残価設定型クレジットは、多くのディーラーで提示されていますが、その内容か各ディーラーごとに多少異なります。
お得な補償サービスがついていたり、残価率が高いなど付加価値を付つけているディーラーもあります!
主なディーラーの残価設定型クレジットの内容を比較することは、利用を検討する際に役立つでしょう。また、残価設定型クレジットの賢い利用術も合わせて紹介します。
残価設定型クレジットの仕組みとは?

また、「残クレ」や「残価設定ローン」などとも呼ばれています。
・車を下取りに出して新車に乗り換える
・残価分も返済して同じ車に乗り続ける
・車を返却する

・月々の返済額がフルローンよりも少ないので支払い負担が軽減される
・下取り額が保証されている
・頭金が不要
それぞれの内容について詳しくご説明します。
残価設定型クレジットでは、残価分を差し引いた残りの金額でローンを組みます。そのため、ローン契約期間であってもフルローンよりは月の返済額が少額になります。
月々の返済額が抑えられるので経済的な負担が軽減されるでしょう。
契約時に既に下取り額が決まっています。契約終了時にどんな選択をしても損をすることがなく安心です。
ただ、事故により車を破損してしまうなど残価保証条件を満たさないと、追加金を請求されることもあります。条件に関しては契約前にきちんと確認しておいた方が良いでしょう。
車購入時に通常必要となる頭金やボーナス払いなども不要なので、経済的な負担も軽減されます。また同じディーラーの車に乗り換える際は手続きも簡単でスムーズに進むため効率的です。

・利息が高くなる
・車を返却するならカスタマイズはできない
・契約終了後に下取り額が査定額を上回ると損することもある
・事故で車を損傷した場合などは追加金がかかる
・走行距離が制限されている
それぞれの内容について詳しくご説明します。
ローンの金利は残価分を含めた車両購入額に対して設定されています。その分利息が高くなり、最終的にはフルローンよりも多く利息を支払うことになるのです。
車を返却するもしくは下取りに出して乗り換える場合、自分好みのカスタマイズをすることは禁じられています。カスタマイズした車は個人の趣味が反映されすぎており、万人受けしないので中古車として売れないからです。
下取り額は契約時に保証されていますが、逆に下取り額が上がることはありません。残価設定型クレジットで購入した車が、ローン契約終了時に中古車市場において人気車種として価値が上がり、本来の下取り額よりも査定額が高くなったとします。
それでも、据え置かれていた契約時の下取り額を上げてもらえるというわけではないので、場合によっては損することもあるのです。
契約期間中に交通事故でローン返済途中の車を損傷したとします。修理しても修復歴がつくと価値が下がるので、追加金を請求されることもあります。
さらに、全損して修理不能となったら、残価分も返済しなければならなくなるのです。
契約時に予め走行距離の上限を設けている残価設定型クレジットもあります。月に1000㎞とか1500㎞、年間走行距離を制限している場合もあります。
走行距離をオーバーすると契約終了時に「追加金」を請求されることもあるでしょう。
ディーラーによる残価設定クレジットの違い
「トヨタ」「ホンダ」「マツダ」「ダイハツ」「スズキ」など、国内にはいくつもの主要な自動車メーカーがあります。
各メーカーでは残価設定クレジットをローンの一つとして提供しています。
内容は、ほぼ一緒ですが、違う点やお得なサービスも色々とあるので新車購入前にチェックしておくと良いでしょう。
スズキの残価設定型クレジットには「かえるプラン」というものがあります。
新車も中古車も対応で、3年プランと5年プランがあります。
実質金利は低めで軽自動車は約3.9%、普通車も約3.9%なので月の返済額を減らしたい人には利用しやすいと言えるでしょう。そしてスズキ安心メンテナンスパックが無料でついてくるのも魅力です。
5年プランだと軽自動車なら約8万8000円分、コンパクトカーなら約10万4000円が無料分に当たるのでかなりお得感があります。そして残価率が高いのも特徴です。
3年プランの残価率は軽自動車で約50%、コンパクトカーは約40%です。5年プランでは残価率が軽自動車で約30%、コンパクトカーでは約20%になっています。
ホンダの残価設定型クレジットの種類は、2つあります。
- 新車対応の「残価設定型クレジット」
- 中古車対応の「Honda中古車限定 据置クレジット」
走行距離の制限が設けられており、月1000㎞もしくは1500㎞から選択可能です。またローンは3~5年で契約期間が選べます。
残価保証には条件があって、カスタマイズはNGで事故の修復歴があると下取り額が下がることもあるので注意が必要です。
ローンの返済回数と据え置き額を自分で決めることができます。
ただ、契約終了時に残価が査定額を下回った場合、差額分を支払わなければなりません。毎月5日の返済日に3000円以上の返済額、ボーナス返済は年2回までと決まっています。返済回数は12回~60回、1~5年で選択できます。
しかし、一方で最終回の支払い月は初年度登録から8年以内という条件があるので気を付けましょう。
ホンダはどのローンでも基本的に年利3.5%と決まっており、他のメーカーよりも低いのでローンが組みやすいと言われています。
日産の残価設定型クレジットの種類は、2つあります。
- 日産テーガク5
- 日産ビッグバリュークレジット
5年型の残価設定型クレジットです。特徴は通常3年のメーカー保証が5年に延長される点でしょう。オイル交換や車検などの費用が追加で加算されないのでお得です。
ただ、対象車両が限られており、ノートやルークス、セレナやフェアレディZなどです。
詳細は日産のホームページから確認できるので、チェックしてみてください。
また、走行距離の上限が設定されており、月間1000㎞もしくは1500㎞で選べます。
5年という指定がない点で「日産テーガク5」とは異なります。ローン契約期間は3年もしくは4年、5年から選べるのが特徴です。
対象車両は限定されておらず、日産のほぼすべての車両が対象となります。
残価が保証されている、契約終了時の選択肢なども一般的な残価設定型クレジットと同様です。またローン契約中でも下取りに出して、乗り換えができます。
スバルの残価設定型クレジットの種類は、2つあります。
- 安心プロテクト3
- スマートプランU
新車に対し、3年もしくは5年から契約期間を選べます。契約時の残価は保証される、契約終了時の選択肢なども一般的な残価設定型クレジットと同様です。
その他に、安心プロテクト3には大きなメリットがあります。それは、「バンパー」「ドアミラー」「ドアパンチ」の3つの故障や事故による損傷に対し、3年間の修理補償がついている点です。
中古車を対象とした、残価設定型クレジットです。
このプランは、予め最後のお支払い方法を以下の4つから決めておきます。
- 売却してお乗り換え
- 売却して終了
- 再分割して乗り続ける
- 一括払い
そして、車両本体価格から据置額(残価)を引いた残金でローンを組みます。ただ、据置額は契約終了時の車の価値を補償するものではないので、査定額が下がっていた場合は差額の支払いが必要です。
支払い回数は「36回」「48回」「60回」から選べますし、ローンも「3年」「4年」「5年」から選べます。
トヨタの「残価設定クレジット」は3~5年位で契約できるローンです。フルローンよりも金利が低く、お得だというメリットがあります。新車はもちろん、中古車でも組めるローンです。
購入以外はカスタマイズは禁止、各店舗にて決められた走行距離の上限があるなどの残価保証条件があります。条件をクリアしていないと、最終回の支払いで追加金を請求されるので注意が必要です。
また、トヨタでは「残価据置き払い」というローンもあります。新車の数年後の残価を設定する点では残価設定クレジットと同じですが、支払い回数が違います。
残価据置き払いでは、購入時に「頭金」と「手数料」を支払い、車両価格から残価を差し引いた額を契約満了時に支払います。そして、月々ではなく2回のみの支払いです。
マツダの残価設定クレジットの種類は、2つあります。
- マツダスカイプラン
- マツダアドバンテージローン
一般的な残価設定型クレジットです。走行距離は月1000㎞もしく1500㎞に決められており、走行距離などによって残価率も変わってきます。
例えば月1000㎞だと3年ローンで約55%、4年では43%、5年だと約35%、6年では約30%と年数経過により残価率は下がります。
また、ローンの金利は年利約1.99%とかなり低めなのが特徴です。
下取り額を決められた金額内において自分で自由に設定できる、据置額設定型クレジットです。
その代わり、車に対する制限がないので、自分好みに自由にカスタマイズやドレスアップができます。ただし、据え置き額は残価とは違うので契約終了時には保証されません。
契約終了時に残価よりも査定額が下回る時は追加金を請求されます。
三菱の残価設定型クレジットは「スーパーマイカープラン」というものです。
内容は、3~5年で契約期間を選ぶことができ、走行距離の上限は月1000㎞もしくは1500㎞のどちらかを選べます。
スーパーマイカープランの魅力は、「修理補償」と「修復歴補償」がついてくるという点です。
窓ガラスとドアミラー、タイヤの3つの修理補償がついてくるので、万一の事故や故障の際にも安心できます。また、事故の際の車の修復歴により下取り額が下がってしまっても、その一部を補償してくれるというものです。
ただし、他の残価設定型クレジットと同じように条件を満たしていないと、残価が保証されないこともあります。
ダイハツの残価設定型クレジットの種類は、2つあります。
- ワンダフルクレジット
- ワンダフルツイン
契約期間は3~5年で選べます。そして、レースでの使用やカスタマイズの禁止、走行距離が3年で4万㎞以内、4年で5万㎞以内、6年で6万㎞以内と上限が決められています。また、事故歴などに関する査定減点も50点以内でないと残価は保証されません。
走行距離は他のメーカーよりも高くなっているのが特徴です。
新車から3年後の残価を設定してもらい、残価を引いた額での支払いとなるローンです。
ただ、支払い回数は購入時と3年後の2回のみなので、月々返済の残価設定型クレジットとは少し異なります。
ディーラーは、新車購入を検討している人に対して残価設定型クレジットを推奨する傾向です。
残価設定型クレジットでは、3~5年という短い期間を契約期間として設定されています。しかも、月々の返済額はフルローンよりも抑えられるのです。
そのため、短いスパンで新車に乗り換えやすいのが魅力でもあります。1台の車を10年近くも長く乗る人ばかりだと新車回転率が悪く、必然的に新車もなかなか売れません。
しかし、残価設定型クレジットを利用することで、経済的に新車購入が難しい人でも短期間で新車に乗り換えることが可能になります。
結果的に、新車が市場に次々に出回り、回転が良くなりディーラーの利益も増えるということになるのです。
更に短いスパンで新車へ乗り換えるということは、年式が比較的新しい高年式で走行距離もさほど多くない、状態の良い中古車が手に入ることになるでしょう。
ディーラー系の中古車販売店にこういった質の良い中古車が出回ると取引が盛んになり、利益率につながるというメリットが生じるのです。
ユーザーが賢く残価設定型クレジットを使うコツ
残価設定ローンを利用する前に、「自分の意に沿ったローンか」「ライフスタイルにマッチしているか」などを検討することが大事です。
使った方が得な場合もあれば、人によっては損してしまうこともあります。そして、できれば残価率の高い車を選べば、乗り換えがお得にもなります。
また、中古車であっても残価設定型クレジットを利用している所もあるので、チェックしておくと役立つでしょう。
残価設定型クレジットを使った方がお得かを慎重に判断
向き不向きは残価設定ローンの特徴を理解し、それに自分や家族のライフスタイル、趣向などがマッチしているか考えればおのずとわかるでしょう。
使った方がメリットが大きいと判断できればお得です!
残価設定ローンを組んだ車は買取に出せる?買取に出すための条件などを解説
残価率の高い車種を選ぶ
少しでもお得に残価設定型クレジットを利用するには、残価率の高い車を選ぶのもポイントです。
中古車市場での人気車種は、オーソドックスな白や黒、シルバーなどのカラーの車が該当します。また、エアロ仕様の車は高級感があって見た目もスタイリッシュなので、中古車市場でも人気です。
希望車を候補に挙げる際、予算などの条件と共に残価率も意識してみましょう。
中古車でも残価設定型クレジットは適用されている
中古車でも残価設定型クレジットに対応しているメーカーはたくさんあります。
新車に比べると中古車は購入額も安く、月々の返済も抑えられるのでかなり経済的です。そのため、中古車に手が伸びるお客さんも多く、ディーラーでも中古車の購入の際も残価設定型ローンを推奨しています。
ただ、気を付けたいのが「据置額(残価)」が保証されていない場合が多いという点です。ローン契約終了時の査定額は、据置額を下回ると差額分を追加請求されることもあると頭に入れておきましょう。