります。

カスタマイズなどの自由度を重視せずに、月々の負担を下げたければ、残価設定ローンはおすすめです。

残価設定ローンとカーリースを比較する

残価設定ローンとカーリースを比較する場合、契約期間の長さや車両価格以外のコスト面での違いに注意しましょう。

残価設定ローンは契約満了後に残価を支払えば所有権を取得できます。また、契約期間も比較的短期にまとまります。

一方で、カーリースの場合、契約期間は比較的長期です。また、契約満了後に所有権は取得できません。しかしながら、月額使用料に税金を含めた維持費が含まれているため、追加のコストは発生しづらくなっています。

支払いをいつ終わらせたいのか、追加料金のリスクをどの程度許容できるのかを検討しましょう。

残価設定ローンの維持費はどのように扱われますか?
残価設定ローンを契約した場合、月々の支払いは車両価格の分割代金以外にも、燃料代や検査料金、保険など様々な維持費を必要とします。そのため、車に乗り続けるためには、月々発生する維持費の変動を乗り越える必要があるでしょう。
もし、月々の支払いを平準化したい場合はカーリースがおすすめです。

まとめ

①残価設定ローンは、残価と月々の支払いを分けて組み立てるカーローンの一種である
②残価を設定しているため月々の支払いは抑えられるが、中途解約の方法や満了時の選択肢に様々な制約を受ける
③車に関する費用を抑えられたり、常に最新の車に乗り換えられたりとメリットは豊富
④金利面や契約期間中に設けられた制限はデメリット
⑤他の支払方法もある中で、自分に合った支払い方法を比較検討することが重要

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