残価設定クレジットとカーリースはよく似ているので、違いが分かりにくいという人も多いかもしれません。
「車両本体価格」から「残価」を差し引いた残金でローンやリース契約を行う点は似ています。しかし、月々の返済や維持費などで違いが見られるのできちんと理解しておく必要があります。
残価設定クレジットもしくはカーリースの利用を検討する前に、双方の相違点や共通点を項目別に紹介するので、比較して整理しましょう。
残価設定型クレジット(ローン)の特徴

残価は車種などによって異なり、中古車市場で人気の車種は高く設定されることもあります。さらに、残価はローン支払いの最終回まで据え置かれ、契約終了時に残価をどうするか、車を手放すかを選ぶことも可能です。
具体的には、下記の3つから選択できます。
- 車を返却する
- 下取りに出して別の車に乗り換える
- 残価を支払って買い取る
また、買い取る場合は再度ローンを組んで分割返済することもできます。再ローンの場合は金利が高く設定し直されるのが一般的なので注意しましょう。
残価設定型クレジットのメリットを紹介します。
残価設定型クレジットは車両価格から残価分を引いた金額でローンを組みます。一方、総額でローンを組むのがフルローンです。同じ支払い回数でも残クレの方が必然的に1回の支払額が少ないです。
車の価値は中古車市場での人気や、車のモデルチェンジなどにより価格に変動が生じることがあります。そのため、契約期間中に中古車としての価値が下がることもあるでしょう。
しかし、残クレの場合は中古車市場での価格が安くなったとしても、残価として当初保証された金額は契約終了時まで下がることがないのが強みです。
各自動車メーカーの残クレプランは似ていますが、特典が付いたプランもあります。
例えば車のドアなど特定部位の修理補償などです。また、低金利のキャンペーンもよく行われているので、そういった機会を利用すればお得になります。
残クレのプランは3~5年、7年くらいまでの契約期間が多いとされています。残価は年数を経るごとに下がってしまうからです。
資金面からも、できる限り経済的な負担を抑え、短いスパンで色々な車に乗りやすいというのもメリットの一つと言えるでしょう。
残価設定型クレジットのデメリットを紹介します。
ローンの返済は残価分を差し引いた額ですが、金利は車両本体価格に対し設定されます。そのため、据え置かれた残価分の利息も支払うことになるので、必然的に利息の総額が高くなり余分に支払う結果となってしまいます。
残クレでは予め残価保証条件が設定されています。そのため、交通事故などで車を損傷すると、程度に応じて追加金の請求がなされることが決められています。
全損の場合は残価分も返済しなければなりません。
ローン契約終了後に、車を返却もしくは下取りに出して乗り換えるつもりならカスタマイズやドレスアップが禁止されている場合がほとんどです。カスタイマイズをしてしまうと、追加金が発生することもあります。
残価はローン契約終了時まで保証されていますが、残価より価値が上がることも考えられます。その場合でも残価が上がることはないので、人によっては損したと感じるかもしれません。
中古車市場での再販を前提としているので、走行距離もポイントとなります。走行距離が多い車は中古車としての価値も半減するため、契約時に予め走行距離の上限が月1000㎞などと決まっているプランが多いです。
もし上限をオーバーすると追加金請求の対象となります。
カーリース(個人向け)とは?車レンタルとの違いは?

リース代には税金や車検費用などの一部の維持費が含まれているのが特徴的です。リース契約終了後は、下記の3つから車をどうするか選ぶことができます。
- 車を返却する
- 再リース契約を結んで引き続きリースする
- 別の車に乗り換える
車の名義はリース会社にありますが、リース会社によっては残価分を支払えば車を買い取ることができる場合もあります。
カーリースのメリットを説明します。
車にかかる費用は購入金だけではなく、税金や車検費用など車を維持するためのお金も必要となります。
カーリースでは税金や車検費用、自賠責保険料など一部の維持費がリース代に含まれます。そのため、家計の支出管理がしやすいと言えるでしょう。
リース会社の中には、定期点検やエンジンオイル交換やバッテリー液、ウォッシャー液の補充といった必要なメンテナンスが無料で行えるメンテナンスパック付きのプランがあります。
また、ガソリン代は別ですがℓ5円引きなどお得な割引が含まれている場合もあります。そういったお得なプランを利用することで、さらに維持費を節約することが可能です。
ネット型のリース会社なら、申し込みから審査までがネットから手軽にできるので、時間がかからずとても便利です。審査も比較的早く、スムーズだと言われています。
カーリースのデメリットを説明します。
リース代には、税金や車検費用などの維持費の一部が含まれます。その分、どうしても月々の支払額がやや高めに設定されています。
リース契約終了時に、車の傷や凹みなどがあると追加料金を請求されることもあります。ただし、飛び石などの不可抗力による傷の場合などは支払いが免除されることもあります。
リース契約終了後、返却された車は中古車として再販されます。カスタマイズしてある車は中古車市場でも価値が下がるため、リース期間中はカスタマイズを禁じている場合がほとんどです。
走行距離の上限が5年で6万㎞など予め設定されていることが多いです。返却された車を中古車として再販する場合、走行距離が多いと価値が下がってしまうからです。
残価クレジットとカーリースの比較
残価設定クレジットとカーリースは仕組みが似ているということでよく話題になります。
しかし、全てが同じというわけではなく、当然相違点もあります。両者を比較することで違いも分かりやすいと言えるでしょう。
- 契約期間中のカスタイマイズが基本的に禁止されている
- 事故で車に傷や凹み、塗料の剥がれなどが生じると程度によっては追加金を請求される
- 走行距離の上限が予め決まっている
カーリースも残クレも契約終了後に車を返却する、もしくは下取りに出すという選択をすると戻ってきた車は中古車として再販されることになります。
そのため、事故車や走行距離の多い過走車だと、中古車として価値が下がり、高く売れなくなってしまうため、同じ条件を設けているのです。
- 月々の支払額の中に、維持費が含まれるかどうか
共通点と相違点をまずは整理し、正しく理解しておくことが大事です。
残価クレジットとカーリースの共通点・カスタマイズ禁止
カーリースも残クレも契約終了後に車の返却、もしくは下取りを前提にしている場合は、基本的にカスタイマイズが禁止されている点では共通しています。返却された車は中古車として再販されます。
人によってカスタマイズされた車は好みが分かれるので中古車市場では売れにくく、ノーマル車と比べると敬遠されがちです。再販時に少しでも早く、高く売るためにカスタマイズやドレスアップがNGとされています。
万一違反すれば契約終了時に追加金が発生することもあります。また、自分で元の状態に戻すにも、結局お金がかかってしまいます。
どうしてもカスタマイズをしたいという方は、一部可能とするプランもあるので予め確認しておくと良いでしょう。
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残価クレジットとカーリースの共通点・車両返却時の精算
残クレもカーリースも契約期間中の車に傷や凹みに対して追加金の発生の可能性があることは共通しています。
契約終了時に査定を行い、査定項目によって点数が減点されることがあります。車の損傷程度によって査定時に減点が積み重なって、予め決められた減点点数を超えると追加金を負担しなければいけません。
減点点数何点でいくらの追加金が発生するかは、各自動車メーカーによって異なります。
一例を挙げると、50点の減点点数で5万円の追加金を請求するプランもあります。事故による修復歴があれば別途負担金の精算が必要となるでしょう。
また、事故により全損してしまうと、残りのローンや残価分の返済も要求されます。そうなると車を手放した上に、ない車のローンを返済し続けなければならないので車の損傷には注意してください。
事故に備えて任意の自動車保険に加入し、特に車両保険の補償をきちんとカバーしておくのも一つの手です。
残価クレジットとカーリースの共通点・走行距離の制限がある
契約期間中に、月間もしくは年間での走行距離に制限が設けられているのは、残クレもカーリースも同様です。
返却もしくは下取りに出された車は、中古車市場での再販を目的としています。
中古車市場では走行距離が多い、いわゆる過走車は価値が半減します。過走車は年式が新しくても長い距離を走っている分エンジンなどへの負荷がかかっており、部品などに劣化が見られる可能性があるからです。
また、壊れていなくても故障のリスクが高く、エンジンなど車の主部分が故障すると修理が部品にかなりの費用がかかってしまうため、消費者からは敬遠されるので需要が減ってしまいます。そのため、ディーラー側も利益が減るので嫌なのです。
リースプランや残クレプランによって走行距離の上限に違いがありますが、月間1000㎞もしくは1500㎞以内、5年で6万㎞以内という感じで設定されている場合が多いでしょう。
残価クレジットとカーリースの違い・車維持費
残クレとカーリースでは、維持費が月の支払額に含まれるか否かで違いがあります。
車を購入後、乗り続けるには維持費がかかります。維持費は税金や保険料、車検や点検費用などが必要です。
こういった維持費に一部、具体的には税金や車検、点検費用、保険のうち強制保険である自賠責保険料はカーリースの場合、リース代に含まれます。オイル交換などのメンテナンス費用の一部が含まれるプランもあります。さらにガソリン代が割引になるサービスを含んだプランならお得です。
一方、残クレは、車の購入額の返済のみが月々の支払いとなります。そのため残クレで車を購入すれば、月々のローン返済にプラスして、税金や車検費用、ガソリン代やオイル交換などのメンテナンス代などが必要となってきます。
特に新車登録から3年後、以降2年ごとに受ける車検はまとまった費用が必要となるので、準備しておかなければいけません。
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残価クレジットとカーリースの違い・月々の支払額
月々の支払額が残クレとカーリースでは、どのくらい違うのか?気になる人が多いかもしれません。
残クレは、車両本体価格から数年後の車の価値、残価を差し引いた金額でローンを組んで分割返済していきます。
一方でカーリースは、車両本体価格から残価を差し引いた残金に、税金や車検費用といったかかる維持費を加算した金額で月々のリース料を決めます。
つまり維持費が含まれている分、残クレよりもカーリースの方が月々の支払額が増えるということになるのです。
しかし、維持費は残クレを契約した場合であっても支払わなければなりません。残クレだと月々のローン返済に加え、ガソリン代や税金、保険料や車検費用などが別途必要となってきます。ある程度、どのくらいの維持費がかかるかも計算しておくことが必要です。
しかも、残クレは車両本体価格に対し金利が設定されており、利息の支払いもあります。総支払額で考えるとカーリースの方がお得になると言えるでしょう。
残価クレジットとカーリースの違い・契約終了時の選択
残クレのローン契約とカーリースのリース契約が終わった時点で、車をどうするかの選択肢では「車の返却」は共通です。
さらに残クレでは「下取りに出して別の車に乗り換える」という選択肢があります。その際は、新たに残クレを組むことが可能です。
カーリースでも「車を返却後、別の車をリース会社に購入してもらい、新たにリース契約を結ぶ」ことができます。
残クレの場合、車の所有権つまり名義は購入者にあります。残価を支払えば車の購入が可能で、引き続き同じ車に乗れます。
カーリースの場合、リース契約を延長して同じ車を借り続けることができますが、基本的には残価を支払っても買い取ることはできないとされています。それは、車の名義がリース会社にあるからです。
もちろん、リース会社によっては買取可能としている所もありますが、一括返済を求められるなどハードルがやや高い場合もあるので注意が必要です。
ライフスタイルや収入などを考慮して選ぶ
残価設定型クレジットとカーリースは似ている部分ありますが、基本的に異なるサービスです。
どちらにもメリットとデメリットがあるのでどちらがお得になるかは一概には言えないでしょう。
残クレは、月々の支払いが最大限に抑えられるのが大きな強みとなります。ただし、税金や車検費用など年に1回もしくは数年に1度はまとまった費用がかかります。
カーリースは月々の支払いは多少増えますが、支出がほぼ一定額なので計画的だと言えます。
自身の月収やボーナスの状況、カーライフや車に対する考え方などをトータルで見ることが大事です。そして、どちらを使うと「お得なのか」また「使いやすいのか」を慎重に判断しましょう。